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極私的コンシューマゲームセレクション:第28回「jackass the game」
» 今回の「極私的コンシューマゲームセレクション」では,アメリカ在住経験のあるnoguchiが,アメリカで販売されているPSP向けタイトル「jackass the game」を紹介する。画面撮影中に,通りがかるスタッフ誰もが,薄ら笑いを浮かべながら「何これ?」と聞かずにはいられない“バカゲー”の匂いがするこのタイトル,いったいどんなゲームなのだろうか。
※編集部で試した限りでは,jackass the gameは国内版のPSPで動作したが,メーカー,4Gamer編集部および筆者が動作を保証するものではないので,あらかじめご了承いただきたい。また本作は英語版のソフトであり,ゲーム画面や各種メッセージ,マニュアルなどはすべて英語なので,注意してほしい。
バカバカしさが突き抜けている愛すべきバカゲー
jackassを簡単に説明すると,「底抜けに陽気な出演者達が,大量のワサビを鼻から吸ったり,手足の指の間をわざと紙でこすって切ったりといった無駄なことをひたすら行う」アメリカのケーブルテレビMTVで放送された番組だ。
一つのスタント(ネタ?)は,数秒から数分で終わり,それらがまとまって一つの番組として構成されている。基本的なコンセプト自体はそれほど目新しいものではなかったが,一つの一つのネタが斬新すぎるというか,バカバカしさが突き抜けていて話題になり,放送当時のケーブルテレビ史上最高の視聴率を獲得した。なかには真似をする人が現われ,怪我をしてしまったことなどがあり(ネタによってはかなり危険),社会問題化したことでも有名。アメリカ人なら,見たことがなくても知っている番組の一つだろう。
jackassは放送終了後2002年に映画化され,ゴールデンラズベリー賞では,その年に新設されたMost Flatulent Teen-targeted Movie(もっとも頭が空っぽな十代向け映画)に輝いた(?)。この映画は,アメリカで映画が公開されているときに,たまたま現地で観た私がいままでもっとも映画館で笑った作品の一つである。
そんなjackassが2007年に「jackass the game」(以下,jackass)としてゲーム化され,プレイステーション2,PSP,ニンテンドーDS版が発売されたと聞き,その内容を確かめずにPSP版をWeb通販で即買い。注文後,到着するまでは,こんなもの(あえて愛を込めてこんなものと呼ばせてもらう)をどうやってゲーム化したのかが激しく疑問だったが,一つ一つのネタをミニゲーム化して収録したという,予想以上に素直なものだった。
とはいえ,単なるミニゲーム集というわけはない。下品さは控えめになっているものの,ゲームということもあり,ぜったいに怪我をすることや死んでしまうことがないので,過激度はテレビ/映画よりもガッツリとアップ。一つ一つのミニゲームが,ちゃんと“jackass”しているのである。というわけで,本作ならではといえるミニゲームをピックアップして紹介しよう。これらを見れば,jackassが好きと堂々と言えないというか,好きというには人を選ぶというか,その理由が分かってもらえるはずだ(と思う)。
ちなみに,出会って日が浅い人などに,好きな映画はなんですかと聞かれたときは,「ショーシャンクの空に」とか「ライフ・イズ・ビューティフル」などと答えるようにしている(本当はどちらも見たことはないが)。
日本で公開された映画「ジャッカス・ザ・ムービー」は,大人の事情があり,アメリカで公開されたものと内容が微妙に違った。パーティーボーイが渋谷で踊り狂うネタが収録されていなくて残念だ |
jackassには,のろま,間抜け,あほ,田舎者,ばかといった意味がある。まあ,こんな言葉を使うことも使われることもないだろうが |
■roof top cart stop
jackass定番ともいえるショッピングカートネタで,ビルの屋上でショッピングカートを押して,チキンレースを行うというもの。調子こいてスピードを上げ過ぎると,止まれずにビルの端から落ちてしまう。もちろんビルは,「ゲームで良かった」という高さになっている。CPUと一対一で5回戦い3回以上勝てばクリアだ。
ローディング画面の,人をバカにしたような絵もたまらない |
この画面を見る限り,落ちたら無事ではいられなさそうだ |
■golfwar
これまたjackassの定番であるゴルフカートもの。カートに乗ってゴルフ場にある旗を4人で奪い合い,1分30秒経過した時点で,1番多くの旗を持っていた人が勝ち。相手のカートに自分のカートをぶつけると旗を奪えるのだが,あんまりぶつけすぎているとカートが変形してしまい(煙も吹く)スピードが落ち,まっすぐ走るのもおぼつかなる。
ぶつけ合っているうちに変形してしまうゴルフカート。テレビ/映画ではカートだけでなく人体も変形,もとい怪我をしていたなあ |
ちなみに,ゴルフ場のカートでは同乗者が振り落とされるというのが一番多い事故らしい |
■extreme juggling
野球のボールをお手玉していくのだが,ときおり火がついた爆弾を渡される。爆弾は,爆発する前に捨てられば問題ないが,落としてしまったり,一定時間が経ったりすると爆発してしまう。お手玉を成功させるか爆弾をきちんと処理(投げ捨てる)できると得点が入り,1分間経った時点での得点でクリアか否かが決まる。
ボールを四つ回しだすとかなり忙しくなるが,その分得点を稼ぎやすい |
爆発しても死にはしないが,一定時間動けなくなってしまう |
■wee hand
広げた手の指の間にナイフを刺していくという,比較的なじみ深い(?)スタント。ナイフは自動的に動かされるので,タイミングよくボタンを押せばいいだけ。5回失敗するか,時間制限がくるまでの得点でクリアかどうかが決まる。余談だが,私は中学のときに彫刻刀で同じようなことをやって,左手の薬指に若気の至りを刻んだ経験がある。
失敗すると,ちゃんと指に傷が残る。痛いわけはないのだが,なんだか痛みが伝わってくるような気がするから不思議だ |
失敗すると,ちゃんと悲鳴もあがる。左手の薬指の古傷がうずくのは気のせいだろうか |
■egg gulp
卵(たぶん茹でてあるような気がする)をひたすら食べて,嘔吐するという,おそらくこのゲームの中でもっともくだらないミニゲーム。1分以内に2回以上吐ければクリアだ。唯一,一発でクリアできたミニゲームがこれだけというのも情けない。
ゲロは見えないとはいえ,想像するとなんだか胸のあたりがむかついてくる。なにはともあれ,お食事中の方はすみませんでした |
そういえば映画版は,映画館で最も笑った作品だったが,最もゲロを多く見た(見せられた?)映画でもあった |
収録されているミニゲームは,上で紹介したように,番組/映画と同じくバカバカしいものばかり。ゲームには,ストーリーモードとチャレンジモードの二つが用意されており,ストーリーモードを進めていくことで,チャレンジモードで遊べるミニゲームが増えていく。ストーリーモードは七つのエピソードで構成されており,1エピソードに五つのミニゲームが収録されている。各ミニゲームの内容自体がネタになっており,新しいミニゲームが登場するたびに,そのバカバカしさを笑うことになる(もちろん笑えない人もいるだろうが)。
あんまり広がってほしくはないけど広がっているjackassの輪
例えば,ゴルフカートに乗っているときにこのボタンを押すと,搭乗しているキャラクターがカートから落ちる(飛び降りる)のだが,タイミングしだいでは,ほかのカートに轢かれ,嫌な音を立てながら怪我をする。もともとがお笑い番組(映画)なので,スタントのクリアは第一の目標ではなく,いかに笑いを取るかがポイントであり,あっさり成功してしまっては意味がない。というわけで,“おいしい”ポイントで押すのがこのbail outボタンなのである。笑いのために体を張る(ゲームオーバーになる)という,侠気(おとこぎ)に溢れた機能なのだ。そしてこんな無駄をわざわざ実装するのが好き。
自分で作ったリプレイやショウをより多くの人に見てもらうために,本作にはネット上にそれらを公開できる仕組みがあり,原稿執筆時でリプレイが400,ショウが300以上公開されていた。また,各リプレイとショウに評価をつけられるようになっていて,高評価のものは出来がいいものが多い。笑いをとるために,ゲームを遊んだあとでリプレイを編集するという努力をしているわけだ。一応,ESRBのレーティングはM(17歳未満は購入不可)なので,わりといい大人が夜な夜なそんなことをやっているのかと思うと,そのシチュエーションに笑えてくるし,そんな奴らがいることに嬉しさを覚える(まあ,ほとんどが海の向こうに住んでいるのだろうが)。
ちなみに,この手のテレビ/映画につきものの注意書きは,jackassにもあるのだが,日本で発売されたjackassのDVDの字幕などは“危ないことをしてるのはスタントマンかバカです。良い子や,クソガキ,幼稚な大人の方は絶対にマネしないように”とかなり悪ノリした意訳が掲載されている。まあ,この記事に載っているミニゲームの真似をする人はいないと思うが,真似しないでくださいね,本当に。
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jackass the game
対応機種:PSPメーカー:Red Mile Entertainment
発売日:2007年9月27日
価格:29.99ドル
ESRBレーティング:M(17歳以上対象)
公式サイト:http://www.jackassthegame.com/
- 関連タイトル:
jackass the game
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