連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第268回「PlayStation 4を買いました」
買ったね。ああ買ったさ。発売日に。
正直なところ,今回は迷ったわ。だって,ソフト1本を合わせると5万円近くのお金がかかるわけだからね。5万円って,けっこうな金額よ? とりあえず,身近にあるレベルのぜいたくだったら何でもできてしまうくらいの額。まあ,それこそ私にとって身近にある贅沢の極みって,このPS4なわけなんだけども。
人間,何に対してもそうなんだけど,高価なものに関してはとくに,こちらは何を得られるかが気になると思うの。お金を払った分の価値はあるのか。元は取れるのか。支払う金額が高ければ高いほど,支払ったことを正当化したいという心理が働くのね。
そして,エンターテイメント産業の顧客はとくに,このあたりの感覚が鋭敏なものなのよね。なぜなら,支払った金額に見合うかどうかを比べるのが,“モノの価値”ではなく“サービスの価値”だから。
これらはね,もう全然違う。例えば,車を買うとしましょう。これって,モノの価値なのよ。車そのものに値段が付いていて,買った瞬間にその金額分の価値があるということになっている。
でも,サービスの価値っていうのはまた別なの。例えば,プロレスやコンサートの場合,売るのはチケットなわけね。金額はまちまちなんだけど,仮に5000円としましょう。チケットは紙だから,モノとしては一枚の紙切れを5000円で売っているわけですよ。
ただ,商品としては,ただの紙切れではないでしょう? プロレスなら試合,コンサートなら音楽。それぞれが,紙に書かれている日時,場所で,金額の価値に見合うだけのイベントを作ろうとするわけ。それを通じて顧客に“もたらすもの”こそが商品で,それは最終的には手元に残らない無形なものなの。だからこそ,金額分楽しめたかどうかという部分に敏感になるのよね。
簡単に言えば,お金を払う対象が“手元に残るモノ”なのか“思い出”なのか,その違いってこと。で,エンターテイメント産業っていうのは,顧客に「楽しいですよ」と言って無形のモノを売りつける,いわば投資を強いる形になるわけです。だって,まだ形になっていない,内容の分からないものを売るんだから。そのくせエンターテイメントって,当たるときもあれば外れるときもある。
だからこそ,“楽しめたかどうか”を商品とする中で,大切なのは顧客からの“信頼度”なのね。“金額分楽しませてくれるだろう”という“信頼度”。これがエンターテイメント産業の生命線だと私は思っているわ。
極端な話,ジャンルに固執しなくてもいいとすら思っているの。私はほかの業界については分からないからプロレスで例えるけど,“プロレスとは何たるか”というような要素って,こと商品として考えた場合は,取るに足らない思想だと私は考えているのね。なぜならそれは,売る側の都合でしかないんだもん。
もちろん,売り方は自由。買う人が多ければ,商売としてはそれが正義だし,同業他社との差別化を図るうえで売り方は大切になってくる。だから,「まがい物ではない本物のプロレスを見せまっせ」という売り方自体は否定しない。ただ,それと顧客の満足度は直接関係ない。見せたプロレスが本物だろうが偽物だろうが関係なくて,観客が支払った金額以上のものを提示できるかどうかのほうが,商売としては大切なんじゃないかしら。
そもそも商売である以上,ジャンルにとっての本物か偽物かなんて誰も判定できないんだけどね。そんなよく分からないものに固執するよりも,顧客信頼度を高めるためにどういう売り方をしていくか。この点のほうが無形のもの売る産業における勝負のポイントだと私は思うんです。
……ハイ,話が逸れました。PS4の話に戻ります。ここまで支払う金額に見合う価値についての話をしてきたんだけど,ではPS4はモノなのかサービスなのかって話になると思うのよ。
個人的な意見としては,サービスだと思っている。一見,高価な分モノとしてとらえられがちで,しかも据え置き型のゲーム機という有形のモノではあるんだけどね。なぜなら,私は,モノに対して4万円強を支払ったわけじゃないから。あくまで私は,よ。
とにかく純粋なゲイム機として購入したの。ゲイム機として考えた場合,PlayStation 3との互換性がない分,買う側にとってのリスクは大きいわよね。とりあえず買い換えよう! みたいなことにはならないわけで。
ということは,ソニー・コンピュータエンタテインメントは,PS4オリジナルの遊びを提供する覚悟があるってことでしょう? それに私は期待して,投資をしたわけ。現段階で,PS4を買って元が取れたか? と問われたなら,「まだ取れてない」と正直に言える。だって高価だもん。元を取ったと思えるまでのハードルは高いわ。
ならば,なぜ購入したのかというと,それはひとえに“信頼度”が高いからにほかならないわ。初期型のハードがどうこう……とかそういう話になるとゲフンゲフンってなるけども,私はSCEを信じてる。PlayStation時代から,なんだかんだでSCEには楽しませてもらってきたわ。だから,それを信じる。
まあ,買わずに文句を言う人間にはなりたくない,という一面もあるけどね。これはゲイムに限らず世の中のあるあるなんだけど,買わなかった人が後から「ホラ,買わなくて良かったじゃん!」って言い出すことってあるでしょ。あれは,ちょっと違うと思うのよ。
買わなかったことに対しての判断という点では,正解なのかもしれない。でも,買ってもいないのにその商品を買った人を,あたかも失敗した人であるかのように論じるのは,厚かましいことではないか? と思うのね。周囲から見て失敗したとしても,買った人は支払った金額分,あるいは金額分以上に楽しんだかもしれないんだし。買った人にとってもやっぱり失敗だった場合だって,身銭を切ってそういう経験を積むこと自体に,何らかの価値はある。だから,その商品について論じるべきなのは,基本的にお金を出した人だけだと思うのよ。
だからってわけじゃないけど,PS4についての体験を論じるために,私はPS4を買ったわ。モノではなくサービスって言ったのは,そういう理由から。今のところはまだ投資している状態だけど,いつか楽しさで回収させてもらえるもんだと信じてる。
ひとまずは,「龍が如く 維新!」(PlayStation 4 / PlayStation 3)をプレイして,それが終わったとき。そこで「いいソフトに出会えたな。PS4で遊んで良かったな」と思えるかどうかが,第一の回収ポイントかな,と。
ということで来週は,龍が如く 維新!の感想をお届けすることになると思うわよ。序盤をプレイしていて印象的だったシーンというかセリフは,
「平等な世の中なんてない。仮に身分のない世の中になったとしても,今度は才能の違いに悩まされる。それでも,平等に悩むことができる世の中にしたい」
みたいなやつ。どうです熱いでしょ? こういうハッとさせられるシーンやセリフは,「龍が如く」シリーズの魅力ですよ。詳しくはまた来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「龍が如く 維新!」
PlayStation 3:「真・ガンダム無双」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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