連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第12回:「煩悩の数は108では足りない」
著者近影
はーいあけましておめでとー! この年末年始何一つめでたいことなんてなかったけどもな! 強いて言うならコミケ童貞を捨てたくらいかしら。
そうなのよ実はこのたび私,「DDTスーパースター列伝」なる同人マンガで,原作者デビューを果たしたのよ。まあ同人って言っても,かの“プロレスの教科書”ならぬ“プロレスファンの教科書”と言えるマンガ「プロレススーパースター列伝」(原作:梶原一騎)の画作者である原田久仁信先生に絵を描いてもらっているから,同人と言うにはあまりにもはしゃぎすぎてる一品ではあるんだけれども。「ものまね王座決定戦」にご本人登場! みたいな感じ。……ウン微妙に違うなこの例え。
まあ,おかげさまで刷った1000部は秒殺……ごめん言いすぎた日殺……いや週殺? 要は一週間でハケたんだけれども,売れたことよりもむしろコミケに参加できたことに喜びを感じているの。だって,いわゆる普通に生きていたならば,あんな異次元空間は味わえないわよ? 正直,コミケをナメてたわ。あれはある種の戦場ね。
ところで,日本人の国民性って良くも悪くも臭いものには蓋をしがちだから,報道では映像にしろ写真にしろ,厳しい現実にはあえて目をそむける傾向があると思うの。
例えば,阪神大震災における被災者の厳しい状況やボランティアの活躍っぷりは報道されても,その裏で心ない人達によって行われていたドサクサまぎれの犯罪なんかはほとんど報道されていなかったわ。私自身がボランティアとして参加していただけに,現実と報道の温度差に戸惑った記憶があるわね。あと,例えばサッカーのワールドカップなんかにしても,どう考えたって日本にそこまでの実力はまだ無いのに「ベスト8入りの確率は70%」的な感じで報道したりして。要するに,日本は客観的に見た現実よりも比較的ポジティブに物事が報じられる国だと思うのよ。いいか悪いか,は別にしてね。
で,なんでコミケの話から報道の話になったかといえば,かくいう私も行ったこともないのに,勝手にコミケのイメージを作り上げていたって言いたかったというわけよ。しかもポジティブなほうに。
コミケっつったらコスプレ。これはまあイメージどおりだったんだけど,もっと華やかなもんだと思ってたのよね。きっとコスプレイヤーにとって,コスプレという表現に身を投じることこそが重要なんだと思うの。ある意味,プロレスにも通じる部分があるような気がしなくもないんだけど。
で,なんというかむちゃくちゃ似合っている人もいるんだけど,同時に厳しい現実もコミケには横たわっていたな,と。報道されるコスプレイヤーは,似合ってる人ばっかりだったから,そういうものだと思っていたんだけど,客観的な評価よりも「このコスプレをしたい!」っていう思いを叶えた人々の姿は,現実の厳しさを内包した美しさに溢れていたと思うわ。
さて,コスプレイヤー以外にも,ビッグサイトには目当てのモノを探して手に入れんとするトレジャーハンターがたくさんいたんだけど,彼らの姿を見て私ゃ思ったわ。煩悩の数が108なんて嘘だ,と。
除夜の鐘は,入場者数分鳴らさないと嘘だわ。それほどあのハンター達は目の色が違ったのよ。昨今の日本の若者は牙を抜かれている,というふうな話を年配の方が口にすることがあるけれども,そんなの杞憂だわ。あんなハングリーな目をした日本人が,アソコまで大勢いるのならば日本はまだまだ大丈夫。きっとサムライはあんな目をしてたんでしょうね。
……っていう長い前フリから紹介するのは「幻想水滸伝ティアクライス」。108だけに。ぶっちゃけ年末年始はプロレスやってたから,ゲイムプレイする時間がほとんどなかったんだけど,一つだけ自分を褒めてあげたいのはそんな日々の中でも幻想水滸伝ティアクライスと「パンダさん日記」だけは毎日欠かさずプレイしたこと。
パンダさんはさて置き,やっぱキャラクター収集ゲイムは面白いわ。つまるところ「幻想水滸伝」も「水滸伝」も「三國志」も「信長の野望」も「プロサッカークラブとつくろう!」も,私が好きなゲイムはすべてコレクション要素が高いゲイムなのよ。「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」でも移民の町の要素はすげえ好きだし,「レイトン教授」シリーズもそれっちゃあそれだし。
あとは図鑑を埋めていく要素があるゲイム。「大江戸ルネッサンス」とか「アトリエ」シリーズとか,最近でいうところの「シヴィライゼーション レボリューション」とか。あ,この話はまた来週にでも。
で,幻想水滸伝ティアクライスの話に戻るけど,正直,個人的にはこのシリーズってストーリー性で勝負するゲイムじゃないと思うのよ。だってゲイム中に108人も仲間がいるわけだし,そうなるとできることなら108人全部を集めたくなっちゃうじゃない? で,キャラクターを集めようとすると,本筋のストーリーの進行具合を忘れてしまう。
だから,筋は通っていながらもシンプルで薄味のストーリーのほうがいいと個人的には思うのね。そういう意味で,敵である協会と戦うっていうシンプルな設定の今作は,非常に分かりやすい。先が見えない展開だと,ストーリーを見失うからおちおちキャラクターを集めてられないんだもん。
そんなわけで,目下キャラクター収集中。シリーズの1〜3までは楽しくプレイできたものの4,5はイマイチ乗り切れなかった私が,30時間以上もプレイできているんだから,幻想水滸伝ファンならおおむね納得して遊べるんじゃないかしら? あ,でも強いて悪い点を挙げるならば,ドラクエで言うリレミト的なダンジョン脱出系のアイテムあるいはスキルがほしかったなぁってことかしら。そうすればもっとサクサク進めたのに,と思ったり思わなかったり。
そんなこんなでほとんどコミケの話になってしまった気がしないでもないけども,今年もダラダラとローテンションで毎週ゲイムライフを綴っていくわ。
そしてたまにプロレス界の光と影に焦点を当てつつ不況と呼ばれるこの世の中で記事を通して夢と希望を与えながら日本の抱える問題点を痛烈に指摘/改善するよう呼びかける一方で理想論だけではやはり世の中が変わっていくのは難しいし求めることと現実とはやはり限りなく開きがありその差異を少しでも埋めることこそがこの連載に課せられた使命でありこれこそが私の仕事であると誇りを持って毎週筆を執らせていただく……わけねえだろ!
今年もよろしく。
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幻想水滸伝ティアクライス
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