連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第250回「ケイタ君」
小学生のときには,広島県ベスト8。中学生のときには,県で優勝……したチームにPK負けしてベスト16。高校生のときは,そもそもレギュラーではなかった。
ポジションは主にGK。今の私の体格からしてみれば「そりゃまあGKだろうね」って思われるでしょうよ。でもね,当時は今ほど色白ぽっちゃりではなかったの。骨格はゴツいほうだったと思うけど……。
主にGKって書いたのは,高校のときに怪我をして,ほかのポジションを転々としたから。2軍のキャプテンだったのをいいことに,それまで最後方ポジションであるGKから見て,漠然とヤってみたいと思っていたポジションをあれこれ試してみたわけ。良く言えば,本当の意味でどのポジションもこなせるユーティリティプレイヤー。悪く言えば,どのポジションも満足にこなせないハンチク野郎だったのね。
私のサッカー人生は最終的には挫折で終わったけど,楽しかったわよ? 私,2軍キャプテンという立場を超えて,なぜか2軍を私が引率して練習試合に行くほど,監督から信頼されていたの。だからジャンケンでポジションを決めるという,時代を先取りしすぎたジャンケン選抜を行ったりとか,当時からプロレスが好きだったから,観客を意識しすぎるあまり練習試合中にニールキックを試みてレッドカードをもらったりとか,そういった好き勝手ができたわけ。
そういう思い出もあって,今でもサッカーは好きだしね。だから,挫折したことは悔しいけど,後悔はしていない。
ケイタ君。小中学生時代の,サッカー部のキャプテン。彼は,サッカーがうまかった。試合のどんな展開のときでも,彼はプレイでチームを引っ張っていくタイプのキャプテンだった。彼はチームの負けを他人のせいにしなかった。
ある試合のとき,残り時間わずかの相手コーナーキックで,私はDFとの連携をうまくできずにオウンゴールをしてしまったの。負けが頭をよぎり,みんなが一斉にうつむいたときに,ケイタ君は言ったわ。「顔上げえや! 今のはチームのオウンゴールじゃ。まだ終わっとらん! 諦めんな! みんなで点取るど!」。
正直,ちょっと泣きかけていた私は,その言葉に救われたわ。そして,気持ちを立て直した私達のチームは,1分後に同点ゴールを決め,延長戦に突入。まあ,結局その試合はPK戦で負けたんだけど。
ケイタ君はそういうキャプテンだった。それからも,ケイタ君はどんどんサッカーがうまくなっていった。競技こそ違うけども,曲がりなりにもプロとして飯を食っている私が今思うに,たぶんケイタ君はサッカーに対しての取り組み方が,私達とは違っていたんだと思う。
具体的には,考えながらサッカーをしていた。練習をこなすための練習じゃなくて,どうやったら相手を抜けるか,相手を崩せるか,点を取ることができるか。そのための練習で,練習を生かすための試合を心掛けていたんだと思う。
私は,ただサッカーをヤっていただけ。ケイタ君は,結果を出すために何をすればいいかを考えていた。同じ練習でも,そら差はつきますわな。
私は他人の才能についてとやかく言える人間ではないけど,プロの世界で12年ヤってる目で言うと,才能って実に不確かなものなのよ。もちろん,天才は確かに存在する。人並み外れた能力を持つ人は,実際にいる。でも,それ以外はみんな同じ。あとは,そのジャンルに対して何を考えるか,その考え方よね。どういう考え方をできるか,それこそが才能だと思うの。他人と差がつくとすれば,そこなんでしょうね。
それに私は,「努力は必ず報われる」なんて思っていないの。努力は,報われるためにしないといけないと思っている。やみくもに努力さえすれば報われるほど,世の中は万人に優しくはない。いい結果を出すためにする努力こそが,正しい努力だと私は思うの。努力してるから,それだけで認めてほしいっていう姿勢は,努力をしていることが,すでにゴールになってしまっているのよ。
ケイタ君はきっと,10代半ばにしてそれに気付いていた。頭で理解してたかどうかは分かんないけど,少なくともそういう姿勢でサッカーについて考えていた。ケイタ君は,地元の強豪高校に入ってそこでもキャプテンを務め,サンフレッチェ広島に入団し,プロになった。
ケイタ君が18歳でプロの世界に入ったその頃,大学生の私は「Jリーグプロサッカークラブをつくろう!」をプレイしたいがために,セガサターンを買った。
20歳の頃,プロの世界でもまれていたケイタ君は,私が遊んでいた「サカつく」に選手として登場した。スカウトがケイタ君をリストアップしたときには,さすがにちょっと興奮した。そして,悔しくなった。ここにきてようやく。
それまでケイタ君に嫉妬したことなんてないのに,もうケイタ君とは距離を縮めようがないくらい引き離されているのに,そもそももうサッカーを続けてすらいないのに,私は自分が好きなゲイムに登場しているケイタ君に嫉妬した。美しくない感情にまみれて下を向いた私に,あの日の声が響く。「顔上げえや! まだ終わっとらん! 諦めるな!」。
4年後,私はその時ヤっていた学生プロレスを経て,プロになった。自分ではあまり努力をしたつもりはないけど,なるべく努力をせずに生きていくことに努力をしてきた。そうしてプロになった12年後に,日本武道館や両国国技館で試合をするところまでやってきた。
その間にケイタ君は現役を引退し,今ではサッカーを教える仕事をしているらしい。きっと,あの時のキャプテンシーがあるから,引退してもサッカーに携われているんだろうね。私が,ケイタ君に追いつけたのかどうか。それは分からない。ただ,まだ私は下を向いていない。顔を上げて,諦めずに,点を取りに行っている。サッカーではなく,エンターテイメントの世界で,だけど。
そしてたぶん,その活動とは関係のないところで好きだったゲイムのライターになり,ゲイムの連載を持つことになった。そこで培った人脈と運により,私,男色ディーノはサカつくに登場することもできた。どちらかというと,プロレスラーというよりはライターとしてだと思うんだけど。その意味でのみ,ケイタ君に追いつけた。
何が言いたいかというと,人生は何が起こるか分からない。思ったとおりにはいかない。「人間万事塞翁が馬」ってことです。
まずいいところは,今までのサカつくよりも,監督としての成長が実感できるってところ。これまでは,サッカークラブを運営していくのがメインのゲイムだったんだけど,今回はそれに加えて監督のプレイスタイルを選んで,そのスタイルのレベルアップをしていくという要素があるの。そしてレベルアップしていくごとに,プレイが有利になっていくのがきっちり伝わってくる。これがまた楽しいのよ。
前作でも,プレイ中にオファーさえ届けば運営するチームを変更することはできたんだけど,今回は監督の成長も描かれているから,チームが変わっても育った自分の分身を移籍先に持って行けるわけ。結果,自分がヤってきたこと対しての愛着も増す,と。
あと,ユース選手を発掘するのが面白い。「三國志」シリーズなんかの人材登用のイメージ。シミュレーション好きからすると,たまらない要素ね。
まあ,トータルで言うと,シリーズ好きは確実に楽しめます。プレイを始めて3日と経たないうちに,ゲイム内で6年も進めている私が言うんだから間違いないわ。どんどん強くなるのが分かるから,止め時が見つけづらいの。
なので,成長が分かるゲイムが好きな人はぜひプレイされたし。そして! 前述のとおり私は,男色ディーノとして今回のサカつくに登場しとるらしいのです! みんな積極的に使うように!
……私は使わないけどな。ではまた来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「Farming Simulator」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「モンスターハンター4」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
サカつく プロサッカークラブをつくろう!
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(C)SEGA LICENSED BY J.LEAGUE Stats Stadium The use of images and names of the football players in this game is under license from FIFPro Commercial Enterprises BV. FIFPro is a registered trademark of FIFPro Commercial Enterprises BV.
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