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初代PS3より小さなASUSのゲームPC「ROG GR8 II」をテスト。GTX 1060 3GB+i7-7700搭載でMMORPGも実用的に遊べる
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印刷2017/07/08 00:00

レビュー

初代PS3より小さなゲームPCは,GTX 1060 3GB+i7-7700搭載でMMORPGを実用的に遊べる

ASUS ROG GR8 II-T084Z

Text by 小西利明


ROG GR8 II-T084Z
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:「メールでのお問い合わせ」フォームページ
実勢価格:21万円前後(税込,※2017年7月8日現在)
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 消費電力あたりの性能に優れるGeForce GTX 10シリーズの登場によって,小さめのデスクトップPCでもVRゲームを動かせる程度のグラフィックス性能を実現できるようになった。そのため,2017年に入ってから,「GeForce GTX 1070」や「GeForce GTX 1060 6GB」「GeForce GTX 1060 3GB」を採用した小型のゲーマー向けデスクトップPCが登場し始めている。

 ただ,小型のゲーマー向けデスクトップPCと言っても,その方向性はメーカーによってだいぶ異なる。たとえば,マウスコンピューターは「NEXTGEAR-SLIM」,MSIは「Trident 3」という製品を販売中だが,前者はノートPC向けGeForce GTX 1070を使った,いわばノートPCの延長線上にある製品で,後者はデスクトップPC向けGeForce GTX 1060 6GBを搭載する短尺カードを中心に据えた,あくまでもデスクトップPCの枠内で小型化を図った製品といったところだ。

マウスコンピューターのNEXTGEAR-SLIM(左)とMSIのTrident 3(右)。筐体のサイズは,単体グラフィックスカードを内蔵するTrident 3のほうが大きい
画像集 No.020のサムネイル画像 / 初代PS3より小さなASUSのゲームPC「ROG GR8 II」をテスト。GTX 1060 3GB+i7-7700搭載でMMORPGも実用的に遊べる 画像集 No.021のサムネイル画像 / 初代PS3より小さなASUSのゲームPC「ROG GR8 II」をテスト。GTX 1060 3GB+i7-7700搭載でMMORPGも実用的に遊べる

 今回取り上げるASUSTeK Computer(以下,ASUS)が販売中の「ROG GR8 II」(以下,GR8 II)はその意味で,Trident 3と似た方向を向いた製品と紹介することができるだろう。2014年に「PlayStation 4より小さいゲームPC」として登場したオリジナルの「ROG GR8」は,ノートPC向けGPU「GeForce GTX 860M」を搭載する,NEXTGEAR-SLIM的な製品だったので,ASUSは新モデルで製品コンセプトの大転換を果たしたことになる。
 では,その実力はどれほどか。今回は,2モデル展開となるGR8 IIから,上位モデルに当たる「GR8 II-T084Z」をテストしてみたい。

GR8 IIの本体と付属のキーボードおよびマウスを並べた状態。マウスは,単体でも販売中の光学式ワイヤードマウス「ROG Sica」。一方のキーボードは,単体では販売されていない10キーレスキーボードである
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●GR8 II-T084Zの主なスペック
  • CPU:Core i7-7700(4C8T,定格3.6GHz,最大4.2GHz,共有L3キャッシュ容量8MB)
  • チップセット:Intel H110
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2
  • グラフィックス:GeForce GTX 1060 3GB(グラフィックスメモリ容量3GB)
  • ストレージ:SSD(M.2仕様,Serial ATA 6Gbps接続,容量256GB),HDD(Serial ATA 6Gbps接続,容量1TB)
  • 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 4.2
  • 有線LAN:1000BASE-T×1
  • 外部インタフェース:USB 3.1 Gen 2 Type-A×1,USB 3.1 Gen 2 Type-C×1,USB 3.0 Type-A×4,DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.0×1,RJ-45×1,3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力×1,3極3.5mmミニピンライン出力×1,3極3.5mmミニピンマイク入力×1,光デジタルサウンド出力×1
  • ACアダプター:最大230W出力
  • 公称サイズ:約88(W)×299(D)×281.3(H)mm(※ゴム脚含む)
  • 公称重量:約4kg
  • OS:64bit版Windows 10
  • 税込実勢価格:21万円前後


筐体サイズは前世代よりふたまわり大きく

前面にはAura Sync対応LEDを装備


 先の段落で「ROG GR8からコンセプトの大転換」と書いたとおり,実のところGR8 IIに,「ROG GR8の後継製品感」はあまりない。むしろ,ゲーマー向け小型PC「ROG G20」(以下,G20)の後継機種と言うべき製品だ。

2014年6月のCOMPUTEX TAIPEI 2014に合わせて初披露されたときのG20(左)とGR8(右)
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 底面側がやや幅広く,上に行くに従って幅が狭くなる独特の形状や,中央を縦に区切るように銅色のパーツを配したGR8 IIのレイアウトは,GR8よりもG20に近いと言っていいと思うのだが,どうだろうか。

GR8 IIの本体。SFガジェット的な見た目は,かなり個性的だ。中央を縦に区切るパーツは,G20の単純な直線状の形と異なり,上下左右が非対称の凝った形をしている。なお,G20はこの中央部分にトレイ式の光学ドライブを内蔵していたのだが,GR8 IIは光学ドライブを備えていない
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GR8 IIと付属のACアダプター。最大出力は230Wで,実測サイズは170(W)×83(D)×35(H)mmだった。ノートPC用を流用しているのではないかといった感じのスペックと大きさである
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 ただし,似ているのはデザインだけで,サイズは異なる。G20の公称サイズが104(W)×340(D)×358(H)mmだったのに対して,GR8 IIの実測サイズは88(W)×300(D)×282(H)mmと,ひとまわり小さいのだ。
 ちなみに初代PS4のサイズは275(W)×305(D)×53(H)mmで,初代PlayStation 3(以下,PS3)だと325(W)×274(D)×98(H)mm。なので,PS4よりは大きいが,初代PS3よりは確実に小さいゲームPCということになるだろう。

 GR 8 IIのインタフェース類は,前面と背面側にまとめられている。ただ,前面はインタフェースを配置できる部分が限られているためか,フルサイズのUSBポートが2つと,サウンド用の3.5mmミニピン端子2つしかない。メモリーカードスロットがないのは,人によっては不便に感じるだろう。
 なお,GR8 IIの筐体は,横置きを考慮しておらず,縦置き専用設計のようだ。側面には吸排気孔がないので,横向きに置いても使えそうだが,ASUSはサポートしていないのでご注意を。また,底面側には吸気孔,天面側は排気孔があるので,ここをふさがないようにする必要もある。

前面(左):3.5mmミニピンのヘッドフォン出力とマイク入力が並び,その下にUSB 3.0 Type-Aポートが2つある
背面(右):主要なインタフェースが並ぶ背面。上から3.5mmミニピンライン出力×1,光デジタルサウンド出力×1,有線LAN(RJ-45)×1,USB 3.0 Type-A×2と並び,その右側にUSB 3.1 Gen 2 Type-A×1,USB 3.1 Gen 2 Type-C×1がある。下側にはグラフィックスカードのビデオ出力インタフェースがあり,上からDisplayPort 1.4×1,HDMI 2.0×2となっている
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天面(左):上側には排気孔があり,PCに高い負荷がかかっている状態では,ここから熱い排気が出てくる
底面(右):底面側はかなり複雑な形状をしている。底面中央部と床面の間に隙間を開けて,そこから吸気する仕組みだ
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左側面(左)と右側面(右)に,吸排気孔の類はなし。右側面の三角形は,内部が透けて見えるわけではなく,単なるデザイン上のものだ
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 GR8 IIにおける外観上の特徴に,前面を彩るカラーLEDイルミネーションのラインが挙げられる。これは,ROG製品共通のイルミネーション同期機能「Aura Sync」に対応しており,同機能に対応するマウスやキーボードと組み合わせれば,それぞれのLEDを同期して光らせることが可能だ。

見た目では分かりにくいが,前面のLEDイルミネーションは5つのエリアに分かれており,選択した発光パターンによっては,エリアごとに異なる色を指定できる(左)。色の設定は,プリインストールのAuraアプリで行う(右)
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 以下の写真は,発光パターンに「Static」(※点灯したまま変化しない)を選択したうえで,すべてのエリアを同じ色にした状態で少しずつ色を変えながら撮影したものだ。色は左から赤色,オレンジ色,黄色,水色,青色,紫色,白色となっている。
 写真を見てのとおり,発色は比較的良好で,意図したとおりの色で光らせられると考えていい。

LEDの発色具合を確認した写真。左から赤色,オレンジ色,黄色,水色,青色,紫色,白色となる
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 カッコイイかどうかは人それぞれではあるが,コンパクトかつ個性的なデザインのデスクトップPCであることは確かだろう。

付属の10キーレスキーボード(左)。Kaihua ElectronicsのCherry MX Red互換メカニカルキースイッチを採用する。各キーに赤色単色のキーボードバックライトを内蔵しているが,Aura Syncには対応しない。付属マウスであるROG Sicaは,見る限り,市販品とまったく同じもののようだ(右)。ボタン構成は,左右メインとセンタークリック可能なスクロールホイールの3つだけで,サイドボタンは持たない。また,ホイールとパームレスト部分のロゴマークにはLEDが内蔵されているが,発光色は赤色単色で,こちらもAura Syncには対応しない
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ストレージの交換は可能だが,グラフィックスカードの交換は非現実的


 外観の次は,内部構造を見てみよう。GR8 IIは,サポート資料として公開中のユーザーマニュアルに側板の外し方が書いてあり,それに従えば,比較的簡単に内部へアクセス可能だ。ASUSは,「エンドユーザーが内部パーツの交換を行った場合には製品保証の対象外になる」という立場を取っているので,くれぐれも注意のうえ,もし何か交換しようという場合は,いつでも戻せるようにしておくのが肝要である。

GR8 IIの右側面パネルを外した状態。ネジを隠している天面右側の樹脂製パネルを外すのがちょっと恐いものの,ここまでは簡単だ。内部の密度は高い
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 GR8 IIの内部は,下側半分を2スロット仕様のグラフィックスカードが占めており,マザーボード部分は上半分だけという変わった構造をしていた。マザーボードは見る限り,Mini-ITXやMicro-STXといった規格に則ったものではなく,ノートPC用を流用しているわけでもない。わざわざ,GR8 II専用に設計したもののようだ。

GR8 IIの内部。マザーボードは上半分の面積しかなく,本機専用のものと思われる。下半分はROGロゴマーク入り金属カバーに覆われたグラフィックスカードが占めている
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 右側面から見える範囲には,2.5インチHDDが1台と,DDR4 SO-DIMMが1枚,M.2仕様のSSDが1枚見える。これらの交換は,それほど難しくないだろう。
 CPUは,デスクトップPC用の「Core i7-7700」を採用しているのだが,右側面側からは見えない。またメモリスロットも2つあるはずなのだが,右側面側から見えるのは今述べたとおり1つだけだ。エンドユーザーがマザーボードのCPU側にアクセスするのは極めて困難と言え,CPUや,CPU側にあるメモリモジュールの交換はできないと考えるべきだろう。

あくまでも入手した個体の話だと断ってから続けると,搭載する2.5インチHDDは,HGST製「Travelstar 7K1000」の容量1TBモデルだった(左)。マザーボードの上にHDD固定用の金具を取り付けて,その上にHDDを載せている。右はDDR4 SO-DIMMとM.2 SSD周辺を拡大したもの。SO-DIMM上に見えるメモリチップは,Samsung Semiconductor製で容量8Gbit(=1GB)の「K4A8G085WC」という型番のものだった。1枚のSO-DIMMで8GBなので,SO-DIMM上には8個のメモリチップがあるはずだ。M.2 SSDは,Serial ATA 6Gbps接続で容量256GBのSK Hynix製「HFS256G39TND-N210A」である
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 GeForce GTX 1060 3GBを搭載するグラフィックスカードは,金属のケースに覆われた特殊なもので,当然ながら市販はされていない。取り外すには,筐体から内部のフレームを取り外したうえで,あちこちのネジを外して分解しなくてはならず,壊さずに取り出せる自信がなかったため,今回は断念した。
 これだけ特殊なグラフィックスカードになると,仮に分解できたとしても,ユーザーによる交換は不可能に近い。GR8 IIのグラフィックスカードと同じかそれ以下のサイズで,消費電力が許容範囲に収まり,エアフローに支障がなく,性能面で同等以上という製品は,おそらくないだろう。

GR8 IIのグラフィックスカードは,金属のケースに覆われており,露出した空冷ファン以外は,中身がまったく見えない。これを筐体から取り外すのは,相当に大変そうである。なお,グラフィックスカードの上に見える小さな基板は,電源関連のものだ
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ベンチマークテストとMMORPGでGR8 IIの実力を検証


 それでは,ベンチマークテストと筆者が普段プレイしているゲームで,GR8 IIの実力を確かめてみるとしよう。なお,今回は比較対象を用意してテストを行う時間がなかったため,異なる条件で実施したテストの結果を参考値として比較に用いる。厳密な比較にはならないことをあらかじめお断りしておきたい。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点で最新の「GeForce 384.76 Driver」で,テスト環境は4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0準拠。液晶ディスプレイの解像度は1920×1080ドットで行った。
 なお,実利用環境を想定して,CPUの省電力機能である「Enhanced Intel SpeedStep Technology」や,自動オーバークロック機能の「Intel Turbo Boost Technology」は有効にしたままで行っている。

 まずは,「3DMark」(Version 2.3.3732)のDirectX 11ベンチマークである「Fire Strike」の結果を見ていく。
 グラフ1は総合スコアをまとめたもので,グラフ2,3はその「Graphics score」「Physics score」を抜き出したものになる。ここでは参考用の比較対象として,グラフィックスドライバと3DMarkのバージョンがいずれも異なる状態でテストした,ノートPC向けGeForce GTX 1070搭載の小型デスクトップPC「NEXTGEAR-SLIM is100GA1」(以下,NEXTGEAR-SLIM)のスコアも並べたので,雰囲気を掴んでもらえればと思う。
 というわけでスコアだが,ASUSカスタム版とされるGeForce GTX 1060 3GBで,ノートPC用GeForce GTX 1070と戦うのは難しいようだ。総合スコアは74〜75%程度,Graphics scoreは71〜72%程度に留まる。一方で,CPU性能はノートPC向けCPU「Core i7-6700HQ」(4C8T,定格2.6GHz,最大3.5GHz,共有L3キャッシュ容量6MB)搭載のNEXTGEAR-SLIMを29〜30%ほど上回った。さすがにデスクトップPC向けCore i7-7700搭載機といったところだ。

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 グラフ4は3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」の総合スコア(Score)とGraphics score,並びにCPU scoreをまとめたものだ。スコアの傾向はFire Strikeと変わらず,総合スコアとGraphics scoreは,NEXTGEAR-SLIM比で70〜76%ほどに留まった。一方でCPU scoreは,NEXTGEAR-SLIM比で25%ほど高い結果となっている。

画像集 No.027のサムネイル画像 / 初代PS3より小さなASUSのゲームPC「ROG GR8 II」をテスト。GTX 1060 3GB+i7-7700搭載でMMORPGも実用的に遊べる

 次に,「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)を実行してみた。テスト方法は,GPU計24製品でFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを実行したレビュー記事に準拠しつつ,グラフィックス設定プリセットは「標準品質(デスクトップPC)」と「最高品質」を選択,解像度は1920×1080ドットのみとしている。比較対象には,レビュー記事におけるGeForce GTX 1060 3GB(以下,GTX 1060 3GB)の結果を参照してみることにした。レビュー記事では,CPUに「Core i7-7700K」を使っているほか,チップセットやメモリモジュール,ストレージも異なるが,参考程度にはなるだろう。

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 測定結果をまとめたものがグラフ5,6だが,スコアはGTX 1060 3GB比で88〜96%程度,平均フレームレートは90〜97%程度となり,いずれもGR8 IIが下回る結果となった。考えられる原因の1つは,GPUのベースクロックはどちらも同じ1506MHzであるものの,GR8 IIの筐体では冷却能力の都合からブーストクロックが先のレビュー記事と比べて低く推移した可能性はある。もちろん,「K」付きか否かというCPUの違いや,ドライバのバージョンが影響しているというのも十分に考えられるが。

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 さて,ベンチマークテストの結果は良好だが,実際のゲームではどうなるか。今回は,筆者が普段プレイしている「Elder Scrolls Online」(以下,ESO)で試してみることにした。ESOは,グラフィックスの負荷が極端に高いゲームではないのだが,描画品質を上げた状態で多くのプレイヤーが画面内に入るレイドや対人戦になると,GeForce GTX 1070と「Core i7-4770K」を搭載する筆者宅のゲームPCでも,表示がかなり“重く”なることがある。

GR8 IIで実行したESOのグラフィックス設定。「最高」プリセットが自動で割り当てられていた
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 そんなわけで,ESOをインストールしてログインしてみると,自動設定されたグラフィックス設定の初期状態は,最も高いプリセットである「最高」だった。「さすがにこの設定では負荷が高すぎるのではないか」と考えながら,プレイヤーが多数集まる街や人気のスポット,対人戦の戦場などを回ってみたのだが,意外なほど快適で驚いた。
 ゲームの機能でフレームレートを表示しながらプレイしてみると,キャラクターやエフェクトが増えて描画負荷が高まった状態でも,30fpsを割り込むことはなく,実に快適だ。負荷を高めてみようと,画面上にさまざまな情報を表示するアドオンをいくつか入れてみたところ,瞬間的にフレームレートが30fpsを割り込んだことはあったものの,ほぼ40fps以上をキープできていた。MMORPG程度なら,GR8 IIでも快適にプレイできそうな感触である。

テストプレイ中に30fpsを割り込んだ数少ないシーン。画面左下にfpsが表示されている。ボスキャラが登場した直後で,周囲にいる20人くらいのプレイヤーが一斉に攻撃を叩き込んだため,エフェクトが派手に飛び交い,アドオンによるデバフ情報が大量に並んだ状態だ
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 プレイの様子を,AVerMedia Technologies製のゲーマー向けビデオキャプチャデバイス「AVT-C878」で録画した動画を掲載しておこう。画面左下に表示されているフレームレートを見ると,おおよその負荷がイメージできるかもしれない。



性能良好だがネックはやはり価格


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 まとめに入ろう。
 GR8 IIは,事実上の前世代モデルとなるG20よりも小さくなった筐体で,ゲーマー向けデスクトップPCとして実用的な性能を実現した製品と言える。FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの結果からすると,小型筐体を採用したことによる性能面のデメリットがまったくないわけではなさそうだが,決して大きくはない。GPUのスペック的に,どんなゲームでも最高設定で快適とはいかないが,ミドルクラス市場向けGPUを搭載するゲームPCとして,十分に活躍できるだろう。
 本体上部に排気孔があるため,動作負荷が高まった場合は,相応にファンノイズが聞こえてくるものの,うるさくてゲームに集中できないほどではなかった。インタフェース類のレイアウトもごく普通なので,NEXTGEAR-SLIMのように,端子類の配置に難があったりもしないため,使い勝手に不満を感じることはないはずだ。

 性能面では悪くないGR8 IIだが,ネックはやはり価格だ。評価に使ったGR8 II-T084Zの場合,店頭での税込実勢価格は18〜21万円前後(※2017年7月8日現在)。一方,GR8 IIよりGPU性能の高いNEXTGEAR-SLIMで,ほぼ同じスペックとなる「NEXTGEAR-SLIM is100SA1」の場合,BTO標準構成価格は20万2824円(税込,2017年7月8日現在)となっている。また,MSIの小型ゲームPCである「Trident 3 VR 7RC-075JP」は,GeForce GTX 1060 6GBとCore i7-7700を搭載して,税込19万8000円(※2017年7月8日現在)で販売中だ。これらに比べると,価格対スペック比という点でGR8 IIにやや割高感があるのは否めない。

 価格が気になるところではあるものの,ゲーム用途で実用的に使えて,なおかつ見た目も個性的な小型デスクトップPCが欲しいという人にとっては,GR8 IIは有力な選択肢と言えるのではないだろうか。

ASUSのGR8 II製品情報ページ

ASUSTeK Computer 公式Webサイト

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