連載
ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第4回「夏だカンフーだジャッキーだ!」<後編>
前編では,セリフの少ない役で出演しているってだけで「カンフー・パンダ」をジャッキー・チェン映画だと力説したり,ジャッキー・チェン出演映画のゲーム版などを紹介した。だが,ジャッキー映画&ジャッキーゲームはこれだけじゃない! ってことで,後編ではジャッキー・チェンとジェット・リーが共演を果たした「ドラゴン・キングダム」や,ジャッキー・チェンそのものを題材にしちゃったゲームを,前回に引き続きフリーライターの灸怜太氏との対談形式で紹介していこう。
映画のゲーム化だけでなく,本人までもがゲームになるジャッキー
灸怜太(以下,灸):
前回までの話で,映画界はもちろんゲーム界もジャッキーを中心に回っていることがお分かりいただけたと思いますが……。
ジャンクハンター吉田(以下,J):
そんな話だったっけ? ジャッキー映画のゲームにはダメな感じなのが多いってことだったような気がするけど。
灸:
ダメっていうとアレですけど……。でもジャッキー自身も大のゲーム好きですから,しょーもないタイトルが出回っていることには本人だって心を痛めていたはずです。そこでジャッキーは,映画版権モノでなく,自らをゲーム化するという暴挙に出るわけです!
J:
暴挙って! それ,ハドソンがファミコンとPCエンジンでリリースした「ジャッキー・チェン」のことでしょ?
灸:
ジャッキーとガールフレンドが遊んでいると空が暗くなって魔王が降臨! そのまま彼女が拉致られるという「魔界村」さながらのオープニングが,好事家にはたまらない逸品ですね。この作品によって,ジャッキーの「ご当人ゲーム」時代の幕が開いたんです。
J:
俳優自身がゲーム化されたモノですぐに思い出せるのって,あとは「ブルース・リー」ぐらいしか思い浮かばないからなぁ。そういう意味では「ご当人ゲーム」というジャンルそのものがレアかもしれない。
灸:
しかもですね,このゲームのリリース後から長いことジャッキー映画がヒットしなかった暗黒時代が続いたんですが,その後,「レッド・ブロンクス」がハリウッドでまさかの大成功を収めました。その結果,ジャッキー株が一気に跳ね上がったんですよ。そしたら,ますます映画の版権料が高くなっていき,ジャッキー関連のゲームはほとんどが「ご当人モノ」になっていったんです。アーケードでリリースされた「カンフーマスター ジャッキーチェン」とか。
J:
あぁ,ジャッキー版の「大江戸ファイト」ね?
灸:
そんな香ばしいゲームと一緒にしないでくださいよ! せめてジャッキー版「ツインゴッデス」と表現してください!
J:
そのゲームのほうが誰も知らないよ!
ジャッキーご当人ゲームは,ほかにどんなのがあるの?
灸:
えーと,北米と欧米でしか発売されませんでしたが,ジャッキーがモーションキャプチャーで全面協力した「Jackie Chan: Stuntmaster」もかなりヤバい出来ですね。あと,ジャッキーが主役のアニメシリーズをゲーム化した「Jackie Chan Adventures」も押さえておいてください!
「ドラゴン・キングダム」では,ついにジャッキー×ジェットが実現
なんかその言い方から察するに,ゲーム自体はアレな感じっぽいね。“ご当人ゲーム”というと聞こえはいいけど,本当はジャッキーが「オレが主役じゃないと気が済まない!」ってワガママを言ってるだけだったりして。
灸:
確かにジャッキーのオレオレ主義は有名ですね。だからこそ,この夏に公開される映画「ドラゴン・キングダム」でジェット・リーと共演するって聞いたときは,本気でビビりましたよ!
J:
よくある顔合わせ的な共演かと思ったら,けっこう本格的なバトルシーンがあるんだってね。
灸:
かなりバチバチにやりあってますね。ジャッキーは酔拳使うし,ジェットはワイヤー系の動きを見せるし,もう大サービスですよ。しかも武術指導がユエン・ウーピンですから。いろんな意味でカンフー映画の集大成といえますね!
J:
ジェット・リーもゲーム好きなんだよね。プレイステーション2で,これまた海外のみでしか発売されなかった「Rise To Honor」では,モーションから関わってるし。
灸:
元々はリュック・ベッソンがプロデュースした映画「キス・オブ・ザ・ドラゴン」のシネマゲームとして開発されたというヤツですね。
J:
でも当時の技術ではジェットのスピード感のあるアクションが再現できなかったんだよね。
灸:
もったいないですよね。ジャッキーもそうですけど,彼らのアクションなんて重要無形文化財みたいなモンですから,いまのうちに全部キャプっておけばいいんですよ。
J:
データなら年月によって衰えることもないしね。それをミドルウェアみたいに売り出せば,格闘ゲームの開発者はこぞって買うかもしれないな。ジェット・リーにインタビューしたとき,彼はモーションキャプチャーの技術にえらく感動したらしく,自分自身の体力が衰える前にすべてのムーブを収録して保存したいって言っていたし。
灸:
お,そうなんですか。
J:
なんでもCGのキャラクターが映画やゲームで活躍する時代が本格的に到来したら使ってもらいたいということらしいんだけどね。どこまで需要があるのか現段階では分からないけど,未来を見据えているのはジャッキーよりジェットかもしれないな。
灸:
ジャッキーは今を生きているからいいんですよ! ジェットは完全に役者ですけど,ジャッキーは自分でスタントもこなすし,監督もやるし,なんていうか昔から生き急いでいますからね。「サンダーアーム」で頭蓋骨骨折しても頑張るところなんか泣けてきますよ!
J:
確かにアレは泣ける。ジャッキー頑張りすぎだよ! って。
灸:
でもまあ,ジャッキーの各種ムーブをモーションキャプチャーしてデータ化できたら面白そうですよね。それを使って「バトルロイド」みたいなツールを作れば,一般の人もそれ使って勝手に格闘アクションゲームが作れるし。
J:
そうなったら,ジャッキーの遺伝子が永遠に受け継がれていくことになるかもね。
灸:
でしょ? 過去も未来もすべてはジャッキーを中心に回ってるんですよ! ジャッキーの偉大さを日本人は,というよりもアジア人であるならばもっと新旧の映画を観て理解してもらいたいですね。ジャッキーは永遠に不滅です!
J:
とりあえず,7月26日(土)になったら「ドラゴン・キングダム」を見に行くわ。
ドブ漬けGAMEスープレックス(4)
ニンテンドーDS「スペクトラルフォースジェネシス」(アイディアファクトリー)
アイディアファクトリーと筆者の出会いは,まだ3DOが現役時代にフォトCDゲーム(だったかな!?)としてリリースされた,「犬王」なるエキセントリックなゲームにさかのぼる。かつては「アイディアファクトリーで働きたい!」と本気で思っていたほど,同社が送り出すゲームの数々(イジメっ子に復讐をする内容「厄 友情談義」や「CG昔話 じいさん2度びっくり」など)が大好きだった。
そんなアイディアファクトリーが1997年,プレイステーション用に発売したシミュレーションRPG「スペクトラルフォース」は,同社にしてはマジメなゲーム。それでもかなり気に入ったため,プレイステーションでリリースされたシリーズ作品は,ほとんど遊んできた。
そしてこのたび,ニンテンドーDS用に「スペクトラルフォースジェネシス」なる最新作が登場。シリーズを重ねるごとに複雑なシステムになっていたスペクトラルフォースだったが,今作を遊んでみると……昔のようないい意味での単純さが復活! 複雑なゲームが苦手なオヤジゲーマーである筆者にとっては,かなり嬉しかった。
携帯型のゲーム機ということもあり,移動時間に気軽に遊べるのもいい。悲しいかな,移動中に複雑なゲームを遊ぶのは,年齢的にこたえるようになってきているのである。タッチペンでの操作によって,直感的に軍隊を動かすことができ,難度も低くサクサク先に進める。筆者は一度もつまることなく,最後までクリアできた。
コアなゲーマーには,ちょっと物足りないかもしれないが,個人的にはこれぐらいがちょうどいい。
なお,限定版にサウンドトラックや設定資料集も同梱されている。シリーズのファンなら,ぜひ押さえておきたいところだろう。
アイディアファクトリーの黒歴史なゲーム達(ウソ)。でも,20世紀当時のなんでもありな同社の姿勢には,本気で感銘を受けていた。「厄惨」の発売中止が今でも悔やまれる 「スペクトラルフォースジェネシス」は,ニンテンドーDSらしいライトな作りになっているので,個人的にはアリ。キャラクターゲームっぽい雰囲気もあるが.オッサンにはそんなこと関係ない。国取りシミュレーションのゲーム性が好きなのだ「スペクトラルフォースジェネシス」公式サイト
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