連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第305回「生活と仕事と趣味が地続き」
最近よく聞かれるのよね。おかげさまで,プロレス会場でもこの連載について「読んでます」的なことを言ってくれる人が増えてはいるんだけど。こうなると,以前よりもページビューが増えてるんじゃないか? ということは,原稿料も増えるんじゃないか? と思ってしまうわけだけど,担当さんからは「あんまり変わらん。大幅に増えもせず,かといって減りもせず」というつれない答えが。チッ。
というわけで,今までと変わらずお届けしてまいります「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」。プロレス会場で「読んでます」的なことを言っていただくことが増えたのと同時に,これまた増えたのが冒頭の「ゲイムは趣味なのか仕事なのか」という質問。答えましょう。分からん,と。
ゲイムをプレイしながら,ちゃんと楽しんではいるのよ。そういう意味では趣味なのかもしれない。でも,この連載でお金をいただいている以上は仕事と言えなくもない。逆に,どんなに忙しくてもゲイムをヤらなきゃいけない気になってるっていう意味では仕事だし,別に強制的に「ヤらなきゃいけない」って言われているわけでもないことを考えると,別に仕事ってわけでもない。
以上を踏まえて私が出したケツ論は「厳密には仕事だけど,どうでもいいんじゃないか?」っていうスタンスね。このあいまいさは,非常に日本人的だけどね。でも私は日本人だから日本人的なケツ論を出すのも当然っちゃ当然。
ていうかね,端くれながらエンターテイメント産業に従事してる以上,趣味と仕事を分けるってことは基本的に不可能なんじゃないかと思うのね。というのも,自分が人を楽しませる職業に就いているのであれば,仮にプライベートで何かの趣味を楽しんだ場合でも,「この楽しさをどのように自分の仕事に反映させよう」って考えちゃうものだと思うのよ。それがとくに趣味ではなく,例えば何気なく観ていたテレビとかからでもそのように考えちゃう。
だから極端な話,私にとっては生活と仕事と趣味が地続きなのね。したがって,そもそも趣味と仕事を分けて考える必要がない。分ける必要があるとすれば,仕事=嫌なことである場合。その場合は分けて考えないと逃げ場がない。生活と地続きなわけだから,仕事が苦しい場合は生活まで苦しくなっちゃうのね。
私の場合,この連載の原稿を書くことは確かに仕事で,仕事である以上は〆切や内容に関する責任が出てくるわ。だけど,読んでもらうために書くという作業は,決してイヤなことではないの。だから,その前の段階の「ゲイムをプレイする」という作業も,仕事の一環ではあるけれども,ちゃんと趣味と同じように楽しめてもいるってわけ。
要は,仕事ではあるんだけど,そこまで堅苦しく考えていない。いやー,私が〆切を守らないのはつまるところ堅苦しく考えてないからなんだろうね! ウン。仕方ないよ! ウン。だってほら,エンターテイメント産業従事者にとって生活と趣味と仕事は地続きですから。ウン。
内容はタイトルどおり,道具屋さんになって道具を仕入れて合成して売って……っていう,経営シミュレーションゲイムなの。ぶっちゃけストーリー性はほとんどないし,商品棚に商品を並べて,それが売れて数が減ってきたら補充するっていう作業ゲイムではあるの。それも難度が極めて低いヌルいゲイム。
……これだけを文字で説明したら「それの何が面白いんだ?」って疑問が生まれるでしょうけどね。これがまんまと面白いのよ。何が面白いって,基本的に成長しかない点。さっきも書いたけどこのゲイム,基本的にはヌルいわ。商品を並べると順調に売れていくし,ダンジョン探索もリスクはそこまで高くなく,行き詰まることがほとんどない。
言うなれば,常に甘やかされている状態ね。それが心地いい。実生活でも褒められると嬉しいじゃない。たとえ大したことじゃないと自分では分かっていたとしても。このゲイムの面白さはそれと同じなの。筋の通った甘やかし。プレイヤーを過剰に接待してくれるの。だから面白い。
ただし,見逃せない点があって,ここでのミソは“筋の通った”って部分。ここがこのゲイムの優れたところ。たとえば,実生活の話に戻るけど,同じ褒められるにしても,見当違いのことで褒められたときってピンとこないでしょ? それと同じで,このゲイムはプレイヤーを過剰に甘やかすにしても,疑問を持たないような作りになっているのね。それは世界観だったり,ゲイム内のルールであったり,操作性であったり,ゲイムテンポであったり。
そのあたりに留意して作られたゲイムだからこそ,プレイヤーはノンストレスで遊び続けられるの。そういう風に割り切って作られてると感じたわ。苦労の果てに努力が報われるっていうゲイムじゃない。とにかくプレイヤーをいい気持ちにさせてくれる,そんなゲイム。だから,ヌルいと自覚しつつも心地よい接待に浸ることができるのね。
私はゲイだからキャバクラはおろかスナックやクラブという場所には行かないけど,世の男性はこういう“分かってて受ける接待”を求めて,そういった場所に行くのかもしれないわね。
人によっては「何が楽しいんだ?」って思うことがあるかもしれないけど,そういう楽しさも世の中には存在しているってことなんでしょう。そこは否定しちゃダメだと思うの。自分にとってどうかはさておき,実際に世の中に存在する楽しさを否定することはできない。だから,“ヌルい”ゲイムが面白くないというわけでは決してない。そもそも「ヌルいから面白くない」は,きっと理由としては成立してないわ。
私がこの連載であまりゲイムの悪い部分を指摘しないのも,その部分を楽しんでいる人がいるかもしれないっていう気持ちがあるから。だから,私がプレイしてそう感じたって程度にとどめているの。それもまあヌルいっちゃヌルいんだろうけどね。
だけど,“ヌルい”と“内容が悪い”はイコールではない……と思いたい。もっと根本的なことを言うと「○○だから面白くない」という言い方なるべくしたくないのよ。さっきも言ったように,そこが楽しいと思っている人もいる可能性があるからね。だから逆に「○○だから面白い」って部分を探したいわけ。合う合わないとは別の話で。これはどちらかというと,趣味と仕事が地続きであるプロレスラーならではの職業病なんだろうけどね。
そんなわけで,ヌルいけどとにかくゲイムから正当な接待を受けたいって人は,ぜひこの,王国の道具屋さんをプレイしてほしいわ。800円(税込)と安いしね。コストパフォーマンスは抜群だと思うわよ。
と,そんな感じで今週はエンターテイメントにはいろいろなアプローチがあって,面白さは人によってまちまちですよって話と,私が〆切を守らない理由をこっそりとお届けしました。面白さを否定するんじゃなく,面白さを探そうとしたほうが自分も面白くなれるよっていうそういう話。ざっくり言えば。そんな感じでまた来週。さようなら。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「戦国無双4」
PlayStation 3:「実況パワフルプロ野球2014」
PlayStation Vita:「絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「禁忌のマグナ」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
王国の道具屋さん
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