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[E3 2008#27]おなじみ,ペルシャの王子が大活躍する「Prince of Persia」がUbisoftのデモに登場
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印刷2008/07/17 21:14

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[E3 2008#27]おなじみ,ペルシャの王子が大活躍する「Prince of Persia」がUbisoftのデモに登場

 しょっちゅうジャンプに失敗しては,まっさかさまに墜落し,地上の槍ぶすまに刺さって穴ぼこだらけになっていたペルシャの王子様であったが,約20年の時を経てすっかりたくましく成長してしまったのは,一プレイヤーとしてはなんとも感慨深いものがある。
 アメリカのデベロッパ/パブリッシャであるBroderbundがApple II用のアクションゲームとして「Prince of Persia」を発売したのは,1989年のこと。Prince of Persiaは,(当時としては)なめらかすぎる主人公の動きと,正気とは思えない難度の高さが大評判になり,Broderbundがゲーム業界から手を引いたあとも数々の続編が制作された,言わずとしれた人気シリーズである。多数のコンシューマ機版や日本語版があるので,プレイした経験があるというゲーマーも多いことと小生拝察。

画像集#008のサムネイル/[E3 2008#27]おなじみ,ペルシャの王子が大活躍する「Prince of Persia」がUbisoftのデモに登場

我々にゲームの説明をしてくれたNicholas Routhier氏
画像集#012のサムネイル/[E3 2008#27]おなじみ,ペルシャの王子が大活躍する「Prince of Persia」がUbisoftのデモに登場
 そんな人気シリーズの最新作となる「Prince of Persia」は,その直球過ぎる題名からも分かるように,シリーズの原点回帰を目指した作品だ。Ubisoft Entertainmentが5月にパリで開催したイベント“Ubidays”で本作の制作を公式にアナウンスして以来,初の大型イベントになる今回のE3 Summit 08ではでは「Far Cry 2」や「Tom Clancy's H.A.W.X」などと並んで同社が一押しするタイトルの一角に連なっていた。
 もっとも,ブースには展示されておらず,プライベートルームでアポのあるメディアのみに公開されていたのは,まだ普通に見せるには早すぎるという判断だろうか。プライベートルーム内ではPLAYSTATION 3版のデモがすでに動いており,短いシークエンスだけだが,完全にプレイアブル状態。「遊びますか?」と聞かれたが,なすすべもなく落下する往時の王子の姿が脳裏によみがえり,思わず担当者にお任せしてしまった次第。新たな“王子”の説明をしてくれたのは,本作でレベルデザインのテクニカルディレクターを担当するNicholas Routhier氏であった。
 タイトルは第一作と同じ“Prince of Persia”だということは先ほども書いたが,物語的に従来作とのつながりはない。あえて同じタイトルとすることで,第一作のDNAを現在のテクノロジーで再現したかったのだという。過去の話を「Legend」でばっさりと“なし”にしたTomb Raiderシリーズと同じような趣向かもしれない。なんにせよ,Prince of Persiaは,三人称視点の3Dバトルアクションになっているのである。

 さて主人公の名前だが,とくに決まったものはないようだ。単に“王子”と呼ばれる存在であり,本名:香取慎吾ではないのである。もう一人,Elikaと呼ばれる女性が王子の影のように付き添っているのだが,彼女が光の魔法を使うことと,王子と共に戦うこと以外,詳細については今のところ教えてもらえなかった。怪しい関係なのか? とも聞いてみたが,「そうではない」とのこと。プレイヤーは,王子を操作してゲームを進めることになるわけだが,Elikaは完全なサポート役で,プレイヤーによる直接操作はできず,指示を出すことも不可能のようだ。

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 プレイアブルデモを見ていて感じたが,本作で最も個性的なのはグラフィックスかもしれない。スクリーンショットをご覧いただければすぐにお分かりかと思うが,セルシェーダともトゥーンシェーダとも微妙に異なる雰囲気で,これは,このゲームのために開発された描画テクニックなのだという。狙いは,アートワークがそのまま歩き出したような雰囲気を実現することだそうで,リアル方向に突っ走っている欧米の3Dゲームシーンに一石を投じることになるかも。私に言われても嬉しくないかもしれないが,アメリカとはやや異なるヨーロッパ風のモデリングや色遣い,デザインといったグラフィックスのセンスは素晴らしいものがある。王子もだいぶゴージャスになったし。
 ちなみに明らかになっているストーリーは,比較的よくある内容で,光の勢力と影の勢力が戦争をし,その結果,影の勢力が世界を覆ってしまう。さっそうと現れたペルシャの王子は,相棒のElikaを引き連れ,世界にふたたび光を取り戻すため活躍するのであった……という感じで,建物の一番上にいる姫を制限時間以内に救い出せというミッションよりは,だいぶ規模が大きくなっている。とはいえ,詳細についてはいずれまたというところだ。よく分からないけど,あっと驚くどんでん返しが待っていないとも限らない。

 さて,戦闘は王子とElikaの二人で行うことになるのだが,デモに登場したのは「ハンター」と呼ばれる不気味なクリーチャーで,問答無用で二人に襲いかかってくるのだ。Routhier氏によると「高速でシネマチックな戦闘」が目標とされており,実際,戦闘中でもカメラアングルがパッパと変わり,まるでアクション映画を見ているような雰囲気だった。王子もElikaも,ワイヤーアクションさながらの飛んだりはねたりで,たいそう忙しい。ただし本作では,操作の容易性も併せて追求されており,必要以上に複雑なボタンワークは排除されている。
 移動もまたアクロバティックで,崖からジャンプして,岩のせり出しに飛び乗ったり,崖を横走りしたりと自由自在。高い場所から下りるときには,手にはめたグラブを岩に食い込ませて減速しつつ降下するなど,小技もなかなか効いている。Elikaは後から黙ってついてくるが,遅れることもなく,またじゃまになることもなく,まさに影のような存在で,Elikaのせいでゲームのテンポが遅くなるようなシーンは見受けられなかった。

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 マップは好きな場所へ好きなタイミングで移動でき,決まったルートは設定されていない。ただし,Elikaの魔法の力を使わなければ行けない場所もあるなど,マップの構造はデモを見る限りかなり複雑で,ここがパズル要素になっているようだ。ところどころには“Corruption”(腐敗)と呼ばれる黒くネバネバとした塊が壁に張り付いていたりする。これは移動したり,いきなり壁から飛び出してきたりと神出鬼没で,それらをうまく避けて移動しないと死んでしまう……といいたいところだが,王子はけして“死なない仕組み”だったりする。
 “死なない”とはどういう意味か? 例えば,ハンターとの戦いのたけなわ,致命傷を受けた王子が崩れ落ちると,どこからともなくElikaの手が彼にさしのべられ,王子はふたたび地上によみがえるのである。あるいはCorruptionにうっかりさわり,黒いネバネバに巻きつかれた王子には,またしてもElikaの手がさしのべられ,二人は安全に地上に立っているといった具合だ。
 これらは,まあ要するにセーブ&ロードなしで失敗したところからやり直しさせてくれる仕様であり,目的としてはゲームのスピード感を削がない工夫なのだという。なんだか,ちょっとずるい,というかゲームが簡単になりすぎるような気がするので,王子をもっと頑丈にするとか,10回に1度ぐらいElikaがうっかり助け忘れてゲームオーバーになるとか,微妙なバランス調整が必要だろう。いずれにしろ,二階から落下しただけで即死していた虚弱体質な王子とは大きな違いである。

 ともあれ,やっとのことでハンターを追い払った王子。Elikaが光の魔法を使い,荒涼としていたマップには草木が咲き乱れて蝶が飛び,青空が広がり雲の切れ間から光が差し込むという,非常に分かりやすいシーンでデモは終了した。センスの良いグラフィックスと,移動や戦闘のスピード感。個性的なシステムを持ったシリーズ最新作「Prince of Persia」は,2008年のホリデーシーズンに発売予定。対応機種はPCのほか,Xbox 360とPLAYSTATION 3を予定。さらに時期は遅れるそうだが,Nintendo DS用には,「Prince of Persia: The Fallen King」というシリーズ作品の発売も予定されている。






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