連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第32回:「大家 健と遊ぼう!」
著者近影
この間の日曜日は大阪で試合をヤって来たわ。
プロレスラーばかりを大量に乗せたバスが,東京から大阪まで移動するってわけ。で,それが何を意味するかというと,他人が多数いる密室空間で数時間を過ごさねばならないということ。これすなわち,友達のいない私でも,バス内で通信対戦ゲイムがプレイ可能,ということ。
でも,プロレスラーってどこか一匹狼なところがあって,心にウルフを飼っているものなのよ。日常生活で押さえ込んだウルフをリング上で解放し,その日暮らせるかどうかの賃金を得る,と。
要するにプロレスとは,選手がそれぞれ心に飼っているウルフの品評会なのです。強ければいいってもんじゃない。それぞれ人間が持っている闇を,見ている人にうまいこと伝える競技なのです。なんと悲しい職業なのか。
で,話を戻すと,バスの中では誰一人として会話すらしていないのね。みんな一匹狼なもんだから。かく言う私も,一人で黙々とプレイするために「逆転検事」を買ってバスに乗り込んだわけ。でも,結果から先に言うと,この大阪巡業で検事が逆転することは一度もなかったわ。
なぜなら,今回のバス車内には一人の男がいたから。男の名は大家 健。
先週もちょこっとだけ紹介したんだけれども,ゲイムファンはおろか,プロレスファンにもなじみがない名前でしょうよ。私はDDTという中小企業団体に所属しているんだけれども,大家 健は分かりやすくいうとDDTの子会社にあたる団体のプロレスラー。試合は基本的に月一回。
プロレスラーって最近は大手団体以外,プロレス一本では食っていけない時代なの。月一回の試合ではなおさら。それで彼は,親会社であるDDTの売店係としても働いているのね。DDTはまあ週一回ペースで何かしら試合があるから。
で,そのDDTは今年の夏8月23日(日)になんと両国国技館という,明らかに会社の規模に合っていない大箱で興行を行うことが決まったの。両国がどれくらいすごいかっていうと,両国国技館の公式キャパシティが1万1098人だから,ゲイムに換算すると,5月4週の売り上げで「Wii Fit」にちょっと及ばないくらい。そう。両国国技館大会はWii Fitなのです!
で,そのWii Fit大会……じゃなかった両国大会は,プロレスラー……とくに我々のようなどこの馬の骨とも分からない,学生プロレスからプロレスを始めたような,言い換えればただの太ったゲイマーにとっては,夢みたいな舞台ってわけ。
で,私は大家 健にも「両国に出ない?」と聞いてみたわけよ。なぜなら,私と大家 健は団体こそ違うものの会社自体は一緒なわけだし,年齢も同じ,プロデビュー戦も近い,学生プロレス出身etc……。言うなれば同じカマ。苦楽を共にしてきた戦友だもの。そりゃ聞くわよね。「一緒に出ないか? 一緒に,夢の舞台に立たないか?」って。
すると,大家健は私に言った。
「イヤですよ!」と。
「え? なんで?」
「だって僕,売店ありますもん」
「そ,そうですか……でも……やっぱプロレスラーとして夢とか……」
「夢もいいけど,夢だけじゃ人は食っていけないんですよ!」
「いや,そうだけれども……」
「僕が売店やらなきゃ誰がやるって言うんですか!」
「あの……バイトとかを雇えば……」
「僕は売店を任されてからというもの,常に陣頭指揮を執ってやってきました。誰もが嫌がることを,僕が率先してやってきたんです。今までやってきたことを無駄にするんですか! 売店こそが僕の夢なんです!」
大家 健とはそういう男。ある種かっこいいけど,たぶん何か間違ってる。そんな男。
というわけで,今回の大阪行きのバスには大家 健が乗っていたわけです。売店係として。ということは……「プロ野球チームをつくろう!2」(以下,野球つく2)ですよ。そして野球つくJAPANロードですよ。ようやく今週の本題に入れたなコレ。
私は先日取材したときに野球つくJAPANロードでプレイしたけど,大家 健は初めての模様。で,行き帰り含めて10戦は軽くプレイしたんだけど,コレやっぱ面白いわ。
繰り返しプレイしていると,ドラフトで獲る選手の傾向が見えるのがいい。相手も自分も。もちろんラインナップされる選手にもよるんだけど,私は主力ピッチャーを獲るのに対して,大家 健は4番となりうるスラッガーを獲る傾向にあるわね。
金本,小笠原あたりが出たら,大家 健は必ずドラ1で獲りに来ることが分かった。ちなみに私はダルビッシュ,岩隈。で,健はドラ2で青木,川崎あたりの巧打に優れた選手を獲りに来る。いわゆる攻撃偏重型。
かつてプロデビュー前に,練習の厳しさには耐えていたものの道場の近くにあるコンビニの姉ちゃんに恋をしてフラれたことがきっかけで夜逃げしたり,プロデビューしたあとも当時付き合っていた彼女に貢がされる生活が嫌で失踪したりなど,数々の攻撃的エピソードを持つ大家 健。やはりゲイムでも攻めに重きを置く男だったわ。
私はそんなアグレッシブな面白エピソードを持ってない,いわば守りに入る性格。キャッチャーでいいのがいれば獲るし,イマイチの場合はコンボ「黄金の二遊間」狙いでいいショート or セカンドを狙いにいく。以降はまあ状況次第。残り2チームのCPUは,やはり思考が似ているのか,けっこう被ることが多いわね。
いや〜しかしマジで面白い。そもそも,10戦前後(1戦あたり30分〜1時間ぐらい)も飽きずにプレイできたことがそれを物語ってるじゃありませんか。とりあえず,2009上半期男色的ベストゲイムと言ってもよさそうね。まだあと1か月くらいあるけど。
何が楽しいって,戦略性と運の要素のバランスが素晴らしい。で,相手の性格がゲイムを通して分かってくるって意味で,テーブルゲイムとしても最高。
2人でこれだけ面白いってことは,3人,4人だとやはり相当面白いんだと思うわ。あと,実験的に野球をあまり知らない人がプレイしても面白いかを実験してみたい私がいる。誰かに買わせてみようと思うわ。
てなわけで,大家 健と野球つくJAPANロード,とりわけ大家 健に関する情報で大半を使い果たした今回の連載だけれども,そんな大家 健に8月23日両国国技館の売店で会えるチケットを私の裁量でプレゼントいたします! 詳しくは……また来週!
|
- 関連タイトル:
プロ野球チームをつくろう!2
- この記事のURL:
キーワード
(C) SEGA (社)日本野球機構承認 NPB BIS プロ野球公式記録使用