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[CEDEC 2008#02]より広いプラットフォーム,迅速な実用化。コーエー松原氏の基調講演「CEDECの10年,これからの10年」
世間の話題やアカデミックな視角も,きちんと踏まえられてはいるものの,増えたセッションの多くが技術関係に投じられた印象だ。
氏の講演は「CEDECの10年,これからの10年」というタイトルにふさわしく,CEDECのここまでの歩みを振り返りつつ,近年のゲーム系技術カンファレンスが果たすべき役割について,歴史あるGame Developers Conference(以下,GDC)やSIGGRAPHの歩みなどと比べながら,とくに前者の著しい成長に注目する。
参加者数で見る限り,近年のGDCはSIGGRAPHに追いつきつつある。グラフィックスという明確なテーマのあるSIGGRAPHに比べて,GDCの扱うテーマは広く柔軟な一方,悪くいえば雑駁でもある。だが,ここへ来てその異種格闘技戦的な柔軟さが,開発者にとって役立つ情報を生み出せている……と捉えるべきなのだろう。
■グローバルに高性能新世代機へ移行が進む
■高性能新世代機の機能を生かしたゲームが続々登場し,ハード/ソフトの相乗効果を生む
■結果として高性能新世代機が市場の支配性を獲得する
だが,いざフタを開けてみるとどうだったか。氏は日・米・欧における,PLAYSTATION 3,Xbox 360,Nintendo Wii,Nintendo DS/Lite,PSPの出荷台数を示し,携帯型こそヨーロッパ市場並みに売れているものの,明らかに出足が鈍い日本市場における据え置き型ゲーム機の状況を示した。
そして,欧・米の家庭用ゲーム機ソフトの市場規模がリニアに伸びているのに対して,日本は2002年以降横ばいから下降気味,2005年から始まる上昇も,DS/PSP効果と氏は分析する。つまり,コンソールゲーム業界に限っては,欧米市場にこそまだ成長余地があるものの,国内は……というのが,偽らざる認識らしい。
そして,ワールドワイドで1000万本のセールスを記録した「Grand Theft Auto IV」に対し,日本発のヒットタイトルがせいぜい200万本に留まっていて,例えばその差が,やがて開発経験の蓄積差となって表れるであろうことを危惧した。
■プラットフォーム多様化への対応
■ゲームプレイヤー多様化への対応
■グローバル多様化への対応
そしてゲームプレイヤー多様化とは,「『コアゲーマー』から『脳トレ』『音楽ゲー』層まで」と氏自身が補足するとおり,いわゆるノンゲームジャンルをも含んだゲームプレイシーンの多様化を示す。これはもちろんプラットフォームの多様化と相携えており,よりライトな層,よりコアな層と積極的に狙っていく必要がある,ということを意味する。
そしてグローバル多様化への対応は,先ほど日・米・欧の市場比較で見たように,海外でのビジネスチャンスを捉えることなしには,ゲーム業界が飛躍できない現実を指す。そしてヨーロッパのなかでも,比較的アメリカに近い消費性向を示すイギリス,独自の傾向を持つドイツとフランス,規模は小さいながらも日本発のアニメライクコンテンツが評価されるというイタリア/スペインなど,市場のセグメンテーションの重要さをも,氏は言い添える。
こうした,市場分析の導くところに加えて,氏は日進月歩のIT技術を意識し,ゲームメーカーにとっては研究対象を絞り込み,実用化を早めることがますます重要になっていると述べる。
そして,基礎研究の動向とユーザーニーズを同時に捉え,技術開発の発表/聴講/交流の場としてのカンファレンスの役割が,今後いっそう重要になっていくという認識を示した。
そうした,新しい体制で運営されるCEDECは,「新しいもの」「次に来るもの」を追求し,「ゲーム市場の発展拡大に求められる,技術開発情報の発信,開発者交流の場」と定義される。その具体的な表れが,おそらくはCEDEC 2008の硬派路線なのであろう。
加わる話題もあれば,減る話題もあるのが必然であって,例えばそのなかでアカデミズムに何を期待していくか(日本には,大規模な寄付講座や委託研究など,まだほとんどないのが現状だ)など,なかなか難しいところだとは思うのだが,欧米により目を向け,どうやら欧米流を目指すらしいCEDECの新方針が,日本のゲーム業界に新風を吹き込んでくれることを祈りたい。
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