連載
インディーズゲームの小部屋:Room#545「Graveyard Keeper」
ようやく少し涼しくなってきたものの,それはそれで何となく寂しい筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第545回は,Lazy Bear Gamesが開発した「Graveyard Keeper」を紹介する。本作はその名のとおり,墓守となって墓地を管理していく,墓場運営シミュレーションだ。だからと言って,また猛暑に逆戻りしてほしいわけじゃないんだけど……。
ある日,家に帰る途中で交通事故に遭い,気づけば中世風の異世界に飛ばされていた主人公。そこで,なぜか墓守を任されることになった主人公は,しゃべる頭蓋骨のジェリーを相棒にし,元の世界に帰るための「次元の扉」の手がかりを求めて,慣れない墓守としての生活を始めることに……。
墓守として最も大事な仕事は,もちろん死体を墓地に埋葬すること。新しい死体は,ロバが引く荷車で定期的に運ばれてくるので,これを新しい墓を作って埋葬してあげるのが,その第一歩となる。しかし,ただ埋葬するのではなく,その前に死体安置所に運び込んでひと手間かけるというのが,このゲームならではの特徴だ。
死体にはそれぞれ,マイナス評価の赤と,プラス評価の白のドクロマークで表される「精神属性」が設定されている。分かりやすく言うと,これは死体の品質のようなもので,精神属性の低い死体を埋葬すると墓地の評価が下がってしまう。墓地全体の質を高めることはゲームの目的の一つでもあるので,埋める前になるべく死体を良い状態にしてあげるのが望ましい。
死体の精神属性は,血液を抜いたり,脂肪を取り除いたりすることで上げられるが,肉や皮膚,内臓や骨などを抽出すると下がってしまう。なぜ,わざわざ品質を下げるような処置が行えるのかと言うと,これらの部位は別の用途に使えるからである。
例えば,肉は料理の材料になるし,皮膚からは紙が作れるし,脂肪はろうそくの材料になるといった具合。もちろん,ほかの材料で代用することもできるが,それらを手に入れるためには手間もお金もそれなりにかかる。その点,死体なら材料費は無用というわけだ。
死体を墓地に埋葬すると埋葬証明書が発行され,これを酒場で買い取ってもらうのが当面の収入となる。切り刻みすぎて,ひどい状態になってしまった死体は埋葬すると墓地の評価が下がるので,埋葬証明書はもらえないが,こっそり川に流してしまうこともできる。また,言うまでもなく,墓地そのものの管理も墓守の仕事なので,壊れた墓石を修理したり,より高級な墓石と交換したり,花畑を置いたりして,墓地全体の質を上げていこう。
本作は墓地運営ゲームなのだが,プレイヤーができることはこれだけに留まらない。教会で口から出まかせの説法をして信者から信仰心やお布施を集め,畑を耕して野菜を育て,大工や鍛冶仕事も自分でこなすといった具合に,やれることはてんこ盛り。ゲームとしては荒削りな部分も多く,遊びやすさに関しては改善の余地が大いにあるが,ちまちまと墓地を管理しながら,少しずつ生活の基盤を整えていくのは楽しい作業だ。
墓守という一風変わったテーマで,最強でもモテモテでも理想のスローライフでもない,ちょっぴりダークな異世界生活を送れる本作は,Steamにて1999円で発売中。万人向けとは言い難いが,王道の生活系シミュレーションでは物足りないという人はぜひどうぞ。
■「Graveyard Keeper」公式サイト
https://www.graveyardkeeper.com/- 関連タイトル:
Graveyard Keeper
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