テストレポート
「GeForce 9800 GT」パフォーマンス速報。65nm版は「GeForce 8800 GT」とまったく同じ
65&55nmプロセス版が用意される9800 GT
65nm版は仕様も外観もGeForce 8800 GTと瓜二つ
実際の搭載カードとなるZOTAC GeForce 9800 GT AMP! Editionはクロックアップモデルで,動作クロックはコア700MHz,シェーダ1700MHz,メモリ2GHz相当(実クロック1GHz)。
PCI Express用6ピン電源コネクタを1基搭載する,長さ228mm(※実測値。突起部除く)のカードを,1スロット仕様のGPUクーラーが覆うという外観も,GeForce 8800 GTのリファレンスカードそっくりだ。
ちなみにGPUクーラーだが,負荷のかかっていない状態で40%,900rpmほどにファン回転数は抑えられているが,GPU温度が80℃近くなると70%,1500rpm程度にまで上がり,筆者には若干耳障りに感じられるようになった。
製品付属のドライバで検証
リファレンスクロックでのテストも実施
比較対象として用意したのは,GeForce 8800 GTを搭載するZOTAC International製品「ZOTAC GeForce 8800 GT」。スペックの同じGeForce 9800 GTとGeForce 8800 GTで,パフォーマンスも同じなのかを,検証しようというわけである。
そのほかテスト環境は表2に示したとおり。テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2に準じるが,スケジュールの都合上,「Unreal Tournament 3」と「Half-Life 2: Episode Two」は省略する。
なお以下,文中,グラフ中とも,グラフィックスカード名ではなく,「GeForce」を省略したGPU名で表記を行う。また,9800 GTはクロックアップ状態とリファレンスクロックの2種類でテストするため,前者を「9800 GT[OC]」と呼んで区別する。
「スペックが同じ=性能が同じ」という
当たり前の事実を確認する結果に
さっそくテスト結果の考察に入ろう。グラフ1,2は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の結果である。やはりというかなんというか,「標準設定」「高負荷設定」とも,9800 GTと8800 GTのスコアは見事に横並び。9800 GT[OC]は,リファレンスクロックモデルと比べて,最大で約11%のスコア向上が見られる。リファレンスクロック比でコアが16%,シェーダプロセッサが13%,メモリが11%高いことを考えると,ほぼ妥当といったところか。
3DMark06のデフォルト設定となる解像度1280×1024ドットの標準設定で,Feature Testの主要テストを行った結果がグラフ3〜5である。ここでは9800 GTと8800 GTのスコアのみを抜粋しているが,これまた「9800 GT=8800 GT」という結果になっている。
実際のゲームタイトルにおけるパフォーマンスを見るべく,FPS「Crysis」のGPUベンチマーク「Benchmark_GPU」のテスト結果をまとめた結果がグラフ6,7だが,テスト傾向は3DMark06と同様だ。9800 GT[OC]のスコアが9800 GTおよび8800 GTより最大で1割程度高い。
続いてTPS「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下,ロスト プラネット)のベンチマークモード「PERFORMANCE TEST」から,実ゲームに近い傾向を見せる「Snow」の結果がグラフ8,9。ここでも9800 GTと8800 GTのスコアは変わらず。クロックアップの伸びもCrysisと似た傾向だ。
そろそろ飽きてきたが,最後はRTS「Company of Heroes」の結果(グラフ10,11)。もはや,何もいうことはないスコアである。
消費電力も8800 GTと変わらず
GPUクーラーも同じ!?
ここまで同じスコアが並ぶと,消費電力についても想像はつくが,念のためチェックしておこう。
電力変化のログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」を利用して,システム全体の消費電力をチェックした結果がグラフ12である。グラフ中の「アイドル時」は,OSの起動後30分間放置した時点。アプリケーション名があるところは,当該アプリケーションベンチマークを30分間連続実行し,最も高い値をマークした時点の,それぞれスコアとなる。
グラフを見ると数W単位の測定誤差は確認できるが,アプリケーション実行時に210W強という点では,9800 GTと8800 GTに違いはない。アイドル時のスコアも2Wしか違わないので,これは同一と断じてしまっていいだろう。65nmプロセス版の9800 GT搭載カードに関していうと,8800 GTから,カードデザインや搭載コンポーネントなども変わっていない公算が高い。一方,9800 GT[OC]の消費電力は比較的高め。
3DMark06を30分間連続実行した時点を「高負荷時」として,前出のアイドル時とともに,GPU温度を取得した結果がグラフ13である。テストシステムは室温24℃の環境にバラック状態で置かれており,GPU温度測定機能を持つ汎用ユーティリティソフト「ATITool」(Version 0.27 Beta 3)から,スコアを取得しているが,それを見る限り,どうやらZOTAC GeForce 9800 GT AMP! Editionは,ZOTAC GeForce 8800 GTが採用する第2世代の(ファン口径の大きな)8800 GT用リファレンスクーラーを,そのまま流用しているようだ。
なお,9800 GT[OC]のGPU温度が高負荷時にもそれほど高くなっていないのは,前述したとおり,GPU温度が80℃近くなると,ファン回転数が上がるようになっているためである。
8800 GTが市場にあるうちは購入する理由がない
少なくとも55nmプロセス版に切り替わるのを待つべき
とにもかくにも問題はその価格。“新製品”ということもあって,9800 GT搭載カードの価格は,8800 GTより高めなのである。既存製品とまったく同じスペック&性能で,価格は既存製品より高いわけで,9800 GTを積極的に選択する理由はない。しかも価格帯で見ると,8800 GTのすぐ上には競合の「ATI Radeon HD 4850」が存在するのだ。
NVIDIAが予告している以上,9800 GT搭載カードはいずれ55nmプロセス版に切り替わり,それは消費電力の低減,あるいはクロックアップモデルのさらなるクロック上昇につながるはずだ。しかし、現状の9800 GTが65nmプロセスである以上,8800 GTからのアドバンテージは期待できない。
55nmプロセス版を入手したら,あらためて検証してみたいと思うが,9800 GTは嵐の中の船出になってしまったといわざるを得ないだろう。
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GeForce 9800
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