連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第252回「どうせ生きるなら,楽しいことが多いほうがいい」
……あ,ごめんね突然。これは別に政治的な話とか民族的な話とか,そういう深い意味があるわけではなく。少なくとも私は,今の日本に生まれ,育ち,生活できて良かったな,と思っているのね。だって,ゲイムがあるから。
もちろん,ほかの国にもゲイムはあるんだけど,私は現状の日本のゲイム環境にさして不満が無いのよ。日本独自の面白いゲイムもあるし,海外の面白いゲイムも全部ではないものの,主要なものはローカライズされて日本語でプレイできるし。
それにきっと,世界の中でも治安がいいほうだと思うのね,日本って。もちろん比較論よ。ニュースで痛ましい事件が報じられることもあるわ。でも,事件が報じられるのは,それがやっぱり特殊なことであって,日常ではないからだと思うの。そして,その事件についてそれぞれが考え,議論だってできる。今のところ,日本はそういう国だと思うの。
まあ,議論ができる一方で,物事に対して批判から入って,一般的な価値観からはみ出したものを言葉で過剰に攻撃する傾向もあるにはあるんだけどね。私みたいな性癖の持ち主のこととか。
それを踏まえたうえでも,例えば戦争の中で自分の身を守ることに精一杯で,ほかの事件について考えてる場合じゃない……というケースは,今の日本で生きている限り,ほとんどないんじゃないかしら。だから,他人のことを考えられる土壌のある日本で生活できている私は,幸せだなと思っているの。
こういうことを書くと平和ボケだなんだという話が出てきて,政治的な話にまで発展しないとも限らなくて,そういう話をするのは本意ではないから,ここまでにしておく。
何が言いたいのかというと,私は日本という国に誇りを持っているって話なのよ。なぜなら,他人の長所を認めることができるから。人間って最終的には自分が一番可愛いのよ。自分が可愛いから,自分と違うものに対して攻撃的にもなるし排他的にもなる。でも,いくら争っていても最終的には相手への敬意を持とうとする精神って,日本ならではのものじゃない。
ほかの国にもあるかもしれないけど,その部分がちゃんとクローズアップされるのが日本の文化のいいところ。要は空手や剣道,柔道といった武道に見られる「礼に始まり礼に終わる」ってやつね。相手に敬意を持つ。これが日本人のプライドで,私が好きなところ。
これまで36年ばかり日本人として生きてきた私は,自分にできそうもないことをやってのける人に対して,尊敬する傾向にあるのね。そこにしびれるあこがれるゥ的な。だから,自分の予想を超えるものを作る人に対して,ついつい尊敬しちゃうのよ。
そして,私にとって自分の知らないものに出会うことは,大きな人生の楽しみなのね。人生で“いいもの”と出会うと,充実した気持ちになれるでしょ。私がゲイムを好きな理由もね,ゲイムは比較的“いいもの”といっぱい出会えるから。で,その“いいもの”を他人に知ってもらいたくなる。
いや,単に“面白い”という表現では,ちょっと語弊があるかもしれないわね。ハッキリと面白いわけではなくて,ふんわりと面白いの。興味深い,と言ったほうが適切かしら。
ジャンルとしてはアクションアドベンチャーで,主人公の男の子を操作して物語を進めていくの。アクションっていっても非常にシンプルで,基本は移動しつつ,ところどころで○ボタンを押してアクションを起こすだけ。チュートリアルが必要ないくらいシンプル。プレイ感覚としては,何だろう? 絵本をプレイしている感じ,と言えば伝わるかしら。それでいて,ゲイム的な要素もしっかりとあるのよね。
この世界の少年はなぜか姿が透明になっているの。だから,雨が降っている間はぼんやりシルエットが見えるけれども,雨が降っていない屋根の下などでは姿がまったく見えないわけ。それを利用して敵から姿を隠しつつ,うまく移動していくことになる,と。
それと,この少年は直接アクションで敵を攻撃することができないの。だから,このゲイムには“敵を倒す”という派手な面白さは含まれてないのね。でも,少年を何とかして先に進ませたい気持ちにはなる。
ストーリー的にも,プロローグのようなものはほとんどなく,ゲイムを進めていくうちに物語が展開していくから,基本的には謎が謎のまま進行していくの。それこそ絵本を読んでる感じ。そしてレベルアップやパワーアップもない。ただ進んでいく。進めていく。ふんわり面白いというのは,そういう意味。
プレイしていても,決して成長が実感できるようなゲイム的に分かりやすい面白さではないわ。でも,印象的なゲイムであることは間違いない。ド頭から分かりやすい面白さをブッ込むことが重要視される近年のゲイムの傾向において,ふんわり系のこのrainは,ある意味で挑戦作と言えるかもしれないわね。そういう意味で,このゲイムは私にとって“いいもの”だった。そしてこのご時世に,こういう挑戦をきっちりするという意味で,このゲイムの作り手を私は尊敬するわ。
同じくPS3用のダウンロード専用タイトルで,去年話題を呼んだ「風ノ旅ビト」が好きだった人はもちろん,この記事を読んで気になった人であれば,一度プレイしてみてもいいのかもしれないわね。税込みで1500円と安いのも魅力だし。
そうそう,ダウンロード専用タイトルをチェックしたことがないという人は,買う買わないは別にして,一度ダウンロードページまで行ってみるといいわよ。そこまではタダだし。
私の場合,一週間に一度くらいの頻度でPlayStation Storeだったりニンテンドーeショップだったりを覗いてるのよ。興味深いタイトルが案外安く販売されていたりして,けっこう楽しいものよ。そこで出会える“いいもの”もきっとあるわ。出会いってそういうものだという気がするの。
というのもね。道って一つじゃないのよ。確かにね,職場だったり学校だったりの目的地と,自分の家との間には最短距離の道があるわ。効率を重視するならば,その最短距離を通るのが一番でしょう。でも,最短距離だけが道じゃないのよ。いつもとは違う路地を歩いてみたら,案外いい景色だったりするわけ。新しい店ができてたりするわけ。
そうやって,出会いや楽しみを少しずつ増やしていくのもまた人生。どうせ生きるなら,楽しいことが多いほうがいいじゃない。その一足が道となり,その一足が道となる。……とインドア派の私が言ってみる。
まあ,今までやったことのないゲイムをヤってみるのはいかがですか? っていうお話ですよ。
えー,今週はそんな感じで台風の通過に呼応するかのようにrainを紹介してみましたが。……うまくねえな。
ともあれ,最近はヤるべきゲイムが多くて嬉しい悲鳴ですよ。「BEYOND: Two Souls」は最後までクリアして納得できるようなできないような気持ちになりつつもクリアして良かったと思い,「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」(PS3 / PS Vita)は16年目に入ってJリーグ所属で世界を獲るという目標を達成し,施設はほぼMAXまで建てて安定し始め,本当の意味で作業プレイになりつつある。
「モンスターハンター4」は,ハンターランク6になったはいいけど一人では怖くて集会所クエストできない感じで安定し始め,「三國志」&「信長の野望」は程良いアクセントとしてプレイし続け,「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2013」(PlayStation 3 / PSP / ニンテンドー3DS)のオンライン対戦では,相手がほぼレアル マドリーしか選ばないからクリロナ(クリスティアーノ ロナウド)への抜け出し対処ばっかりで,だからこそ最近発売された「FIFA 14 ワールドクラス サッカー」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360 / PlayStation Vita / PSP / PlayStation 4 / Xbox One)をプレイし始めようかと思うという,そんな感じですよここ一週間のマイゲイムライフは。
ば,馬鹿野郎! 暇なわけじゃない! ただ,ヤるべきゲイムが多いだけ! ヤらなきゃいけないゲイムなんてこの世に存在しないんだけど,ヤらなきゃいけないと思えるゲイムが多い。これは,とても幸せなこと。ゲイムって結局は娯楽なんだけど,娯楽に興じることができているというのがすでに幸せ。
この幸せって,平和で,なおかつゲイムがたくさん発売される日本に住んでるからこそ感じることができるものなんでしょうね。今まさにこの瞬間,私は思ってるわ。日本で生まれ育つことができて良かったな,と。美しくまとまったところでまた来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「rain」※スロットにハマっているのは「実況パワフルプロ野球2013」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「モンスターハンター4」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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