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インテル,第1四半期プレスミーティングを開催〜WestmereベースのCalpellaプラットフォームの一部情報を明らかに
先端プロセスへの積極的な投資をアピール
インテル代表取締役社長 吉田和正氏 |
2010年にかけて32nmプロセスを立ち上げるインテルの四つのファブ。2009年中はオレゴンのD1D,D1Cの2工場で32nmプロセスの製造を行うようだ |
氏が取り上げた最初のニュースは32nmプロセスだ。「Tick-Tockモデルを力強く進めていく。ムーアの法則はまだまだ健在だ」と述べ「次世代プロセスに積極的に投資して付加価値の高い製品を投入していく。32nmプロセスの製造は現在オレゴンのD1Dで稼働させているが,今年は量産体制を整える」とし,スライドに示されているように,2010年にかけてオレゴンのD1Cをはじめとする4工場で32nmプロセスの製造を立ち上げることを明らかにした。
そのうえで「生産技術,微細化技術の進歩を止めないことがインテルのイノベーションの源泉であることに変わりはない」と吉田氏は強調。言い換えれば,ファブこそインテルの技術革新の土台だということになるが,これはファブレスへと転身しようとしているAMDとの違いを際だたせるセリフでもあり,そのあたりを意識しての発言でもあるのだろう。
WiMAXのエリアの拡大にインテルがどう取り組むのか具体的な話はなかったが,当面は以前からアナウンスされているようにWiMAXを組み込んだCentrino 2を立ち上げて市場の拡大を図るという側面からの支援になるだろう。また,吉田氏はWi-Fi,3G,Mobile WiMAXという3種類の無線方式を共有する技術を研究中であることにも触れ,モバイル技術の発展に力を入れていく姿勢をアピールしていた。
Mobile WiMAXを使ったモンスターハンターフロンティアオンラインのデモ映像を公開
動きもスムーズで,一見したところ自宅のFTTHやADSL環境でプレイするのと変わらない様子で動いていたのが印象的。もっとも,このデモは移動中ではなく,街中で座った状態でプレイしているので,十分な信号強度があればMobile WiMAXの実力からして当然という話はあるかもしれない。2.5GHzという高い周波数を使うこともあり,建物などの影響を受けやすいという報告もあるので,移動しながらでは,このデモのようなスムーズなプレイは望めない可能性が高いことも承知しておくべきだろう。
デモの最後には,会場の外に派遣したインテル社員とSkypeを使ったビデオチャットをライブで実演。このデモも非常にスムーズで,Mobile WiMAXの可能性を見せつけるデモではあったので,今後のエリア拡大には期待したいところだ。
Skypeで会場の外とビデオチャットする様子がライブで披露された。Mobile WiMAXの可能性をアピールするデモであることは確かだ |
Mobile WiMAXのデモに続いて江田氏は,3月7日から放映予定の新CMを紹介。今年も積極的なマーケッティングを行っていくと述べていた |
Calpellaプラットフォームを国内の記者向けに初解説
説明会の最後に,インテル技術本部スペシャリスト・マネージャー,土岐英秋氏がインテル製品に関して,やや技術面に踏み込んだ解説を行った。すでに市場に投入されている製品の話題などもあったので,注目できる部分に絞って紹介しておこう。
まず,今年後半に投入される予定の「Westmere」のCalpellaプラットフォームについてである。
4Gamerでは今年2月に米国で行われたデモの様子を含めてリポートしており,基本的にはその内容を国内の記者向けに紹介した形だ。概要は過去の記事と重複してしまうので割愛するが,詳しくは掲載した記事を参照していただきたい。
WestmereをベースにするCalpellaプラットフォームを国内記者向けに紹介。ノートPCが大半を占める日本市場を意識して,デスクトップ向けのClarkdaleやLynnfiledついてはほとんど触れられなかった |
既報のとおり,2チップ構成となるWestmere。土岐氏は「チップが一つ減るので消費電力面で有利になる」とモバイルでの利点をアピールしていた |
Centrino 2がWi-Fi PANとインターネットに接続するアクセスポイントとのルーターとして機能する,というのがMy WiFiである |
Centrino 2の無線LANインタフェースが二つのインタフェースとして機能。片側がPANに,一方をアクセスポイントに接続してルーターとして機能するという仕組みだ |
My WiFiは,Centrino 2のノートPCがWi-Fi PAN(Personal Area Network)とWi-Fiのアクセスポイントとの間のルーターになれるという技術だ。
PANというのはBluetoothでは以前から利用されてきたAd hocモードを拡張した簡易ネットワークで,PANを利用するとアクセスポイントなしにLANを構築することができる。従来のWi-Fiでは,PANを利用している間,アクセスポイントには接続できなかったため,PANをインターネットにつなぐことが出来ない不自由さがあったが,My WiFiはそれをCentrino 2の無線LANインタフェースで解決しようというものである。
やっていることは単純で,OSからはCentrino 2の無線LANインタフェースが二つに見え,片側をPANに,もう一方をアクセスポイントに接続してCentrino 2がルーターとして機能するという仕掛けになっている。なお,無線LANインタフェースが二つのインタフェースとして利用できる必要があるので「サポートされるのはCentrino 2向けのドライバのみ」(土岐氏)という点には注意してほしい。
PANは,もともとはスマートフォンやプリンタなど複数の周辺機器をPCに手軽に接続するための規格だが,PANに複数のPCを接続することももちろん可能だ。ゲーマー的には,たとえばアクセスポイントがない場所でもノートPCを数台持ち寄ってPANを構築してネットワークゲームを楽しむ,といった使い方が可能になる。うち1台がインターネットにつながっていればPANにつないでいるPCすべてがインターネットに接続できるわけで,LANパーティのような場で役に立つケースは考えられる。
以上,Mobile WiMAXから新技術まで幅広い内容が取り上げられたが,ユーザーとしては今年の中盤から投入が始まる新製品に期待といったところだろう。中でも,Intel 965比で2倍の性能になるという第5世代グラフィックスコアが統合され,2チップ構成となるWestmereは,過去に例がない製品だけに,そのゲームでのパフォーマンスが注目される。今後のインテルの動きに注視していきたい。
- 関連タイトル:
Core i5&i3(LGA1156,デュアルコア)
- この記事のURL:
(C)Intel Corporation