イベント
「第2回全国高校eスポーツ選手権」リーグ・オブ・レジェンド部門 決勝大会レポート。優勝の栄冠を手にしたのは,角川ドワンゴ学園 N高等学校
「第2回全国高校eスポーツ選手権」ロケットリーグ部門 決勝大会をレポート。ラストに劇的なドラマが待ち受けていた年末の戦い
現役高校生によるeスポーツ大会「第2回全国高校eスポーツ選手権」の「ロケットリーグ」部門の決勝大会の模様をお届け。全国から106チームがエントリーした大会の決勝戦は,ラストに劇的なドラマが待ち受けていた。
全国高校eスポーツ選手権とは?
対戦型オンラインゲームの高校日本一を決める大会として,毎日新聞社(主催)とサードウェーブ(共催)の協力によって開催が実現した。
競技種目は「LoL」部門と「ロケットリーグ」部門の2種目。LoL部門には,全85校,119チームがエントリーし,予選を勝ち上がった4校が今回の決勝トーナメントへと進出した。
出場校紹介
予選を勝ち上がった4チームは以下の4校。
・学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校「KDG N1」(沖縄)
・横浜市立南高等学校「The Grateful Feed」(神奈川)
・クラーク記念国際高等学校 秋葉原「Yuki飯食べ隊」(東京)
・豊田工業高等学校「豊工LOL組」(愛知)
「第2回全国高校eスポーツ選手権 リーグ・オブ・レジェンド部門」Twitchアーカイブ
準決勝
準決勝はBO1形式(1試合先取)で争われた。負ければ即敗退……という状況の試合には緊張感が張り詰め,各チームを応援しにきている観客からは,好プレイが出るたびに「オーッ!」という歓声があがっていた。
本大会は,卒業を控えた3年生の選手にとっては,チームとして出場する最後の大会になる。敗退が決定したチームの選手たちは一様に悔しさを滲ませていたが,インタビューの際には「高校生活最後のいい思い出になった」と語っていたのが印象的だ。本大会が選手たちにとって,実りあるものであったことがうかがえる。
決勝戦:「KDG N1」vs.「Yuki飯食べ隊」
準決勝での戦いを制し,決勝戦に駒を進めたのはN高「KDG N1」と,クラーク記念国際高校「Yuki飯食べ隊」の2チーム。決勝戦は2本先取のBO3で行われる。
実は両校には,1つの共通点がある。それは,どちらも公式プロリーグ「LJL」のチーム「Rascal Jester」の元選手をコーチとして招いているという点だ。
そのコーチとは,「Rascal Jester」のサポート,そしてコーチを務めたLillebeltさん(KDG N1)と,その後任のサポートを務めたYukiさん(Yuki飯食べ隊)の2名。師匠と弟子のような関係性を持つ2人がともに高校生のコーチを務め,日本一を決める大会の決勝戦で相対する……というのは実に運命的だ。
決勝戦 第1試合
決勝戦第1試合,「KDG N1」はいきなり秘策にうって出た。それは,これまで試合にまったく出ていなかった女性プレイヤー,shakespeare選手をサポートとして起用するというもの。
shakespeare選手のソロランクはなんとグランドマスター(最高ランク「チャレンジャー」の一歩手前のランク)。実力は申し分ないが,キャプテンであるまりも選手の「チームの戦術にまだ上手くマッチしていない」という判断から,出場を控えていたようだ。
この作戦に完全に虚を突かれた「Yuki飯食べ隊」。shakespeare選手が得意としているジャンナをバン(使用禁止)したものの,「KDG N1」のまりも選手によれば「バン/ピックの段階ですでに,相手チームが混乱しているのが見てとれた」そうだ。
さらに,ADCの名手であるまりも選手は,あえてメイジであるシンドラをピックした。普段の試合とは違い,「エースであるまりも選手を囮にして,shakespeare選手が積極的にローム(別のレーンへ手助けしにいく)する」という作戦をとったのだ。
意表をついた作戦に加えて,各プレイヤーの好プレイ(まりも選手のシンドラによる複数人のスタン,shakespeare選手のローム,vandolp選手によるトップレーンでの1対3 etc...)によって,有利な状況を作り出していった「KDG N1」。
だが,決勝戦まで勝ち上がってきた「Yuki飯食べ隊」もやすやすとやられたりはしない。ランブルとアフェリオスのアルティメットによる範囲ダメージが集団戦で大きな働きをし,試合は五分五分の展開へともつれ込んでいく。
40分を超える熱戦にケリをつけたのは,「KDG N1」のリーダー・まりも選手のコールだった。「自分を信じてくれ」とチームメイトを説得して行ったボットレーンへのテレポートから,インヒビターに対して圧力をかけて「Yuki飯食べ隊」陣営をかく乱。バロン周辺での集団戦に勝機を見出していた「Yuki飯食べ隊」は虚を突かれる形となり,陣形が乱れたところをつかれて一気に総崩れしてしまった。
大熱戦の末の劇的な結末に,会場はヒートアップ。まだ第1試合であるにもかかわらず,観客からは優勝が決まったかのような大歓声があがっていた。
決勝戦 第2試合
「KDG N1」はこの試合ではshakespeare選手を控えに回し,普段通りのチーム構成へと戻すことで再び「Yuki飯食べ隊」へと揺さぶりをかけた。「KDG N1」のぷりも選手の代わりにミッドレーンを務めたのは,White And Pink選手だ。
この試合は,「KDG N1」がゲーム開始直後から奇襲をかけるも,わずかなミスプレイから2デスに繋がってしまうという波乱の幕開けとなった。だが,そこから「KDG N1」は集団戦で巻き返しをはかり,試合はシーソーゲームへと突入していく。2試合立て続けに接戦となるのは,両校の実力が拮抗していることのあらわれだろう。
試合が決着したのはゲーム時間36分での戦いだった。「Yuki飯食べ隊」は「KDG N1」の面々がボットレーンとトップレーンに分かれてプッシュをしているタイミングを見逃さず,戦闘を仕掛けて1キルを獲得。
「KDG N1」としては,普通ならば4対5の状況を恐れていったん撤退をする場面だが,キャプテンのまりも選手がとった選択は「そのまま全員でボットレーンをプッシュする」というものだった。
装備差がほとんどなく,インファーナルソウルも持っている「Yuki飯食べ隊」は,ここを勝機と見て「KDG N1」に対して集団戦をしかけていく。戦闘が始まった瞬間は5対3の状況で,「Yuki飯食べ隊」の5人が「KDG N1」の3人を完全に取り囲む陣形だった。
絶体絶命――。「KDG N1」を応援していた人たちのほとんどがそう思ったのではないだろうか。だが,この集団戦に勝利したのは「KDG N1」だった。
シンドラのスキルをキンドレッドのアルティメットでうまくいなした44O選手のほか,素晴らしい位置にブラウムのアルティメットを打って敵を足止めしたぷりも選手。また,敵の後ろから回り込み,フラッシュインで戦闘に駆け付けたWhite And Pink選手。そして,ルシアンのブリンク,フラッシュ,シルバーサッシュを駆使しながらダメージを出し続けたまりも選手。全員がベストなプレイをつくした結果,まりも選手のルシアンは見事生き残り,その瞬間,「KDG N1」の勝利が確定した。
「KDG N1」はそのままネクサスを破壊してゲームに勝利。見事,第2回全国高校eスポーツ選手権 リーグ・オブ・レジェンド部門 優勝の栄光を勝ち取った。
優勝した「KDG N1」には,サードウェーブのゲーミングノートPCのほか,カップヌードル1年分やRiotポイントなど,各社の代表からさまざまな副賞が贈られた。
劇的な結末の興奮冷めやらぬまま閉幕となった第2回全国高校eスポーツ選手権だが,すでに,第3回の開催が告知されている。
今回の大会を視聴して刺激を受けた人は,ぜひ,友達を誘って第3回大会に出場してみてほしい。
「全国高校eスポーツ選手権」公式サイト
- 関連タイトル:
リーグ・オブ・レジェンド
- この記事のURL:
(C)Riot Games Inc. All rights reserved. League of Legends and Riot games Inc. are trademarks or registered trademarks of Riot Games, Inc.