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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第43回「『007/慰めの報酬』国内発売記念! 最強の007ゲーム大特集!(8)」
映画「007」のシネマゲームを取り扱うのも,今回で8回め。個人的にはこのままずっと,007ゲームについて語り続けたいぐらいの気持ちもあるのだが,まだまだほかに取り上げるべき作品もあるので,ここで一区切りとさせていただこう。
そんな007特集のラストに選んだのは……「007/慰めの報酬」。「またかよ!」と思う人もいるだろうが,まあ最後まで話を聞いてほしい。今回取り上げたいのは,PlayStation 2版の慰めの報酬なのだ。
これまで筆者は,Wiiリモコンを使って遊べる数少ないFPSということもあり,Wii版を周囲にオススメしてきた(Wiiを持っている人は多いし)。ステージ構成こそ,PS3版やXbox 360版とほぼ同じだが,パッドのスティックを使うより,画面に向けたリモコンで照準を合わせるほうが,なんとなくドンパチ気分も高まろうというもの。Wiiザッパーに対応しているのも嬉しい。
が,オンラインで対戦相手が見つかりにくいのと,PS3版やXbox 360版プレイ後だと,どうしてもグラフィックス的に見劣りしてしまうのは難点か。こればっかりは,ハードウェアの性能上しかたのない部分ではあるが。
というのも,PS2版のみ実開発を担当したのがTreyarchではなく,THQの「James Bond Jr.」(NES),Electronic Artsの「007: The World is Not Enough」(Nintendo 64),「007: NightFire」(PlayStation 2,Game Cube,Xbox,Game Boy Advance)を開発した,いわば“007を分かっている”Eurocom Entertainment Softwareだったのだ。
Eurocomは,1992年にシネマゲーム開発をスタートして以来,十分なキャリアを積んできている。そして数多くの作品で,映画をゲームで追体験させることに,妥協せず取り組んできた。
そんなEurocomが開発したPS2版慰めの報酬は,他機種版と比較して“最もジェームズ・ボンドらしさ”を表現した作品になっているのだ。
というのも,PS2版はFPSではなくTPSであるというのが大きい。「GoldenEye 007」を別格とすれば,“007らしさ”を堪能できる作品は,FPSよりTPSに多い。これはやはり,ジェームズ・ボンドらしいスニーキングなどの隠密行動は,FPS視点よりもTPS視点のほうが,プレイヤーにとっても分かりやすく,映画の追体験には適しているからだろう。
ムービーシーンの多くは,PS3版のものをビットレートを下げて流用したものだが,PS2版のみのムービーも少なくない。そしてPS2のみのムービーでも,ボイスキャストがきちんと声を当てている。
PS2版の残念なポイントとしては,オンライン対戦などに対応していないことぐらいだろうか。
また難度は,PS3版と比較するとPS2版のほうがかなり高い。PS3版では,余るほどの銃弾をゲーム中で入手できるのだが,PS2版は無駄撃ちを控えておかないと,ゲームが進むにつれてかなりキツイことになる。
さらにいうと,ゲームの終盤は映画やPS3版などとは異なるシチュエーションが用意されている。そのため,映画だったら……みたいな先入観を持ってラスボスに臨むと,ちょっと苦労してしまうかも……というか,筆者はかなりの苦労をしてしまった。なんせ,映画と違う状況でクライマックスを迎えるとは思わなかったので!
そういう意味でPS2版慰めの報酬は,海外産ゲームらしい“ノーヒント・ノーライフ”な仕様で,何度となくコンティニューを強いられるスタイルであるため,映画の追体験だけではない楽しさに溢れているのだ。
ちなみに6月19日には,20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより,Blu-ray版「007/慰めの報酬」が,6月26日にはDVD版「007/慰めの報酬<2枚組特別編>」(初回限定生産)が発売される。劇場で見逃した人は,これらも要チェックだ。
ゲーム版と合わせて鑑賞すれば,また違った視点で映画を楽しむことができるだろう。
さて次回からは,「ゴッドファーザーII」にまつわるあれやこれやをお届けしよう。
■ドブ漬けゲームスープレックス(43)
メガドライブ
「ジェームズ・ポンド2:コードネーム・ロボコッド」(エレクトロニック・アーツ・ビクター)
ってなわけで「慰めの報酬」に始まって「慰めの報酬」で007ゲーム特集を終了したいと思っていたのだが……書きたいことを一つ忘れていた!
かつてElectronic Artsが,「ジェームズ・ポンド」という,007のパロディゲームを発売していたのだ!
で,そのことを書くべく,赤羽の倉庫からゲームソフトを引っ張り出してきたのが,「ジェームズ・ポンド2:コードネーム・ロボコッド」。スーパーファミコンでも発売されていたような気もするが,20代の頃はメガドライバーだったので眼中になかったなぁ……。
なぜいきなり2作めを紹介するかというと,第一作が日本では発売されなかったから(なのになぜ,2を発売したのか不思議)。
タイトルからして,ボンドじゃなくてポンド(小さな池などを意味している)であるあたり,いかがわしさと胡散臭さが漂っているが,ゲーム自体は意外にも,しっかりしたアクションゲームなのだ。
副題のロボコッドとはロボットになった鱈という意味。どう考えても「ロボコップ」が元ネタである。
一応,ポンドも秘密諜報部員という設定になっているのだが,なにせキャラクターの見た目がユルい。ダルシムの手足よりも長く伸びまくる胴体を駆使して,ステージを進んでいくという設定もユルい。
ゲーム自体,骨太なパートもあるにはあるが,プレイヤーに課せられたミッションは,オモチャ工場を奪い返すというもので,まあ要するに子供向けの作品ということなのだろう。
ただ,ゲームの中身はタイトルほど007やロボコップをパロっているわけではなく,ただ完全にアホキャラのポンドが活躍するという,奇妙なアクションゲームだった。
ちなみにジェームズ・ポンドのフランチャイズは,21世紀に突入してからも続いている。興味のある人は輸入して最新作を遊んでみては?
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