連載
インディーズゲームの小部屋:Room#424「Samorost 3」
最近,20年ぶりに七英雄との長き戦いに乗り出した筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第424回は,待ちに待ったAmanita Designの新作「Samorost 3」を紹介する。本作は,空から落ちてきた魔法のフルートを拾った宇宙ノームとなって,さまざまな星を探検していくというアドベンチャーゲームだ。流し斬りが完全に入ったのに……(無念)。
チェコに拠点を置くAmanita Designといえば,本連載の第110回で紹介した「Machinarium」や,第227回で取り上げた「Botanicula」など,いずれも独創的なビジュアルとサウンドが高い評価を受けた作品で知られる独立系デベロッパだ。
「Samorost 3」は前作「Samorost 2」から約11年ぶりとなるシリーズ最新作だが,ストーリー的なつながりはなく,プレイヤーはおなじみのフード付きの白いつなぎ(?)を着た宇宙ノームを操作して,いくつもの不思議な星を探索していくことに。相変わらず宇宙ノームが何なのかはよく分からないが,とりあえず宇宙を旅するノームだと思っておけばいいだろう。
ゲームはAmanita Design作品では恒例のポイント&クリック型アドベンチャーとなっており,画面をクリックしてキャラクターを移動させたり,気になる場所を調べたりしながらパズルを解き,先へ進んでいく。今回は,空から落ちてきた魔法のフルートを拾った宇宙ノームが,その出自の謎を探るべくさまざまな星を旅していくというストーリーで,旅を続けるうちにやがて星々に災いをもたらす大いなる脅威に直面することに……。
本作の大きな見どころは,何といっても細部まで緻密に描かれた摩訶不思議なビジュアルで,ひと目見ただけですぐにAmanita Design作品だと分かる独特なセンスはやはり見事。キャラクターのアニメーションも凝っており,宇宙ノームの可愛らしい動きには思わず顔がほころんでしまうし,さまざまな生き物や植物をクリックしたときの反応も作り込まれていて,隅々まで目を凝らしたくなる。
また,ゲームの雰囲気にぴったりな幻想的なサウンドの出来も素晴らしく,これだけでも一見(一聴?)の価値あり。今回は魔法のフルートがテーマとなっているだけに,音楽を使った演出やパズルが多数盛り込まれており,見るだけでなく聴いて楽しめるのも嬉しいところだ。筆者は割と苦戦したが,一部のパズルは音感のいい人なら簡単に解けるのではないかと思う。
ゲーム中に文字や言葉を使った演出が一切ないのもAmanita Design作品ならではの特徴で,本作でも情報やヒントはすべて絵文字を使って表現される。オプションのメニュー項目まで絵文字になっているので,始めのうちはどっちがセーブでどっちがロードなのかすら分かりにくいのが困りものだが,言葉の壁を無くして誰でもプレイできる作品に仕上がっているのは大きな魅力だ。
今回もまた,どこを切ってもこれぞAmanita Designといった完成度の高い作品で,手ごわいパズルも含めて,遊びごたえは十分。同社のファンはもちろん,アドベンチャーゲームが好きな人に広くオススメしたい作品だ。ただ,描き込みが細かすぎてどこが怪しいポイントなのかが分かりづらいという欠点も相変わらずなので,焦らずじっくり遊んでほしい。そんな本作は,Steamにて2200円で発売中だ。
■「Samorost 3」公式サイト
http://samorost3.net/- 関連タイトル:
Samorost 3
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(C) Amanita Design s.r.o.
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