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インディーズゲームの小部屋:Room#659「Superliminal」
12月に発売予定だったオーディオ製品が新型コロナウイルスの影響で来年7月に発売延期となり,落胆を隠せない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第659回は,Pillow Castleの「Superliminal」を紹介する。本作は,トリックが満載の夢の世界から脱出するという,一人称視点のパズルアドベンチャーだ。ずっと前から楽しみにしていたのにあんまりだよ……。
本作のストーリーは,グレン・ピアーズ博士が考案した,不安や自己不信を取り除くための画期的な夢療法に参加した主人公が,予期せぬトラブルで夢の世界に閉じ込められてしまい,そこからの脱出を目指すというもの。夢の中では現実世界の常識が通用せず,強制遠近法や錯視などの視覚トリックを使った,高難度のパズルが待ち構えている。
強制遠近法とは,手前のものは大きく,奥のものは小さく見える性質をうまく利用して,実際よりも強く遠近感を表現する,もしくは錯覚させる手法のこと。例えば,位置や角度を調整して,手のひらにエッフェル塔を乗せているように見える写真を撮ったりするのも,強制遠近法の一種だ。
これをゲーム内に取り入れると,どうなるか。平たく言うと,このゲームでは目で見たままの大きさが現実になるという不可思議なことが起こるのだが,これだけではあまりにも何を言っているのか伝わらないと思うので,本作でよく使われるトリックを例に説明してみよう。
まず,物を頭上に持ち上げる。次に手を離すと,落ちてくる物が視点に近づくにつれ,だんだん大きく見えてくる。このときにキャッチしても,現実世界なら物の大きさは変わらないが,夢の世界である本作では,それが見た目どおりの大きさに変化している=最初よりも大きくなっているという寸法だ。えっと,お分かりいただけたでしょうか……。
こうしたトリックを利用して,サイコロみたいに小さな箱を大きくして足場にしたり,逆に障害物を小さくして取り除いたりしながら,出口を目指していく。ほかにも,廊下が奥まで続いているように見えて,実は壁の出っ張りに廊下の絵が描かれているだけといった,錯視を使ったトリックなどもあり,頭がこんがらがりそうになる。
攻略のコツは,隅々まで歩いて,不自然な影や模様がないか,さまざまな角度からじっくりと観察すること。壁のように見えるけれど実は壁ではない,なんてことはこのゲームでは当たり前なので,型にとらわれない柔軟な発想でトリックを突破していこう。
さらに,隠しオブジェクトを見つけるというやり込み要素もあり,これがまた本編以上の難しさ。ひと通りゲームをクリアした筆者でもほとんど発見できず,探そうという気力すら湧いてこない。
Steamでは本作のPC版が2050円で発売されているほか,PlayStation 4,Nintendo Switch,Xbox One版が各ストアで販売中。説明を読むより,実際に体験したほうが256倍くらい早いゲームなので,パズルゲームファンはぜひ挑戦してみてほしい。オススメです。
■「Superliminal」公式サイト
http://www.pillowcastlegames.com/- 関連タイトル:
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