連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第392回「正しいゲイム系インターネット番組の作り方」
プロレスラーというカテゴリの中ではたぶん日本一,いや世界一ニコニコ動画,とりわけニコニコ生放送に出演している男色ディーノ,ゲイレスラーです。
正確な記録がないから本当に世界一なのか,真偽のほどは分からないけど。ともかく,体感としてはけっこう番組に出させてもらっているのよね。まあ,私の所属するDDTプロレスがニコニコ動画にチャンネルを持っていて,そこの生配信にレギュラー出演しているのと,その枠でゲイム実況的なモノをヤっていて,それも合わせると週に1〜2回は出ているってことだからね。そりゃまあ,常にニコ生に出ている気にもなりますわいな。それに加えてたまーに,ゲイム系のニコ生番組に出させてもらったりしとるわけです。
そこで今回は,いつもと切り口を変えてゲイム系インターネット番組について思っていることを語ってみようかと思ったのですよ。この連載って,プロレスラーというフィルターを通してゲイムを見たときの意見であったり感想であったりを書くスペースなのでね。たまには,そのフィルターでゲイム系インターネット番組を語ってみたっていいじゃないかと。そう思った次第なのです。
というのも,先日も出させてもらったのよ。「クリスタル オブ リユニオン」(iOS / Android)というゲイムの公式番組に。そのとき,「RADIO 4Gamer Tap(仮)」なんかの4Gamer系以外の番組では初めて,私と梶やん(マフィア梶田)と共演してね。私も梶やんも4Gamer系のゲイムライターなわけだし,これは連載で書いてもいいんじゃないかと思うに至ったの。とはいえ,梶やんのことだけを書いても,ただの気持ち悪い4Gamer内文通になっちゃうから,いつもゲイムと向かい合っている姿勢のまま,ゲイム系インターネット番組について語ってみるわ。いつもの連載とは違う感じの記事になるってことは,先に言っておくんで覚悟してね。
まずね,今回の記事のタイトルにした“正しいゲイム系インターネット番組の作り方”だけど,そんなもん,答えはいくらでもある。これを,最初にお伝えしておくわ。身も蓋もないけどな。
理由としては,インターネット番組だから。TV番組は誰にでも作れるものじゃないけど,インターネット番組だったらヤろうと思えば,誰でも始められるじゃない。ブログやSNSみたいなもん。だから,最低限の公共ルールさえ守れば,自由にヤっていいのよ。
ただ,スタート時のハードルが低いからこそ,番組によって差は生まれやすいのよね。私が出させていただいてる範囲で言うと,スタッフ一人で配信しているものもあれば,スタジオに数十人ものスタッフが集まっているような番組もある。そういう環境面からして,差はあるの。環境がリッチだからといって,面白いかどうかはまた別の話だけどね。
ま,環境の話はどうでもいいわ。ここまでで私がまとめておきたいのは,“ゲイム系の番組といってもピンキリで,いろんなものがある”って部分ね。どういうことかというと,正しいインターネット番組の作るためには,“制作意図”をどこに設定するかが大事って話だと思うのよ。
番組数が多くて中身がピンキリってことは,制作意図もピンキリなわけよ。例えば,ゲイムメーカーの公式番組だと,“そのゲイムを広く知ってもらう”“そのゲイムを面白そうだなと思ってもらう”あたりが基本的な制作意図なのね。だから,いくらその番組自体が面白くても,ゲイムのインフォメーションができなかったらさほどの意味はない。RADIO 4Gamer Tap(仮)みたいに,ゲイムメディアが配信している番組もこれよね。番組を面白くしたうえで,どのようにゲイムを紹介していくか。これが重要なわけ。
逆に,個人でヤっているゲイム実況だったりプレイ配信だったりは,その限りではないわ。例えば,商売でヤってる人であれば,登録者や再生数を増やすために配信しているわけで,どんなにゲイムの紹介がうまくても登録者や再生数が増えないと意味はない。ただ単に趣味で配信している人であれば,極端な話,自分が楽しければそれでいい。ハードルが低いって,きっとそういうことなのね。
プロレスでもそうなのよ。昔に比べて,今はプロレスラーになるためのハードルは低くなっているの。私でも名乗れているぐらいだからね。ハードルが低いと言ってしまうと悪いことのように思われるかもしれないけど,私はそれは別に構わないと思っているわ。ただ,志の違いは出てくる。
ここで出てくる志の違いというのが,“目的”なのね。インターネット番組における“制作意図”と重なる部分ね。私が所属しているDDTプロレスに限って言えば,“プロレスという枠をギリ通してお客さんに楽しんでもらい,その対価を得る”っていうのが企業目的というか,ビジネススタイルなの。DDTの中にも,私のようなイロモノもいれば,大相撲出身者やほかのスポーツで全国大会クラスのアスリートもいる。色の違う選手達がそれぞれヤるべきことをヤって商品を作り上げているわけね。
プロレスラーがいい試合をすればそれでいいってわけじゃない。“激しいプロレスをする”という団体があってもいい。でも,全部の団体が同じでは,団体がいっぱいある意味はない。そのプロレス団体を見に行けば,どういうプロレス,どういう感動を受け取ることができるのか。そういう“商品のイメージ”がハッキリしていないと,選択肢が多い業種では生き残っていけないんじゃないかしら。
ちょっと寄り道しちゃったけど,ゲイム系の番組も同じだと思うのよ。番組として面白いっていう要素は必要ではあるけれど,それだけだとどうしても上には上がいるわけ。ほかとどう違うのか。この番組で何を伝えたいのか。その意図がハッキリしている放送が,すなわち見やすいインターネット番組なんじゃないかなって私は思うわけです。
ゲイムの公式番組でもね,もう少し深く掘れば伝えるべきことは一つじゃないのよ。初見の人にはヤってみようと思わせなきゃいけないし,もうすでにヤっている人には,さらに好きになってもらわなきゃいけない。
例に出すと,「フィギュアヘッズ」の公式番組も,私はちょこちょこ出演させてもらっているんだけどね。そうこうしているうちに,面白そうに感じてきたからプレイを始めちゃった。別に誰にヤれって言われたわけでもなく。だから,出演させてもらっている私の立場からすると,見ている人にそのゲイムを面白いと思ってもらえるような勃ち……立ち回りをしなきゃなと思うわけなのです。番組の歯車の一つとして。
梶やんはね,伝えなきゃいけないことを分かったうえでそれをヤっているのよ。ここが凄い。行動原理として,自分が目立ってやろうと思っているんじゃなくて,見ている人に楽しんでもらおうとしてヤっているのね。だから,ゲイムの話をするときはちゃんとそのゲイムの解説をするし,「こういうところがこのゲイムの売りだ」って部分を,ちゃんと語ることができる。
簡単に言うと,ゲイムに対する愛があるのね。お仕事としてこなすわけではなく,ゲイムを踏み台にのし上がってやろうとしてるわけでもなく。そのゲイムへの愛を携えたうえで,言っちゃいけないことを言うのよね。司会業が最近増えてきたって話も納得したわ。一番伝えなきゃいけないところをちゃんと押さえているし,知識の押し売りじゃなくて制作意図ってやつを把握している。
私流に言うと,梶やんは素晴らしいプロレスラーよ。私にとってのプロレスラーとは,強いってだけじゃない。見ている人に何かを伝える能力も,プロレスラーに必要だと思っているの。そういう意味で,梶やんはプロレスラー。
あ,そうすると世の中にプロレスラーがいっぱいいることになるから,私よりニコ生に出ている人もいっぱいってことになるわね。私が世界一じゃなくなってしまう。じゃあ撤回。梶やんはプロレスラーではありません。でも,心のプロレスラーです。
では,今回の連載のケツ論を申し上げましょう。“正しいゲイム系インターネット番組の作り方”について,私なりに出した答えは,作り手がプロレスラーになれってことです。相手(視聴者だったり出演者だったり)の技(伝えたいこと,知りたいこと)をくみ取って受け止める。そして,自分も自分ならではの切り口で技を繰り出し,相手に伝える。これこそがインターネット番組の正しいあり方なんじゃないかと,私は勝手に思っとるわけです。
ま,見てるみんなはそんなことを気にせず,楽しく見てもらえればいいんだけどね。そういう部分に注目して,世の中にあるゲイム系インターネット番組を見ると,これまた違う楽しみ方ができて面白いかもしれないですよ? っていう提案でございました。
今週はこんな感じなのですが,せっかくなんで来週はクリスタル オブ リユニオンの番組で気付いた,ゲイムの面白いポイントについて語ってみます。そんなこんなでまた来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「グランドエイジ メディーバル」「ウイニングイレブン 2016」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「UPPERS」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「Splatoon(スプラトゥーン)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪ウォッチ3 スシ」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
クリスタル オブ リユニオン
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