連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第351回「ゲイムもプロレスも変わらなきゃいけないから変わってきた」
あんまりプロレスラーとしての自覚はないんだけども,それでもまあプロレスを生業にしている以上,プロレスラーなんだと思う。で,プロレスラーって,一体何なんだという話になれば,そもそもプロレスとは何なんだってことにもなる。
……何なんでしょうね? とらえ方は人それぞれなんだけど,まあ私はシンプルに,「リングの上での闘いでお金をもらう経済活動」であると考えているわ。
プロレスという単語って,世間一般ではいい意味で使われることが少ないのよね。例えば,政治の世界で使われるときは談合って意味だったりするし,外交で使われるときは戦争に発展するほどでもない軍事的係争のことをそう表現することもある。
いや,別にいいのよどのように使われても。ただ,そういう表現を使う人が正しくプロレスをちゃんと理解してるのか? というと,どうやらそういうわけでもない。
これ,半分くらいは鶏と卵の問題でね,プロレスにそういうイメージがあるからそう使われるのか,そう使われるからそういうイメージがついてしまうのか。まあ,一番最初はイメージがあるから,そういう使われ方をしたんだろうけどね。
でも,昔のプロレスと今のプロレスは違うの。だって私なんかがプロレスラーになれているわけだから。昔だったら,私はプロレスラーになれなかったわ。プロレスラーって選ばれし者だけがなれる職業だったから。でも,じゃあ昔よりも質が下がっているのかと言われると,一概にそうとも言えないとも思うの。なぜなら,表現の幅が広がっているから。
表現の幅が広がる=楽しめる幅も広がる=いろんな人が楽しめるってことだしね。表現の幅が広がってる,というか,表現の幅を広げざるを得なかったっていうのが正しいのかな。選ばれし者だけが提供する昔ながらのプロレスだけでは,下火になる一方だったから。それまでどおりのやり方では観客動員数も減って,TVでも中継されなくなって……っていう,規模縮小を余儀なくされていたの。だから,いろんな客層を開拓する必要が生まれ,今では多種多様の表現方法が確立されている状態なのね,プロレス界って。
……ってところまで分かったうえで,プロレスという言葉を悪い意味で使っているのかどうかが気になるのよね。悪い意味で使いたい人がイメージしているほど,今のプロレスは単純じゃないから。分かりにくいという意味ではなくてね。まあ,繰り返すけど別にいいんだけどね。一応その職業に従事している身としては,使うならちゃんと理解してほしいなあって思うくらいで。
だから,ちょっとだけ話題になった,芸人さんが「プロレス」って言葉を使ってネットが荒れたという事件についても,私は別に何も思わない。何ならこの場合,その芸人さんはどちらかというと「お互いのことを分かったうえで攻撃を受け止め合う」っていう,いい意味で使っていた気もするのよね。
ただ,問題は「プロレス」という言葉に内包される意味が広義すぎて,いい意味にも悪い意味にも取れちゃうってとこ。で,今回悪い意味に取った人が,その芸人さんを攻撃した,と。そしてここで気付いたんだけど,ゲイムの話にまったく触れていないわね。大丈夫。ちゃんとここからゲイムの話をするから。
で,次は銃と隠密の世界ではなく,剣と魔法の世界でのオープンワールドを味わってみようじゃないのって気になったんでしょうなあ。そして今さらなんだけど,ゲイムが次のステージに進んだんだなってことを再確認したわけ。
「レッド・デッド・リデンプション」(PS3 / Xbox 360)をプレイしたときにも思ったんだけど,あの面白さの方向性がさらに進化した。プロレスも時代が進むにつれて表現方法が多岐にわたってきたけれども,ゲイムもまた,世界をもう一つ作ってしまうところまで来てる。そこでどう生きようと自由。いわば,プレイヤーは自由を買ってるわけね。いや,恐れ入ったわ。
今のゲイムの世界にはリアリティがあって,そのうえ,オンラインで世界をみんなで共有できるシステムまで普通にある。これってゲイム内に自分自身を投影して,さらに他人と関わり合う場面も生まれているわけだから,プレイヤー自身のモラルが問われることになってるわけ。もはや,ゲイムの世界でも自分だけ良ければ良いってわけじゃない時代。
ヤってみりゃ分かるわ。自分の中に秘めた凶暴性すら,ゲイムの中で晴らせるだけのリアリティが,今のゲイムには用意されているのよ。わざわざ現実の世界でヤらなくても。つまり,凶悪犯罪に至るのは,本人が悪いだけ。
論理としてはちょっと弱いけど,とにかくヤってみりゃ分かる。ゲイムはゲイムだし,現実は現実。これからゲイムがリアルになればなるほど,かえってゲイムと現実の区別が付くようになるんじゃないかしら。
……ってことを思ってしまうほどウィッチャー3,面白いですよ。そして,リアル。リアルっつっても剣で人を斬ったことなんかないし,魔法を使ったこともあんまりないけど。でも,実際の世界で魔法を使えたらこんなになるんだろうなっていうのが,視覚的に分かってリアル。リアルなだけでなく,心地いい。
クエストも豊富だし,操作も難しくない。オープンワールドのゲイムをプレイしてみたい人は,ここから始めてみればいいんじゃないかしらってくらいにはオススメ。ゲイムに対するイメージが変わるわよ。
ゲイムもプロレスも,変わらなきゃいけないから変わってきた。お客さんのニーズもあるだろうし,作る側の情熱もある。昔は良かった? じゃあ今は悪いのか? 違うね。昔は良かった。それはそれとして,今もいい。良くしていかなきゃいけない。
別に,昔と今を比べる必要はないのよ。お客さんにお金を払ってもらうに値するコンテンツを作って売る。エンターテイメントのビジネスモデルなんて,突き詰めれば,こんなシンプルなもんなんだから。いいか悪いかの評価なんて,二次的なもんでしょ。
確かに,今は昔に比べて表現に規制はかかりやすいわよ。暴力だったり性だったり。でも,それを嘆いていても仕方がない。今は今の環境でしか戦えないんだから,環境を変えるか,今の環境でベストのものを作るしか戦い方はない。
なので,より多くの人に楽しんでもらえるよう頑張りましょうかね。たとえ良くない意味でプロレスって単語が使われても。なんて,ウィッチャー3をプレイしながら思った秋の夜長。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ウィッチャー3 ワイルドハント」
※DL版「ウイニングイレブン 2016」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「Splatoon(スプラトゥーン)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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ウィッチャー3 ワイルドハント
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