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「FFX」「FFXIII」「サガフロンティア2」の楽曲を次々に披露。ファン歓喜の「浜渦正志×黒田亜樹 ピアノ&トークLIVE 1st STAGE」レポート
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印刷2011/10/01 22:06

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「FFX」「FFXIII」「サガフロンティア2」の楽曲を次々に披露。ファン歓喜の「浜渦正志×黒田亜樹 ピアノ&トークLIVE 1st STAGE」レポート

 2011年9月30日から10月2日にかけて,ゲーム音楽フェス「4starオーケストラ」が,東京都内で開催されている。本記事では,10月1日に行われた作曲家の浜渦正志氏とピアニストの黒田亜樹さんによる「浜渦正志×黒田亜樹 ピアノ&トークLIVE 1st STAGE」の模様をお伝えしよう。なお,このライブで演奏された楽曲は,すべて浜渦氏によって作曲されたものである。

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作曲家の浜渦正志氏
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ピアニストの黒田亜樹さん

「4starオーケストラ」公式サイト


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 ライブの前半では,まず黒田さんが「ファイナルファンタジーXIII」から2曲を演奏した。演奏後に浜渦氏が「右手は普通のメロディなのに,左手が“素敵”なコードを繰り返す,えげつない曲。絶対弾きにくい」と,自分の楽曲を説明すると,黒田さんも「そう思いながら弾いていました」と返して会場の笑いを誘った。

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 なお今回のライブでは,浜渦氏のお気に入りの曲を可能な限り多く選曲したとのことで,黒田さんはその数に戸惑ったという。さらに黒田さんは,前日の午後にイタリアから日本に戻ったばかりで,ライブ当日の6:00頃までずっとピアノに向かって練習していたそうだ。
 黒田さんは,今回の演奏について「CDとは異なるライブならではのバージョン」「久しぶりにCDを聴き返したけれども,今はもうフィルターが違う」と話す。また浜渦氏も「基本的なコードというか,和声が鳴っていれば僕は満足。それを膨らませていただいて構わない」と,黒田さんのアプローチに賛同した。

 さらに黒田さんは,浜渦氏の楽曲について「9割が決まっていて,残りの1割を奏者が自由にできる」と説明する。実際,黒田さんはリズムを崩したり,装飾を加えたり,和音の積み上げを変えたりしているが,ストーリーにあたる部分は変えないので,最終的な着地点はいつも同じになるそうだ。黒田さんは,決められた通りに弾くショパンや,逆に8割以上がアドリブになるジャズの演奏を引き合いに出し,浜渦氏の楽曲を「タンゴのように演奏できる曲」と表現した。

画像集#005のサムネイル/「FFX」「FFXIII」「サガフロンティア2」の楽曲を次々に披露。ファン歓喜の「浜渦正志×黒田亜樹 ピアノ&トークLIVE 1st STAGE」レポート

 その一方で,黒田さんは,浜渦氏の楽曲を「普通のコード進行とは違うところに行く難しい曲」とも述べる。黒田氏も「『ドレッドノート大爆進』はとくにそう。自分でも全然分からない」と笑いながら同意。「スコアを見ると音符が少なく簡単そうに見えるけれども,(奏者は)だいたい怒りますね」と続けた。
 黒田さんが,そうした楽曲を自然な流れとして構成するのは難度が高いと指摘すると,浜渦氏は「力いっぱい“ヤバいこと”をする一方で,まとめるためにメロディを反復させるような分かりやすいこともやる」と自らの作風を説明した。

 そうした浜渦氏の楽曲を,黒田さんが演奏するきっかけとなったのが「ファイナルファンタジーX」である。会場では同タイトルから3曲が披露されたが,実は黒田さんがこれらの曲をライブで演奏するのは初めてとのことだ。
 そして黒田さんは「前半はキツい曲が多いのですが,キツいまま終わろうかな,と思って」と話し,FFXIIIから「ファングのテーマ」を演奏し,ステージ前半を終えた。

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 後半は,浜渦氏による「サガフロンティア2」の「Interludium」の演奏からスタート。この曲は,浜渦氏自身の中では「ダントツによくできた曲」とのことで,難しい曲ではあるのだが,かねてから弾いてみたかったそうだ。
 黒田さんが「いつもの浜渦節で,行きそうなところに行かない迷路のような曲」と感想を述べると,浜渦氏も「今回,あらためてスコアを作ってみて♯とか♭が多いことに気付いた」と,自身の作風をあらためて自覚した様子を見せる。

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 こうした作風は,鍵盤を使わず直にシーケンサーに打ち込むために起きるのではないかと浜渦氏は分析。つまり弾きやすいかどうかよりも,音を多く詰め込むことを優先してしまうというわけだ。
 ここで黒田さん「いわゆる癒し系のサウンドでも,音が軽くない。すごく緊張感がある不思議な個性」と,再び浜渦氏の作風を表現。それに応えて,浜渦氏は「何か一つ,ポイントとなる部分をを作らないと面白くない」と自らの作曲のポイントを明かした。
 トークのあとは,黒田さんがさらに「サガフロンティア2」の楽曲を披露。浜渦氏は,同タイトルが自身にとって,作曲家を生業とするかどうかの分岐点となった重要な存在であったと過去を振り返った。

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 次に披露されたのが,浜渦氏による3つの新曲である。これはゲーム用に書かれているものではなく,2011年春頃から浜渦氏がコツコツと作っているものであり,ショパンやバッハの影響を受けたエチュードの一部で,全体は12曲もしくは24曲で構成される予定とのことだ。
 浜渦氏は,「ゲームに使われる楽曲には尺の長さなどの制約があるが,このエチュードは自由に作っている」と述べ,「盛り上がってきたところで急に終わらせるのが好き」「頭の中で考えていることが盛り上がって,そのままフワッとどこかに行く感じ」と笑いながら話す。
 浜渦氏いわく,FFXIIIの楽曲も10曲中9曲が急にフワッと終わるとのことなので,その点に注目してサウンドトラックを聴き返してみると,ちょっと面白いかもしれない。

最後の2曲およびアンコールでは,浜渦氏と黒田さんの計らいにより観客がピアノの周囲をグルッと囲む形で演奏することとなった
画像集#003のサムネイル/「FFX」「FFXIII」「サガフロンティア2」の楽曲を次々に披露。ファン歓喜の「浜渦正志×黒田亜樹 ピアノ&トークLIVE 1st STAGE」レポート
 黒田さんも,打ち合わせで新曲各曲に何かエンディングのような部分をつけたいと提案したところ,浜渦氏に「僕の曲は,だんだんやる気がなくなっていくのが特徴なので」と返されたエピソードを明かした。そして黒田さんが見事(?)スコアの通りに盛り上がってフワッと終わるスタイルで演奏すると,曲と曲の間では会場から拍手の代わりにクスクスという笑いが聞こえる状態となった。
 ちなみに新曲は「Etude 04」および「Etude 05」,そしてナンバリングではない「Blank」が披露されたのだが,まだ「Etude 01〜03」はできていないという。その理由を浜渦氏は「書いてみて,だいたい4番目とか5番目あたりがいいんじゃないかと思った」と話していた。このあたりの“ゆるい”感じも,浜渦氏の人柄と作風を示唆する興味深い部分である。

 最後に,FF XIIIから「ライトニングのテーマ」と「FINAL FANTASY XIII プレリュード」が披露され,会場の盛大な拍手が鳴り響く中,ライブの1st STAGEは幕を閉じた。

■1st STAGE セットリスト

(前半)
FINAL FANTASY XIII 〜誓い〜 - サンレス水郷/ファイナルファンタジーXIII
ドレッドノート大爆進/ファイナルファンタジーXIII
旅行公司/ファイナルファンタジーX
雷平原/ファイナルファンタジーX
ビサイド島/ファイナルファンタジーX
ファングのテーマ/ファイナルファンタジーXIII

(後半)
Interludium/サガフロンティア2
Variation("β"4)/サガフロンティア2
Botshcaft/サガフロンティア2
FeldschlachtV/サガフロンティア2
Etude 04/オリジナル曲
Etude 05/オリジナル曲
Blank/オリジナル曲
ライトニングのテーマ - 閃光/ファイナルファンタジーXIII
FINAL FANTASY XIII プレリュード FULL VERSION/ファイナルファンタジーXIII
  • 関連タイトル:

    ファイナルファンタジーXIII

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