連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第470回「自分らしく生きる」
さて,今週は目標について語ってみましょうかね。というのも,我々は常に数字と戦っているのですよ。分かりやすいところだと,仕事の目標数値がそうだし,仕事でなくともお金や年齢と戦っていたりするわけで。
学生時代は数学が嫌いだったけど,あれって結局,数値や数式そのものよりも,考え方の勉強だったんだなって最近になって思うのよね。ここがこうなるからこうなるっていう,原因と結果の考え方。一方で国語や英語といった語学は総じて伝え方の勉強。学生時代は勉強が社会に出たときどんな役立ち方をするのかなんて分かんなかったけど,つまるところは生き方を勉強していたんだって思うわ。これに気付くまで20年くらいの時間かかったけど。
でもまあ,学生のうちはそんなもん気付くわけがないわよね。で,これを読んでる現役の学生の大半も気付かないと思う。これは,いろんな人に接してたくさんの仕事をこなしてみないと分からない。なんなら,この説も私がそう思っているだけで,正しいとは限らないしね。
でもまあ,大人になってからも数字と戦っているってことだけは事実ですよ。で,ここで大切なのは,数字の設定の仕方。自分が望む数字はどこなのかって話。誰かと競って勝ちたいならば,誰よりも大きな数字を設定しなくちゃいけないわ。そして,それをクリアするために自分に数字を課すわけ。
これはね,私が考える自分を好きになるコツなんだけど……。数字から逃げたい人っていると思うんです。別に逃げてもいいと私は思うの。ただ,数値設定はしたほうがいい。これをしないのと,限りなく低く設定してそれをクリアするのとでは,自信のつき方が違うから。
というのも,数値設定しておかないと罪悪感が残るのよ。マイナスだと思っちゃうのね。でも,スゲー低く設定しておいてそれを超えたら,あとはプラスしかない。それを,“目標”というんだと思うわ。他人と比べたいならば,そのように設定すればいいし,自分がゆったり過ごしたいなら自分でそれなりに設定すればいい。
もちろん,他人から強いられる数字ってのもあるでしょう。でも,それすらも決められたって思うんじゃなく,自分の中で設定してやりゃいいんですよ。諦めて設定しないのが一番よくない。
よく,無理なく生きる生活を“スローライフ”っていうけれど,それは好き勝手に生きるって意味じゃない。自分で自分なりの数値設定をして,そこに向けてゆったりこなしていく生活がスローライフっていうんだと思うよ。「自由には責任がついて回る」って熱い先生が言ってたけど,それの延長の考え方なんでしょうね。
学生には分かるようで分からん話でしょうけど。ま,いいのよ教師の言うことを無理に分かろうとしなくても。いずれ身に染みる日が来るでしょうし,来ないなら来ないでそれはそれでいいし。教師って文字通り,教えることが仕事だから。分からせることが仕事なわけじゃないの。分かるのはあくまで自分。分かんないのがイヤなら自分で分かろうとするしかない。
だから,興味があることは分かろうとすればいい。目標を立てる能力ってやつ? ひとまずはそれ意識できればいいと思うよ。いや,私は教師じゃないからこの教えに責任は持てないけど。
ストーリー的には,妖精に導かれながら島を覆う黒い霧を晴らすために冒険する――ってことになるんだけど,別にどういうルートでプレイしようが自由。オープンワールドの世界を自由に生きていい。なんなら,黒い霧を晴らさなかったところで何もペナルティはないわ。結局,自分で目標を作るしかない。
こう聞くとけっこう突き放されたゲイムかと思われるかもしれないんだけど,そうでもないのよね。小目標,つまりイベントはけっこういっぱい用意されている。そこが憎い点。ヤるべきことはいっぱいあって,それがことあるごとに指示される。だから,ついついプレイし続けちゃう。で,戦闘がないから行き詰ることもない。
……ここで,私は恐ろしいことに気付いてしまったの。要はそれって,我々の現実における生活に近いのよね。特殊な職業でない限り,戦闘なんて基本的にないわ。でも,なんとなくヤルべきことはあって,それをこなしていると一日が終わってしまう。大きな目標もあるといえばあるけど,それに近付けているのかどうかはいまいちピンと来ない。それでもやっぱりヤるべきことはあって,それが終わったとしても,次なるヤるべきことが迫ってくる。
まあ,Yonderに関しては,ゲイムなんで苦じゃないばかりかむしろ面白いんだけどね。目標の立て方によって,プレイが変わるのは現実も一緒だよなあ,と思い知らされたわ。私の気のせいの可能性もまあまあ高いんだけど,考えさせられるゲイムかもしれないわね。
ま,小難しい理屈をこねなくても,スローライフとヤるべきことの提示のバランスが非常にいい作品だと思うわ。決して突き放されないゲイムなんで,オススメです。
それは,スローライフだろうがクイックライフ……って言葉があるのか知らんけど,スローではない生活を送っていても同じ。目標やクエストのないYonderはたぶん面白くないのと同じで,どんなスローライフを送ろうと目標を立てられるかどうかが,実はどのような人生でも必要なことなんじゃないか。忙しい毎日から逃げたくなっても,目標設定からは逃げることはできないんじゃないか。だとしたら,自分に合った設定を見つける能力が,健やかに生きるには重要なんじゃないか。
そういうことを考えた一週間でしたとさ。自分らしく生きるって,結局は自分に合った目標を立てるってことなのかな。ひとまず私は来週までに,この連載で書くためのゲイムを見つけるとしましょう。ゲイムヒヒョーの連載を持つ人生は私にしかプレイできないからね。
大丈夫。あんたもあんたにしか立てられない一見しょうもない目標があるよ。その一つ一つこそがあんたの人生だ。頑張ってしょうもない目標を作りゃええんや。そんな感じでまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「MONSTER HUNTER: WORLD」「Yonder 青と大地と雲の物語」
PlayStation Vita:「GOD WARS 〜時をこえて〜」
Nintendo Switch:「マリオ+ラビッツ キングダムバトル」
ニンテンドー3DS:「牧場物語 ふたごの村+」
iOS:「ドラゴンクエストライバルズ」「ウイニングイレブン カードコレクション」
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