核戦争後の崩壊した世界で，キミはどう生きる？　Xbox 360版「Fallout 3」プレス体験会の模様をレポート

　マイクロソフトは11月8日（土），東京・代田橋のオフィスにて，Xbox 360版「Fallout 3」の体験イベントを開催した。
　同イベントは二部構成で，第一部がプレス向け，第二部がユーザー向けの体験会となっており，また，ゼニマックス・アジアのゼネラルマネージャーである高橋徹氏も登場した。
　今回，4Gamerもプレス体験会の方に参加し，本作をじっくりとプレイしてきたので，本稿では実際にプレイした感想を交えながらゲームの概要をお伝えしていこう。高橋氏への質疑応答の時間もあったので，その内容もいくつかピックアップしてお届けする。

退廃的な魅力を醸し出す

核戦争後の荒廃した世界

　本作では，ゲームを開始すると自分の分身となるキャラクターを作成することができるのだが，ここでは性別や人種，目鼻立ちから髪型まで非常に細かく設定可能だ。
　顔でいじれない部分はなく，パーツの角度や大きさまで自由に変えられるため，凝り性の人ならば納得のいくキャラクターを作るのに，30分〜1時間は余裕で没頭してしまうだろう。
　キャラクターを作ると，しばらく無機質な核シェルターの中で幼少期から青年期までを過ごすことになるのだが，この間に筋力や知性などの基本能力を表す“S.P.E.C.I.A.L”や，銃の扱い，修理能力といったさまざまな技能を強化する“タグスキル”を設定していく。操作方法も大体ここで学べるので，シェルターでの生活は，チュートリアルと考えて差し支えない。


　なお“S.P.E.C.I.A.L”はレベルアップによって強化できないので，最初に与えられる5ポイントをどう振り分けるかによって，キャラクターの個性がガラリと変わってくる。“Strength”なら筋力と持てる荷物の最大重量がアップするし，“Charisma”ならばキャラクターの魅力がアップし，NPCとの会話をスムーズに進めることができたりするのだ。
　今後どのようなキャラクターに育てていきたいか，しっかり方向性を見極めてから振り分けるべきだろう。


　チュートリアルを済ませると，とある事情でシェルターから脱出することになるのだが，ここで初めて本格的な戦闘が発生する。出てくる敵といえば，放射能の影響で巨大化したゴキブリや，シェルターの警備兵で，能力自体は大したことはないのだが……巨大ゴキブリは非常に気持ち悪い。
　無駄に緻密なグラフィックスで本物そっくりなうえ，突然羽ばたいてこちらに飛び掛ってくる“恐怖の滑空攻撃”まで再現されているのである。しかも，倒したゴキブリの肉は回収でき，食べることまで可能という……なんともはや，虫嫌いの人は，冗談ではなく覚悟しておくべきだろう。

　なお本作の戦闘システムは，基本的にはFPS/TPSなのだが，あくまで“FPS/TPS風”であり，ガンガン撃ちまくる純粋なFPSとは似て非なるものとなっている。それはなぜかと言うと，核戦争後の世界という舞台設定上，物資が慢性的に不足しており，武器弾薬が非常に入手しにくいのだ。しかも，この世界に存在する武器はどれもボロボロで，最初の内は普通に狙っても弾道が安定しない。つまり，銃関係のスキルを上げていくことで，武器のボロさを腕でカバーして行くというわけだ。


　さらに，戦闘に関しては“V.A.T.S”システムについても特筆しておくべきだろう。“V.A.T.S”システムは時間を止め，敵の攻撃部位を選択してピンポイントに攻撃できるというシステム。これを発動すれば，コマンド選択式のRPGに似た流れで戦闘が行える。腕や足を狙って戦闘力を奪ったり，落ち着いてヘッドショットを狙ったりと，戦術性が実に高い。
　ただ，“V.A.T.S”は使用するのに“AP”が必要で，消費した“AP”はアイテムを使用するか，一定時間経たないと回復しない。それでも，乱戦時などでは自力でエイムするより信頼性が高く，弾薬の節約にもなるので，とくにスキルの低い序盤は積極的に使っていくべきだろう。また，弱い敵に対しては，なるべくナイフやバットといった近接武器を使うのも，弾薬を節約するコツだ。

“V.A.T.S”システムを利用すれば，敵に不意を突かれたような緊急事態が発生しても，落ち着いて対処できる。各部位に対する命中率は，状況に応じて変化し，必中というわけではないので，戦闘の難度が著しく低下することもない

　ゲーム中では“ピッキング”や“ハッキング”なども可能だ。“ピッキング”では開錠にヘアピンとドライバーを使用するのだが，ヘアピンの角度を変えつつ，ドライバーで鍵穴を回すというかなり本格的（？）な作業となっている。施錠された箱には武器弾薬など，役に立つ物が入っていることが多いのだが，スキルが足りないと開錠できない場合もあり，アイテムのためにピッキングのスキルを伸ばしていくかどうか，実に悩ましい。

　一方“ハッキング”は，他人のPCからさまざまな情報を引き出すことができるのだが，かなり難度が高い。限られた回数でランダムに表示される文字列の中から，正解を選び出す必要があるのだが，勘で選んでもなかなか成功しない。幸い「2/5」といった具合に，選んだ文字列のうち，何文字が一致しているかが表示されるので，そこから答えを予測するのが基本的な攻略法だ。
　また，特定の文字列を選択することによって間違った答えをひとつだけ消したり，チャレンジ可能回数を増やすこともできる。まるで本当にハッカーになったかのような気分で，これが意外と熱中してしまうのだ。


　しかし，他人の所有物に対してピッキングやハッキングを行うと，“カルマ”が低下してしまう。“カルマ”は上がれば上がるほど善人に近づき，下がると悪人になってしまう。
　盗みを働いたり一般人を殺害することでも“カルマ”は低下するので，悪人になりたくないなら注意すべきだ。まぁ，他人の所有物は赤文字で表示されるので，間違えて盗んでしまうというケースは少ないはず。冤罪の心配はないので，その点は安心してほしい。

　巨大ゴキブリや警備兵との戦闘を潜り抜け，シェルターから出ると，どこまでも続く荒野が広がっている。ここからが本格的な冒険の始まりだ。
　木々は枯れ，家屋は倒壊し，双頭の牛や巨大なハエといったグロテスクなミュータントが徘徊する，一見地獄にも見える世界。その反面，不思議な魅力を感じるのも事実だ。
　醜いのに美しいとは，Fallout 3の世界を端的に表現する言葉としては，最適だと思えた。

高橋氏への質疑応答では

さまざまな質問が飛び出した

ゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏

　それでは，高橋氏を相手に行われた質疑応答の内容についても，軽くピックアップして紹介していこう。
　
――音声が日本語に翻訳されていますが，フルボイスなんでしょうか？

高橋氏：
　はい。会話だけでなく，ゲーム中で流れるラジオなどもすべて日本語になっています。あと，「オブリビオン」では本が沢山出てきましたが，今回は“録音テープ”が多数登場し，それもすべて日本語になっています。

――ダウンロードコンテンツも配信される予定なんですよね？

高橋氏：
　Xbox 360ではダウンロードコンテンツの配信が予定されており，日本でもやります。残念ながら，PS3版の方ではまだその予定はありませんが……。

――プレイしていると色んなシチュエーションに遭遇することがあると思うのですが，プレイしていて一番面白かったシチュエーションというのはありますか？

高橋氏：
　そうですね……。最初のうちは，物資が少ないのでついキャラバンを襲ったりしたくなるのですが（笑），カルマが下がるので我慢しています。なので，レイダー（野党）にちょっかいを出して，キャラバンのところまで引き連れていって戦わせたりしています。そうすると，カルマを下げずに死んだキャラクターからアイテムを剥ぐことができるんですよ（笑）。ただ，そればかりやっていると，後々物を売買してくれるキャラバンが登場しなくなって困るので，注意が必要ですね。


――銃で撃ったら頭が粉々になったりと，結構グロテスクというか，残虐な表現が多いですが，その辺の規制はどうなっているのでしょうか？

高橋氏：
　当初はCERO“D”を目指してやっていたんですけれども，割と早い段階で“D”は無理だということがわかりまして……。それならもう，“Z”の天井を狙いましょうと（笑）。なので，“Z”の天井がどこにあるのかを探るために，随分と苦労しました。ギリギリのところまでCEROの発表ができなかったのも，実は“Z”のレーティングをもらえていなかったんです。“発売禁止”の答えばかり返ってきてました。そういった意味では，“限りなく発売禁止に近い状態”で出すことができました（笑）。

――総プレイ時間はどれくらいになるでしょう？

高橋氏：
　本当に駆け足で，メインストーリーだけを進めれば大体30時間前後でしょうか。しかし，マップ上に存在する建物やクエストの数が膨大ですし，クエストの解決法も一つだけでなく，少なくとも二通りはあるため，かなり長く楽しんでいただけると思います。確実に100時間は遊べますね。


　海外からは，早くも500万本に迫る出荷本数を記録したというニュースも聞こえてくるFallout 3（関連記事は「こちら」）。一刻も早く思いっきりプレイしたいものだが，Xbox 360版が12月4日，PS3版が1月15日と，日本語版の発売はもう少し先の話。
　グロテスクな表現など，人を選ぶ要素の多い作品ではあるが，“V.A.T.S”システムのおかげで，FPS/TPSが苦手だという人でも，比較的遊びやすいタイトルに仕上がっている。少しでも興味が湧いたなら，是非とも一度はこの世界の刺激的な魅力に触れてみてほしい。