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ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
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印刷2007/12/06 12:00

テストレポート

ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション

Microsoft SideWinder Mouse
画像集#002のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 北米での発表から実に1四半期(=3か月)。2007年12月7日,「Microsoft SideWinder Mouse」(以下,SideWinder Mouse)がいよいよ発売される。2000年の撤退以来,約7年ぶりとなるSideWinder(サイドワインダー)ブランドの復活を飾るのは,ワイヤードタイプのマウスだ。Microsoftによる価格は79.95ドルと発表されていたが,国内価格は8820円(税込)。日本法人のマイクロソフトはかなり戦略的な価格設定を行ったことになる。
 今回4Gamerでは,発売直前のタイミングでマイクロソフトから日本語版の製品ボックスを入手したので,デザインや機能面を中心に,第一印象をお届けしたい。


“被せ持ち”を最大限考慮した形状

日本人の手にはやや大きすぎ?


 SideWinder Mouseは,最大2000dpiのレーザーセンサーを搭載する右手用の10ボタンマウスである。ただし,いわゆるマウス操作に利用できるのは,左右メインボタンとスクロールホイールボタン,そして本体左側面で縦に二つ並んだサイドボタンの計5個で,残りは解像度変更ボタン×3,マクロ登録ボタン×1,機能固定のショートカットボタン×1という構成になっている。“解像度変更機能などが別途用意された5ボタンマウス”という認識が,ゲーマー的には最も誤解が少ないはずである。

極太スクロールホイールのデキはなかなか。ゲーム用だと使い途がほとんどないチルトを廃した点も高く評価できる
画像集#003のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 細かなスペックは後回しにして,まず触れておきたいのが,機械っぽい外観を持つそのデザイン。とくに目を引くのは上下に並んだ本体左側面の2連サイドボタンと大型のスクロールホイールだが,見た目に反して(?)どちらもなかなかの完成度といってよさそうだ。
 サイドボタンに関しては,親指を縦に動かすという,これまでにない動作を要求する縦並び仕様がどれだけ使い勝手に影響するか,じっくり検証してみなければならないが,少なくともクリック感は良好で,押し間違えの心配はまずない。またスクロールホイールは,動作音が静かながら18刻みはしっかりと指に伝わるというデキのよさで,チルトがないためムダな遊びがないのもいい。

 ただ全体として,この特徴的なデザインが,人を選ぶものになってしまっているのも否めない。
 サイズの公称値は74(W)×125(D)×40(H)mmで,ゲーマー向け定番マウスの一つ「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」(以下,MSIE 3.0)の編集部実測値が同68×132×42mmだから,横に膨らんだ一方,縦方向はけっこう縮んでいる。外観も若干小さく見えるのだが,実際に握ってみると,MSIE 3.0より大きな印象を受けるのだ。

画像集#004のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 おそらくその原因は,形状と重量にある。
 MSIE 3.0に触ったことのある人なら,同製品の“山”が本体中央に用意されているのをご存じと思うが,SideWinder Mouseの場合,山は本体後方で盛り上がる形状になっており,本体後方に急勾配が生まれる。そして,この急勾配を親指の付け根から手のひら,小指の付け根までのラインで包み込むように持つと,SideWinder Mouseは自然に,しっかりと握れる。めでたしめでたし……といきたいのだけれども,手首の位置が低くなるうえ,マウス本体から離れがちになってしまい,一般的な日本の成人男性の手だと,メインボタンやサイドボタンが気持ち遠くなってしまう。いくらなんでも「届かない」ことはめったにないと思われるので,必要以上に心配しなくてもいいような気はするが,それでも“余裕のない感じ”が残る可能性は考慮する必要がありそうだ。

真横から見た状態でMSIE 3.0(右)と比較。“山頂”の位置が異なっている
画像集#005のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション

冒頭で説明した機能固定のボタンは“山頂部”にある。Windows XPだとマウスのプロパティ,Windows Vistaだとゲームエクスプローラを開けるが,存在意義はほとんどない
画像集#006のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 また公称165g,約2m長となるUSBケーブル込みの編集部実測値で162gという本体重量は,最近のゲーム用マウスの中では群を抜いて重い。しかも,センサーは本体前方にあって,重心は前に偏りがち。これを,手首が本体後方にある状態で持ち上げようとすると,かなりの負荷がかかるのである。この重さは間違いなく人を選ぶだろう。

 なお,ざっと基本スペックを押さえておくと,フレームレートは7080fpsで,トラッキングスピード(※マウスを1秒間に最大何インチ動かしたときまで操作に追従できるかを示した値)は45ips。ポーリングレートは500Hzとなる。基本的な仕様に奇をてらったところはないが,言い換えれば,最高クラスのスペックではないということでもある。
 試用時間が短いので,使い勝手についての言及は行わないが,リフトオフディスタンス(※マウスを持ち上げたときに,センサーが反応してしまう距離)は,レーザーセンサー搭載マウスとして比較的短めで,使いやすい印象を受けた。


カスタマイズはハード&ソフト的に可能

IntelliPointは分かりやすさが魅力


 ところでSideWinder Mouseは,「最大で5000通り」とされるカスタマイズ性の高さが最大のウリ。カスタマイズはハードウェアとソフトウェアの両面から可能だが,まずハードウェア的には,以下の3点がサポートされる。

  • 解像度
    200/400/800/1000/1600/2000dpiのうち三つを選んで本体の解像度変更ボタンに割り当てると,ゲーム中(など)いつでも解像度を変更可能
  • マウスソール
    テフロン含有率100/50/0% 3種類のソールが用意され,好きなものを組み合わせられる
  • 重量
    付属の錘(おもり)を専用カートリッジでマウス本体に挿入することにより,+5〜30gの範囲を5g単位で調整可能

マウスソールは爪で引っかけるだけで取り外せるうえ,押し込むだけで取り付けられる。あまりにも簡単に着脱できすぎるので,強度が心配になるほど
画像集#007のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 解像度変更機能はソフトウェアも絡んでくるため後述するとして,マウスソールは付け替えるだけで簡単にマウスの滑りを調整できる。安価さだけが取り柄のマウスのような滑りになってしまう,テフロン含有率0%のソールまで用意する必要はなかったと思うが,別途ソールを購入せずとも滑りを調整できるアイデアそのものは悪くない。
 一方の重量変更機能だが,標準で(ケーブルを含むとはいえ)160g超もあるマウスをさらに重くしようという物好きなゲーマーはほとんどいないはずだ。競合――Logitech(日本ではロジクール)――に対抗した結果なのかもしれないが,このあたりはもう少しゲーマーの意見に耳を傾けるべきだった。

錘を搭載するための機構がなければ,もう少し軽く作れたはずで,この点は非常に残念。一方,ソールや錘をしまっておくケースを,ケーブルアンカー(ケーブルスタビライザー)として利用できるというアイデアはアリだ
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インストール完了直後に表示されるユーザーガイド
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 付属のマウス専用コントロールパネルは「IntelliPoint 6.2」。インストールすると,処理の完了直後に「Microsoftマウスユーザーズガイド」が表示され,新機能の概要や使い方の説明を参照できる。さらに,そこから直接IntelliPointの当該メニューを開けるというのは非常に親切といえ,ゲーマー向けマウスの使用経験が浅い人達にはありがたいのではなかろうか。

マウスのプロパティに組み込まれるIntelliPoint 6.2。「ボタン」タブからは5ボタンへの機能割り当て,「感度」タブでは,「DPIオンザフライ」メニューからマウス上の解像度変更ボタンにより選択できる解像度設定×3を行える
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ボタンに割り当てられる機能。すべて表示しきれないほど選択肢そのものは豊富だ
画像集#013のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 「ボタン」タブに用意された「プログラム特有の割り当てを有効にする」にチェックを入れ,[設定]ボタンをクリックすると,アプリケーションごとの機能割り当てが可能になる。「プログラム特有の設定」ウインドウが開いた状態で[追加]ボタンから(ゲームなど)アプリケーションの実行ファイルを指定すれば,「ボタン」タブと同じ操作で5ボタンそれぞれに機能を割り当て可能だ。
 割り当てられる機能は計38個。その多くはマウスの基本操作や,それこそ[Alt]キー,コピー,ペーストなどといった単機能を割り当てるものだが,SideWinder Mouse,あるいはMicrosoft製マウスならではという機能も以下のとおり用意されている。

  • クイックターン
    3Dゲームでプレイヤーキャラクターを180°回転させる。利用前には当該ゲームを起動し,機能を割り当てたボタンを押しながら視点を360°回転させることで有効化できる
  • ゲームコマンド操作
    PCをログオフ/シャットダウンするまでの間有効となる,簡易的なキーバインド機能。指定したボタンを1秒押し続けると記録可能になり,長押ししつつ最大64個のキーの組み合わせを入力すると登録できる
  • マクロエディタ
    マクロを登録/編集/管理できる。詳細は後述
  • マクロ
    マクロエディタで登録した任意のマクロ機能を割り当てられる
  • キーボード操作
    「[Alt][Shift][Ctrl]キーのいずれか+任意のキー1個」の組み合わせを割り当てられる
  • プレシジョンブースター
    10〜90%まで「ポインタの速度」を規定よりも下げられる機能で,ボタンを押している間だけ有効,あるいはボタンの押下によって有効/無効を切り替えられる

ゲームコマンド操作やクイックターンなどは,選択すると説明が表示される親切設計。これはクイックターンの例だが,「Unreal Tournament 3」で試した限り,ぴったり180°旋回するのは無理な感じ。マウスで普通に操作したほうがはるかに楽だった
画像集#014のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 正直,クイックターンは何の役に立つのか分からない。また,「Microsoft Laser Mouse 6000」で初採用になったと記憶しているプレシジョンブースターも,解像度変更機能が用意されているSideWinder Mouseで有効に利用する機会はそうないはず。機能割り当ての選択肢はもう少しスマートにできたのではないかという気がしなくもない。

 ただこれは逆にいうと,そういった細かな部分にしか不満を感じないほど,ソフトウェア周りがよく出来ているということでもある。
 とくに目を引くのはマクロ登録周り。専用ウインドウ「マクロエディタ」は非常にシンプルだが,複数のマクロを登録/管理可能で,登録方法も「ひとまずキーを連続で入力して,あとから遅延時間(※マクロエディタでは「待機時間」)を登録したり,削除/挿入といった編集作業をしたり」でき,非常に柔軟だ。筆者が試した限り,少なくとも連続200個以上のキー操作を登録できるようになっており,現実的な問題として,登録数の制限に直面することはないと思われる。

マクロエディタでは,ややグラフィカルなインタフェースで複数のマクロを登録できる。「待機時間」は最大999999ms(ミリ秒)。キーボード以外のコマンドも,「特殊コマンドの入力」プルダウンメニューにあるものなら登録できる
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IntelliPointをインストールした状態では,ゲームの起動後にSideWinder Mouse本体前方のマクロ登録ボタンからマクロを設定することも可能。さすがに編集はできないものの,筆者が試した限り入力遅延も認識されたから,マクロが好きな人には価値がありそうだ。マクロ登録ボタンを押すと左のアイコンが表示され,続いてマクロを登録したいボタンを押すと右の表示に変わり,キーボード入力を登録できるようになる
画像集#017のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション 画像集#018のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション

 そもそも,FPSなどのアクションゲームではマクロの有効性が見いだせないこと,またいわゆるオンラインRPG一般では規約でマクロの禁止されている例が多いことを考えると,「何に使うのか」という疑念はぬぐえない。とはいえ,「使いたいと思ったとき便利に使える」こと自体には相応に意味がある。


対象ユーザーはゲーマー向けマウスのビギナーと

オールドゲーマー?


解像度変更直後の数秒間は液晶パネルに解像度の値が表示されたり,マウスの後方に赤い光が漏れ出したりといったギミックもある
画像集#019のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
画像集#020のサムネイル/ブランド復活の狼煙を上げる「SideWinder Mouse」ファーストインプレッション
 MicrosoftはSideWinder Mouseの開発に当たって,「プロゲーマーでもカジュアルゲーマーでもない,最も耳を傾けるべき『シリアスゲーマー』の意見を集めた」という(関連記事)。非常に親切なドライバ周りは,これからシリアスゲーマーになるような人達,“シリアスゲーマーのビギナー”向けに用意されたものと考えてよさそうである。初めてゲーマー向けマウスを使うに当たって,ソフトウェア周りの使い勝手に不安を感じている人には有用だろう。

 しかし同時に,Microsoftの考えるシリアスゲーマーとは,欧米の,手の大きな人達ではないかとも思われてならない。ほとんどの日本人にとって,SideWinder Mouseは一回り大きいと感じられるはずだ。

 もっとも,「この一回り大きい感じこそ,Microsoftのゲーマー向けハードウェアに共通する特徴」という見方もできよう。最近だと初代Xboxの純正コントローラが大きすぎるとして話題を集めたが,かつてのSideWinderブランド製品も標準的な日本人の手では持て余し気味だった。その意味でSideWinder Mouseは,これ以上ないほどにMicrosoftらしいゲーマー向けハードウェアなのである。
  • 関連タイトル:

    SideWinder

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