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極私的コンシューマゲームセレクション:第11回「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」
» 今回の「極私的コンシューマゲームセレクション」では,Wiiの「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」を紹介する。編集部のTeTが,プレイ中の姿を親に見られながらも黙々と遊び続けたこのゲーム。恥ずかしさなんて気にしちゃいられないほど,のめり込むための秘訣も紹介しよう。
■ドラゴンクエストの血を受け継いだ“体感アクション”RPG
閑話休題。言うまでもなくDQSは,DQシリーズの流れを汲んだ作品で,ゲームソフトとしては,DQシリーズ初の“体感アクションRPG”である。
本作がDQシリーズおよび旧来の派生タイトルと大きく異なっているのは,いうまでもなくその操作方法だ。3次元モーションセンサーを搭載したWiiリモコンを振ると,その動きに合わせて画面に映るモンスターが真っ二つになっていくというのが最大のポイント。
単体の玩具として2003年に発売された「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」(以下,剣神ドラゴンクエスト)を,Wii用にアレンジして,新たなストーリーを用意したような感じ,と言えば,剣神ドラゴンクエストを知っている人ならばイメージが掴めるだろう。剣神ドラゴンクエストを知っていて,DQSは知らないという人がどれだけいるかは疑問だが。
筆者は本来,プレイヤーキャラクターである主人公がダラダラ長話をするような展開じゃ,感情移入できないぜ! と思うタイプなので,このDQシリーズの伝統は好きなはずなのだが,周囲がペラペラしゃべるのに自分だけが沈黙を貫いていて,あれよあれよという間にストーリーが展開していくと,自分の意志とは裏腹に周囲に巻き込まれているような,そんな違和感を抱かずにはいられなかったのも事実(まあ,現実ではよくある話なんだが。会議のときとか)。でも,全体的に声優陣が良い仕事をしているので,細かいことは気にしないでおこう。
本作の舞台となるのは,5年前に“魔王”を倒して平穏を取り戻したばかりのアルソード王国である。魔王討伐5周年を祝う祭りで城下町がにぎわっているさなか,かつて魔王討伐に参加していた女王の様子に異変が生じ始める。
女王と共に魔王を討伐した英雄,バウドの息子である主人公は,アルソード王国の王子ディーンや,僧侶セティア,そして父と共に女王の行動の謎を追い,アルソード王国の平和を守れるのか? こんな物語が,章立てで展開していく。基本的には,章が進むごとに冒険できるフィールド(ステージ)が一つずつ追加されるという流れである。
■仲間が戦闘終了時に褒めてくれるのが嬉しい
アルソード王国の城内や城下町は,一見するとあちこち歩き回れそうなのだが,実際には行けない場所が非常に多い。そして城から一歩外に出れば,基本的に直進か後ずさりのみ。道なりに進みながら,決まった場所で登場する敵を倒し,時折現れる分岐点を適切に選んでいけば,その章のボスに到達するというデザインになっている。このあたりは,先述した剣神ドラゴンクエストと同様だ。
分岐点で進むべき道を間違えたとしても,行き止まりには宝箱などがあるし,そこから元の分岐点までは自動的に戻れるので,取り返しのつかないことにはならない。また,途中で町に戻りたくなったときも,メニュー操作をするだけで瞬時にワープ。HPがほとんど残っていないときに,ドキドキしながら町を目指すといった楽しみは味わえないが,ゲームに慣れていない人でもストレスを感じることなく楽しめる仕様といえるだろう。
戦闘中は,剣で敵を叩き切る,敵の攻撃をはじき返す,盾で防御する,そして必殺剣を繰り出す,といった行動を取る。章によっては,ディーン,セティア,バウドのうち一人とパーティを組んでステージに挑める(章が進めば好きな場所に好きなキャラクターと行けるが)。DQシリーズ伝統のAIで「ガンガンいこうぜ」をはじめとした命令を彼らに事前に出しておくことで,特殊攻撃や呪文を使って戦闘をサポートしてもらう,という感じだ(その都度プレイヤーが行動を指定することも可能)。
ちなみに彼らは戦闘終了時に,「その調子だ!」とか「かっこいいよ!」なんて具合にプレイヤーを褒めてくれることがある。これは,褒められて伸びるタイプなのに褒められる機会が滅多になく,結果として現実世界で伸びていない筆者にとって,非常に嬉しいものだった。
ここで注意したいのは,主人公が使用する必殺剣についてだ。レベルさえ上げれば,新たな必殺剣を覚えていくのでは? と思ってしまう人もいるかもしれないが,本作では新たな武器を手に入れる都度,新たな必殺剣を覚えるという仕組みになっている。
そこで重要となるのが“素材”集めだ。モンスターを倒したときなどに手に入るアイテムの中には,主人公の武器を強化するための素材がある。武器とゴールド(ゲーム内通貨),そして必要なだけの素材を持って武器屋に行って強化してもらうことで,新たな武器が誕生するのである。
武器の強化は一方向ではなく,途中で炎,氷,雷という三属性で分岐するため,どんな必殺剣を覚えるかは,強化させる方向次第。ただ,素材とゴールドをためる根気さえあれば,全必殺剣を覚えることも可能な仕様となっているので,やり込み派でも安心だ。
やり込み……ということでいうと,ステージクリア後にクリア時間や連続ヒット数などによって採点が行われ,獲得した点数に応じたランク(D〜EX)が表示される。ランクごとにさまざまなアイテムが手に入るのだが,より高ランクを狙って同じステージを繰り返し遊んだりするのもなかなか楽しい。いかに効率良く,格好良く,モンスターを切り刻み続けることができるか? など,自分自身で課題を見つけながら遊ぶのも,また一興だ。
■本作を楽しみまくるには,本気で取り組むのがベスト
実際,各ステージをクリアするのに必要な時間は,序盤であれば10分やそこら。その間,なんとなくWiiリモコンを振っているだけでもモンスターを倒せるし,ストーリーも展開していくのである。そういう意味では“ぬるい”ゲームであると思う。ただ,本作においてはこの“ぬるさ”こそが重要なのではないだろうか。
ご存じのとおり,ニンテンドーDSやWiiは,既存のゲーマー以外の層をゲームに振り向かせようというコンセプトで生まれたプラットフォームだ。そのため,Wiiを持っている人の中には,「ゲームが得意ではない」人も数多くいるだろう。
でも,そんな人達だって,ちょっと強いザコモンスターや,けっこう強いモンスターに苦しめられながらも,最終的に倒すことができれば,「ゲームって楽しいなぁ!」なんて思ってくれるのではないだろうか。そして本作は,そのあたりを狙っているのではないだろうか。そのためにも,一般的な知名度が高いDQシリーズである必要があったのではないだろうか。だろうかだろうかうるさいだろうか。
でももし,「やっぱ物足りないゲームはちょっと……」なんて思うならば,遊び方を変えてみることを提案したい。本作は“体感アクションRPG”である。Wiiリモコンを握った手首をひょいひょい軽く動かすだけだって,遊べなくはない。が,もっと“体感”すれば,楽しさだってもっと増すはず。モンスターを斬ったら残心を示し,必殺剣を出すときには大声で技の名前を叫んでみよう。声を出すのが恥ずかしいなら,心の中で叫ぶだけでもいい。仲間達の会話を聞きながら,相づちを打ってみるのもいいだろう。とにかく,役になりきって遊んでみるべきなのだ。なんせ本作は,Role-Playing Game(役割を演じるゲーム)なのだから。
こんな風に,自分でプレイするだけじゃなく,人がプレイしているのを見ていても面白いっていうのが,このゲームのいいとこなんじゃないかなとも思う。
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ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔
対応機種:Wii
メーカー:スクウェア・エニックス
発売日:2007年7月12日
価格:6800円(税込)
CEROレーティング:A(全年齢対象)
公式サイト:http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/sword/
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