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「RAGEはid Softwareの歴史で最高のゲーム」。id Softwareのファンイベント「QuakeCon 2011」で,ジョン・カーマック氏が2時間の基調講演
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印刷2011/08/05 17:53

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「RAGEはid Softwareの歴史で最高のゲーム」。id Softwareのファンイベント「QuakeCon 2011」で,ジョン・カーマック氏が2時間の基調講演

 久々の新作タイトル「RAGE」PC/PlayStation 3/Xbox 360)の発売を目前に控えた北米のゲームメーカー,id Software。同社が毎年開催しているファンイベント「QuakeCon 2011」が現地時間の2011年8月4日から7日まで,地元であるテキサス州ダラスで開催中だ。会場は,ヒルトン アナトールホテルにあるコンベンションセンターで,4日間で3000人の来場者が見込まれている。

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「Rage」公式サイト(要年齢認証)


 FPSというジャンルを確立したゲーム史の金字塔,「Quake」が発売された1996年に初めて開催されたQuakeConは基本的に,ゲーマーが自分のパソコンを持ち寄り,昼夜を分かたずマルチプレイ対戦に明け暮れるというBYOC(Bring Your Own Computerの略)形式の大規模LANパーティーだ。多数の学生達が遠路はるばるポンコツ車で駆けつけて,ゲームに熱中する様子から,「ゲーム界のウッドストック」(Woodstock Music and Art Festival:1969年に開催された野外コンサート)とも形容されるイベントだ。

 2005年にはRaven Softwareが開発を担当した「Quake 4」が,そして2010年にはFree-to-Playのブラウザゲーム「QUAKE LIVE」がリリースされているが,id Softwareが本格的な作品を手がけたのは,2004年の「DOOM 3」が最後。その後の7年間,飽きることなく全米から多数のファンが集まり,Quakeシリーズや「id Tech」エンジンを利用したゲームを楽しむ人々でQuakeConが賑わってきたのだから,id Softwareファンのロイヤリティの高さには驚かされる。

画像集#002のサムネイル/「RAGEはid Softwareの歴史で最高のゲーム」。id Softwareのファンイベント「QuakeCon 2011」で,ジョン・カーマック氏が2時間の基調講演

 初日である8月4日は,多くのゲーマーが自慢のPCを広い会場に持ち込んでセットアップしている段階で,期待に満ちたざわめきに包まれてはいるが,まだ何も始まっていない。
 そんな初日の唯一のビッグイベントが,id Softwareの創始者であり,チーフアーキテクトとして20年間にわたりid Software作品のプログラムを書き続けてきた,ジョン・カーマック(John Carmack)氏の基調講演だ。

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画像集#004のサムネイル/「RAGEはid Softwareの歴史で最高のゲーム」。id Softwareのファンイベント「QuakeCon 2011」で,ジョン・カーマック氏が2時間の基調講演
 ちなみに,カーマック氏の前に壇上に立った同社の現CEO,トッド・ホーレンスヘッド(Todd Hollenshead)氏の発表によると,このQuakeConの開催を記念して,イベント期間中,id Softwareが制作したiOS用タイトルがすべて半額で販売され,さらにSteamでもid Softwareおよび兄弟会社であるBethesda Softworksタイトルの大特価セールスが行わるとのこと。さらに,iOS向けの「RAGE HD」のFacebookの公式ファンページが,10万人のユーザーの「お気に入り」に登録された場合,一定期間RAGE HDを無料配布するという太っ腹な発表も行われた。

 さて,カーマック氏の基調講演だが,来場者からのQ&Aを加えて2時間近く,カンペやプロンプターを見ることなく,まるでRAGEの開発を思い出すかのような口ぶりで熱く語ったのだ。もちろん,カーマック氏らしく,ときには難しい技術の話になることもあり,大手メーカーの新作発表会や講演とはまったく異なる雰囲気だ。だが,FPSファンや開発者にとって教祖的な存在である彼だけに,来場者の多くが熱心に耳を傾けていた。

 「発売まで2か月ほどになったRAGEだが,自分が行うべき作業はほぼ終了した」と語るカーマック氏が,最近,はまっているのが,昔の自分のプログラムを引きずり出して改良することだという。「私も40歳を超え,昔より知識が増えました。かつては“若き天才”などと言われたこともありましたが,その若者が“熟練のマスター”になった今,制作したRAGE(に利用された「id Tech 5」エンジン)は,自分の歴史の中でも最高のデキになっています。RAGEはid Softwareの歴史で最高のゲームです」と自賛気味に語るカーマック氏。このid Tech 5エンジンには約8年という歳月を費やしているのだから,完成の感慨もひとしおというわけだろう。

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 もっとも,すでにRAGEの反省点も検討しつつあるようだ。RAGEはシングルプレイモードを重視し,マルチプラットフォームを強く念頭に置いて開発したため,専用サーバーが用意されないなど,マルチプレイモードにやや手薄感がある。また,「MODコミュニティをサポートできる仕掛けをうまく作れなかったことが悲しい」とも語る。それにしても,発売前のタイトルの話題を開発会社のトップが語るという状況を考えると,信じられないほど率直だ。
 ともあれ,「VirtualTexturing」 あるいは「MegaTexturing」とも呼ばれるid Tech 5特有の機能をアマチュアが応用するのは困難だという認識が当初,カーマック氏にあり,そのため,MODサポートはあきらめざるを得ないと判断したようだ。

 LANパーティーであるQuakeConの参加者は,当然ながらほとんどがPCゲーマーであり,Q&Aセッションでは以上のような,マルチプレイモードやサーバー,MOD制作についてのファンからの鋭い指摘が出されていた。カーマック氏は「今後,我々のプロジェクトはすべて,専用サーバー設置を念頭に置く」とし,さらにPC向けには,開発中のテストとして使った超高解像度のテクスチャをリリースするなど,PCゲーマーへのサポートは忘れていないと答えている。
 さらに,RAGEの発売後にDOOM 3をオープンソース化するとカーマック氏は発表し,来場者の喝采を浴びた。DOOM 3に使用されているのは一世代前の「id Tech 4」エンジンだが,アマチュアMOD開発者達の制作意欲を刺激することは間違いないだろう。

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 「若き天才」から「熟練のマスター」へと進化したジョン・カーマック氏の最新作RAGEは,アメリカでは2011年10月4日,また日本ではゼニマックス・アジアから10月6日の発売が予定されている。あまりにも開発に時間をかけ過ぎたという反省から,「今後は,3年に一本はゲームを出していけるようにしたい」というカーマック氏。今回の基調講演では,詳細は分からないものの,RAGEのDLCや続編についても簡単に触れており,FPSファンは今後のid Softwareの動きから目を離せないだろう。

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