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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第261回「GAME OF DANSHOKU 2013」
でも,そうは言っても私も大人です。大人とは,自分のことだけではなく,集団のこと,社会のことを考えながら行動できる人のことです。本当は違う意見を持っていても,物事や会話を円滑に進めるために自分の意見を押し殺すことのできる人。それが大人なのです。
子供の言うことを聞いてあげるのも,あなたが大人だから。新入社員の生意気さを飲み込んだうえで潰してあげるのも,大人のなせる業でしょう。したがって,私も本当はおめでたいだなんて1mmたりとも思っていなくとも,おめでとうと言えるのです。なぜなら,大人だから。私は忙しくとも,大方の人は忙しくないのでしょう。大丈夫です。合わせます。
長くなりましたが,あけましておめでとうございます。
さて,新年一発目となる「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」。今回は毎年恒例(……?)のアレで皆さんのご機嫌をうかがおうかと思っております。題して「GAME OF DANSHOKU 2013」。簡単に言うと,2013年を振り返って“一番○○だったゲイム”を挙げていこう,というアワード的なアレです。
まあ,選ばれたところで名誉も何もないうえに,根本的に誰も得はしないんだけど,年に一度くらいはこういうのがあってもいいんじゃないかしら。いつも新作を遊ぶことに追われがちで,こういう振り返りって年末か年始ぐらいにしかできないからね。というわけで,なんだかもう遠い昔のような気もするけれど,2013年の“男色的引っかかったゲイム”をいくつかご紹介いたしましょう。
今さら OF THE YEAR
やっぱり,みんなが面白いっていうゲイムには何かしら理由があるのね。繰り返すけど私も大人だから,「みんなが面白いっていうゲイムなんてやらねえよ,だって俺とがってるから」なんてロックンロールなメンタルは持ち合わせてなくてね。
とにかく,先が気になるRPGという意味では,今のところこのペルソナ4 ザ・ゴールデンが最高峰じゃなかろうか,と思うわけ。プレイしやすいし,自由度も高いし。
それこそ,「ガンパレードマーチ」をプレイしたときに味わえた感覚が,より研ぎ澄まされ,ぐっとプレイしやすい形で提供されている……って書いても誰も分かんないでしょうね。
とにかく,発売されてだいぶ経つけど,今プレイしても古臭さなど一切感じない,面白いゲイムよ。もしPlayStation Vitaを持っていてプレイしてない人がいるなら,今さらだなんて思わないで,プレイしたほうがいいわよ。
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なんだかんだで一番遊んでる OF THE YEAR
私事ながら,2013年は地方でプロレスの試合することが増えたのね。となると,対戦相手よりもまず,移動時間との戦いが待っているわけ。対戦相手とは10分そこそこ戦ってりゃいいんだけど,移動時間はヘタすりゃ半日。半日かけて地方へ行って,10分間戦って,半日かけて帰京する。なんて効率の悪いビジネスなのかしら。でも,みんなが待ってくれているから,泣き言は言わないわ。だって大人だから。
というわけで,移動バスの中ではゲイムをヤるか寝るかぐらいしか時間の潰しようがないんだけど,MH4が出て以来の数か月は,それが苦痛じゃなくなったの。移動バスの中,みんなでMH4を遊んでいるうちに,だいぶ時間が経ってくれるからね。
だから2013年下半期,地方への移動の大体がいい思い出よ。誤解のないように言っておくけど,携帯型ゲイム向けの面白い作品は,ほかにもいっぱいあるのよ。でも,私の今の環境だとMH4じゃないとダメなの。なぜなら「モンスターハンター」シリーズって,もはやブランドだから。
どういうことかと言うとね,普段はゲイムに疎いプロレスラー達も,このシリーズはプレイするのよ。知名度が段違い。そしてやっぱり,通信で遊べるのって一人で遊ぶのとは違う楽しさがあるじゃない。でもそれを楽しむためには,周りの人が同じものを遊んでいる必要があるわけ。ここをクリアしているのがMH4だった,と。
やっぱ,大勢がプレイしてるだけあって,純粋に面白いしね。
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まさかゲイムに清濁併せ飲まされるとは OF THE YEAR
えーさて,ギャルに興味がないし,アニメ調の絵柄や声優さんの声にも興味がない私は,ゲイムに対して萌える要素ってあまり重視していないのね。だから,ギャルゲイに対しては決して造詣が深くないの。
でも,このゲイムは心に響いたわ。そのストーリーの重さたるや。主人公は二股をかけます。で,どちらかを選びます。ここまではよくある話よね。ゲイムだけじゃなくてフィクションにおいて。
でもこのゲイムは,主人公に二股をかけられて選ばれなかったほうの心の動きが描かれているのです。人を好きになるとね,基本は傷つくんですよ。相手を好きであればあるほど,相手の言葉や行動に深く傷つく。
それを描こうとするのって,エンターテイメントにおいては,ある種の冒険なわけ。それって決して楽しくない感情だからね。でも,だからこそ心に残る。こういう形で心に残す方法があるんだなあって,勉強になったわ。
楽しいことだけでなく,つらいこともエンターテイメントになり得る。心が痛くなる覚悟があるならば,ぜひ一度プレイしてみてほしいわね。
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ニューカマー OF THE YEAR
なんかね,夢があるのよ,妖怪ウォッチ。猫型ロボットのアニメに「夢がある」っていうのと同じ感じで。レベルファイブ作品の特徴でもあり,私がすごく好きな部分なんだけど,作品に毒がないの。明るい。それがいい。毒がある作品も好きなんだけど,ここまで毒がない作風で高いレベルに面白さをまとめるのって,本当にすごいことだと思うの。私にはできない。
私はプロレスラーで,当然プロレスをヤるのが仕事なんだけど,私の武器って「もし対戦相手が自分のことを好きだったら」というテーマのコントのようなものなのね。要は,ゲイという性癖を全面的に押し出すことで,本来プロレスには余分なストーリーが出来上がってしまうわけ。つまり「どうなるんだろう」って思わせるために,性的嗜好を出しちゃったわけね。でも,これってあくまでも飛び道具なわけです。正当な面白さではない面白さ。
レベルファイブ作品にはそういった飛び道具がない。あくまで,シンプルに,ベタに面白い。さまざまなアイデアが出尽くしている時代,これを貫くのがいかに難しいことか。裏を取ろうとしがちな私にはまぶしすぎる。妖怪ウォッチは私にとって,そういう部分でも驚きを与えてくれた,レベルファイブ作品のニューカマーなのです。シンプルに面白いよ。
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というわけで,とくにカテゴリ分けをするでもなく乱雑に選んだ4タイトル,いかがでしたでしょうか。余談ですが,年末ともなるとさまざまな業界で賞レースが行われたりしておりますが,私はプロレス界のどの賞にも引っかかりませんでした。
でもね。たぶんゲイムを作っている人も同じことを思ってる気がするのね。それは,賞を取ろうとしてモノを作っているわけじゃないってこと。まずは,お金を払ってくれるお客さんを喜ばせたい。エンターテイメントって,ここからスタートすると私は思うの。
もちろん,売れる売れないは別。前にも書いたことあると思うけど,私としては何だかんだで売れたほうが正義だと思っているのね。でもそれとは別で,お客さんがモノに対して払った以上の何かを還元するっていうのが,エンターテイメント産業の基本姿勢だと考えているの。賞や名声は,あくまで結果としてついてくるもの。賞のための作品ではない。
何が言いたいかというと,私の今回のアワードには名実ともに何の意味もないって話。作る人はみんな面白いモノを作ろうと頑張ってるからね。みんなが頑張ってる中で,どうやって抜け出すか。これが商売としての工夫のしどころなんでしょうな。
……なんだこのケツ論。ま,ともかく,我々ゲイマーは2014年も面白いゲイムをプレイできれば,それ以上の幸せはないってことです。では,読者の皆さんも,ゲイムを作ってくれる人達も,ゲイムを売るまでの過程に携わっている皆さんも,ついでに言うとプロレス好きな人も,私のことが嫌いな人も,今年もどうぞよろしくお願いします。これは本当に思ってるわよ。大人ですから。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「信長の野望・創造」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ゼルダの伝説 神々のトライフォース2」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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モンスターハンター4
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