プレイレポート
【FFXIレポート03】真の意味での“中衛”ジョブ? アルタナの新ジョブ「踊り子」をレベル37まで育ててみた
踊り子をプレイするには,ジュノ上層から始まるクエストをこなす必要がある。“ブリリオート舞踏団”団長から無理難題をふっかけられるという内容だが…… |
“踊り子”は,水晶大戦当時に活躍したダンサーという設定のジョブだ。激しいダンスによって魔法に似た特殊効果を生み出し,味方を鼓舞したり,あるいは敵を弱らせたりできる。いわゆる回復/支援/弱体化系のスキルを得意とするジョブと考えると分かりやすいだろうか。
上記のようは特殊効果は,これまでは主に魔法を詠唱する(MPを消費する)ことで行なわれていた。だが踊り子は,MPではなくTP(タクティカルポイント)をリソースとしてさまざまな特殊効果を発動する。つまり踊り子の準備作業はヒーリングではなく,武器でモンスターを攻撃する(TPを貯める)ことなのだ。「いかにしてTPを効率よく運用するか」というこれまでなかった要素が,FFXIに新たな魅力を吹き込んでいるのである。
この点を念頭に置きつつ,踊り子が具体的にどういった能力を持っているのかを,じっくりと見ていきたい。
サンバやワルツで自他を鼓舞し
ステップで敵を弱体化する
今回紹介する踊り子はエキストラジョブ扱いで,取得するにはレベル30以上を対象としたクエストをクリアする必要がある。エキストラジョブの中でも,踊り子はかなりテクニカルなジョブで,人によっては若干難度が高いと感じるかもしれない。
しかし,パーティプレイにおける踊り子の役割は,主に4種類のアビリティが基本となっており,これらの仕組みをしっかり把握しておけば,上級者でなくとも十分活躍できるはずだ。
それでは,踊り子の代表的なアビリティを順番に紹介していこう。
■ドレインサンバ
“踊り”のアビリティなので,使用時はしっかりダンスする。戦闘中にいきなり踊りだす姿に,最初はぎょっとしてしまうかも |
一度に吸収できるHPの量は少ないものの,この効果は100%発動するので,積み重ねるとかなりのHPが回復できる。しかも,パーティメンバーの誰もが,状態異常中のモンスターを武器で攻撃することによってHPを吸収できるのだから凄い。ケアルを唱えたりしてないのに,踊り子と一緒に戦っている前衛キャラクターのHPが,じわじわと回復していくわけだ。
攻撃時にモンスターからHPを吸収するという意味では,暗黒騎士の2時間アビリティ「ブラッドウェポン」と似ているが,ドレインサンバのほうが遥かに手軽である。なにせ,ドレインサンバに必要なTPコストはたったの10で,ほぼ常時使えるからだ。さらに格下のモンスター相手ならば,「被ダメージ量<HP吸収量」となり,ほぼノンストップで戦い続けられる。このような芸当ができるジョブは,踊り子をおいてほかにないだろう。
ともあれ,踊りのアビリティはTPをリソースとして使用する。各アビリティによってTPコストは違うものの,いずれにせよ攻撃するだけで貯まっていくのだから,思ったよりも楽に運用できるはずだ。
丸い水色のエフェクトがドレイン効果だ。状態異常の“ドレインデイズ”は数秒で切れるので,常に攻撃し続ける必要がある |
パーティ内に踊り子が一人いるだけで,メンバー全員がドレインサンバによるHP吸収効果を利用できる。ここがポイントだ |
■ケアルワルツ
こちらはケアルワルツを踊っているところ。余談だが,女性キャラクターのほうがダンスの見た目が華やかになる |
このような回復効果を,呪文詠唱ではなくアビリティで発動できるのが素晴らしい。アビリティは,使用すると即座に発動し,“静寂”状態中でも問題なく使えるという絶大なメリットがある。もっともその一方で,回復魔法スキルの影響を受けず(そもそも踊りにはスキル値が存在しない),仮にレベルアップしてもHPの回復量はあまり変わらない。
よって,ケアルワルツの習得からしばらくの間は,踊り子がヒーラー役として白魔道士とほぼ同等のポテンシャルを持っている。戦う敵によっては,ドレインサンバと併用することで,踊り子がメインヒーラーを務めることも可能なほどだ。
ただし,踊り子の登場によって白魔道士などのジョブがお払い箱になったわけではないので,ここは誤解しないでほしい。例えばほかの踊りアビリティやウェポンスキルを積極的に使っていくなど,踊り子のTPの用途は多岐にわたる。メンバー編成やキャンプポイントなどの状況に応じて,TPの運用法を変えていけるのが,このジョブの面白いところなのだ。
踊りはアビリティなので,呪文のように詠唱中断されることがない。ピンチに陥っても,とっさに使用できるのが嬉しい |
ヒーラー的な活躍も一応可能だが,その場合は与えるダメージ量がかなり減ってしまう。バランスに気をつけよう |
■クイックステップ/A.フラリッシュ
クイックステップが成功すると,画面上部に黄色い剣のアイコンが点滅する(一番右のアイコン)。この数字がフィニッシングムーブの蓄積量を示している |
「クイックステップ」は,対象モンスターの回避率を下げるという,踊り子が最初に習得する弱体系アビリティだ。これは最大5回まで効果が重ねられ,状況によってはモンスターの強さ表示が変わるくらいの効き目がある。成功率があまり高くないのが難点だが,戦闘の序〜中盤にうまく入れられれば,それなりの効果が期待できるだろう。
踊り子はステップを決めるたびに,「フィニッシングムーブ」というポイントを蓄積していく。そしてフィニッシングムーブを消費して繰り出すタイプの技も用意されているのだが,その中で最初に習得できるのが,「A.フラリッシュ」だ。
A.フラリッシュを端的に言うと,戦士の“挑発”に近い効果を持つアビリティだ。増加させる敵対心は挑発よりも少ないが,例えば後衛キャラクターを狙うモンスターや,スリプルで寝かしつけたモンスターを,自分に引きつけるくらいのことはできる。
もっとも,仮に踊り子が擬似的な挑発を行えたところで,モンスターからの攻撃を一手に受けるのは難しい。踊り子の防御力はそれほど高くなく,またフィニッシングムーブの蓄積がステップの成功率に影響されるため,やや不安定なのだ。
では,いったいどうすればA.フラリッシュを有効活用できるのだろうか?
A.フラリッシュの活用法の中でもとくに踊り子らしいのは,先のドレインサンバとの組み合わせである。仮に,複数の前衛キャラクターがダメージを分散して引き受けても,ある程度ならドレインサンバで相殺できる,というわけだ。これについては後ほど詳しく説明しよう。
A.フラリッシュを発動させた瞬間。“挑発”に似たこのアビリティが,戦士以外でも使えるというのはなかなか興味深い |
低〜中レベル帯では,一人のキャラクターがターゲットをがっちり受け止めるのは難しい。A.フラリッシュを使って,ある程度分散させよう |
どの分野でも臨機応変に活躍できる
真の意味での“中衛”ジョブ
踊り子は幅広い活動を行えるが,それらすべてを一度にはできない。パーティ編成を見て,TP運用のバランスを調整していこう |
踊り子が主に装備できる武器種別は“短剣”と“格闘”の二種類で,そこからやや落ちて“片手剣”も一応候補に上がる。ただしそれぞれの武器スキルは“ランクB”以下で,武器でダメージを与えるアタッカーとして見た踊り子は,少々弱い。与えられるダメージ量の大まかな目安としては,シーフから“不意打ち”と“だまし打ち”を取り除いた程度である。
レベルが一桁〜10代の間はそれほど気にはならないが,次第にほかのアタッカージョブとのダメージ差が歴然としてくるだろう。
強烈なダメージを与えられない反面,踊りのアビリティでさまざまな支援活動を行えるのは先述したとおり。よって,ダメージ量はさておき,何はともあれ攻撃し,アビリティを使うためにTPを貯めていかねばならない。これまでのジョブにはあまりなかったスタイルである。
基本的な立ち回りとしては,戦闘開始直後はクイックステップをこまめに入れて,フィニッシングムーブを貯めることに専念。そして状況に応じてケアルワルツやA.フラリッシュなどを使いつつ,ドレインサンバを1〜2戦おきに使っていく感じだ。
TPを貯めることが先決なので,装備をチョイスする際のアドバイスとしては,基本的に命中率を重視し,与えるダメージがゼロにならない程度(ゼロの場合はTPが貯まらない)に攻撃力を上げるのが一般的だろう。また,A.フラリッシュを多用するスタイルなら,回避率も上げておくといいかもしれない。
このような性質を考慮すると,使用するとTPがゼロになってしまうウェポンスキルとの相性は悪く,これも踊り子を純粋なアタッカーから遠ざけている一因といえる。
また,エリアチェンジ後やキャンプの開始直後はTPがゼロだ。そうなると当然アビリティが使えないので,ピンチに陥りやすい。このように若干の不安要素を抱えているが,アビリティの効果と消費TPのコストパフォーマンスは抜群である。
要するに踊り子というジョブは,“タンク,アタッカー,ヒーラー,デバッファー”のいずれの分野でも,決して一番にはなれない。しかし戦術を工夫すれば,どの分野でもそこそこの活動ができる。すなわちパーティ内のジョブ編成に応じて,足りない部分を補えるところが,踊り子の最大の長所であり,魅力でもあるのだ。
一般的に低レベル帯では格闘武器,そしてレベル20以降は短剣の二刀流にチェンジする人が多いように見える。ただしメリットポイントがあれば話は別だ |
パーティプレイ時はダメージの底上げが課題。そのため,盾役よりもアタッカー系のキャラクターがまず欲しいところ |
中衛のコンセプトは青魔道師にも搭載されていたが,青魔法セットのシステムや,MPをリソースとしていることから,臨機応変な対応が難しかった |
とりあえず,ここまで説明したことをしっかりと押さえておけば,序〜中盤のプレイで戸惑うことはないだろう。ここからは,大分先の話になってしまうが,踊り子の中盤以降のレベル帯について簡単に補足しておきたい。
大まかな方向性を言うと,アタッカーらしさは次第に薄まり,その分回復/支援系にシフトしていくことになる。なぜならば各武器のスキル値が低いこと,また性能が突出した武具の多くを装備できないからである。具体的には,“サルベージ”や“リンバス”そして“五神装備”といったハイエンド系の防具は,一切装備できない。なお,踊り子のアーティファクト装備も現時点では実装されていない。実装されるには(通例から察するに)もうしばらく時間がかかりそうだ。
現在実装されている中で,踊り子が装備できるトップクラスの防具としては,アサルト戦績交換品の“ペルワン装束”,またはナイズル島調査指令の“デナリ装束”といったあたりが挙げられる。武器についても似たような感じなので,やはり踊り子に対し,アタッカーとしての過度の期待はしないほうがいいだろう。
その分,習得していく踊りのアビリティには,有用なものが揃っている。蓄積させたTPやフィニッシングムーブをどうやって運用するかという,テクニカル要素が際立ってくる形だ。
この赤いエフェクトは「アスピルサンバ」によるもの。MPを吸収できるという,青魔道師やナイトなどにとって,とてもとても嬉しい効果だ |
インビジとスニークの効果を同時に得られる「スペクトラルジグ」。このような芸当をアビリティで行えるのは踊り子だけ |
踊り子の能力をサポートジョブで“食える”のはありがたいが,メインジョブとしての実力は未知数といえる。今後注目していきたいところだ |
踊り子登場によってパーティプレイ/ソロプレイが若干変化
状況に応じてサポートジョブを選ぶのが面白い!
格下の敵に対して,踊り子はとことん強い。盾役のキャラクターがいないパーティ編成では,キャンプポイントをワンランクだけ下げるといいかも |
例えば,ドレインサンバによる「盾役以外もある程度ならダメージを受けても大丈夫」という考え方は,これからのパーティ構成のありかたを変えていくだろう。レベル帯によっては,ナイトや忍者といった盾役のキャラクターがなかなか見つからないこともある。そんなときでも,戦士や侍といったアタッカーと踊り子がいれば,冒険できないことはない。パーティリーダーのセンスによって,プレイの幅が大きく広がったといえるだろう。
コツとしては,極端に強いモンスターは狙わず,また各メンバーが大きな敵対心を稼がないように協力し合うこと。ほかにも白魔道士の“リジェネ”(HPを徐々に回復)の有用性が際だってくるなど,なかなか新鮮なパーティプレイが満喫できるのではないだろうか。
踊り子がパーティ内に複数いても,仕事が足りなくなることがない。例えば,戦闘序盤でクイックステップをレベル5に上げるのも簡単だ |
前衛キャラクターがサポートジョブを忍者→踊り子に変えると,攻撃力は少しだけ落ちるが,安定性が大きく増す |
そしてもう一つ特筆すべきは,“踊り”がアビリティであるため(=スキル値の影響を受けないため),仮に踊り子をサポートジョブに設定した場合でも,有効活用しやすいことだ。例えば,アタッカーのうち一人が,サポートジョブを踊り子にした場合をイメージしてほしい。ドレインサンバだけを取って見ても,ヒーラーのMP負担が大幅に減ることは想像に難くないだろう。
さらにパーティプレイ時のみならず,ソロプレイ時でもこれは有用だ。なにせHPが減ったら,雑魚をボコボコと叩きのめすだけで全快できる。ほかにも,レベル25で習得できる“スペクトラルジグ”(インビジとスニークの効果を同時に得られる)という踊りも,「ソロプレイで使ってね」と言われているような気がしないでもない。
結果,「サポートジョブ:踊り子」のポテンシャルは,「サポートジョブ:忍者」に迫っており,場合によっては上回っている。FFXIプレイヤーならご存知のとおり,これまでは“空蝉の術”があまりにも強力すぎることから,大半の前衛ジョブがサポートジョブを忍者にせざるを得なかった。しかしこのトレンドが,ついに変化しそうなのである。プレイスタイルの選択肢が広がったことは大いに歓迎したい。
それにしても,既存の各ジョブがサポートジョブを踊り子にすると,またそれぞれ違った姿が見えてくるのが面白い。個人的には,全ジョブとの相性関係をまとめて記事化したいくらいなのだが……。まぁこのあたりは,ぜひとも読者が自分自身の目で確かめてくれればと思う。
踊り子の登場によって,TPに新たな使い道が生まれ,結果としてFFXIに新たな面白さをもたらした。ジョブとしてのトータルバランスは高く,サポートジョブでも有益なことから,アルタナの神兵を導入した全プレイヤーが一度はプレイしてみる価値がある,といっても過言ではないだろう。まだジョブを取得していない人は,ぜひ一度プレイしてほしい。
大半のキャラクターにとって,踊り子をサポートジョブ用に上げる価値はある。ソロプレイでの相性もかなり良い |
踊り子などの導入によって,FFXIの常識が次第に変わっていくのを感じる。個人的に,現在のジョブバランスはかなり優れていると思う |
アルタナでは“学者”のジョブも導入されているが,プレイ人数を検索する限りでは,踊り子に軍配が上がっているようだ。今後の学者のバランス調整にも期待したい |
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