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[E3 2008# 49]2008年後半最大の期待作の一つ,「Fallout 3」がE3に登場
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印刷2008/07/22 21:38

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[E3 2008# 49]2008年後半最大の期待作の一つ,「Fallout 3」がE3に登場

 北米のパブリッシャ/デベロッパであるBethesda Softworksのプライベートルームは,同社が世の中に送り出すタイトル同様,非常に個性的だった。アポイントの時間に通されたその部屋の奥には「Fallout 3」の試遊台が6〜7台並んでおり(プラットフォームはXbox 360),担当者からの簡単な説明があったのち,「さあ,30分間勝手に遊んでください。分からないことがあったら聞いてね」というもの。撮影/録音一切禁止という状況であり,正直,こりゃまいっちゃったという感じ。

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 「遊んできました」じゃ記事にならないなあと思っていたら,幸いなことに7月16日午後5時からFallout 3のプロデューサーに対するメディア合同インタビューが行われることになったため,あわてて末席に連なってきたのである。プロデューサーであるTodd Howard氏といえば,前作「The Elder Scrolls IV: Oblivion」(以下,Oblivion)で世界的なヒットを飛ばし,今や次世代のゲーム市場を担う存在とされている有名クリーチャー,じゃなくてクリエイターだ。
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Todd Howard氏本人
 主題となっているFallout 3とは――まあ今さらだが,2008年秋の発売が予定されているRPGで,傑作と評される「Fallout」(1997年)の精神を受け継いだシリーズの最新作だ。対応機種はPCとXbox 360,そしてPLAYSTATION 3になっている。最初のアナウンスは約1年前で,以来,とくに欧米を中心にオリジナルのFalloutのファンやOblivionのファンを中心にリリースが期待されている作品である。今年の4月にはBethesdaの親会社であるZenimax Mediaの日本法人も設立され,今のところコンシューマ機版に限っての話だが,日本語ローカライズも確実になった。そんなわけなので,ここでは実際のプレイのインプレッションにHoward氏の話を織り交ぜつつレポートしてみよう。

 現在まで,ほとんどのゲームプレイはXbox 360で行われてきたため,まずはPC版がどんな感じになるのかについて。Howard氏によると,当然ながら高解像度表示ではコンシューマ機に比べてPC版はさらに精細かつ美しくなる。また,DirectX 10には対応しているが,DirectX 9と見かけはほとんど変わらない。DirectX 10に対応したグラフィックスカードを使用すれば画像処理が速くなるが,(Windows Vistaそのものが重いので)トータルとしてあまり変化がない可能性もあるようだ。
 グラフィックスはOblivionに比べて2倍以上のオブジェクトが表示可能であるとのことで,それは前作の4か月という制作期間に比べて,今回は2年以上の時間をかけられたためだ。ちなみに4か月というのは,Xbos 360用のグラフィックスツールがMicrosoftから提供されてからリリースされるまでの期間。
 また,Oblivionで提供された公式MODツールについてだが,現在は本編の制作で手一杯であるため,Fallout 3についてそれがどうなるかははっきりしないとのこと。ただ,できる限り公開したい意向はあるようだ。
 操作系に関しては,Pipboy3000と呼ばれるインタフェースをマウスで操作することが可能になる。スキルやPerkと呼ばれる特殊能力の数は非常に多いため,これをいちいちコントローラで選ぶのは確かに面倒であり,マウスのほうが便利な気がする。もっともこれは慣れの問題でもあるが。

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 さて,テストプレイは,主人公が暮らしていた地下シェルター“Vault 101”を出て行くところからスタートした。そのため,主人公のバックグラウンドとか,何歳になるまで地下で暮らすのかとか,あるいはそこで何が起きるのかとかいったことは,よく分からなかった。ゲームでは,ある一定の年齢に達するまでVault 101で暮らし,その部分がキャラメイキングやチュートリアルとなる。Vaultの生活以外でも,ストーリーについては,まだ言えないことが多いとのこと。Fallout 3はストーリーを重視したシングルプレイ専用のRPGであり,事前にあまり明らかにしたくはないのだ。プレイ時間としては,100時間以上を想定しているとのこと。

 色濃い「1950年代」もFalloutシリーズの大きな特徴となる。ゲームそのものは2077年というそれなりに遠い未来が舞台なのだが,テクノロジーその他,全体のムードは見事に50年代調に統一されている。レトロフューチャーな雰囲気のゲームといえば,大ヒットした「Bioshock」が思い浮かぶが,Fallout 3は初代Falloutがそうだったからそのテイストを採用したまでであり,Bioshockとは無関係であるとのこと。ただ,そのレトロなムードが評価されたこと自体はBethesdaの開発チームとして心強く感じていると付け加えた。
 いずれにしろ,開発の大きな目標として「初代Falloutの雰囲気の継承」が挙げられているとのこと。画面の見た目はまったく異なるし,ゲームシステムも違っているが,プレイした人が,ああ,これは間違いなくFalloutの世界だ,と感じてもらえる仕掛けをさまざまに凝らしているのである。ただし,従来作を制作していたデベロッパ,Black Isle Studiosのメンバーは一人も開発には参加していない。
 それにしても,なぜFalloutなのだろうか? おそらく,どんなインタビューでもまず聞かれるこの質問についてHoward氏は,いつものように「メンバーがFalloutのファンであったこと」と「Bethesdaは,広い世界を飽きることなく自由に歩き回れるRPGを得意としており,Falloutがそうしたゲーム性によく適合したこと」を挙げている。
 営業的観点から見れば「The Elder Scrolls V」が最も無難なチョイスだろうが,ここでFalloutを選んだところがBethesdaらしいといえるだろう。このあたりについては,いずれ機会があれば詳しく聞いてみたいところだ。

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V.A.T.S(Vault-Tec Assisted Targeting System)画面

 約1年前のデモプレイでは,Vault 101を出たその足でMegatonと呼ばれる街へ向かったが,今回はせっかくだから荒れ果てたワシントンDCを歩き回ることにした。そこは広大な焼け野原だが,ところどころに半壊した建物が残っている。PC版のOblivionと比べるのはあまり意味がないが,ディテールは前作を上回っている印象。いくつかの建物は内部に入ることができ(ローディングが発生する),イベントが発生する。興味の的は,やはりV.A.T.S(Vault-Tec Assisted Targeting System)と呼ばれる戦闘システムだ。
 おりよく,一人の少年がこちらに走ってきて,モンスター退治のミッションをくれる。ダイナー(レストランのようなもの)の裏手のゴミ捨て場に武器を隠してあるから,それでやっつけてほしいとのこと。これを受けるのも受けないのも自由だし,いったんミッションを引き受けて武器を獲得し,そのままトンズラしてもかまわない。こうした自由度の高さもまた開発の目標の一つであるとHoward氏は言う。この場合,やたらとミッションを請け負ってそのままにしておくと悪名が高まって信頼を失い,新たなミッションが受けられなくなる可能性がある。プレイヤーの下す一つ一つの選択が遠いコダマのように,思いもよらない部分に影響し,ゲームの流れを変えていくわけだ。Oblivionでは基本的にすべてのミッションを受けられたが,Falloutはそうではないのだ。
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 Oblivionでお馴染みの物乞いもマップ上に数多く存在し,彼らにアイテムを渡すと時に有益な情報を教えてくれるものの,何も教えてもらえなければ撃っちゃってもかまわない。とはいえ,レーティングの問題もあって,さすがに未成年を撃ち倒すことは不可能だ。
 話が逸れたが,とりあえず少年NPCにくっついて武器を獲得すると,Fire-Antと呼ばれるモンスターが出現してくる。そこでしかるべきボタンを押すとV.A.T.Sが発動して,時間が停止し,敵モンスターの各パーツごとの命中率が表示されるわけだ。
 この数値は使っている武器やプレイヤーキャラクターのスキルによって変化するのだが,とりあえず命中率の高い部分を狙う。次は使用回数だ。V.A.T.Sの使用にはAPというポイントを消費し,このAP値もスキルなどによって変化するのだが,これは例えばライフルなら何発撃つかに相当し,4回分のAPを消費すれば4発撃つことになる。ここで時間を戻せば,あとはカメラアングルがシネマチックに切り替わり,狙った場所に所定の弾数を自動的に撃ち込んでくれるのだ。
 「ただのシューターにはしたくなかった」とHoward氏はV.A.T.Sの意図を語る。ターン制にすることで,プレイヤーの腕ではなくキャラクターのスキルを強調することになり,アクションに慣れていない人でも戦闘が容易になる。また,ターン制は初代Falloutからの伝統であり,これを違った味で見せたかったということもある。戦闘中でもいろいろな数字や情報を確認しながら次の一手をじっくり考えられるのは確かにFalloutの持ち味の一つであった。一人称視点で広いフィールドを歩き回っていると,つい最新のFPSでもやっているような気分になるし,また,シューティングを楽しみたいならV.A.T.Sを使わないこともできるのだが,基本はあくまでターン制のRPGなのである。

Megatonの街(左)と,デモには登場しなかったParadiceの街(右)
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 というあたりで,残念ながらプレイ時間は一杯になってしまった。筆者が火を吹くアリンコにどうしても勝てなかったというせいもあるが,いやあ,30分は短すぎ! Bethesdaの情報管理が非常に厳しいのでよく分からないが,開発はかなり順調に推移しているとのこと。発売日も今のところ未定だが,2008年秋という線は守れそうだ。高まりつつある前評判に応えられるものになっているかどうかは,さほど遠くないうちにはっきるするだろう。個人的にはかなり面白そうだと感じた。
 初代Falloutは傑作との評判を取りながら,相前後して発売された「Diablo」の陰に隠れた不遇の作品となった。今年,奇しくもBlizzard Entertainmentから「Diablo III」の発表があり,考えすぎだろうとは思うのだけど因縁めいたものを感じないでもない。Diablo IIIのリリースはかなり先のことになるだろうだが,RPGファンにとってはこれから長いこと,話題に事欠かずにすみそうだ。
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