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プロジェクトマネージャー Jim Feng氏に聞く,「DOA ONLINE」の中国運営を手がける盛大って?
発表会当日,現地スタッフによる撤収作業が進む中,盛大でDOA ONLINEのプロジェクトマネージャーを務めるJim Feng氏をキャッチ。
日本のゲームに造詣が深く,何よりDEAD OR ALIVE(以下,DOA)シリーズの熱烈なファンであるというJim Feng氏に,中国オンラインゲーム市場における盛大のポジションと,DOA ONLINEへの意気込みを語ってもらった。
■盛大のサービスの累計アカウント数は4億5000万
4Gamer:
初めまして,本日はよろしくお願いします。
Fengさんは,DOAシリーズでは何作ものエンディングを見ているほど,筋金入りのファンだそうですが,このシリーズで最初にプレイしたのはどのタイトルですか?
Jim Feng氏:
実は,最初のアーケード版からプレイしているんです。初めて見たときには……,美しいキャラクターの特定の部位が揺れているのにびっくりしました(笑)。
4Gamer:
あのインパクトは,きっと世界共通なんでしょうね。
Fengさんは,どのキャラクターを愛用しているのですか?
Jim Feng氏:
やっぱり,かすみですね!
4Gamer:
やっぱり……ときましたか(笑)。
DOA以外には,どんなゲームがお好きですか?
Jim Feng氏:
たくさんありますねぇ……。日本生まれのゲームにも好きなものは多いですし。PCオンラインゲームでは,「World of Warcraft」や「StarCraft」あたりをバッチリ遊んできました!
4Gamer:
筋金入りのゲーマーなんですね。
さて,それではここでまず,盛大という会社がどのようなサービスを手がけているのかを教えてください。
当社は1999年の創業以来,主にオンラインゲーム事業に取り組んできた企業です。2000年の時点で,中国ナンバー1のオンラインゲーム運営会社になりました。現在,当社で運営しているゲームは20タイトル以上あり,トータルで4億5000万の登録IDを持っています。同時接続者数の最高記録は400万人です。
4Gamer:
それはまた,もの凄い規模ですね……。20タイトル以上を運営されているとのことですが,その中で最も人気のあるタイトルは何ですか?
Jim Feng氏:
アクティブなプレイヤーが最も多いのは「BnB」で,同時接続者数は70万人規模を維持しています。
4Gamer:
すでに日本生まれのゲームを運営しているんですよね。
Jim Feng氏:
ええ,サイバーステップさんの「GetAmped」(邦題 ゲットアンプドR)を運営しています。なかなか健闘していますよ。
4Gamer:
BnBにしろGetAmpedにしろ,ゲーム性そのものは異なりますが,ほかのプレイヤーと競い合うというタイプですよね。中国では,こういったタイプのゲームに人気があるのでしょうか?
Jim Feng氏:
ええ,中国ではアクションゲーム全般に人気があります。とくにほかのプレイヤーと戦うというものが,好まれる傾向がありますね。
4Gamer:
対戦格闘ゲームも人気があるのですか?
Jim Feng氏:
アーケードでは2Dのものに,コンシューマでは3Dのものに人気があります。そして,3Dの対戦格闘ゲームでは,DOAが一番人気なんですよ。それもあって,今回,DOA ONLINEを発表することになったわけです。
4Gamer:
PCオンラインゲームでは,カジュアルゲームの人気が高いのですか?
Jim Feng氏:
今後,市場を発展させていくにあたって,カジュアルゲームは重要な鍵を握っているでしょう。ただ,MMORPGのような大型のゲームと,カジュアルゲームのどちらが大事か? と問われたら,両方とも大事と答えますね(笑)。DOA ONLINEは,MMORPGのような要素と,カジュアルゲームの特性を併せ持っていますが,カジュアルな部分を重視して運営していくつもりです。
■「DOA ONLINE」をナンバー1にできなければ,手がける意味がない
それでは,今回テクモと一緒に,DOA ONLINEを投入することになった経緯を教えてください。
Jim Feng氏:
先ほどから話しているように,DOAは中国でも人気のあるシリーズで,以前から提携できないかと検討していました。そして当社からのラブコールを,テクモさんが受け止めてくれた結果,今回の発表に至りました。
4Gamer:
DOA ONLINE以外にも,Lievo Studioが開発しているゲームを,盛大で提供する予定なんですよね?
Jim Feng氏:
Lievo Studioのほかのタイトルについても,両社でこれからしっかりと検討していきたいと考えています。
4Gamer:
サービス開始は2008年8月の北京オリンピックより前とのことですが,具体的にはいつ頃ですか?
Jim Feng氏:
6月にオープンβテストを予定しています。中国での「オープンβテスト」というのは,日本でいうところの「正式サービス」と同じような意味なんですよ。
4Gamer:
中国のDOAファンは,今日から1年後には,DOA ONLINEで遊べているんですね。ちょっと羨ましいです……。
DOA ONLINEのビジネスモデルについても教えてください。課金体系は,どういったものを検討しているのでしょうか。
Jim Feng氏:
当社で運営している全タイトルで,基本プレイ料金無料のアイテム課金制を採用しています。DOA ONLINEでも,アイテム課金制を採用する可能性は高いですが,ほかにもいろいろなことを検討していますので,まだ確定はしていません。
DOA ONLINEでまずは500万人の会員を獲得したいと発表されていましたが,同時接続者数はどれぐらいを見込んでいるのですか?
Jim Feng氏:
BnBの頃より,中国オンラインゲーム市場の競争は激化しています。もちろん,DOA ONLINEを成功させる自信はあるのですが,同時接続者数の目標については,まだお話しできる段階ではありません。ただ,中国のカジュアルゲームのナンバー1を獲得できるように努力しますし,それを実現できなければ意味がないとさえ考えています。
4Gamer:
相当な自信と覚悟があるんですね。
では,そのための具体的な施策を少し教えてください。
Jim Feng氏:
DOA ONLINEには,これまでのDOAシリーズが持つオンライン対戦機能以上の,“オンラインならではの要素”を盛り込んでいます。これは,開発初期から当社とテクモさんでじっくり話し合って決めたものです。DOAの魅力は,その美しいビジュアルにありますから,これも最大限,そのままの形で再現できるように努力していきます。
そして,盛大の持つオンラインゲームに関する技術,そして運営ノウハウのすべてを,DOA ONLINEに投入します。実際,盛大の中でもとくに優秀な人材を選りすぐって,DOA ONLINEに携わらせているんです。
4Gamer:
しかし,PCオンラインゲームであの美しいビジュアルをどこまで再現できるのかという点は,PCスペックにもかなり依存すると思うんですね。となると,DOA ONLINEを満足に動作させるには,どれぐらいのスペックを持つPCが必要なのか,気になるのですが……。
Jim Feng氏:
今まさに開発中のタイトルなので,スペックは確定していません。しかし,DOA ONLINEがサービスされる1年後に,主流となっているであろうPCのスペックを目標にしています。
4Gamer:
となると,これまでの“カジュアルゲーム”より,PCのスペック的なハードルは高めになりそうですね。
Jim Feng氏:
そうですね。ただ,やはり,DOAシリーズならではの美しいグラフィックスを再現できなければ,意味はありませんから。
4Gamer:
コンシューマゲーム機でDOAシリーズを遊んできた人の多くは,DOA ONLINEをゲームパッドでプレイしたいと考えていると思うのですが,対応する予定はありますか?
Jim Feng氏:
ええ,ゲームパッドでの操作とキーボードでの操作の両方に対応します。
これはあくまでも個人的な予測なのですが,現時点でゲームパッドを使用している盛大の会員は,全体の10%前後だと思うんです。しかしDOA ONLINEが投入されれば,急速に20〜30%……あるいはもっと多くの方がゲームパッドを使うようになると思っています。
4Gamer:
そろそろ時間のようですね。
発表会直後のあわただしい中,ありがとうございました。
Jim Feng氏:
いえ,こちらこそありがとうございました。
DOA ONLINEは,新しいタイプのゲームです。先ほども話したように,MMORPGのような要素と,カジュアルゲームの特性を併せ持っています。こうした二つの側面を持ち,どちらの面に触れてもプレイヤーが満足できるようなタイトルはまだありません。当社は,DOA ONLINEをその最初のタイトルにするべく,努力していきます。ご期待ください。
盛大は,Jim Feng氏の言葉によると,4億5000万以上の累計登録ID,400万人という同時接続者数の記録を持つ。これは中国オンラインゲーム市場の規模が,とてつもないことの証明である。また,累計とはいえ日本の全人口の約3.75倍もの登録IDを,盛大という一つの企業が抱えているというのも,もの凄い話である。
当然,これだけの会員を相手にオンラインゲームのサービスを提供し続けていれば,運営ノウハウやネットワーク技術の蓄積も,かなりのものになっているだろう。対戦格闘ゲームを,スペックがまちまちなPC向けのオンラインゲームとして作り上げるには,こうしたノウハウや技術が不可欠だ。
日本の4Gamer読者には,盛大がどのような企業であるかを知らなかった人も多いのではないだろうか。いくら“中国有数の……”といった紹介をされたところで,ピンと来なかった人も多かったはず。「中国有数の企業とはいえ,なんで最初に中国に?」という疑問を抱いていたDOAファンもいたはず。
そんな疑問も,このインタビューと,先ほど掲載したテクモの長谷川 仁氏へのインタビューを併せて読めば,少しは解けるのではないだろうか。
ただ,両社の思惑どおりにことが進むかどうかは,また別の話。こればっかりは,今後の開発状況やサービスの動向を見守るしかない。DOA ONLINEが,見事な“日本凱旋”を果たすことができるのか? 今後も注目していきたい。(TeT)
(収録:2007年7月3日)
- 「DOA ONLINE」プレスカンファレンスは,水着ありコスプレありのお祭り騒ぎだった
- 「DEAD OR ALIVE」がオンラインゲームに! テクモ,「DOA ONLINE」で中国市場への進出を発表。日本サービスは未定
- 「DOA ONLINE」プロデューサー長谷川氏に聞く,その全体像――格ゲーをただオンライン化したものではなかった
- 「DOA ONLINE」,発表会で上映されたゲームの様子が分かる直撮りムービーを4Gamerにアップ
- 関連タイトル:
DOA ONLINE
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