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爽快感に特化したイージー・オートマチックモードに注目! 「BAYONETTA」先行体験イベントをレポート
10月3日,その発売に先駆けて,東京都の葛西にあるゲームショップ「GAMESマーヤ」にて,先行体験イベントが開催された。同作のプロデューサーである橋本祐介氏とディレクターの神谷英樹氏も来店し,お話を聞くことができたので,本稿ではその内容を中心にお伝えしていこう。
単純だからこそ快感だけを味わえる
超簡単操作のオートマチックモード
――体験会を開催できたことについて,感想はいかがでしょうか?
触り心地を知ってもらいたいというのが第一だったんですよね。TGS 2009でも沢山のお客さんに来てもらえましたが,おかげさまで入場規制も凄くて……。今日(10月3日)を皮切りに全国で体験会が開かれるので,もっと多くのお客さんに遊んでもらえると思うと,凄くワクワクします。
橋本氏:
身近な店舗で体験できる場を作れたというのは嬉しい限りです。発売まで盛り上げたいと思うので,よろしくお願いいたします。
――触り心地というのは,非常に感覚的なものだと思います。調整が大変そうですが,苦労されたことなどはありますか?
神谷氏:
“感覚的”というのは僕のゲームを作るスタイル全般に言えるんですが,「触って気持ちがいい」とは言っても「じゃあ何が気持ちいいのか?」というのは非常に説明が難しいところなんですよね。そこは自分が納得できるところまで,スタッフと煮詰めました。
「思いのままに操作できる」というコンセプトがあったので,敵との攻防でひっかかったり,自分の思ったとおりに動かせなかったりといったところは,徹底的に調整しました。
神谷氏:
究極的には,「コントローラーを持つことすら煩わしい」というレベルなんです。思ったことを素直に,画面の中に反映させたいという。順番としては,まずプレイヤーキャラを動かして気持ちいいかというところから作って,レスポンスと機能性を極限まで高めたうえで,それに対抗する敵を作るのが僕のゲーム作りのスタイルなんですよ。なので,ストレスを感じるような部分は徹底的に排除し,「どうやったら快感に繋がるか」というところを煮詰めていきました。
橋本氏:
よく「脳にさせたい」って言ってましたよね(笑)。
神谷氏:
コントローラーじゃなくて脳にさせたいんです。アクションに関しては脳に直結で遊びたいとよく言っています。
――ではプレイヤーキャラの動きに満足行くまで,開発は次のステップへ進まなかったということですか?
神谷氏:
そうですね。実際「BAYONETTA」もプロトタイプを作るところから始めたのですが,まずは「プレイヤーキャラありき」でした。敵はただそこにいるみたいな感じで,いかにカッコよく戦えるかというところから作りましたね。
――感覚的と言えば,イージーモードのオートマチック機能が本当に簡単操作ですよね。開発中に「簡単すぎるんじゃないか」という意見は出なかったのでしょうか?
それはむしろ,いつも僕達が葛藤しているところですね。やはり僕達がゼロからゲームを作っていくと,どうしてもそのゲームの達人になってしまうんです。そういう感覚のなかで,“簡単”のラインというのには常に葛藤しているんですよ。
実際,以前「ビューティフルジョー」という作品でキッズモードを作ったとき,それでも「難しすぎてクリアできない」という意見があって,実はあれがノーマルモードだったのかなと。その後「ビューティフルジョー」を出しなおしたとき,スイートモードというさらに簡単なモードを作ったのですが,それもユーザーさんのリアクションを見ると,「アレでちょうどノーマルだ」という感じで,じゃあもっと下も行けたかという……。
今回も,どこまで簡単にすればいいかという点には悩みました。ただ,本作に関してはベヨネッタの華麗なコンボを味わえて,初めて楽しさに繋がると思うんですよ。イージーモードは難度を下げるというより,ベヨネッタを自由自在に動かせるという部分に焦点を当てて作りましたね。
橋本氏:
一本のアクションゲームに,楽しみ方が2個あるという考えが近いです。オートマチックが嫌ならサブ画面で変更することもできるので,ノーマルと両方試してほしいですね。
ユーザーフレンドリーというところには徹底的に気を使いましたね。難度に関してもステージごとの選択が可能で,もちろんステージを遡ってのプレイもできます。今回はユーザーのやりたいことがすべてできるようにと,凄く配慮しました。難しいモードでも,心が折れない程度にはリトライポイントを用意してありますので,チャレンジ心を刺激する作りになっています。プレイヤーの技量に合わせて,自由に遊べるのではないかと思います。
橋本氏:
イージー・オートマチックに関してはとくにチームからの反対というのもなかったですね。アクションを作り慣れた人間ばかりなので,その辺は新しいチャレンジとして考えて。
神谷氏:
テストプレイしながら作っているので,チーム全員,テクニックは上級者なのですが,そういう人間が開発終盤に導入されたイージー・オートマチックをプレイして,「これはスゲェ!」と。操作が単純だからつまらないのではなく,単純だからこそ快感だけを味わえて面白いという感じでした。「デビル メイ クライ」にもオートマチックモードというのがあって,当時,「こっちの方が面白いから,こっちメインで行ったほうが良いんじゃないか」というような話も出てました(笑)。今回もこだわって作ったので,たとえ熟練者でも,プレイしてみれば楽しさを味わえるのではないかと思います。なので,一度はオートマチックでプレイしてほしいですね。
――高速道路のステージで「アウトラン」の曲が流れたり,全体的にバカゲーというか,ケレン味溢れる作りですが,今回セガさんと一緒に仕事をした感想はいかがでしょう?
遊んだ人が,「ああ,だからプラチナとセガが組んだのか」と感じるような融合をしたいと考えていました。半分以上は僕の趣味だったりもするんですけど(笑)。僕もゲームっ子として育ってきて,セガさんには大分お金を突っ込んできた人間なので,愛着もありますし。
橋本氏:
勢いで曲を作ってもらってますからね(笑)。
神谷氏:
そうなんですよ。まぁヒロ師匠という偉大なるコンポーザーがセガさんにはいらっしゃるんですけれども,その方と今回お仕事ができまして。
橋本氏:
開発が違うとなかなかそういうコラボレーションはできないのですが,今回は本当に縁がありまして。「BAYONETTA」のBGMとしてアレンジされてゲーム中で流れるというのが,制作サイドとしても非常に嬉しいです。
神谷氏:
僕自身が凄く濃い人間なので,もしかすると濃い人間しか気付かないお遊びかもしれないんですが……何度もプレイするなかで,そういう発見をしていただけたら嬉しいなと思います。バカゲーという言葉が僕は好きなので,ちょっとクスッとしてもらえたら嬉しいです。
――ありがとうございました。
右手のみで華麗な戦闘が可能
空いた左手はお好きなように
詳細なプレイレポートについては「こちら」を参照してもらいたいのだが,今回は橋本氏と神谷氏から聞いた話を踏まえ,イージー・オートマチックモードでプレイしてみた。ここではその「触り心地」をお伝えしていこう。
事前に公式サイトやブログなどで,BAYONETTAのイージー・オートマチックモードに関するプレイ動画は見ていたのだが,実際に触ってみると,その簡単操作っぷりは予想以上のもの。本当に,ただパンチとキックのボタンを押しているだけでクリアできてしまうのだ。敵との間合いや高低差はオートで詰めてくるし,本来なら複雑なコマンド入力を必要とするコンボ技も,ボタン連打のみでサクッと発動する。攻撃以外の操作をすべてオート化しているのに,ちゃんとゲームを遊んでいる感覚は味わえるという見事な調整になっている。
また,イージー・オートマチックだと,戦闘に関しては実質右手だけで操作可能なので左手はフリーになる。ハナクソをほじろうが煙草を吸おうがジュースを飲もうが,好きにできるというのも何かと嬉しいところ。
筆者も本作が発売された暁には,右手でゲームをプレイしながら左手で“片手間”に原稿を書くという技を練習しようと密かに計画中だ。
まぁ,アクションゲームに慣れている人にとっては少々歯応えが足りない面もあるが,橋本氏と神谷氏が言ったように,イージー・オートマチックモードには一度触ってみることをおススメしたい。普段,キャラクターの操作に注ぎ込んでいる集中力を,別のところ(例:ベヨ姐さん鑑賞)に回せるので,新たな楽しみを発見できるはずだ。
- 関連タイトル:
BAYONETTA(ベヨネッタ)
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