連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第269回「『龍が如く 維新!』で原稿が遅れる」
先週,「来週は『龍が如く 維新!』について書く!」って宣言したくせに,物語的にはさほど進んでいなくて,正直なところ,焦っているわよ私。物語的に進んでないということは,ストーリーについて述べることができないってことだから。でもね,これってその気になれば第二章の段階でもアホほど遊べてしまう,このゲイムが悪いと思うのよ。
私ってホラ,その時点でできるサブストーリーを全部ヤらないと気が済まないほうだから。とはいえ,サブストーリーだけだったらまだなんとかなったのよ。でも,今回は「絆」というシステムが用意されておりまして,これがまたくせ者なんです。時間泥棒。
で,ミニゲイムがうまくいくと絆が上がる。この絆システムの導入によって,ミニゲイムに目的を持たせることに成功しているの。これまでのシリーズ以上に,ミニゲイムに意味が生まれているわけです。だからついついヤってしまうわけで,そうすると必然的にストーリーを進められなくなる。その結果,前回予告したにも関わらず,ストーリーについて語れるほどゲイムが進行してないという事態を生み出し,最終的には原稿の〆切を軽くぶっちぎるという,まさに今ここ。
私が悪いんじゃないわ。すべてこのゲイムが悪いの。で,ついでに絆について触れておくと,さっきの説明だと何のために絆を上げるのか? という疑問が生まれると思うんだけども,これがまた巧妙なシステムでね。
今回,「徳」というシステムもまた別にございまして。これは,要するに「町の人に50回話しかける」や「神社や地蔵に20回拝む」といったミッションをこなすことでたまる数値が「徳」で,これを溜めて交換することで,アイテムの所持数上限が増えたり,アイテムがもらえたりするわけ。
で,「街の人達との絆を深める」というのが,徳がものすごくいっぱいもらえるミッションなの。だから,絆を上げるためにミニゲイムをプレイしちゃう。結果原稿が遅れる。つまるところ,私が原稿の〆切を守らないことすら,このゲイムのシステムに組み込まれているとも言えるでしょうね。
ところで,龍が如く 維新!をPlayStation 4でプレイしていることは公言してるんだけど,それによって質問されることがままあるわ。「PlayStation 4版とPlayStation 3版は何が違うのか?」と。
これはね,分からん。そりゃ確かにPlayStation 3版をプレイしている人からしたら,「最新ハードのPlayStation 4では,どんなことになっとるんだろう?」という疑問が生まれるのは理解できるわ。でもね,それは逆にPlayStation 4で遊んでいる側にとっても同じなわけで。両方で遊んでいるならまだしも,PlayStation 3版をプレイしていない以上,比較のしようがないのよ。ゲイム内容自体は同じなんだけど,たぶんグラフィックスとか動きが滑らかだとか,そういう違いなんじゃない? としか言えないのよね。
これは痛みと一緒でね。結局,痛みなんて自分の経験した痛みでしか程度は測れないじゃない? 自分が痛くないからといって,他人がそうだとも限らない。同じかもしれないし,個人差が想像以上にあるのかもしれない。それは他人と比較できない以上,分からない。それと一緒。イヤ,ゲイムに関して言えば,PlayStation 3版も買ってしまえば比較できるんだけどね。さすがにそこまでの知的好奇心はないのよね。
えー,話を戻しましょう。要は,まだほとんど進んでませんよっていう言い訳をしてきたわけだけれども,現時点で,龍が如く 維新!に対する感想は,「凄い」。このひと言に尽きるんじゃないかしら。何が凄いって,ゲイムらしさ。
ゲイムらしさって,結局は“嘘をつくこと”だと思うのね。現実には起こりそうもないことを,いかにそのゲイムの世界観で違和感なく現実のものにしてしまうか。龍が如くシリーズは,そこが抜群にうまいと思うの。
よくよく考えてみたら,龍が如くシリーズって,ストーリーにしても戦闘にしても,ご都合主義というか現実には起こり得ないことだらけなのよ。でも,街の再現度であったりキャラクターであったり人間らしい動きであったりといった,作り込まれたリアリティによって,プレイしているうちに細かいことがどうでも良くなってくる。ここが凄い。
エンターテイメントって,極端な話“乗れる”か“乗れない”か,これだけなのよ。どんなジャンルでもいいわ。あなたの好きな世界で想像してみて。今,目の前で起こっていること。それが嘘か本当かなんてどっちでも良くて,“乗れる”か,自分の中で違和感を覚えて“乗れない”のか。いや,受け手はお金を払う側だから,“乗る”“乗らない”を自由に判断してもいいのね。
私が論じたいのは,逆に作り手の視点から。受け手の“乗れる”“乗れない”は,目の前に出てきたものに対しての選択だから,ある種出たとこ勝負なの。でも作り手は違う。“乗せられる”のかそうでないか。この違いは非常に大きいわ。最高の技術で一生懸命作りました。さあ乗れるかどうか判断してください……というのでは,ダメなの。
結果的に,一生懸命作ったものに乗ってもらえることはあるわよ。でも,より勝率を上げるには,いかに乗せるか,どうやって乗らせるのか。そこまで考えて作る必要があると思うの。
その点,龍が如くシリーズは,乗せるのがうまい。どんなに無茶苦茶なシチュエーションでも,乗れるの。もちろん,好みにもよるんだけど,好き嫌いを抜きにしたらだいたいが乗れると思う。私にはゲイム作りにおける文法やらテクノロジーやら,その辺は分からないわ。ただ,龍が如くシリーズは,プレイヤーを“乗せる”手法が凄いと思う。だから私はこのシリーズが好きなんでしょうね。PlayStation 4を買ってしまうほど。
というわけで,今週はストーリーについて触れられないながらも龍が如く 維新!について思うところを述べてみました。来週こそはちゃんと思想面での龍が如くについて触れたいなと思いつつも,でもやっぱりそこまで進められないんじゃないかという不安があるので,宣言はしないでおきます。
宣言できるとすれば,このゲイムに組み込まれている原稿〆切遅延システムが作動するであろうことくらい。ではまた来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「龍が如く 維新!」
PlayStation 3:「真・ガンダム無双」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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