連載
極私的コンシューマゲームセレクション:第29回「オーディンスフィア」
» 編集部のgingerは,本連載で「アイドルマスター」に始まり,「キミキス」「アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩(メタファリカ)」と,かなり突っ走った紹介記事ばかり書いているので,そのことばかり記憶に残っている読者もいるかもしれない。そんな(?)gingerが今回紹介するのは,プレイステーション 2向けの「オーディンスフィア」。気になる人はぜひご一読あれ。
一方,筆者の隣の席では,気がつけば四六時中,地球を侵略せんとするエイリアンやら,どこぞのテロリストやらと殺し合いばかりしている,それはそれで困ったカジュアルオヤジが今日も盛大に銃声を響かせているのだが,こういう人とは一生理解し合えそうにない。たぶん。
そんな筆者が今回紹介するのは,アトラスから発売中のプレイステーション2用ソフト,「オーディンスフィア」だ。横スクロールタイプのアクションRPGである本作は,防御力があるのかないのか分からない鎧(の一部)を身にまとい,魔力を秘めた槍を手にした可愛らしいお姫様が,仲間と共に大活躍するという,もうそれだけで筆者の厳正なる脳内審査員達がこぞって10点満点の札を挙げてしまいそうになるゲーム。なお,本作の開発には「プリンセスクラウン」の開発で知られるヴァニラウェアが当たっている。
絵本のような世界でお姫様(と王子など)が大活躍
本作では,5人のキャラクターそれぞれに用意された章を順番にクリアしていき,やがて世界の終末に立ち向かっていくことになる。ちなみに,パッケージイラストの中央下で本を広げている女の子はアリスという名前で,この物語はアリスちゃんが読んでいる本の中のお話であるという体裁が採られている。
●グウェンドリン(CV:川澄綾子さん)
魔王と恐れられる魔導王オーダインの娘にして,一人めの主人公。物静かな雰囲気だが,戦場ではワルキューレとして勇敢に戦う。なぜか手足にしか鎧をつけていないが,理由はたぶんそのほうが可愛いからだと思う。
●コルネリウス(CV:浪川大輔さん)
登場するなり,何者かの呪いによってウサギのような姿の“プーカ”という生き物にされ,しかも気がついたら冥界にいたという,不遇極まりない王子。実はイケメンで,呪いをかけられる前はベルベットといい仲だった。2人めの主人公。
●メルセデス(CV:能登麻美子さん)
3人めの主人公は,妖精の国リングフォールドのお姫様……だったのだが,母親である先王の死によって,幼くして女王の座を継ぐことに。現在はまだ発展途上だが,母親は目玉が飛び出るほどのナイスバディなので,この子も将来有望だ(?)。
●オズワルド(CV:千葉進歩さん)
龍を殺した黒の剣士として恐れられている,4人めの主人公。得意技である,ポエムのようなクサイ台詞で,眠りの魔法にかけられていたグウェンドリンのハートを奪った,にっくきイケメン。でも実はいいヤツかもしれない。グウェンドリンは渡さないけど。
●ベルベット(CV:沢城みゆきさん)
一夜にして謎の滅亡をとげた魔法王国のお姫様で,現在は素性を隠し,森で暮らしているという5人めの主人公。ヘソ出し+絶対領域という,色っぽいにもほどがある出で立ちで,プレイヤー(主に筆者)の心を幻惑する,恐るべき魔女。
プリンセスクラウンで,2Dドット芸術の一つの頂点に達したといってもいい,ヴァニラウェアならではの美しいグラフィックスは本作においても健在で,本作の大きな魅力となっている。本作のグラフィックスは,一見すると2Dのように思える3Dグラフィックスで,絵本の世界をそのままゲーム化したような,美麗で独特の色づかいによってエリオン大陸の風景が描かれている。グウェンドリンのあまりの愛くるしさに,周囲のものが一切目に入らない筆者にして,思わず目を奪われてしまうほどだ。
見た目以上にハード。レベルアップとマジックミックスで切り抜けろ
各章のアクションステージは,いくつかのフィールドが連結された形になっており,次へ進むためには,そのフィールドの敵を全滅させる必要がある。そして,最深部で待ち構えているボスを倒すことで,次の章へ進めるようになる。
道中で現れる雑魚や中ボス,各章の大ボスなどは,序盤のうちこそルンルン気分でなぎ払える程度の強さだが,中盤からは次第にそうもいかなくなってくる。とくに問題なのが,中ボス大ボスはいざ知らず,そこいらの雑魚でさえ,こちらの攻撃でのけ反りにくくなることで,どんなに切りつけられていようがお構いなしに突っ込んでくるようになる。
たとえ雑魚相手といえども挟み撃ちにされると,たちどころにして天に召されてしまうだろう。こうならないためにも,距離をとってヒットアンドアウェイ戦法を心がけたいところだが,やはりなんといってもキャラクターのレベルを上げ,アイテムを上手く使いこなすのが一番の近道だ。
食べ物は各地の商人から購入可能なほか,倒した敵や宝箱などから入手できるが,植物の種を植えて育て,その実を収穫することでも入手できる。食べ終わった果物の種を育成すれば再度収穫できるので,なんだか得した気分になる。また,材料を集めてプーカの料理屋に持っていくと,そのまま食べるよりも多くの経験値が入る料理を作ってもらえる。
また本作では,「マジックミックス」によって各種の魔法薬を作り出せるので,こちらも有効に活用したい。これは,魔法薬の元となる「マテリアル」に,さまざまな薬草(マンドラゴラ)を混ぜ合わせて,攻撃や回復のためのアイテムを調合するというもの。
マンドラゴラはフィールドの地中に隠れているのだが,その上を歩くと鳴き声をあげるので,すぐに分かるだろう。鳴き声が聞こえた場所でジャンプすると,びっくりしたマンドラゴラが地面から飛び出してくるので,そこを武器で攻撃するなどして気絶させたところを捕獲するのだ。生のままムシャムシャ食べると,ほんのちょっぴりだけ体力が回復するので,よほど切羽詰ったときはこちらもどうぞ。
繰り返しになってしまうが,本作は見た目の可愛らしい雰囲気とは裏腹に,中盤以降の敵の攻撃がかなり激しい。本作のアクションは全般的に隙が大きく,動作に独特のクセがあるため,ますます難しく感じるだろう。プレイ中はいつでも難度を変更できるので,こりゃアカン! と思ったときは迷わずEASYモードにしてしまおう。EASYモードでも,とくにゲーム進行に制限などはない……のだが,それでもやっぱり即死するときは即死してしまう。
似たようなマップで,似たようなことを5人の主人公で繰り返さなければいけない(ボスもほぼ共通)という点は,もう一工夫ほしかったところだが,絵本のような美しいグラフィックスにはやはり一見の価値がある。本作の雰囲気や,お姫様方の愛くるしさに魅了されてしまった人は,見た目以上にシビアなゲームバランスであることを覚悟のうえで本作を手に取ってみよう。
|
オーディンスフィア
対応機種:プレイステーション 2メーカー:アトラス
発売日:2007年5月17日
価格:7329円(税込)
CEROレーティング:A(全年齢対象)
公式サイト:http://os.atlusnet.jp/
- 関連タイトル:
オーディンスフィア
- この記事のURL:
(C)ATLUS CO.,LTD.2007 ALL RIGHTS RESERVED.