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店頭体験会で聞いた「バイオニック コマンドー」開発秘話。プロデューサーのベン・ジャッド氏のミニインタビューを掲載
今回は,プロデューサーのベン・ジャッド氏が会場を訪れた「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」での模様をレポートしよう。
ちなみに,本作の公式サイトで告知されているように,6月20日/25日/28日にも店頭体験会の実施が予定されている。今のところ本作の体験版配信の予定はないようなので,首都圏近郊在住で本作を事前にプレイしてみたいと思っている人は,店頭体験会の場所と時間をチェックしてみてはいかがだろうか。
またジャッド氏は,試遊している人に自らレクチャーを行うなど,自ら積極的に「バイオニック コマンドー」のPRを行っていた。
体験会では,ジャッド氏への囲み取材の時間が設けられ,「バイオニック コマンドー」について,短い時間ではあるが話を聞くことができたので,以下にその概要をお伝えしよう。
――「バイオニック コマンドー」もまもなく発売日を迎えることになり,店頭体験会が開催されたわけですが,現在の心境を聞かせてください。
今日の体験会はどきどきしながら参加したんですけど,思ったことは二つです。
このタイトルはスウィングアクションということで,操作方法も独特なところがあるのですが,実際にプレイしてもらった方を見ると,思ったより短い時間で操作に慣れてもらえたように感じました。長い時間をかけて調整してきた部分なので,クリエイターとしてはほっとしました。
もう一つは,私みたいな“バカでかい外人”がバイオニック・アームをつけると,お子さんはみんな怖がるってことです。私は子供がとても好きなんですけど,今日ほど怖がられたことはなかったので,寂しいですね。やっぱりコマンドーは孤独だと思いました(笑)。
――今回,初プロデュースということですが,プロデューサーとしての仕事はいかがでしたか?
ジャッド氏:
自分にとって最初のパッケージゲームなんですけど,自分が子供の頃に遊んだゲームの続編を作らせてもらえるなんて思っていなかったので,夢みたいなことでうれしいですね。
いろいろな部署がどれだけ大変な作業をやっているのか,っていうのが分からなかった部分もあって,本当にチームワークがものすごく必要だと思いました。パッケージを作るにしてもイベントをやるにしてもいろんな人のサポートが必要で,プロデューサーとしてうまくプランニングするというのは大事な仕事だと思いました。
――プロデューサーとして自分で点数を付けるとしたらどのくらいだと思いますか?
ジャッド氏:
自分のやってきたことでいうと100点満点で50点くらいですかね。カプコンは日本企業ですから,日本企業なりのルールとかやり方があります。僕はアメリカ人として仕事をいろいろやろうとしたんですけど,もうちょっと合わせるべきだったとあとで思いました。そのあたりはかなり勉強させていただいたので,次回以降に生かしていきたいですね。
ゲームの内容に関しては,すでに海外では発売されていますが,海外のユーザーからは「楽しい」というメッセージをもらったりすると,2年以上がんばった甲斐があったと感じます。
――「バイオニック コマンドー」を作るというのは,どのような経緯で決まったのでしょう?
私がカプコンに入社したのは2002年で,北米の現地法人で働いていた頃,海外のメディアの人達によく「バイオニック コマンドー」の続編を作らないか聞かれていたので,「これは作らないといけない」と思っていたんです。
そのあと日本の本社に異動になって,日本のプロデューサーにアピールはしたんですけど,「日本ではそんなに人気じゃなかったから」と言われてしまい,半分あきらめていたんですね。
でも「バイオニックコマンドー」は,2Dでも3Dでもゲームとして成り立つ,スウィングアクションといういい要素を持っています。最近のゲームはちょっとパターン化しているところもあったので,革新的な要素を持ったものを作りたいというわがままな気持ちも残っていたんです。また,これからは国際的な路線にもっと乗っていかなければとも思っていたので,開発統括である稲船に直接アピールし,海外の開発スタジオと協力して制作することが決まりました。そこまでは長い歳月がかかりましたけど。
――最初から海外の開発スタジオに外注するという話だったんですか?
最初は社内で携帯機用に作ろうという,もっと小さい規模の話だったんですけど,途中で「これはもっとポテンシャルがあるんじゃないか,次世代機用のパッケージゲームとして開発しよう」という話が出たんです。これには私も驚きました。「私がやるんですか?」みたいな。でも,チームの技量があれば出せるもんですね(笑)。
現在、海外市場が広がりつつあって,日本の市場は縮小気味の傾向にあります。個人的には,日本のパブリッシャはもっと海外の開発会社とチームアップしてゲームを作っていくんじゃないかなと思います。日本の本社からスタッフを送り込んだり,完全に外注先に委託したりと,いろんなやり方はあると思いますけど,チームアップできる方法を確立する日本のパブリッシャは,世界で勝てると思います。カプコンが早い時期でいろいろとやっているというのは絶対にいい勉強になって,これからいろいろ新鮮なゲームが出てくると思います。
――企画当初は携帯機で出す予定だったとのことですが,これから携帯機で「バイオニック コマンドー」を出してみたいという気持ちはありますか?
ジャッド氏:
PSPやニンテンドーDSでもスウィングアクションというのはぴったり合うと思いますので,チャンスがあれば出してみたいと思いますね。
以前リリースした「バイオニックコマンドー マスターD復活計画」が,自分が子供の頃に遊んだ「ヒットラーの復活 トップシークレット」に近い感じだったので,元々自分が作りたかった形に近いかもしれません。
当然,今の市場ではパッケージ版の2Dゲームというのはなかなか売れないと思います。配信版という形や携帯機という形を考えなければいけませんが,2Dのゲームがだんだんなくなっているのは寂しいので,「バイオニック コマンドー」に限らず,カプコンの過去のタイトルには素晴らしいものがたくさんありますし,出したいという気持ちもあります。
――ジャッドさん自身は,レトロゲームのリメイクをやってみたいと?
ジャッド氏:
やってみたいですね。ゲームを20年くらいやってきましたが,「ゲームが楽しい」と一番感じていたのはやはり子供の時期なんですね。2Dのレトロゲームなら,子供の頃の嬉しい気持ちと無邪気さを思い出してゲームを作るパワーがもっと出るんじゃないかと思います。
――最後に,ユーザーに向けてのメッセージをお願いします。
ジャッド氏:
先ほども言いましたが,最近のゲームはパターン化しているところがあると,とくに長い期間ゲームをプレイしている人は感じているのではないかと思います。
「バイオニック コマンドー」は,懐かしいようであって新鮮な,なかなかないゲームです。新世代スウィングアクションの楽しさを,自分の目と手で感じていただければ,と思います。
――ありがとうございました。
- 関連タイトル:
バイオニック コマンドー
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