インタビュー
ヒストリカルストラテジーファンにこそぴったりの「POWER DoLLS 2 COMPLETE BOX」開発コンセプトインタビュー
その発売を追いかけるタイミングで工画堂スタジオに,「パワードール2」シリーズにまつわるインタビューを行った。「2」から数えても,ざっと13年の月日が経過した計算にはなる。とはいえ,この間ゲームはプラットフォームを問わず,総じて“とっつきやすさ”を重視する方向に流れたため,本シリーズのハードなプレイバランスは現在も水際立った印象を放つ。真にストラテジーゲームらしい作品を求める人にとって,本作は過去のものになどなっていないのだ。
あらためて考えてみると,「パワードール2」シリーズ各作品のWindows 95/98移植版が出たタイミングでも,当サイトはまだこの世に存在しなかった。そうした経緯もあって「POWER DoLLS 2 COMPLETE BOX」については,完全な新作としてレビューをお届けしたのである。
それゆえ,「パワードール2」シリーズ未プレイの諸兄諸姉には,まずレビュー記事でゲームの概容を確認してからお読みいただくことをお勧めする。逆にNEC PC-9801版や旧Windows版で先刻ご承知の方は,おそらく本邦初公開となる,ヤオ姉さんの据わりの悪い髪型の由来などといったネタを楽しみに,お読みいただきたい。
実は10周年のタイミングで出したかったCOMPLETE BOX
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。先日発売された「POWER DoLLS 2 COMPLETE BOX」ですが,まずはこの製品の企画趣旨というか,狙いの部分を教えてください。
ええと企画の発端は2004年,初代「POWER DoLLS」発売10周年のタイミングまで遡ります。本当はこのときに何か記念商品を出したいという話が社内で出ていたんですが,結局方向性がまとまりませんでした。
というのも「POWER DoLLS 3」で大きくゲーム性が変わったため,どこまでを対象とするかでコンセンサスが取れなかったんですね。
4Gamer:
「3」「4」はセミリアルタイム制ですからね。「4」は「4」で,良いものではあるんですが……。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうこうしているうちに機を逸してしまいまして,それ以来ずっと宿題になっていたんですけれども,多くのファンの方がいてくださる「POWER DoLLS 2」シリーズについては,とにもかくにもまとめて出したいと。そういうことで,微力ながら私自身が旗振り役をさせていただき,今回の製品が生まれました。
4Gamer:
やはり,「POWER DoLLS 2」シリーズには広報さんとして強い思い入れがありますか?
工画堂スタジオ 橋本氏:
実は「POWER DoLLS」は私が初めて広報宣伝を手がけた,本格的な作品なんですよ。
4Gamer:
だとすると,初代「POWER DoLLS」から収録するという選択肢もあった気がしますね。登場人物も時代背景も基本的に共通ですし。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そこは完成度と,きりの良さの問題で,今回は「2」でまとめることにしました。そしてまとめる以上,Windows Vistaに対応させ,さまざまな関連他メディア作品もなるべく入れ込みたい。そこで各社さんにご協力いただいて,許諾をいただきつつ,という感じでした。
4Gamer:
なるほど。確かに「1」と「2」ではパワーローダーのポケット周りだとか,けっこう違いがありましたよね。「1」だと携行弾数が限られていて,白兵戦機をうまく使わないとまず勝てないとか。
しかし「2」に特化するとしても,決して全関連製品が収録されているわけではないんですよね? そうなるとたいへんなコストになっちゃいますし。そのあたりの選別はどのように行ったのでしょうか。
工画堂スタジオ 橋本氏:
実はもともと「POWER DoLLS」シリーズのファンから,うちのスタッフになった者もいますので,そこでのコンセンサスに準拠しました。ある意味,実プレイヤーの声といえるのではないかと(笑)。
例えば『コンプティーク』さんにかつて掲載された漫画については,割と最後までバタバタしたんですけど,どうしても入れたいという意見が強くて,とか。
4Gamer:
パッケージデザイン周りは,すごく抑制の利いた演出ですよね。これはやはり,作品の特性を考えてのものですか?
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうです。パッケージイラストについては,当時パワーローダー「X4」系列のデザインなどを手がけていた小笠原智史さんにお願いしました。すでに独立して,いろいろなアニメ作品を手がけるイラストレーターさんになっていますけど,特別に。部材のカラーリングをシルバー基調で渋くまとめることは,最初から意識していましたね。
ちなみに音楽の斎藤博人さんも同じく,いまでは独立されていますが,「POWER DoLLS 2」シリーズへのオマージュとして13曲目のボーナストラックを書き起こしていただきました。
4Gamer:
付属のOVA2本も,DVDになったのは初めてですよね? 確かVHSとLDで出ていたかと記憶していますが。
工画堂スタジオ 橋本氏:
ええ。そしていまでこそゲームとアニメがコラボレーションすることも珍しくないですが,当時は決して多くなく,うちとしても初めてのことでした。それと,プレイステーション版「パワードール2」のオープニングムービーも収録しましたので,見て楽しんでいただく面でもなかなか充実したと自負しています。
大戦略を超えるストラテジーの模索から始まった
実際に製品を買った人であれば,付録の“アートワーク”で確認できることなんですが,あらためて各作品の発売時期をざっとお願いします。
工画堂スタジオ 橋本氏:
1994年1月14日に初代「POWER DoLLS」が発売され,「POWER DoLLS 2」が同年12月16日。「POWER DoLLS 2 DASH」が翌年1995年の9月で,「ADVANCED POWER DoLLS 2」が1996年4月です。
4Gamer:
そもそもこのシリーズは,どんなところを狙って企画されたものなのでしょうか? 割とハードでストイックなプレイ内容でありながら,登場人物が女性揃いというのは,なかなか特異な立ち位置ですよね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
やはり,ヘックス/ターン制ストラテジーというところが出発点になるのですが,当時ヒットしていた「大戦略」シリーズなど,既存のストラテジーゲームにないものを,というのがいわば出発点でした。
4Gamer:
当時出ていた作品のなかで,ガチガチにヒストリカルな戦略級ゲームを別に考えるなら,大戦略シリーズがストラテジーの代表ですよね。そのラインナップには「SUPER 大戦略」みたいな,キャンペーン型の作品も含まれる。また,大戦略派生作品としての「ブリッツクリーク」「パンツァーカイル」とか,「ロード オブ パンツァーズ」とかですかね。それらとの差別化から始まったと。
工画堂スタジオ 橋本氏:
当時のディレクターやプログラマーも大戦略シリーズのファンでしたので,そこにはない要素として,プラスαしたいものを考えていったのです。
4Gamer:
そこで女の子が……って,それだけじゃないですよね(笑)。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうですね。とにかくビジュアルに組み立てようと。それでインターミッションで飛行機が飛んでいたり,オペレーターと交信したりといった場面を入れたのです。
実を言うと企画の最初期段階では,パイロットを男性隊員でいく話も出ていました。でも「メカにオヤジばかりを乗せてもソソらないだろう」ということで,女性隊員になりました。
4Gamer:
そういう歴史的な瞬間があったわけですね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
ただし,当初は女性パイロットをウリにするなと上司に指示されたりしました。そこだけ立ってしまうといけない,そこがウリのゲームではないと。
パワーローダーのコックピットが狭いとか設定を付けつつ,結果として女性ばかりなんですけど,やはりメカやシステム,武装といった部分を見てもらいたいということだったんです。
WWII,ベトナム戦,現代戦のエエトコ取り
飛行機や戦車のデザインは,なんというか,SF作品にしては非常に現代兵器に近いですよね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうですね。このお話は西暦2200年代という未来設定のはずなんですけど,デザインを現代機,戦術面を第二次世界大戦に近いものとしたのは,当時のスタッフが,やはり見て分かりやすい兵器を出して,臨場感のある戦術シミュレーションにしたいとこだわったからです。
当時は『航空ファン』さんや『戦車マガジン』さんに宣伝に行ったりして,「おお,よく出来ている」とか言われたりして。実はシリーズを追うごとに,新しく登場した現用機体のデザインが取り入れられたりしているんですが,そこまでキッチュなこだわりになると,広報の私でも分からなかったり(笑)。
それに合わせてパッケージアートは,ミリタリーイラストタッチに仕上げたいということになって,ずっと,その道の巨匠である高荷義之さんにお願いしていましたしね。
4Gamer:
タミヤのプラモデルの箱みたいに。
工画堂スタジオ 橋本氏:
高荷さんも,「このメカはどうやって立つのかなあ?」とか言いながらも,迫力あるパワーローダー(二足歩行ロボット)の絵柄を仕上げていただけまして……。
シリーズを通して描かれいるシーンやパワーローダーのポージングに,一つとして同じものがないんですよね。それにはスタッフ一同感動しました。
4Gamer:
そうか,確かに弾種とかで考えると,第二次世界大戦以前くらいのシチュエーションで抑えられているんですね。高速度弾芯弾どころか,成型炸薬弾も出てこないわけですし。そこを仮に現代戦で揃えると,ほぼミサイル万能ってことで終わってしまう。
工画堂スタジオ 橋本氏:
二足歩行ロボットは,ロマンの問題として欠かせないものの,あるときは第二次世界大戦,あるときはベトナム戦争のようなシチュエーションを考慮に入れつつ,システムとシナリオが考えられていったんですね。なんといいますか,人間が考える作戦行動が意味を持たないかぎりは,ゲームとして意味を持ちませんし。
最近のコンソールゲームタイトルなどと違って,何も考えなくても進むというものではないので,どうしてもとっつきにくい印象はあるかもしれませんが,何から何まで自分好みにセッティングして,戦いに臨めるわけです。
4Gamer:
ストラテジーゲームですからね。考えること自体が楽しみなわけで。ミッションブリーフィングの方針を,きちんと守ると逆にダメとか。
工画堂スタジオ 橋本氏:
弾薬1弾倉分の有無が,本当に勝敗を分けますし。例えばそこで「譲渡」コマンドを使い,余っている隊員から融通してもらうことを自分で思いついて乗りきったときの満足感とかが,このゲームの魅力だと思うんですよ。
4Gamer:
追い詰められるぶん,打開したときのカタルシスが大きいというか,実はプレイしていて意外に気持ちの振れ幅の大きいゲームですよね。ストイックなシステムデザインにもかかわらず。
工画堂スタジオ 橋本氏:
「1」を各雑誌さんにPRさせていただいたとき,「地味だね」というお話もあったんですよね。確かに隊員達は美女揃いという設定だったけれども,髪の毛は黒か茶,金髪かシルバー。せいぜい深いブルーまでなんですよね。ただ,そこがこだわりだったわけです。
4Gamer:
現実から突拍子もなく離れるような絵柄は狙わなかったと。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうです。そして,キャラクターの詳細をあまり決めてかからなかったぶん,プレイヤーさんがあとから二次創作で膨らませてくれて,それがまた,作品への注目につながる流れにつながりました。
4Gamer:
ファンによる二次創作とはまた別に,「パワードール」の世界はOVA(オリジナルビデオアニメーション)にもなりましたよね。今回のCOMPLETE BOXにも同梱されていますが。
工画堂スタジオ 橋本氏:
ええ。OVAになってスタッフが一番喜んだのは,パワーローダーの降下シーンが描けたことです。ゲームの段階で,そこまで凝った演出は不可能でしたから。
4Gamer:
まあ,敵のいるヘックスに降りてしまうと,そこで臨機戦闘が生じて……というプレイ要素は再現されていましたけど,確かにビジュアル要素ではなかったですしね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
パワーローダーの降下姿勢とか,降下前の段階で輸送機にどんな感じに格納されているのか,とか。
実質的な作戦立案が可能な点で画期的なゲームデザイン
4Gamer:
ゲームの話題に戻りますが,当時のキャンペーン型ストラテジーだと,兵力はたいてい配置済みで,シナリオ進行はせいぜい勝った場合と負けた場合の違いくらいでした。
つまり作戦のかなりの部分はお仕着せだったわけで,「パワードール」シリーズが画期的だったのは,部隊各機をどう分け,どういうタイムスケジュールで投入するかまでを,プレイ要素にしたところだと思います。この発想はどこから得たものなのでしょうか。
工画堂スタジオ 橋本氏:
うーん,細かな経緯はちょっと分からないですけど,当時のスタッフ達が,いろいろな本や映画から着想を得て固めていったのだと思いますね。
4Gamer:
時期的には逆になるのですが,映画「ブラックホーク・ダウン」で描かれる,人工衛星からの映像を見ながらの部隊指揮を見たとき,「パワードール」シリーズを思い出しつつ,ああ,現実の軍人達もこういう指揮の方法を夢見たすえに実現したんだなあと,ある意味感心した憶えがあります。あまり縁起の良い例ではないですが。
ミッションブリーフィングの仕立てなどから見て,米軍の特殊部隊あたりの行動様式が,モデルだとは思うんですけどね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
実際,当時のファンの方から来たユーザー登録はがきを見ると,自衛隊の駐屯地からだったりすることもよくありました。
4Gamer:
ある程度リアルな作戦要素が楽しめる,ということなんでしょうね。そうでありながら,眉目麗しき女性達が活躍する「パワードール」シリーズと。……ところで,ヤオ姉さん(ヤオ・フェイルン)の髪型にはちょっとした秘密があるそうですね?
はい。昔さる声優さんから「働く女性は,みんな戦っているようなものですから」というコメントをいただき,感銘したことがありますが,ヤオ・フェイルンの髪型は,実はたまたま見かけた牛丼屋さんの女性店員の髪型がモデルになっているとキャラデザ担当から聞きました。
ロングヘアーの女性が働くとき,髪の毛をその場でややラフに結んで邪魔にならないようにする。その風情が,パワーローダーのパイロットにぴったりだと思ったわけです。
4Gamer:
ああ,それは一種のリアリティがあるかもしれませんね。旅客機のキャビンアテンダントさんみたいに,縛ることを前提に髪型をキメるんじゃなくて,たまたまいま必要だから縛っている,みたいな。
あとメガネキャラは特殊部隊にはどうかって感じですけれども,やはりキャラ属性の陣容として必要な人材だったんですかね?
工画堂スタジオ 橋本氏:
いまほどはっきり言われていたわけではないですが,必要だという認識はありましたね。で,顔とパラメータ,スキルだけでは素っ気ないですから,マニュアルに掲載するプロフィールも,例えばメガネなら工兵のスペシャリストにしようとかスタッフでいろいろ考えていって……。
4Gamer:
作品世代を追って,プロフィールの記述も伸びていきましたしね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
当時(1994年)はまだインターネット全盛時代の前夜というタイミングでしたけど,キャラクターのビジュアルについては,ユーザー登録はがきなどを通して,けっこう評判を気にしていたりしました。
いったんパーマをかけさせた(?)キャラクターが不評だったら,次の作品で戻してみたりとか。
4Gamer:
ああ,エアクルーのリーダー,エリオラ・イグナチェフさんが,確かそうだったような。一時期ソバージュだったという。
工画堂スタジオ 橋本氏:
担当デザイナーは頑張って描いてたんですけどねえ(笑)。
4Gamer:
現実の女性もそうですが,ファッションも含めて時代の証言者というわけですね。
あえて不利な設定で楽しんでいたファン達
4Gamer:
しかし,「パワードール」シリーズのやり込み要素には,一種隔世の感もありますよね。最初のほうでお聞きしたように,初代作品が1994年1月,「2」が12月。「2 DASH」が1995年9月で,「ADVANCED」が翌年1996年の4月。開発チーム数にもよるところですが,十分に練る時間を取れたことの成果ともいえるわけで。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうですね。もちろん,ゲームは後の世代になればなるほどグラフィックスがリッチになるし,ムービーは欲しくなるしで,そのぶん開発に時間がかかるようになる。その一方で競合となる娯楽は増えていくわけですから。
4Gamer:
「パワードール」シリーズがデビューした頃に比べると,プレイバランス云々以前に,企画で勝負せざるを得ない方向に向かっている気がしますね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
開発各セクションがぶつかり合いながら,一つの企画を練り上げていくという過程は,確かに以前と違ってぜいたくなものになったのかもしれません。社長までが会社に泊まり込んでデバッグを手伝っていた時代とは,さすがにいろいろ違いますしね。
4Gamer:
プレイアビリティに優れたストラテジーゲームを作り出すには,どうしてもある程度の時間が必要になるところが,なかなか悩ましい問題ですね。
ゲーム展開に自ずと幅がありますし。社内で手分けしてデバッグしている最中でも,各人のプレイ方針がぜんぜん違うくらいでした。
4Gamer:
そのあたりは,むしろヒストリカルモチーフじゃないことのメリットが前面に出た部分ですね。ヒストリカルモチーフでも,一種の社会システムシミュレータみたいになっていると,また違ってきますが。
工画堂スタジオ 橋本氏:
発煙弾をよく使う/使わないとか,わざとパラメータの低い隊員だけで編成してみて,自分なりの難度を作り出すとか。
4Gamer:
レールキャノンを使わないとかね。
工画堂スタジオ 橋本氏:
そうかと思うと,武器を乗せすぎて残りAPが少なくなりすぎたり。その意味で,戦闘開始前のほうが時間がかかるゲームです。
4Gamer:
このゲームのオリジナリティはむしろそこにあるので,正しいと思いますよ。さて,今回の商品が商品だけに,シリーズの過去を振り返るお話がメインになりましたが,今後新作の予定はいかがでしょうか?
工画堂スタジオ 橋本氏:
うちの看板作品なので,出していきたいとスタッフ達も本当に思っています。そこはそうなのですが,次に出すならどういうスタイルにすべきかというところで,どうしても構えてしまう部分が強いですね。そんなわけで今年はないと思いますが,常に考えています。
4Gamer:
なるほど……ブランドを活かしつつ,時代に合わせるというのはなかなかの難問ですね。「PD2 COMPLETE BOX」と同時に「TWIN PACK」が発売された「ブルーフロウ」「ブルーブラスター」も,一つのアプローチではありましたが,こちらはあまりストラテジー性を引き継いだものではありませんし。
では最後に,古くからの「パワードール」ファンおよび,「COMPLETE BOX」で新たに歴代作品を知った人に向けて,メッセージをお願いします。
工画堂スタジオ 橋本氏:
NEC PC-9801時代からプレイしていただいている方には感涙モノの製品になったはずですので,Windows Vistaでも動作する今回のパッケージを,どうかよろしくお願いします。
初めて触れる方には,最初ちょっととっつきにくいかもしれませんが,「これぞ戦術シム」と自信を持って言える作品ですので,絶対に楽しんでいただけると思います。ぜひプレイしてみて下さい。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
だが,後年同シリーズのWindows版に触れて,大いに考えをあらためた憶えがある。ヒストリカルストラテジーと同様の文脈を持ち込みつつ,展開の幅を広げるためにSF設定を採用するのもアリであって,SFゲームにしたからといって抽象性が高まるとは限らないのだと。
レビューでも述べたとおり,「パワードール」シリーズの背後にはおそらく,主としてアメリカ製のボードストラテジーゲームの歴史がある。仮想設定の中のロボット戦闘は,歩兵戦と戦車戦を兼ねるのだから,これは一種有効なアプローチだと思う。そして今回のインタビューで確認されたとおり,そこには現代兵器のビジュアル,ベトナム戦争のドクトリン,第二次世界大戦の火器体系という,恐るべき(笑)エエトコ取りの知恵が込められていたのである。あ,それと女性隊員も。
こうまとめてみると,「パワードール」シリーズが手応えのあるゲームに仕上がった理由の一つとして,たいへん説得力があると思うのだが,いかがだろうか? まあ,そこに賛同が得られなくても,読者のみなさんが同シリーズについて,一つでも興味深いエピソードを見いだせたなら,それに勝る幸いはないのだが。
- 関連タイトル:
POWER DoLLS2 COMPLETE BOX
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