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[GDC2008#05]IntelにAMD,NVIDIA,MSらの大連合,「PC Gamimg Alliance」設立が正式発表
PCGAとは,マーケティングデータのシェアや販売奨励システムの安定化,海賊版対策といった,広義的な“PCゲームの販促活動”における指標作りを推し進めようという非営利団体で,発足時点におけるメンバー企業(アルファベット順)は以下のとおりとなる。
- Acer/Gateway
- Activision Blizzard
- AMD
- Dell/Alienware
- Epic Games
- Intel
- Microsoft
- NVIDIA
この8社(Acerの子会社であるGatewayと,同じくDellの子会社であるAlienwareを入れると10社)は,「Promoter」(プロモーター)として役員的な地位にあり,PCGA運営に当たっての資金提供を含め,PCGAの活動へ積極的にかかわっていく。また,PCGAに賛同するメーカーは「Contributor」(コントリビューター),PCGAの活動を受け入れるメーカーは「Adopter」(アダプター)としてリストアップされる仕組みで,発足前日には,ゲーマー向け周辺機器メーカーのRazerがContributorとしてPCGAに加わっている。
Stude氏はPCGAの第1期CEOに就任し,会長にはDellのゲームアーキテクチャ部門シニアマネージャーであるRick Carini(リック・カリーニ)氏が選出されている。さらにいうと,予算委員長にはAMDのRitche Corpus(リッチー・コーパス)氏,そして技術主任にはNVIDIAのRoy Taylor(ロイ・テイラー)氏らが選出されるなど,Promoter各社におけるゲーム部門の責任者達が顔をつきあわせることになる。
PCゲーム関連の統一市場データ収集を目指すPCGA
具体的なロードマップ作成が急務か
「現在のPCゲーム市場では,オンラインゲームの台頭や流通体系の変化により,現実的な市場データが不足してしまっていることが,大きな足枷(かせ)になっている」と,発表会でStude氏は述べた。ゲーム機の場合,そのハードウェアを製造&販売する企業,いわゆるプラットフォームホルダーに統計データが集まるのに対し,PCゲーム市場の場合は,先の理由のため,リサーチ会社によって調査結果がまちまちとなり,結果,どのデータを採用するかによって,小売店やエンドユーザーに与える印象が異なってしまう,というわけだ。この問題を是正するため,PCGAが旗振り役となって,統一された市場データを集計しようというのが,活動の主軸の一つとなるようである。
Stude氏は,「『どのゲームタイトルをプッシュするか』を選ぶときの重み付けが各パブリッシャによって異なり,それがエンドユーザーの混乱を招いている」とも指摘していたので,ゆくゆくは統一マーケティングプログラムのようなものを行うビジョンもあるようだった。またもちろん,ゲーム産業が拡大することによって否応なしに規模が大きくなる海賊版への対策も,今後はPCGAが主導していく予定だという。
不安要素はほかにもある。例えばインターネットカフェを中心として,オンラインゲームが盛んなアジア,あるいは独特なPCゲーム文化が花開いている東欧などを抜きにPCゲーム市場は語れないはず。この点について筆者は質問をぶつけてみたのだが,PCGAの影響力を北米地域以外でどのように浸透させていくのかなどは不透明で,なんとも頼りない。現在は1か月に1回程度のミーティングを行っているそうだが,PCGAのロードマップが具体化するには,まだまだかなりの時間がかかりそうな気がする。
ただ,PCハード&ソフトウェアメーカーがこういった問題を長いこと放置し続けてきたのは確か。そんな状況に対して,業界のビッグネームが「どうにかしたいと思います」と連名で発表したことは,相応に有意義といえるかもしれない。
我々PCゲーマーにとって大いに関係のある話だけに,PCGAの今後の活動については,注意深く,そして期待して見守っていきたいところだ。
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