プレイレポート
「リーグ・オブ・レジェンド」の圧倒的不人気チャンプ,アーゴット様の魅力を語らせてほしい
ところで,LoLには130体を超えるチャンピオンがいるが,よく使われる人気のチャンプといえば,誰を思い浮かべるだろうか。ビジュアル的には,アーリやソナ? 性能的な流行り廃りがあるから,その時に強いやつ? それとも実装やリワークされたばかりの話題のチャンピオン? ある程度LoLをプレイしている人なら,いくつか思い浮かぶだろう。
では逆に,130体以上いる中で,最も人気のないチャンピオンは誰だろう。
はい,アーゴットですね。
もう,ぶっちぎりの人気のなさである。LoLのデータ統計サイトはいくつかあるが,少し調べるだけでもすぐに分かる。ランクだろうとノーマルだろうと,使用率最下位の常連だ。希少種すぎて,日本サーバーからLoLを始めた人の場合,ヘタをすれば「一度も見た覚えないんだけど……」みたいなレベルである。日本に限らず,北米でも韓国でも使われていない。しかも,不人気仲間だったはずのガリオは,リワークで別人と化し,ずいぶん使われるようになってしまった。
さすがに酷すぎる。正式サービスも始まったんだぞ,いつまでも不人気のままでいいのかね,キミは。いや,いいわけがない!
そんなわけで,本稿ではアーゴットの魅力を語りたいと思う。何を隠そう,筆者はアーゴットメインのプレイヤーだ。チャンピオンマスタリーは当然レベル7だし,一番使用しているのもアーゴットである。正式サービスに入り,復帰プレイヤーもいそうなことだし,今こそ彼の良さを皆に知ってもらおうじゃないか!
ビジュアルとストーリーは……
アーゴットとはいかなるチャンピオンなのか。まずはビジュアルから押さえていこう。
見よ,この……えっと……4本足のおデブさんを。控えめに言ってもかなり残念な見た目である。肉の塊に機械を接続したような醜悪な外観。左手に銃,右手に刃物が直接取り付けられており,「非人道的な研究で,機械化されてしまった」的な印象を受ける。完全に悪役な見た目に惹かれる人というはいるかもしれないが,まったく格好良くはない。正直,キモい。
だが,待ってほしい。LoLのチャンピオンにはそれぞれイカした設定があるというもの。彼にも1人のチャンピオンとして,何かすごい研究者だとか,特別な被検体だとか,あるいは悪の親玉だとか,そういうストーリーがあるはずだ。というわけで,公式サイトのユニバースのストーリーをざっくりとまとめてみよう。
・捨て身で戦うのが得意な戦士だったけど,無茶しすぎたので,引退して処刑人になりました。
・新しい仕事をマジメにこなしていたところ,敵国のガレンにぶった切られて死んじゃいました。
・そんな彼を,機械と魔法で蘇生させてみたのが今の姿なのです!
良いとこ,一個もねえ!!
何の活躍も描かれていないし,見た目の割にとくに悪いこともしていない。ただガレンにやられただけである。
ちなみに,彼の二つ名は“誇り高き処刑人”。機械化された後は,別に処刑人というわけでもなさそうだし,誇り高いエピソードは見当たらない。なんだこれ。
というわけで,アーゴットはビジュアルとストーリーを見るだけで,人気のなさが理解できるチャンピオンと言わざるを得ない。
スキルも特徴的すぎる
……よし。人を見た目で判断するのはやめよう。気を取り直して,肝心のゲームプレイを見ていきたい。
まず,アーゴットは「ファイター」「マークスマン」に分類されるチャンピオンである。つまり,ファイターでありながら遠距離攻撃が得意なタイプで,同じ方向性としてはクインや(一応)ケイルが該当するだろうか。ボットレーンよりもトップレーンのほうが適正が高いという点でも,それらのチャンピオンと共通している。
ただし,所持しているスキルはどのチャンピオンとも似ていない。というか,ユニークすぎる。
パッシブ:「ゾウン・デストラクション」
通常攻撃および「アシッドハンター」(Q)が命中した対象から受けるダメージを2.5秒間15%減少させる。 確実に役には立つが,大変地味である。
Q:「アシッドハンター」
ミサイルを発射する,方向指定攻撃。クールダウンが短く連射が可能で,敵にとどめを刺すと消費したマナが半分帰ってくるオマケ付き。アーゴットはマークスマンでありながら,通常攻撃の性能がかなりイマイチなので,このアシッドハンターが第二の通常攻撃みたいな扱いとなる。
W:「テラーコンデンサー」
自身のマナの最大値によって強化されていく,変わり種のシールド。この効果とアシッドハンターを連射する都合上,マナが補強される武器や防具と相性が良い。
テラーコンデンサー展開中は,通常攻撃とアシッドハンターにスロウが付与される。この効果自体は強いのだが,「先にシールドとして活用したら,追撃時にほしいスロウがなくなった」「敵から逃げる前に攻撃してスロウをかけたが,追いつかれる頃には肝心のシールドが消えていた」など,イマイチ攻防一体感が足りない。
E:「ノクサス・コラプトシェル」
腐食性の砲弾を発射するスキル。弾速は遅いしクールダウンも長いが,範囲攻撃なうえに物理防御を低下させる効果付き。さらに,このスキルが命中すると,アシッドハンターが長距離の対象指定攻撃……というか必中のホーミングミサイルと化す。相手の位置にカーソルさえ合わせれば,草むらの中にいようと,ステルス状態になろうと問答無用で命中するという,脅威の性能となる。
アーゴットの最重要スキルであり,これが当たらないことにはどうにもならない。
R:「ハイパーキネティック・ポジションリバーサー」
なんだかよく分からないけど,とにかく強そうな名前のスキルNo.1(筆者調べ)。その効果は,指定した相手を1.5秒間行動不能(サプレッション状態)にした後,なぜかアーゴットと位置を入れ替えるというもの。さらに,スキル発動後から5秒間,理由は不明だがアーゴットの受けるダメージが最大50%も低下する。
以上がアーゴットのスキルだ。つまり,マークスマンのくせに防御スキルを2つも持っている(しかもどちらも変な性能)うえに,主な攻撃は「Eを当ててQ連打」というあまりに雑な手段のみ。「マークスマンでありながら位置入れ替えで敵のど真ん中に飛んでいく」というのも,一体何がしたいのかという感じだ。
さらに言えば,ストーリー上の設定とスキルの効果に関連性は見られないし,4本の特徴的な脚部も歩行以外に活用している様子はない。
このちぐはぐ具合は,開発チームさえも“矛盾に満ちた”チャンピオンであると認識しているほどで,リワークも検討されている様子。なんてこった……。
「ちぐはぐだからこその活躍」が最大の魅力
まとめると,アーゴットは見た目やストーリーだけでなく,スキルさえもイマイチなチャンピオン……となりかねない。しかし,これでも筆者は好きでアーゴットをメインに使っているプレイヤーだ。
では,このチャンピオンの魅力はどこにあるのか。それは「独特すぎるスキル達によって,アーゴットならではのゲームプレイと活躍が生まれる」ことにあると思う。しかも,実は強みが分かりやすく,勝ち方を覚えるとかなり楽しくなってくる。
筆者が考えるアーゴットの強みは3つ。「トップレーンでのタイマン性能」「集団戦でマークスマンやメイジに粘着できるQ」「アサシンを絶対止めるR」である。
まずは「トップレーンでのタイマン性能」から。これはアーゴットに限らない話だが,トップレーンの相手は近接攻撃のファイターやタンクであることが多く,マークスマンで行く時点で基本的に有利。さらにアーゴットの場合,ノクサス・コラプトシェルを当ててから,必中のアシッドハンターを3連射して一方的にダメージを与えるのが非常に得意なので,対面との差をつけやすい。
仮に不利な相手であっても,アシッドハンターで安全にラストヒットを取り続けることに注力するといった手段も取れるので,負けにくいというのは大きな利点だ。
試合を自分で勝利に導こうと考えてトップレーンに行く場合,タイマン性能が高いことは大きなプラスになる。さらに嬉しい(?)ことに,大半の相手は超不人気なアーゴットが何をしてくるかなんてよく分かっていないので,無茶をして勝手に倒されてくれることも。とくに,ハイパーキネティック・ポジションリバーサーの強烈なダメージ低下効果は,相手の計算を狂わせやすい。
アーゴットはそのタイマン性能を生かせれば,「序盤で対面を潰して,集団戦で活躍する」という勝利への流れを掴みやすいのだ。
次に集団戦について。上記の通り,アーゴットは基本的にレーンで勝利することを前提に動くべきチャンピオンなので,大勝ちとまではいかなくても,順調に育ったと仮定する。ティーモなどもそうだが,トップレーンにマークスマンを出した時点で,何が何でも勝たねばなるまい。
もし大負けした場合は,もうどうしようもないので,カニスキンで川を往復してリフトスカトルごっこでもしておこう。
集団戦でのアーゴットの強みは,敵のマークスマンやメイジにノクサス・コラプトシェルを当てるだけで,遠距離から大きなダメージを確実に与えられるということ。なにせ,逃げようが敵のサポートがピールしてこようが,長射程の必中攻撃で追撃できる。
しかも,育ったアーゴットはシールド+ダメージ低下効果により,武器を優先して購入してもけっこうな硬さになる。その生存力で最前線に居座り,敵の集団戦の要となるチャンピオンをいじめ続けるというのは,なかなかに脅威だ。
そしてもう1つの強みがハイパーキネティック・ポジションリバーサーによるアサシン潰しである。おそらくトップレーナーなら,「自分は対面よりも育っていたが,ミッドが崩壊していて敵のアサシンが盛大に育ち,GG」という経験は誰しもしたことがあると思う。育ったアサシンは怖いものだ。
しかし,アーゴットにとってアサシンは恐れるべき相手ではない。なにせ,突っ込んできたところで,長射程&単体指定のハイパーキネティック・ポジションリバーサーをポチっと押すだけで,1.5秒も確実に止められるのだ。味方と協力して始末してしまおう。
つまりアーゴットは,一見噛み合わなそうなスキルを持っているが,トップレーンで勝利しつつ,集団戦でも攻めに守りに活躍できるチャンピオンなのである。どのスキルも尖っているので,器用貧乏という印象もない。そのときに自分が最も活躍できる戦い方を考えるのが非常に楽しいのだ。
アーゴットが買うべきアイテムとは
最後に,簡単に購入すべきアイテムを紹介しておこう。
真っ先に目指すべきなのは「女神の涙」だ。序盤のアーゴットはマナがすぐ枯渇するので,補強は必須。また,このアイテムの強化が終わって「ムラマナ」になったときが,アーゴットにとって最も強いタイミングでもあるので,序盤から購入してしっかりと育てていきたい。アシッドハンターを連射して戦うので,スタック増加の効果とも相性バッチリだ。
次に目指すべきは「ブラック・クリーバー」。ヘルス,物理攻撃力,クールダウン,物理防御低下効果,加速と,アーゴットに欲しいものがすべて詰まっており,非常にオススメだ。
コアアイテムとなるのはムラマナとブラック・クリーバーだけなので,後は対面やチーム構成で変えればいい。物理防御とマナが上がる「フローズンハート」や「アイスボーンガントレット」は相性がいいし,魔法防御と火力が欲しければ「マルモティウスの胃袋」も選択肢に挙がる。相手によっては,重傷を与えられる「エクスキューショナー・コーリング」を優先すべきときもある。「妖夢の霊剣」を買えば,加速して敵に迫るアーゴットがキモい。
フィットするアイテムは多いので,集団戦で何をすべきかを考えて選んでいこう。
とにかく変わったチャンピオンなので,見た目で敬遠せず,ぜひ一度使ってみてほしい。おそらく「思ってたより楽しい?」となるはず。いずれリワークが検討されているので,どこまで変わってしまうのかは少々心配ではあるものの,1人でも多くの人にその魅力を知ってもらえれば幸いだ。
人気チャンピオンになってほしいとは言わない。ランク戦でピックしても煽られなくなる程度には,知られてほしい。切実である。
「League of Legends」公式サイト
- 関連タイトル:
リーグ・オブ・レジェンド
- この記事のURL:
(C)Riot Games Inc. All rights reserved. League of Legends and Riot games Inc. are trademarks or registered trademarks of Riot Games, Inc.