レビュー
待ったかいがあった! 広くオススメできる6年ぶりのナンバリング最新作
スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-
まず,SOシリーズをプレイしたことがない人のために,シリーズの歴史を簡単に紹介しておこう。
SOシリーズの原点ともいうべき第1作「スターオーシャン」は,1996年7月19日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された。当時のRPGといえば中世風ファンタジーモノが一般的だったが,ゲーム市場に彗星のごとく登場したSOは,そんな既成概念を打ち破るかのように,“SF”という世界観を前面に打ち出してきたのだ。当時,ゲーム雑誌で「SO」の記事を初めて見たときの衝撃は,今でも忘れられない。
ちなみにSOシリーズでは恒例となっている隠しボスや隠しダンジョンは,1作目からすでに登場している。
初代SOの登場から約2年後の1998年7月30日,プラットフォームをスーパーファミコンからプレイステーションに移し,続編となる「スターオーシャン セカンドストーリー」が発売された。SO2は累計70万本以上を売り上げる大ヒットとなり,シリーズは確固たるブランドを確立。
その後,SO2の外伝的作品である,ゲームボーイカラー用ソフト「スターオーシャン ブルースフィア」の発売を挟み,ナンバリングタイトルとしては5年ぶりとなる「スターオーシャン Till the End of Time」が,2003年にPlayStation 2で登場。こちらは約50万本のスマッシュヒットを記録した。最近のファンにとっては,SO/SO2のPSP版が発売されたことも記憶に新しいだろう。
作品ごとに,その当時の主要プラットフォームで発売され,確実に進化を続けてきたSOシリーズ。徹底されたSFの世界観や,プレイヤーを飽きさせない考えぬかれたシステムなど,魅力をあげればキリがないが,開発元であるトライエースのそうしたものへのこだわりが,作品の完成度に反映されているのは明らかだろう。SOシリーズが今でも多くのファンに支持される理由は,そういった部分にあるのではないかと筆者は思う。
そして,SO3から数えて実に6年ぶりのナンバリングタイトルとなる最新作,SO4が2009年2月19日に発売された。新作発売までのスパンが長いシリーズだけに,待ちわびたファンも非常に多かったことだろう。もちろん筆者もその一人だ。
さて,前置きが長くなってしまったが,ここからは,筆者が実際にSO4をプレイした印象をもとに,本作の魅力をとことん語っていこう。本稿を読み終えたあと,未プレイの読者が少しでもこの作品に興味を持ってくれたら幸いだ。
グラフィックスはもちろん,すべての要素が大幅進化!
今度のSOは宇宙を自由に飛びまわれる!
第三次世界大戦の影響で,地球は破滅へと向かっていた。環境は悪化の一途を辿り,人口は減る一方。しかし2087年(宇宙暦元年),人類に希望の光がさす。科学者トリラス博士が,ワープドライブ技術を完成させたのだ。
SRF(宇宙開拓隊)の第1期隊員である主人公エッジ・マーべリックと,ヒロインのレイミ・サイオンジは多くの仲間達と共に,新天地を求めて広大な星の海に旅立つ……というのが本作の大まかなストーリーだ。
ちなみにSO4では,エッジが艦長を務めるスペースシップ“カルナス”を動かして,自由に宇宙の星々を移動できる。文字どおりスターオーシャン(星の海)を満喫できるというわけだ。
これは,敵にターゲッティングされている状態のとき,ボタンを押しっぱなしにして,敵が攻撃してくるタイミングでボタンを離すと,敵の後ろに回りこめるというシステムだ。回り込んだ直後の攻撃は,かならずクリティカルヒットとなるので,戦闘を有利に進めるため,また経験値アップのバトルボーナスを入手するために,欠かせないテクニックとなる。
ちなみにバトルボーナスとは,戦闘終了後にさまざまな特典を得られるシステムのこと。経験値アップのバトルボーナスを得るなら,クリティカルで敵にトドメをさす,FOL(お金)アップのボーナスを得たいなら,敵を2体以上同時に倒す,といったようにボーナスによって条件が異なっている。どのボーナスも魅力的なものばかりなので,機会があったら積極的に狙っていきたい。
また,戦闘を最大限に楽しむために忘れてはならないのが,リングコンボの存在だ。リングコンボとは,必殺技から必殺技へつなげられる,連続技のようなシステムである。
例えば,Aという必殺技を出したあとに,タイミングよくBという必殺技のボタンを押すことで,即座にBの必殺技が発動され,スキのない連続攻撃を次々と繰り出せるのだ。
しかも,リングコンボで出した必殺技は,連携を重ねるたびに威力がアップしていくので,最後までつなげたら,とてつもないダメージを叩き出せる可能性もある。リングコンボにはさまざまな可能性が秘められているので,ぜひとも自分だけのオリジナル連続技を編み出して,戦闘を楽しんでほしい。
ほかにも,防御を捨てて敵を一気に攻め立てられるラッシュモードや,キャラクター育成の要ともいえるBEATシステム(関連記事は「こちら」)など,バトルを盛り上げる要素がふんだんに盛り込まれているほか,戦闘中にキャラクターをチェンジできたり,ジャンプが可能になっていたりと,挙げればキリがないくらい新要素が追加されている。
シリーズを相当やりこんだというプレイヤーも,本作の新システムで新たな楽しさに酔いしれることは,間違いないだろう。
キャラクター達の意外な一面が見られる?
プライベートアクションを堪能せよ
SOシリーズでは恒例ともいえる,プライベートアクション(以下,PA)は,本作でももちろん健在だ。
PAとは,一定条件のもとで,カルナス内部にいる仲間に話しかけると発生するイベントで,その種類は百種類以上も用意されている。しかも,PAで発生するイベントは,ストーリー本編では見られない仲間達の日常や,意外な一面がかいま見られるものばかりだ。お気に入りのキャラクターに張り付いて,カルナス内部で話し掛けまくってみるのも,本作の立派な楽しみ方である。
PAで発生したイベントには,会話の流れで選択肢が出現するものもあり,答えた内容によって,キャラクターの感情値が増減する。感情値はその後のイベントやエンディングに影響を与えるほか,バトルでは仲の良い仲間が戦闘不能になった際に,怒りで能力がアップしたりもするので,積極的に上げていきたい。
ちなみに,カルナスでは部屋割りを自由に決めることができ,同室にしていないと発生しない,キャラ個別のイベントも多数存在する。そんなわけなので,色々な組み合わせを試してみるのも非常に重要だ。
今,「よっしゃ,それならお気に入りのあの娘をルームメイトにするしか!」と思ったそこの男性諸君! 実はこのシステム,そんなに甘いものじゃない。同性同士ならば問題なく同室にできるのだが,男性キャラと女性キャラを相部屋にするには,お互いの感情値が一定以上なくてはならないのだ。感情値が一定以下だと,相部屋を拒否されてしまうので注意が必要だ。
筆者もプレイ中,何回も相部屋を拒否され,相当へこんだものである。あぁ,思い出しただけで涙が……。そういったことにならないように,常日頃から積極的にPAを発動させて,キャラクターの感情値を高めておこう。
冒険がグッと楽になる?
アイテムクリエーションを極めよ
アイテムクリエーションとは,レシピ(宝箱やクエストなどで入手)を用いてさまざまなアイテムを作り出せるシステムのことで,ICでしか手に入らないオリジナルアイテムも大量に存在する。どうしても倒せないボスなどに出くわしたときは,ICで強力な武器や防具を作ってみるのも一つの手だ。やり方次第では,ゲーム序盤でとんでもなく強い武器を作り出すことも可能となっている。
ちなみに作れるアイテムの種類は,キャラクターのスキルレベルによって変わってくるので,ICを頻繁に活用したいなら,スキルレベルを積極的に上げておいたほうがいいだろう。
また,せっかくレシピを発明しても,材料がなくてはアイテムが作れないので,レイミの採取やバッカスの採掘といったスキルを使って材料を集めたり,アイテム屋で材料を大量に購入しておいても損はない。
……そうそう,ICといえば,オペレーターのウェルチを忘れてはいけない。
ウェルチとは,主にICを発動した際に登場するキャラクターで,選択項目を解説してくれたり,ICのアドバイスをしてくれたりと,IC使用時には何かとお世話になる女の子。
すさまじいテンションの持ち主で,ICで何か行動を起こすたびに一喜一憂してくれる。その天真爛漫なキャラクターに,心を癒されること間違いなしである。
シリーズファンはもちろん,腰を据えてRPGを楽しみたいと考えているXbox 360ユーザーにも,声を大にしてオススメできるSO4。本作を未プレイだという人は,ぜひ購入を検討してみてほしい。
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