連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第285回「キャラクタープロレス」
4Gamerおよび「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」をご覧の皆様こんにちは。ゲイレスラーの男色ディーノです。何度も言うけど,私の本業はプロレスラー。ゲイのレスラーとして生計を立てているの。
で,キャラクタープロレスの話なんだけども。プロレスには,いくつものスタイルがあるのね。まず,新日本プロレスが標榜しているのは,強さを追求した“ストロングスタイル”。かつて何度もゲイム化されていた時期の全日本プロレスで盛んに行われていた,カウント2.9ギリギリの攻防が続く“四天王プロレス”。プロレスの持つ格闘技の部分を全面に押し出した“UWFスタイル”etc……。まあとにかく,プロレスにはたくさんのスタイルがあるわけ。そして,昔は団体のスタイルがそのままセールスポイントの一つになってもいたの。
プロレスに興味のない人は「何を言ってるのか分からん……」って思っているでしょうよ。もうちょっと我慢してね。ゲイムの話につなげてみせるから。
私,この連載では毎回のように偉そうなことを言っているくせに,プロレスラーとしてのキャリアは中堅程度。偉くもなんともないわけ。だからプロレス業界の内側では言わないような自分の持論を,こっそりゲイムの連載で書いているのよ。ほら,おとなしい中学生が夏休みに地元を離れたら,ちょっとだけ背伸びをして粋がっちゃうような,あの感じ? だと思っていただければ。
……おっと,プロレスにはいろいろなスタイルがあるって話だったわね。私,気付いちゃったのよ。厳密に言うとずっと前から探ってきたんだけど,ようやくちゃんとした形で気付けたっていうのかな。それはね,どんなスタイルも突き詰めて考えていくと,“キャラクタープロレス”という共通点にたどり着くことに。
というのも,どのプロレスのスタイルも突き詰めていくと,根底にあるのはキャラクターなの。例えば,アントニオ猪木であればアントニオ猪木という人間のキャラクターがプロレスに反映されて,あのスタイルになった。ジャイアント馬場もジャイアント馬場という人間のキャラクターがプロレスに反映されて,あのスタイルになった。
キャラクターという言葉が軽いと感じるならば,これを“人間力”に置き換えてもいいかもしれない。つまるところ,選手がどのような能力や人間性を持っていて,それをどのようにリング上で表現するか。スタイルっていうのは,あくまでそういったことから生まれてくるものだと思うのよ。プロレスに数多くスタイルはあれど,最終的に行き着くのは個人の人間力を見せるものであるとも言えるわね。
でね。プロレスもビジネスだから,顧客が存在するわ。で,客として見ている人はプロレスにおいて“その人ならではの戦い”を見ようとするわけ。昔はTVの地上波で放送されていたから「○○選手のあの技が出た!」的な見方をしたことのある人も多いと思うのね。あの見方。そして選手は,“自分ならではの戦い”を見せることが重要だった,と。どのスタイルでも。そして,トップに立つ人は“自分ならではの戦い”で勝つことがうまかったんでしょうね。
さて,ここまで説明したうえで“キャラクタープロレス”の話ですよ。ここまでの考察で,プロレスに各種スタイルはあるが,結局は戦う人の人間力が商品になっているということをお分かりいただけたことと思います。そして,プロレスにおける人間力とは,“その人ならではの戦い”に通じるものであるということもご理解いただけましたでしょうか。あ,あくまで私の持論ですよ?
それでここからが重要なんだけど,“人間力=キャラクター”であるとして,そのキャラクターを突き詰めたスタイルを“キャラクタープロレス”と呼んでもいいんじゃないだろうか,と思うわけです。さらに一歩進めて考えると,プロレスのスタイルはすべて“その人ならではの戦い”がぶつかり合う,キャラクタープロレスと言い換えることができるんじゃないか,と。
となると,誰もが“自分らしさを出す戦い”を目指すことによって,顧客にとって見やすいプロレスになるのではないか,と。長年の研究の結果,こういうケツ論に至ったわけであります。
ただ,ここで一つ問題が出てくるの。それは,昔と今とでは環境があまりに異なるという点。“自分らしい戦い”とは言っても,全国の地上波TVで放送されていない現状でプロレスを楽しんでもらうには,初めて見た人でも楽しめるような“自分らしさ”が必要になってくるのね。初見の人が見て楽しむには,分かりやすいほうがいいから。
では,“分かりやすい”とはどういうものなのか? って話にもなるんだけど,私は“分かりやすさ=説明のしやすさ”だと思っているの。そして私の場合,それは自分の中にある“ゲイである”という部分だったわけ。幸い,ゲイをカミングアウトしてそれを押し出して戦ってる選手はいなかったしね。だから私は,ゲイレスラーになった。
私のことはいいわ。まとめると,プロレスを突き詰めて考えていくと,見ている人を魅了するのはキャラクターであり,それに沿った戦い方をすると,見る側にとって分かりやすく見やすい。こういうこと。
でも実は,これって何にでも当てはまるのよね。ヒーローものの特撮でもドラマでも映画でもお笑いでも小説でもアニメでもマンガでも。そしてもちろんゲイムでも。
簡単に説明すると,アトラスが誇る二大タイトル「ペルソナ」シリーズと「世界樹の迷宮」シリーズが合体したタイトル。もう少していねいかつ乱暴に言うと,世界樹の迷宮シリーズのペルソナバージョン。
……うん。そりゃまあ,面白いわな。で,これをプレイしてまず思ったのが,上記の“キャラクタープロレス”についてだったのよ。結局は,キャラクターなの。いろんなスタイルのゲイムがあるけど,最終的にはキャラクターに感情移入できるかどうか。それがゲイムを面白く感じることができるかどうかの分かれ目ではないか,と。
あ,勘違いしないでね。キャラクターの良し悪しが,そのままゲイムの良し悪しに直結するって言ってるんじゃないわよ。キャラクターに感情移入できるかどうかを言っているの。
例えば,主人公にあえて性格をつけないゲイムもあるでしょ。代表的なゲイムだと「ドラゴンクエスト」シリーズがそれに当たるかしら。それでもちゃんと感情移入できるから面白いのは,皆様ご存じのとおり。世界樹シリーズやペルソナシリーズも,そちらかな。
世界樹の迷宮シリーズは,どの作品も大まかにはストーリーが独立しているので,初めてのプレイヤーにとっても面白い。ペルソナQはそのシステムを取り入れているわけだから,システム的に初心者が理解できないってわけじゃない。
ただ,やっぱりペルソナQの場合,実際にペルソナシリーズを知ったうえで遊んだほうが,より面白く感じられるのは確実だと思うの。だって,登場するキャラクターや世界観を知っているのと知らないのとでは,感情移入度が違うから。
私は本来,初心者にも分かりやすいゲイムが好きなんだけど,ペルソナQに関しては,ペルソナシリーズを知ったうえで楽しんでしまっているのね。だから本当の意味での初心者の気持ちには,もう戻れない。でも,とにかく楽しくプレイできているのは事実。率直に,こういう楽しませ方もあるんだなあ,と思ったわ。それもこれも,感情移入しちゃってるから。ペルソナシリーズのファンなら間違いなく楽しめるはずだから,プレイしたほうがいいわ。
なので,このゲイムで初めてペルソナシリーズが気になったという人は,さかのぼって過去のタイトルをプレイしてみたらいいと思う。そしてもう一度ペルソナQを遊んでみたら,新たな発見があるはず。
まあ,どれだけペルソナシリーズが偉大なのかって話です。ペルソナQもそうだけど,過去のペルソナシリーズもぜひに。
というわけで,キャラクターの重要性を考察した今回ですが。私はキャラクターがすべてだ,と言ってるわけではないのよ。ただ,ストーリーにせよゲイムのシステムにせよ,ほかのゲイムとの違いを出すにはキャラクターが軸になるだろうな,とは思っている。
繰り返すけど,すべては感情移入できるかどうか。その世界観にのめり込めるかどうか。それこそ,ゲイムだけでなくエンターテイメント全般に共通する話。
私は声優さんの世界は詳しくないんだけど,最近のゲイムは声優さんもその要素を担っているのかな,とも感じているわ。でもまあ,それは別の機会に考えることにしましょうか。今日のところはこれで許してやらあ! いや,許してください。では,また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー」
PlayStation 3:「魔都紅色幽撃隊」
PlayStation Vita:「Winning Post 8」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス
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