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Still Life 2
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印刷2009/09/28 10:51

連載

海外ゲーム四天王 / 第17回:「Still Life 2」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第17回:今週のミニスカ:「Still Life 2」
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 サイコキラーをテーマにしたアドベンチャーゲーム「Still Life 2」は,勘の鋭い読者の人なら薄々お気づきのとおり「Still Life」の続編だ。賛否両論のエンディングで知られるStill Lifeだけに,「続編が気になって気になって仕方がない」という人が日本全国に30人ぐらいいれば嬉しいのだが,いかがでしょうか。
 今回もFBI特別捜査官ビクトリア・マクファーソンを操作して証拠や証言を集めたり,科学捜査の力を借りたりして凶悪な犯罪者に迫っていくのだ。そんな本作を,海外ゲーム四天王の一人であり,推理小説を最後のほうから読む松本が紹介する。「今回こそ,ビッキーのミニスカに何か意味があると思う」と語るので,たぶん来年の春ぐらいまでかかってもゲーム内の事件は解決しないだろう。

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 ビクトリア・マクファーソン。FBIシカゴ支局の特別捜査官。タフな捜査ぶりには定評のある彼女だが,今は市内で発生した連続殺人事件に手を焼いている。クリスマスの夜,実家に戻った彼女は,屋根裏で祖父,ガス・マクファーソンの手記を発見する。そこには約70年前,祖父がプラハで遭遇した殺人事件の様子が細かく書かれており,それを読んだビッキーは一驚した。なぜならそれは,彼女が追っている事件と瓜二つだったのだ……。

 というオープニングで始まる,「Still Life」(2005年)は発売直後から欧米のメディアおよび多くのファンから賞賛を受けたアドベンチャーゲームだ。美しいグラフィックスと説得力のある人物描写,そして緻密に構成されたストーリー展開が高評価の理由だったと思うが,ただ一点,メディアとファンが口を揃える問題点があった。それが――詳しくは書けないが――エンディングだ。前作を熱烈プレイした筆者としても,マジ! とビックリしたり驚いたりしたものだが,そのためかどうか,続編を求める(もっぱら筆者の)声が多かったのも事実だ。

 

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 パブリッシャのMicroidsが,ようやくその要望に応えたのが2007年末のことで,やや遅れはあったものの,おおむね予定どおりの2009年に続編「Still Life 2」がリリースされた(パブリッシャの関係で,ドイツは2009年4月発売だが,ほかの欧州地域は5月,北米は8月とややこしいことになっている)。開発は前作のMicroidsに変わってGamesco Studiosというあまり知られていないデベロッパが担当しており,これが処女作になるらしい。

 ビッキーの前に立ちはだかるのは“East Coast Killer”という,あまり芸のないあだ名で呼ばれるシリアルキラーだ。前作で「辞めてやる!」と上司の前でタンカを切ったビッキーだったが,いろいろあって今はEast Coast Killer事件の捜査責任者を務めているようだ。

 

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 Still Lifeでは,このビッキーが主役を務める「現代/シカゴ編」と,ガスが捜査をする「過去/プラハ編」が交互に出てきてメリハリを利かせていたが,今回ガスは引退し,その役をテレビレポーターのパロマ・ヘルナンデスが受け継いでいる。スクープをモノにするためビッキーに接近したパロマだったが,どうしたわけだかEast Coast Killerの標的にされてしまい,ゲーム序盤でいきなり犯人の薄気味悪いアジトに誘拐されてしまうのだ。

 かくしてプレイヤーは,死のトラップがあちこちに仕掛けられた殺人鬼の家から脱出するため四苦八苦するパロマと,パロマの足どりを追跡するビッキーの二人を交互に操作してゲームを進めていくことになる。常に犯人にカメラで監視されながら,パズルを一つずつ解いていくパロマ。失敗すると即死でゲームオーバーという設定は緊張感が高く,また,キビキビと捜査を進めるビッキーの姿も魅力的だ。相変わらず怒りっぽいけど。

 

コラム:ビクトリア再び
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 ストーリーやゲームシステム,パズルの内容など,アドベンチャーゲームの評価を決定づける要素はいろいろあるが,このシリーズ最大の魅力はなんといってもキャラクターだ。戦車のような四駆を乗り回してバイタリティあふれる捜査活動をするものの,実家の自分の部屋はメルヘン調でウサギのスリッパを履いているビッキー。前作ではそんな主人公ビクトリア・マクファーソン(本人は,“マクフィアソン”と発音する)の個性を際立たせる演出が随所に見られたものの,今回,それがやや薄くなってしまった気がする。
 ちなみに,“2”からいきなり始めると,たぶん話が全然分からないと思うので,チャンスがあればぜひStill Lifeもプレイしよう。ただし,日本語版がないのが非常に残念。

 

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 とはいえ,ゲームの第一印象はあまりよくない。2009年4月20日に掲載したStill Life 2のデモ版をプレイしたとき,「もっとグラフィックスのブラッシュアップがいるだろうな」と思ったのだが,結果として製品版もデモ版とあまり変わらなかったのだ。前作同様,2Dで描かれた背景を3Dモデルのキャラクターが動き回るポイント&クリックスタイルのシンプルなアドベンチャーなのだが,背景もモデリングも前作よりレベルが低下した印象を受ける。
 キャラクターの動きもちょっとギクシャクしており,操作性は必ずしもよくない。音楽がプッツンしたりとかのバグっぽい部分も散見できる(これは今後のパッチに期待)。

 

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 また,持ち歩けるアイテムの数に制限があり,それを超えると戸棚にしまうことになるというのが新フィーチャーの一つだが,かなり進んで「あ,忘れた!」というとき,いちいち遠くの戸棚に戻らなければならないのは,ゲームの本質的な部分とはちょっと違うだけに,面倒さが先に立つ。要らないアイテムもたくさん手に入ってしまうのなら,それなりに頭を使う必要があって面白くなったかも知れないのだが。
 まあ,注文の多さは人気タイトルの続編が持つ宿命だ。シリーズのファンにとっては,やはり,Still Lifeでぶちまけられた謎がすべて解き明かされるのか? というところに興味が尽きるのではないかと思うが,それは言わない約束だよ,おとっつぁん。

 

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 捜査の途中で手に入る証拠は多く,長い英文と格闘する必要はあるものの,じっくり読めば「おや,これはもしかして?」と脳ミソを刺激してくれるだろう。追う者と追われる者という構図は明確だし,時間軸が行きつ戻りつする展開もクールでいいぞ。また,前作のパズルパズルした謎解きに比べ,今回はストーリーに沿った謎解きになっており,没入度は高い。前作の「鍵開けパズル」で三日ぐらいかかった筆者も,本作では……う,ここからどうやって出るの?

 果たして,オチャメなガスマスクの下にあるEast Coast Killerの正体は? 推理小説の最後のシーンで探偵が「おまえが犯人だ」と名指しするとき,そもそもそれが誰なのかいつも記憶があいまいで困る筆者にその謎が理解できるのか? など,興味は尽きない。気になるところはあるものの,前作をやった経験のある人なら,プレイする価値は十分にあるだろう。

 

コラム:アドベンチャーはどこへ?
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 PCゲーム黎明期,洋ゲーといえばアドベンチャーかシミュレーションのことだった。だが,3Dグラフィックスの登場や,PCの性能アップなどで,「ピュアなアドベンチャー」というゲームジャンルの人気は衰退していく。それを救ったのが,2002年に発売された「Syberia」(邦題,シベリア 日本語版)で,その後しばらくかなりの盛り上がりを見せたのだが,最近またやや低調気味。
 アドベンチャー好きの筆者としては残念なのだが,やはりポイント&クリック式のインタフェースはコントローラーになじみにくく,コンシューマ機で売れないものは,どうしても作りにくいという感じがあるのだろう。
 というわけで,個人的にはソニー・コンピュータエンタテインメントがPlayStation 3向けのリリースを予定している「Heavy Rain」など,アクションを前面に出したアドベンチャーゲームに期待したりしている。

 

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■■松本隆一(4Gamer編集部/探偵)■■
 最近,「ハンダ付けの新時代」という本を買った松本。さまざまなハンダ付けの方法を学んでいるが,なんで学んでいるのかは本人にもよく分からないらしい。しかも,奥付けを見て,それが1985年に出版された本だということに気づいた。新時代というにはちょっと古いかもしれないと悩んでいる。
  • 関連タイトル:

    Still Life 2

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