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[TGS 2007#57]アクティビジョン,「コール オブ デューティー 4」をこの冬日本市場に投入
アメリカに本拠を置くActivisionは,2006年上期の北米市場のソフトウェア売り上げで,巨人Electronic Artsを抜いて一位に躍り出た。EAが首位の座を明けわたすのは,この10年間で初めてのことであり,Activisionはその勢いそのままにアクティビジョン・ジャパンを法人化し,これまでほかのメーカーに委託していた販売を自社で行うことになったというわけである。つまり,このカンファレンスは新生アクティビジョンのお披露目とともに,今年後半に市場に投入される同社期待の4タイトルの紹介を兼ねたイベントなのだ。
もっとも,“PCゲーム情報サイト”である4Gamerにとって,2007年上期のコンシューマ機用タイトルにおけるActivisionの目ざましい躍進は,やや野次馬的に「すごいなあ」という感じ。いわゆるカジュアルな内容のゲームが多いし。とはいえ,今年後半からは状況が違ってくる。なにしろ同社では我々PCゲーマーにとって見逃せない二つのタイトルが出番を待っており,それが「Enemy Territory: Quake Wars」(以下,ETQW)と「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,CoD4)である,なんてことは今さら言わなくてももうとっくにご存じですよね。すいません。
残念ながら,今回のカンファレンスでETQWの話題は出なかったものの,CoD4を制作するカリフォルニアのデベロッパ,Infinity WardのStudio Headを務めるGrant Collier氏が来日し,デモを行ったのである。さらにカンファレンス終了後には,同氏に対するメディア各社の個別インタビューも実施されたが,とはいえ一社当たりわずか10分とかなり短く,しかも筆者が悪いクセを出してつまらない世間話なんかしたちゃったりなんかしたもので,ますます持ち時間を減らしてしまったというオチまでつき,残念ながら独立したインタビュー記事としてお届けするのは難しい雰囲気。機会があればまたインタビューなどを申し込みたいところだが,というわけで,カンファレンスでのデモプレイ,質疑応答,そしてミニインタビューなどで聞いたCoD4情報をここに軽くまとめてみよう。
いずれにせよ,PC版については未確定部分が多いものの,たとえコンシューマ機用だとしても,Call of Duty 4: Modern Warfareがコール オブ デューティー 4として日本国内で発売されるのがまず大きなニュースであることに間違いはない。
さて,これまた今さらながら,CoD4はこれまで第二次世界大戦をテーマとしてきたシリーズとは打って変わって,「現代戦」をその主軸に据えたFPSだ。Collier氏によると,そもそも現代戦というテーマは彼らが2015を抜け,Infinity Wardを立ち上げたときから考えていたアイデアだった。ただし,そのときパブリッシャになったActivisionには「Soldier of Fortune」という現代戦モノのFPSがあり,Infinity Wardの主要メンバーが2015で「メダル オブ オナー アライド アサルト」を制作した経験があったため,初代「Call of Duty」は第二次世界大戦を描く作品になったのだ。
ゲーム作りには,プログラミングなど,開発の初期段階は忙しいが早めに終わってしまう部門がある。彼らには自分の受け持ちが終わっても仕事を続けたいという慣性のようなものが働いており,CoD2の制作に忙しいプロデューサー達はおそらくあまり深く考えることなく現代戦というプロジェクトを与えたのだ。そのため,CoD2が終わる頃には,すでにかなりのコードが書かれており,CoD4はそれを元にして制作されたとCollier氏は語るのだ。Infinity WardがCoD4を制作するという正式のアナウンスは2007年4月のことだが(関連記事),その実,2005年のCoD2発売より以前からスタートする,2年以上もかけたプロジェクトだったのである。
おそらくこれは,ヒット作のデベロッパとしては驚くほど少人数のInfinity Wardならではのことだろう。ちなみに,管理部門や製品テスターなどを除いて,同社の開発スタッフは総勢67名。たったこれだけの人数で,PC版だけでなく,Xbox 360版とPLAYSTATION 3版を制作するのは「前代未聞の話だね」とCollier氏。「ただし,うちのスタッフは全員,信じられない仕事をする連中なんだ」と胸をはるのも,こうした経緯があるからだろう。
残念ながらゲーム画面の撮影は禁じられていたが,ヘリコプターからの懸垂降下,船内に突入しての銃撃戦など,相変わらずゲーム展開はスピーディだ。とくに世界最高のカウンターテロ組織であるSAS隊員の動きがキビキビして出色。敵を倒しつつ前進し,テロリスト達が運んでいるものまでたどり着く。作戦成功かと思った次の瞬間,謎の飛行機が現れて貨物船にミサイル攻撃。船は爆発。傾く船内を駆け抜け,沈没するまでにヘリで脱出しなければならないという「何が起きるか分からない」映画的な演出も健在である。
続くデモプレイの舞台はソ連。チェルノブイリ原発事故後のプリピャチ市は,依然として放射能濃度の高い危険な場所である。時はなんと15年前。しかもこのミッションのプレイヤーキャラクターはソ連の狂信的愛国主義者を“排除”するために彼の地に送り込まれたプライス軍曹なのだ。このように,主人公,時代,ロケーションが目まぐるしくスイッチするのもCoD4のシングルプレイの特徴といえるだろう。
「これは,攻撃に失敗するとこうなるという見本だ」と苦笑するCollier氏に会場の聴衆から笑いが起きる。このように,デモはムービーでも「不死身モード」でもなく,実際のゲームをプレイして行われた。音声とテキストは英語のままで,ローカライズがどの程度進んでいるのかは不明。さて,気を取り直して狙撃再開。息を止めて発射。失敗。3匹のジャーマンシェパードに噛み殺されるプライス軍曹。
「さっきのを見逃した人がいるといけないからね」とCollier氏。ややうけの会場。三度目の正直とばかりに狙撃を再会し,息を止めて銃を撃つ。失敗。哀れ,ジャーマンシェパードに噛み殺されるプライス軍曹。首を振るCollier氏……。うーん。デモを担当するInfinity Wardの社員がアメリカに帰ってクビにならないかちょっと心配になる会場である。
こういうとき,アメリカなら「頭を狙え,へたくそ!」とか「オレにやらせろ!」という野次が飛び交うんだろうなあ,などというのは筆者の余計な感慨である。
豊富なカスタマイズが可能なマルチプレイと多彩なミッションが登場するシングルプレイ。まるで戦争映画のような演出と迫力のグラフィックス。新生アクティビジョンが一押しするCoD4はまず間違いなくこの冬最大の目玉タイトルになるはずだ。気になるPC版については新情報が入り次第お伝えしていくつもりなので,お楽しみに。それにしても,トランスフォーマーもちょっと面白そうだったなあ。
というわけで,アクティビジョンが日本での発売を予定しているタイトルの画像を下に掲載した。いずれも基本的にコンシューマ機向けだが,欧米ではPC版「Transformers: The Game」のデモがすでに公開されている。
トランスフォーマー
ギターヒーロー 3
スパイダーマン 3
- 関連タイトル:
コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア
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