プレイレポート
豪壮な洋館を舞台に展開される,藤堂龍之介の探偵物語。NDS「藤堂龍之介探偵日記 琥珀色の遺言 西洋骨牌連続殺人事件」は本日発売
本作は1988年にPC-9801用ソフトとして発売された,「藤堂龍之介探偵日記」シリーズの第1作をリメイクし,さらにその後日談である「追補編 虚妄の報い」を併せて収録した作品だ。
大正時代の洋館を舞台にした,退廃的な美しさを醸し出す世界観と,本格的な演出/シナリオで人気を博した本作。fonfunによると,当時発売されていたアドベンチャーとしては,大人や女性ファンからの反響が大きかったという。
2004年には16年ぶりに携帯アプリとして移植され,2008年現在に至るまでに,外伝1作を含む計8作が配信されている。同時期に制作/発売されていた「刑事J.B.ハロルド」シリーズと共に,多くのファンから愛され続けているミステリーアドベンチャーゲームの名作である。
美しい洋館で次々と発生する殺人事件
それに挑むは,私立探偵・藤堂龍之介!
この事件は地元警察の手に負えず,事件発生から2週間が経っても,真相は闇に包まれていた。やがて,彼の莫大な遺産を巡り,残された影谷家の人々に不信と疑惑が渦巻き始める。
事件解決を望む影谷家の執事,辰野の依頼により,私立探偵・藤堂龍之介は琥珀館へと乗り込んだ。琥珀館で調査を進めていく龍之介だったが,その最中に第2,第3の殺人事件が発生してしまう……。
プレイヤーは龍之介となり,事件解決を目指して琥珀館の調査をしていく。基本的なゲームシステムは非常にオーソドックスだ。関係者から話を聞き,現場を調査し,証拠品を集めるといった,推理アドベンチャーの王道とも言えるアクションを,簡単操作で行える。その過程で新たな容疑者や証拠,場所を見つけ出し,事件の核心に迫っていこう。
なお本作では,ゲーム開始時に,易/普/難の3種類から難度を選択できるのだが,これはゲーム中に手帳(メニュー画面)を開けばいつでも変更可能だ。
難度“易”では,捜査状況に変化があったときにヒントが表示されるほか,選択肢を選ぶ際にもヒントが出て,アドベンチャーに不慣れな人でもラクにゲームを進めていける。
難度“普”は選択肢を選ぶときのヒントがなく,難度“難”では一切ヒントが表示されず,完全に自力で攻略を目指して行くことになる。
調査に行き詰ったときや,ゲームが簡単すぎるなと思ったときに,いつでも難度を変更できるというのは,なかなか興味深く,嬉しい機能である。
移動シーンでは,DSの上画面に琥珀館の全体図が表示され,下画面で龍之介を操作する。これは二つの画面を持つDSならではの機能で,オリジナルと比べ,より快適な調査ができるようになった。
なお,部屋に人間がいる場合は男性が青,女性が赤のアイコンでマップ上に表示されるので,証言を集めたいときの良い目安になる。
ゲームの性質上,調査が進展するたびに総当りで証言を集めることの多いアドベンチャーで,毎度毎度すべての部屋を回るのは,非常に骨の折れる作業。このように,細かい部分にまで気が利いているのは好印象だ。
また,アドベンチャーゲームには欠かせないバックログ機能も搭載されており,調査に行き詰ったときは,過去の会話や行動を簡単に遡ることができる。
さらにメモ機能を利用して,気になった事柄を手書きで記録しておくことも可能だ。少々面倒かもしれないが,このアナクロさはゲームの世界観にもマッチしていて,なかなか雰囲気がある。
ヒントの一切表示されない“難”モードでプレイしている場合は,地道なメモが事件解決のカギになるかもしれない。
見事ゲーム本編をクリアした暁には,後日談である「虚妄の報い」がプレイ可能となる。サイドストーリーとはいえ,本編に負けず劣らずのボリュームなので,そちらもしっかりと楽しんでほしい。
探偵として大正時代を生きる
二重の意味で懐かしい作品
総評としては,非常に“懐かしい”作品だという印象を受けた。もちろん,昔からのファンならば本作を懐かしむのは当然のことだろうが,それだけではなく,本作の舞台となった“大正”という時代がうまく表現されているということである。原作を知らない人にも,本作の濃密なシナリオと世界観を,ぜひ体験してもらいたいものだ。
ちなみに「藤堂龍之介探偵日記」シリーズは,今後もDSでリリースされていく予定とのこと。龍之介のさらなる活躍が楽しめる日を,楽しみに待ちたい。
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藤堂龍之介探偵日記 琥珀色の遺言 西洋骨牌連続殺人事件
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