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[COMPUTEX]GIGABYTEの技術セミナー&ブースレポート。ゲーマー向けサブブランド「Aivia」の立ち上げも発表
4-way SLI対応マザーボード
GA-X58A-UD9の技術的概要が解説される
大きな特徴として挙げられるのは,ATXフォームファクタよりも一回り大きな独自規格「XL-ATX」を採用し,PCI Express(以下,PCIe) x16スロットを7本装備する点である。GA-X58A-UD9は,NVIDIAの「nForce 200」ブリッジチップを2基搭載し,4本のPCI x16スロットをPCIe 2.0のフル帯域幅で利用できるようになっており,実際,GIGABYTEのブースでは,専用のSLIブリッジコネクタを用いて,「GeForce GTX 480」搭載グラフィックスカード4枚による動作デモが披露された。
さて,説明会でGIGABYTEは,「より多くの電力をCPUに供給できれば,オーバークロックのポテンシャルも向上する」として,同社が「Unlocked Power」と呼ぶ機能を紹介。GA-X58A-UD9では,CPU用の8ピン給電コネクタをオンボードで二つ搭載することにより,最大1500Wもの電力を供給できるとして,その様子を下記のとおり,ビデオで披露した。
GA-X58A-UD9では,搭載する24フェーズPWM回路を,12フェーズ×2としても利用できる「Dual Power Switching」機能を採用したこともアピールされている。
GIGABYTE独自のユーティリティソフト「Dynamic Energy Saver 2」を利用すれば,二つの動作モードを動的に切り替えたり,あるいは,12フェーズモードで動作させるとき,システムの再起動をかけるたびに,それまで動作していたのとは異なる12フェーズを動作するようにして,一方のPWM回路にだけ負荷がかかるのを防ぐこともできる。
これは,ベースクロックやCPU動作倍率,各種電圧設定などをプロファイルとして保存し,複数のプロファイルをホットキーで動的に切り替えられるようにするもの。これにより,システムやアプリケーションを再起動することなく,最適なオーバークロック設定を適用できるという。本機能は,Easy Tune 6を最新版にアップデートすれば,GIGABYTE製マザーボードのすべてで機能するようになるという。
これは,ワイヤレスネットワーク経由でモバイルデバイスとマザーボードをつなぐことで,WebブラウザからBIOS設定を変更できるようにするというもの。GIGABYTEでプロダクトマーケティングを担当するRockson Chiang(ロクソン・チャン)氏は,「Intel P55 Express」マザーボード「GA-P55A-UD4P」に「Core i5-655K/3.20GHz」を差した状態に対して,Cloud OCからマザーボードのオーバークロック設定を実際に行ってみせた。
「WebブラウザベースのUIを採用することにより,ハードウェアやOSに依存することなく,手持ちのモバイルデバイスからオーバークロックできる」というわけだ。
iPadを使ってCloud OCのデモを披露するRockson Chiang氏 |
Cloud OCで,ベースクロックを240MHzに変更するデモの様子 |
Cloud OCからオーバークロック設定メニューを開いたところ |
こちらがシステム情報を表示させたところになる |
その内容は「現在,多くのPCやマザーボードは(当たり前といえばそれまでだが)USB規格を上回る電源供給を必要とするiPadの充電に対応できない。しかし,GIGABYTEの333対応マザーボードなら,それが可能だ」というアピールだ。
また,一般的なマザーボードでは,USBの認識をWindows側からソフトウェア制御で行っているため,システムをシャットダウンすると,マザーボードにUSBデバイスを接続しても充電が始まらないが,GA-X58A-UD9など,GIGABYTEの最新マザーボードでは,この制限に対策を行ったこともアピールされている。いわく,シャットダウン時でもハードウェアレベルでUSBデバイスを認識し,デバイスの充電を可能にできるよう,「ON/OFFチャージ」専用のUSBピンヘッダが用意されたとのことだ。
“OC対応”グラフィックスカードにHD 5870モデル
ゲーマー向けサブブランド「Aivia」も発表
グラフィックスカードでは,オーバークロック耐性の向上を図った「Super OverClock」シリーズに,「ATI Radeon HD 5870」を搭載した「GV-R5870SO」が正式発表となった。
GV-R5870SOは,リファレンスデザインのATI Radeon HD 5870カードよりも17%,「GeForce GTX 480」搭載カード比では2%高いパフォーマンスを実現したとのことだ。
2010年第3四半期には,「GeForce GTX 475」または「GeForce GTX 465」ベースのSuper OverClockモデルも投入すべく,開発を進めているという。
なお,これらSuper OverClockシリーズには,「OC Guru」と名付けられたチューニングユーティリティが付属し,GPUとメモリの動作クロックや動作電圧を設定可能。さらに,グラフィックスカードのPWMを制御して,省電力性能を高めたりもできる。設定内容は,プロファイルとして最大五つを保持できるのもウリだ。
最後に,これはまだ日本国内での展開が正式に決まってはいないものの,ゲーマー向けキーボードとマウスのサブブランド「Aivia」(アイヴィア)が立ち上がったことをレポートしておきたい。
タッチパッド技術を用いて,指先ひとつでサウンド出力のボリュームコントロールができる点や,最大100通りのマクロが登録できる「GHOST Macro」エンジンなどを搭載するのも特徴といえるだろう。
キーボード上部にタッチパネル式のボリュームコントローラを搭載 |
マクロのモード切替ボタンと5連のマクロキーを搭載する |
本体底面を見ると分かるが,リストレストは取り外し可能。チルトスタンドも搭載されている |
赤色バックライトLEDを内蔵。明るい室内では気づかないほどのレベルでうっすら光っていた |
なお,エンジニアリングサンプルでは,「スポーツカーを意識した」(GIGABYTE)カラーリングがいくつか見られたが,これらがすべて製品化されるかどうかは,現時点では未定。中心となって展開されるのは,グレーのモデルになるとのことだった。
USBケーブル接続時はワイヤード,外したときはワイヤレスで動作し,USBケーブルを差すか,付属の充電台に接続すると充電が始まるというのは前者,バッテリーユニットが2個付属し,片方を充電しながらもう片方を使うことで,マウスのダウンタイムを最小に抑えられるというのは後者,といったところだろうか。
独自要素としては,わずか0.1秒で「とりあえず動作する」レベルまで充電できる,簡易チャージ機能を搭載する点が挙げられよう。こちらが製品化を果たすにはまだ時間がかかりそうだが,ワイヤレス対応のゲーマー向けマウスは貴重な存在だけに,気になった人は,その型番を憶えておくといいかもしれない。