レビュー
PCの性能が可能にした,猛烈敵出現モード「LEGENDARY DARK KNIGHT」も搭載
デビル メイ クライ 4
スタイリッシュアクション
「デビル メイ クライ」シリーズ最新作が登場
その最新作「デビル メイ クライ 4」は,2008年1月31日にXbox 360とPLAYSTATION 3版が発売され,現在までに世界中で230万本以上の販売本数を記録している。発売から半年経った今でも売り上げを伸ばしている大ヒット作が,ついにPCでも登場したのだ。
舞台となるのは城塞都市「フォルトゥナ」。ここには「魔剣教団」と呼ばれる組織が存在している。魔剣教団は,かつて人々のために戦った悪魔“魔剣士スパーダ”(過去シリーズの主人公であるダンテの父)を神として崇め,それ以外の悪魔を憎んで排除することを教義としており,メンバーである「教団騎士」がそれらの役目を担っている。
ネロを家族同然に接してくれる「キリエ」。ネロは彼女を姉のような母親のような存在として慕っており,ネロにとって大切な人 |
主人公の座をネロに明け渡すことになった“元”主人公「ダンテ」。魔剣教団を襲う理由は何か |
悪魔の右腕“デビルブリンガー”を持つ主人公「ネロ」も魔剣教団に属する教団騎士で,その実力から周囲に一目置かれる存在だ。しかし,数々の命令違反,突飛な行動も目立ち,周囲との協調性に欠けて単独行動を好むタイプなせいか,教団騎士の中でも汚れ仕事を任されることが多かった。
物語は,ある日の事件で右腕を負傷したネロが,魔剣祭という大祭の会場へ向かうところから始まる。教団騎士のリーダー「クレド」の妹であり,ネロが姉のような母親のような存在として慕っている「キリエ」が魔剣祭の歌姫に抜擢されたのだ。魔剣祭の壇上で教皇「サンクトゥス」が話し始めたそのとき,突然,「ダンテ」が教皇を襲って殺害,さらに教団騎士を次々に殺害していく……。
かつて人間を救うために魔界の帝王を倒し,魔界を封じ込めた英雄魔剣士スパーダの息子であり,悪魔を狩るデビルハンターであるダンテがなぜ魔剣教団を襲うのか……。ネロはダンテを追っていくうちに,ダンテの行動の真意を知ることになる……。
過去シリーズをプレイした人ならご存じの「トリッシュ」や「レディ」も登場する。セクシー衣装は目のやり場に困ってしまう |
フォルトゥナに悪魔がはびこり,市民達を次々に殺害していく。なぜ,悪魔がはびこるようになったのか…… |
「デビル メイ クライ 4」スクリーンショット集
「デビル メイ クライ 4」体験版/ベンチマーク
初心者から上級者まで楽しめる
複数のゲームモードのバランスは見事
ゲーム自体は基本的に,出現する敵をなぎ倒しながら進んでいけばいいだけなので,非常に分かりやすい。簡単なパズル的要素も含まれているが,頭を悩ませるようなものはないし,行き詰まって次に進むべき道が分からなくて困った……となることは少ない。エンディングまでの20ミッションには,制限時間内に課題をクリアすると報酬がもらえる「シークレットミッション」(全12個)が隠されているが,これらはクリアしなくても本編に影響はない。ともあれ全編において,とことんド派手なアクションシーンを味わい尽くすゲームだ。
攻撃には剣による近距離攻撃,銃による遠距離攻撃があり,ジャンプやサイドロールで交わして攻撃を叩き込むのが基本となる。とはいえ,メインとなるのはボタンの組み合わせによるコンボ(コンビネーション)や特殊攻撃など,ド派手でスタイリッシュな攻撃を繰り出せる「スキル技」を使った攻撃だ。これがなくちゃデビル メイ クライじゃない!
難度が上がると敵も増えて難しくなるが,アクション性も高まり,スピーディでスタイリッシュな戦いができるため俄然楽しくなる |
各ステージ最後はボスキャラとの戦いで,このへんは非常にオーソドックスな作りだ。登場するボスキャラはどれも個性的なものばかり |
スキル技は特定のボタンを連打するもの,ほかのボタンと組み合わせるものなどバリエーション豊富に用意されている。ややこしい入力が必要なものはほとんどないが,ボタンを連打するだけで状況に合わせてスキル技が発動する「オートマチック」も選択できるので,ボタンを覚えるのが面倒な人や,ボタンを押すタイミングを計るのが苦手な人でも楽しめる。もちろん,上級者であれば自分なりにコンボをつなげて“魅せる”戦いをしてもらいたい。
スキル技は,最初は基本的なもののみ使用可能だが,ステージクリア時に獲得できる「プラウドソウル」が増えることで,高度なスキル技も選択可能になっていく。スキル技ごとに必要なプラウドソウルのコストが決まっており,強力なスキル技ほど多くのコストがかかる。いらないスキルを外せば,その分のプラウドソウルは戻ってくる。強力なコンボを繰り出せるスキル技をいくつかチョイスするか,コストのかからないスキル技を多く組み込んだ攻撃バリエーションで楽しむかなど,プレイヤーの好みや状況で使う技を変えられるのが面白い。
どのスキル技を組み込めばいいのかさっぱり……という場合も自動設定があるので安心だ。バランス重視の「オーソドックス」,バリエーション重視の「バラエティ」,使いやすさ重視の「ノービス」から選べば,獲得しているプラウドソウル内で組み込めるスキル技を自動で選んでくれる。初心者向けの機能に思われるが,とくにプラウドソウルが少ない序盤では上級者でも役立つはずだ。
実はダンテパートはネロで進んできたステージを戻ることになる。ぶっちゃけていうと,ボスが使い回しなところも少々残念だ |
ライフ回復といったアイテム購入にはレッドオーブが必要だ。破壊可能なオブジェクトのほか敵を倒すことでも出現するので,残さず確保しよう |
プラウドソウルを手に入れるには,とにかくステージをクリアすることだ。ステージクリア時のクリアタイム,スタイリッシュに敵を倒すことで獲得できるスタイリッシュポイント,敵を倒したり,ステージ中に回収できるオーブ(魔石)の回収率などにより,総合的な評価であるデビルハンターランクが決まり,それによって獲得できるプラウドソウルが決まる。より迅速かつスタイリッシュに戦い続けて高い評価を得られれば,多くのプラウドソウルを獲得できるわけだ。
また,敵を倒したり,ステージのいたるところにある破壊可能なオブジェクトを壊したりすると,「レッドオーブ」(赤い魔石)が放出される。このレッドオーブを使って,ライフ回復,ライフゲージ増量,復活アイテムなどを購入できる。なお,前述のスキル技の選択やアイテムの購入は,各ステージ開始時に行えるが,ステージ中に配置されている「時空神像」でも可能だ。
ステージクリア後に総合評価が見られる。評価により獲得できるプラウドソウルも増えるので,総合評価“S”を狙っていきたい |
難しい入力が必要なコンボはないため初心者でも簡単に出せるはずだ。それでも全然ダメだという人がいたらオートマチックを使おう |
デビルブリンガーを駆使した連続攻撃が魅力の「ネロ」
武器とスタイルでの攻撃バリエーションが魅力な「ダンテ」
本作の主人公はあくまでネロだが,ストーリーの途中からダンテも使うことになるので「どうしてダンテが使えないんだ!」と嘆いていた人もご心配なく。赤と黒を基調にした服装など,似ている部分も多いが,ネロとダンテの性格はまったく違う。ネロはみなぎる自信と若さでグイグイ押していく感じだが,ダンテは何をするにも余裕を見せる大人の魅力をプンプン感じさせる。このへんはデモシーンを見ていくとよく分かるが,どちらも悔しいくらいに格好良い。
ところで,お互いが使う武器も“剣と銃”で共通しているが,それぞれに特徴的な武器や攻撃アクションが用意されており,プレイスタイルの違いを生かす戦いが必要になる。両方のキャラを使いこなせないとエンディングまで辿り着けないのだ。ここでネロとダンテの違いなどに触れておこう。
○ネロ
レッドクイーンは普通の剣とは違い,イクシードという機能が備わっている。柄の部分がバイクのアクセル状になっていて,それをねじることで推進剤が放出され(=イクシードゲージがチャージされて),次の攻撃の威力が上がる仕組みだ。イクシードゲージは三段階あり,当然,完全チャージ状態ならば激しく豪快で強力な攻撃が繰り出される。暇さえあれば,ぐいぐいねじってほしいところだが,実は攻撃中の特定のタイミングでイクシードのボタンを押すと瞬時にチャージされて,連続的に強力な攻撃を繰り出せる。タイミングが難しいのだが,これができるようになるとネロの戦いが一段と楽しいものになる。コツをつかむまでは苦労するものの,マスターしておきたいテクニックだ。
攻撃中に特定タイミングでイクシードすると瞬時にチャージされる「EXアクト」と,一瞬で3段階チャージされる「MAXアクト」は,出せるようになっておきたい |
非常に便利なネロのデビルブリンガー。つかんでから投げつける,引き寄せて攻撃につなげるなど多彩な攻撃バリエーションを展開できる |
また,ネロはデビルブリンガーを使って連続攻撃を組み立てられるところも大きな魅力だ。敵をつかんで引き寄せる「スナッチ」は離れた敵を引き寄せるだけでなく(敵が重い場合はネロが移動することになる),剣や銃で攻撃して吹き飛んだ敵を再び引き寄せて,さらに攻撃を加えるなどの連続攻撃ができる。攻撃をガードされるような場合はスナッチを利用して敵の背後に回り,そこからコンボを当てていくといったテクニックも使える。また,近くにいる敵をつかんで投げつける「バスター」は強烈だ。単純に地面に叩きつけるだけでなく,敵をぶんぶん振り回してから投げつけたり,バックドロップを繰り出したりできる。つかんだ敵によりバスターのモーションが異なるところも面白い。
剣や銃による攻撃とスナッチ,バスターを組み合わせれば,かなり強力なコンボが完成する。例えば剣で斬りつけ,ハイローラーで浮かしてさらに空中で斬りつけてから,バスターで地面に叩きつけ,スプリットでとどめを刺すという具合だ。こういったコンボが思い通りに決まり出すと言いようのない爽快感が得られる。敵がレッドオーブを放出して消え去るまで途切れのない攻撃を繰り出して,鮮やかに戦いたい。
なお,突然だが一瞬でイクシードチャージされるEXアクトとMAXアクトを連発して使用した戦闘シーンのムービーを掲載したので,実際にその目でどういったものか確認してほしい。
○ダンテ
ダンテは4種類の攻撃スタイルを持っており,使用する武器に見合ったスタイルを随時選択していくことで効果的な攻撃が可能となる |
なかでも驚いた武器が「災厄兵器パンドラ」だ。アタッシュケースの形をしているが,巨大なボウガン,バズーカ,レーザー砲,ブーメラン,砲台へと変化する。コンボと組み合わせるには少々使い勝手が悪いが,その破壊力は大きな魅力だ。また,プレイ中はのんびり眺めていられないが,がちゃがちゃと可変するパンドラの変形ギミックもじっくり眺めてほしい。
爆発する剣を作り出して攻撃する「無尽剣ルシフェル」。爆破のときは口にくわえていた薔薇の花を投げる。このセンスが何ともいえない |
さまざまな兵器へと変形する「災厄兵器パンドラ」。乗り物砲台へと変形してミサイルを撃ちまくる「アーギュメント」の攻撃力はピカイチ |
また,「スタイル」を切り替えることで行動スタイルを変更できるのも,ダンテならではの要素だ。スタイルには近距離武器が強化される「ソードマスター」,遠距離武器が強化される「ガンスリンガー」,移動と回避能力が向上する「トリックスター」,そして敵の攻撃を防御して蓄積されるエネルギーを放出する「ロイヤルガード」がある。状況に応じて的確にスタイルを変更し,攻撃バリエーションを増やしたり,コンボ中にスタイルを切り替えて違う攻撃につなげたりもできる。極めれば予想もできないコンボにつなげられるかもしれない。
ネロとダンテに共通しているのが,デビルトリガーの発動だ。デビルトリガーはいわゆる魔人化と呼ばれるモードで,通常よりもさらに強力な攻撃を繰り出せる。ただし,魔人化している間は魔力ゲージが減っていき,魔力がなくなると魔人化は解除される。つまり魔力が残っている場合のみ魔人化できるというわけだ。とくにボス戦では高い効果を発揮するので,魔力回復アイテム「デビルスター」を多めに買っておき,ボス戦で大量投入してデビルトリガーを多用して戦う,といった使い方が多いだろう。
多彩なコンビネーションでスタイリッシュに敵をなぎ倒せ!
本作はストーリーに沿って展開されていくステージクリア型のアクションゲームで,冒頭からデモを織り交ぜつつドラマチックに物語が展開していく。デモシーンとゲームプレイの各パートが絶妙にバランスよく組み合わせられており,ゲームの世界に自然に引き込まれてしまう。こういった見せ方や遊ばせ方はカプコンらしく実に上手い。
ストーリーについては,過去シリーズをプレイしていれば,すんなりゲームの世界に入っていけるだろう。もし本作が初めてという人も,それほどややこしいストーリーが用意されているわけではないし,過去シリーズに登場している人物の情報などは,トップメニューからアクセスできる「LIBRARY」(ライブラリ)でゲーム設定集を見れば補完できるはずだ。
敵が出現する多くのポイントで,封印結界によりエリアに閉じ込められる。出現する悪魔をすべて倒すと結界は消える |
唯一ストーリー性のない「BLOODY PALACE」モード。1階から敵を全滅させつつ100階を目指す。そしてさらにヤツと戦うことになる |
アクションゲームとしての難度は高めに設定されている印象を受けたが,最初に選択できる難度設定はデビル メイ クライシリーズを初めてプレイする人向けの「HUMAN」(イージー)と過去のデビル メイ クライシリーズをプレイしたことがある人向けの「DEVIL HUNTER」(ノーマル)の二つ。どちらのモードも,初心者でも十分楽しめる味付けになっている。
DEVIL HUNTERをクリアするとスタイリッシュプレイが要求される「SON OF SPARDA」(ハード)が,SON OF SPARDAをクリアすると上級者向けの最高難度モード「DANTE MUST DIE」(ベリーハード)がプレイできる。ほかにも,プレイヤーも敵も一撃で死ぬ「HEAVEN OR HELL」,プレイヤーのみが一撃で死ぬ「HELL AND HELL」,さらに制限時間内に次々に現れる敵を倒し続ける「BLOODY PALACE」がプレイできるようになる。
ちなみに「HUMAN」または「DEVIL HUNTER」をクリアすると「LEGENDARY DARK KNIGHT」(LDKモード)がアンロックされる。これはコンシューマ機の性能では表示不可能な,膨大な数の敵が同時に登場するというもの。いうまでもなくPC版のみのオリジナルモードで,洒落にならないほど厳しい戦いを強いられる。上級者とて苦労することになるので覚悟して挑戦してもらいたい。
どの難度を選んでもストーリーやステージはすべて共通で,出現する敵の数や種類,強さによって難度調整がなされている。しかし高難度を戦い抜いていくには,繰り返しプレイしてネロやダンテにスキルを持たせて強化し,一段と高度な戦いを目指していかなくてはならない。難度によって,遊び方そのものも変わってくるのだ。
繰り返しプレイすることで自然に腕も上がっていくので,最初は苦労していたはずの高難度のほうが,コンボを多様できて楽しいなんて思えてくるから不思議だ。気がつくと「うらっ,うらっ!」と声を発してスタイリッシュなアクションに励んでいるだろう。
とにかく本作は,“格好良いアクションゲーム”としてオススメできてしまう,イカしたアクションゲームだ。ド派手なアクションゲームほど上級者御用達といった感じで難しくなったりしているが,本作は初心者から上級者まで楽しめるよう細かいところまで練り込まれおり,誰もがひとたびプレイすれば,アクションゲームの醍醐味を存分に楽しめるはずだ。ほかのゲームでは味わえないスタイリッシュアクションを味わってほしい。
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