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インディーズゲームの小部屋:Room#28「exception」
自機は小さな立方体で,メインの攻撃手段は前方集中型の「レーザー」,周囲の敵を自動ロックオンする「レイ」,前方の敵を吹き飛ばす「カタパルト」の三つ。この中で,カタパルトだけは直接的な攻撃力がない。では,どのような場面で使用するのかといえば,本作では敵を破壊すると大量の破片がばら撒かれ,これをカタパルトで吹き飛ばしてほかの敵にぶつけることで大ダメージを与えられるのだ。自機はまた,レーザーの発射方向を決めるための方向転換が可能で,これら四つのアクションを駆使してステージを攻略していく。
ゲームの基本的な進めかたは,レーザーで敵や障害物を破壊し,無数の破片となったところをカタパルトで吹き飛ばしてほかの敵にぶつけたり,レイで一気に殲滅したりといったものだが,ときには物陰に隠れて敵の攻撃をやりすごすことも必要になる。高難度になるほど,敵を破壊したときに飛び散る破片が増え,それらが画面を埋め尽くしていくさまはかなりの見ものだ。ただし当然のことながら,表示されるオブジェクトが多くなるほど,マシンパワーが要求される。本作をプレイするための必要スペックは,OSがWindows 2000/XP,Pentium 4/2.4GHz以上のCPU,OpenGL 2.0対応のグラフィックスカードとなっており,ノートPCでのプレイは機種によっては厳しそうだ。
立方体の組み合わせのみで表現された,シンプルながら美しいグラフィックスも本作の魅力の一つ。出現するオブジェクトはどれも,レゴブロックのようなシンプルなものばかりだが,漆黒の空間に無数に漂う破片を,青白く光るレーザーで撃ち落としていく様子はなんとも幻想的で,思わずため息が出るほどだ。青やグレーといった寒色系でまとめられた色づかいの中,敵を破壊したときのブラー効果のかかった赤い爆炎もよいアクセントになっており,静と動のコントラストを巧みに表現している。また,無機質なビートと叙情的な旋律のBGMもゲームの雰囲気にマッチしており,知らず知らずのうちに引き込まれてしまう。全体的に,作者の高いセンスが光る作品だ。
ゲーム自体は強制スクロールタイプのシューティングだが,よくある縦もしくは横への固定スクロールではない。本作の場合,一部障害物のないエリアが存在するものの,多くの地形が迷路のように入り組んでおり,その中を縫うように上下左右にスクロールしていくのだ。また,地形を生かしたさまざまなギミックが仕掛けられているのも本作の特徴。レーザーを当てて水車のように回転させて動かす障害物や,特定のブロックを破壊すると動き出して,新たな道ができる壁など,パズル的な要素が多く,一般的なスタイルのシューティングゲームとは一線を画している。
primitiveの公式サイトでは,本作のプレイムービーが公開されているので,興味を持った人はまずはそちらをチェックしてみよう。言葉だけで説明するのは難しい,ちょっと珍しいタイプのゲームなので,手っ取り早く本作の雰囲気をつかむには最適だ。また,ステージ1と3がプレイできる体験版も用意されているので,ムービーを見るのももどかしいという人は,そちらから手を付けてみるのもいいだろう。製品版は,1500円(税込)で発売されている。
上述のとおり,インディーズゲームとしては比較的高スペックが要求されるゲームなので,体験版で動作確認を行ったうえ,気に入った人は公式サイトで取り扱いショップなどを確認してほしい。
■primitive公式サイト
http://i-saint.skr.jp/- この記事のURL:
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