プレイレポート
「The Secret World」の最新スクリーンショットやムービーを公開。ロンドンで開催されたイベントでプレイアブル展示された本作の新情報を掲載
ミッションの紹介の前に,ちょっとおさらい。The Secret Worldの世界は,我々が暮らす現代社会を舞台に,神話に登場するクリーチャーや,言い伝えの中に出てくるモンスターなどが,実は本当に存在しているという設定だ。吸血鬼がロンドンのナイトクラブで獲物を物色し,狼男がソウルの下水道に潜み,ゾンビが夜のニューヨークで人々を襲う,そんな世界を背景に,プレイヤーは,これらの怪物達と戦う3つの秘密結社のいずれかに属し,世界のあちこちで起きる怪奇現象に立ち向かっていくことになる。太古から存在するという秘密結社はそれぞれ,「Templar」「Illuminati」「Dragon」と呼ばれている。彼らは,共同して事件に対処することもあれば,お互いに勢力争いを繰り広げてもいる。
剣と魔法のハイファンタジーが主流であるMMORPGジャンルにおいては,異色の設定になっていると言っていいタイトルだ。
ノルウェーのオスロに本拠を置くFuncomは,「Anarchy Online」(2001年)や「Age of Conan: Hyborian Adventures」(2008年)といった作品で日本のMMORPGプレイヤーにもおなじみだが,独特の世界観を持ったアドベンチャー「The Longest Journey」(1999年)のヒットで一躍有名になったデベロッパでもある。そういえば,現実の世界と魔法の世界を行き来するというThe Longest Journeyの物語は,The Secret Worldにも通じるものがあるかもしれない。
The Secret Worldの制作発表は2007年のことで,そのときには2008年に正式サービスを開始するとされていていたが,Age of Conanの開発遅延もあってかこちらも遅れ,情報もあまり出てこなくなってしまった。本格的なプロモーションがスタートしたのは,2010年頃のことで,2011年には,欧米でのパブリッシングをElectronic Artsが担当することなどが発表され,ファンをやきもきさせつつも開発は続いてきたようだ。欧米でのサービス開始は2012年6月が予定されており,考えてみると,当初の発表から実に4年の遅延になる。
グラフィックスは,スクリーンショットからも分かるようにMMORPGとしてはハイレベルなもので,FuncomがAge of Conanのために独自開発した「Dream Engine」が使われているとのこと。高画質でプレイしようと思えば,それなりのスペックを持ったPCが必要になりそうだ。
プレイヤーキャラクターとしては,近接戦闘が得意なタイプと,銃器の扱いが巧みなタイプが登場していたが,これまでも何度か紹介してきたように,The Secret Worldは,「クラス」や「レベル」などの概念が存在しない,スキルベースのシステムになっている。プレイヤーは,ミッションに挑んだり,敵やモンスターを倒すことでポイントを獲得し,それを使ってスキルを手に入れるわけだ。画面下方に並んだ7つのボックスに使用したいスキルをあらかじめセットしておくことができ,それぞれ1〜7の数字キーにアサインされている。戦闘では,敵をクリックしてターゲットし,これらのスキルをワンキーで発動して戦うというスタイルになるのだ。
またサブセットの設定も可能で,それらを切り替えることで,接近戦闘から遠距離の戦闘,そしてサポート役など,さまざまな役割に対応できるという。
スキルは現在のところ500種類以上が用意されており,プレイヤーはそれぞれのスキルをアップグレードできる。入手可能なポイントに上限を設け,スキル選択をシビアにしているMMORPGもあるが,The Secret Worldではそのようなことはなく,ゲームを長く続ければ続けるほど多くのスキルが手に入るという。
Senior Community ManagerのOlives Kunz氏 |
これについて,イベント会場でゲームの説明をしてくれたFuncomのSenior Community ManagerであるOlives Kunz氏は,リリースの前にテンプレートを用意したいと答えてくれた。タンクになりたい場合はこのスキルセット,というオススメをいくつか用意し,慣れてくればそれを自分なりにアレンジして使うというわけだ。
もともと,こうしたスキルベースのシステムを採用した理由としてKunz氏は,ゲーム内でいろいろな役割を楽しんでほしかったからだと言う。プレイヤーがキャラクタークラスや職業を選んでしまえば,それ以降はずっとそのままというゲームが多いが,The Secret Worldでは,いつでも好きなときに好きな役割を果たすことができるというのだ。それによって,パーティの編成も柔軟になるし,成長の方向を切り替えるのも容易になる。
ちなみに,試遊で使われたパーティは,全員が同じ秘密結社に属しているわけではなかったので,秘密結社同士のPvP以外では,所属に関わりなくパーティが組めるようだ。
NPCがミッションをくれる場面は,カットシーンになっており,音声によってミッションの内容が説明される。このようなボイスオーバーはゲーム中に多用されているということだが,例えば街角で座っているNPCなどとの会話は字幕で表示される。
さて,具体的な状況はよく分からないのだが,Kunz氏によると,どうやらミッションの途中でやるべきことをスキップして次に進んでしまったらしく,もう一度,ミッションを最初からやり直すことになったらしい。とはいえ,時間も限られているというわけで,あとはひたすらゾンビと戦うだけという,いささかしまらない状況で試遊は終了した。ちょっと消化不良な感じはするが,本作がアクションをメインにしたスピーディなゲームであるという印象を受けた。また,ホラー色は思ったほど強くはない。
今回のイベントではまた,ブラウザ版「The Secret World」も紹介された。もちろん,ブラウザでMMORPGをプレイするわけではなく,例えばどのファクションが,世界のどの地域を掌握しているのかなどが世界地図上に表示され,PvPの結果によって,それがダイナミックに変化していくというものだ。このほかにもリーダーボードやSNS機能などが備えられ,本編を補助するものになるという。こちらの詳細も今のところ未発表だが,6月の正式サービス開始までに明らかになるはずだ。
ずいぶんと長く待たされてしまったが,独特の世界観やゲームシステムなど,剣と魔法の世界にはちょっと飽き気味というMMORPGファンにとっては,興味深い作品になるThe Secret World。Kunz氏によると,日本語版の予定は今のところないとのことだが,サービス開始後の盛り上がりでは,どうなるか分からないかもしれない。いずれにしろ,約2か月後に迫ったローンチを楽しみにしよう。
「The Secret World」公式サイト
- 関連タイトル:
Secret World Legends
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