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NVIDIA,Iceraモデム事業の終了を発表。Tegraへのモデム統合でスマートフォン&タブレットを狙うもビジネスとしては成立せず
Iceraを買収した2011年頃のNVIDIAは,SoC(System-on-a-Chip)であるTegraシリーズに力を入れていた時期だった。NVIDIAは当時から,高性能スマートフォンやタブレット端末向けのSoCとしてTegraを端末メーカーに売り込んでいたものの,この分野での競合であるQualcommとは異なり,モデムの技術を有しておらず,モデム機能を統合したSoCを提供できないという問題を抱えていた。
そのためNVIDIAは,3億6700万ドル(当時の相場で約295億円)という巨費を投じてIceraを買収。Iceraが持つソフトウェアモデム技術や無線ベースバンドプロセッサを保有することで,Tegraとモデムチップを組み合わせたプラットフォームや,モデム機能を内蔵したTegraを提供する可能性を手に入れたわけだ。
しかし,これらの製品を採用した端末メーカーはほとんどなく,その後に登場した現行世代の「Tegra K1」ではモデムを統合したSoCが登場することもなく,市場において,ほとんど忘れられた存在になっているというのが現状だ。
NVIDIAは今後,独自のモデム開発は行わず,モデムを供給しているパートナー企業と協力していくとしている。現在のNVIDIAは,車載用プロセッサと,自社ブランド展開のAndroid端末であるSHIELDシリーズに注力しているため,モデム事業の終了がTegraの今後へ与える影響は大きくないと思われるが,スマートフォン市場を狙ったNVIDIAの蹉跌として,Iceraモデム事業の終了は記憶に留めておきたいところだ。
NVIDIAによる当該ニュースリリース(英語)
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