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[G★2007#95]危うく馬ゲームになるところだった? 犬ぞりRPG「Husky Express」プロデューサーインタビュー
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印刷2007/11/16 12:06

インタビュー

[G★2007#95]危うく馬ゲームになるところだった? 犬ぞりRPG「Husky Express」プロデューサーインタビュー

画像集#001のサムネイル/[G★2007#95]危うく馬ゲームになるところだった? 犬ぞりRPG「Husky Express」プロデューサーインタビュー
 南極地方(をモデルにした架空の土地)で,犬ぞりを使ったデリバリー業務によって生計を立てていくという,犬好きにはたまらないキュートさ,フェティッシュさを発揮しそうなRPG「Husky Express」。この「犬の宅○便」ともいうべき作品のプロデューサー,devCAT Studio副室長 Choi Moon Young(チェ・ムンヨン)氏に,予定されているゲーム内容について聞いてみた。
 発表会が終わった直後という,慌ただしいタイミングではあったのだが,そもそも,なんでまた犬ぞりを扱うゲームを作ろうと思い立ったのか,犬ぞりならではの魅力(?)とは何かなど,さまざまな質問をぶつけてみたので,「おれ,ネコ派」という人もここはぜひ,ご一読いただきたい。ま,まあいくらなんでも,ネコにそりは牽けなそうだし……。


最初のアイデアは騎馬民族から


Nexon devCAT Studio副室長 Choi Moon Young(チェ・ムンヨン)氏
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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。犬ぞりとは,実に個性的なゲームモチーフだと思うのですが,いったいなぜ,犬ぞりのゲームを作ることになったのでしょうか?

Choi Moon Young氏:
 もともと内部では,二つのコンセプトが考えられていました。その一つは騎馬民族をモチーフとし,馬に乗って探検するというものです。これはどちらかというと,ゲーム性のほうに焦点を当てたアイデアだったわけです。

4Gamer:
 それはそれで,確かに別の面で魅力的ですね。

Choi Moon Young氏:
 次に犬ぞりというアイデアが出て,その斬新さが買われました。そして,この二つのアイデアを組み合わせてはどうかという話になりまして,出来上がったのがこの「Husky Express」なのです。

4Gamer:
 devCAT Studio,おまけに馬で探検というアイデアがあったとなると,「マビノギ」のChapter2以降が思い起こされるわけですが,アイデアとしてつながっていたりするのでしょうか。

Choi Moon Young氏:
 言葉にすると同じ「探検」になるのですが,マビノギでは主に遺跡の発掘だとか,そういったコンセプトでした。それに対して「Husky Express」では,いろいろなキャンプの間を渡り歩いて,活動領域を広げたり,交易を行ったりするところに魅力があります。

4Gamer:
 なるほど。仮に騎馬民族案がGoになっていたとしても,きっと貿易ゲームになっていたろうということですかね。しかし,犬ぞりとなると,活躍場所が雪原/氷原に限られますよね。フィールドのバリエーションをどうやって豊かにしていこうと考えていますか?

Choi Moon Young氏:
 ご指摘のとおり,雪の積もった地域が活躍の舞台となるのですが,地域によって例えば工業が発達していたり,山岳地帯であったりと,特色を出すことは可能です。そこは実在の土地でなく,あくまで架空の地域ですので。

4Gamer:
 地形や町の特色でバリエーションを出すと。

Choi Moon Young氏:
 これはあくまで余談ですが,雪の乏しい地域の犬ぞりレースでは,そりのスキー部分を車輪に付け替えて行う競技もありますので,ゲームについてもそういったアイデアが出てはいます。現状では判断保留状態ですけどね。

4Gamer:
 車輪ですか。まるで「フランダースの犬」みたいですね。またまた話題は変わりますが,このゲームでプレイヤーキャラクターに職業設定はあるのでしょうか?

Choi Moon Young氏:
 ありません。既存のMMORPGではいろいろ職業が用意されていて,そのうち一つを選んでキャラクターを育てるという形です。このゲームでもいくつかのキャラクターが用意されていますが,その違いは職業ではないのです。
 キャラクターの違いはステータス面で,背の高い丈夫な男性もいれば,小柄な女性もいます。そこから自分の好みに合わせて選べるわけです。

4Gamer:
 全体がRPGだとすると,お金を稼ぎ,それを使って良い犬を手に入れていくことが関心の的になると思います。ゲーム内でお金を稼ぐ手段には,どういったものがありますか?

Choi Moon Young氏:
 代表的な手段は三つです。まずは先ほどから話に出ている,その地域にないものを運んでくる交易です。二つめとして,犬にもいろいろな個性がありますので,その売買というのがあります。最後も犬に関わりますが,自分が優れた犬を持っている場合,ブリーダーのように交配させて「種付け料」を稼ぐことが可能です。

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アラスカンマラミュートやサモエドも活躍する


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4Gamer:
 ゲームのキーとなる犬は,何種類くらい出てくるのでしょうか?

Choi Moon Young氏:
 代表的な犬種はシベリアンハスキーということになりますが,同じハスキー犬でも,毛の色や目の色,目の形,顔の斑点や模様などがそれぞれに異なります。
 もちろんゲームタイトルにこだわることなく,同じくそり牽きに使われるアラスカンマラミュートですとか,サモエドですとかも登場します。

4Gamer:
 おお,ほかの犬種も出てくるんですね。

Choi Moon Young氏:
 はい。実際のそり牽きでは,純血種のシベリアンハスキーよりも,混血の犬のほうが活躍しているということで,そういった要素も取り入れようと考えています。

4Gamer:
 すごくリアルなんですね。

Choi Moon Young氏:
 まあ,そういった要素も取り入れますが,ゲーム全体としてはあくまでカジュアルな感じになります。

4Gamer:
 レースゲームではないという「Husky Express」ですが,プレイヤー同士で競い合う要素や,別のゲームモードがあったりしますか?

Choi Moon Young氏:
 直接に1秒2秒といったタイムを競い合うような要素はありません。競争要素としては,長期的なプレイを通して,誰が一番に目標地点に到達するかといったものはあります。まあ,クエストのようなものですね。

4Gamer:
 あくまでRPG的文脈と。

Choi Moon Young氏:
 競争よりはむしろ,互いに協力しあう方向を重視しています。例えばランダムイベントで,雪崩が起きて道がふさがってしまった場合に,プレイヤーが力を合わせて少しずつ除雪作業を進めたりといった感じです。

4Gamer:
 なるほど。敵を倒すとかじゃないのがいいですね。プレイ内容との関連で,想定プレイヤー層について教えていただけますか。性別とか,年齢とか。

Choi Moon Young氏:
 中学生くらいの男の子が,いちばん楽しんでくれると予想しているのですが,もちろんより広い層の人に楽しんでもらえるよう,難度調整や操作方法の工夫について考えていきたいと思います。

4Gamer:
 では現時点で,日本でのサービスの可能性についてどうお考えですか?

Choi Moon Young氏:
 現時点では具体的な計画はありません。ただし,マビノギのサービスを通じて,海外でサービス展開するノウハウを蓄積してきたと思っていますので,それを生かせば,日本でサービスすることになったとしても,スムースに対応できると思います。

4Gamer:
 ええと,とても細かい話で恐縮なのですが,サハリン原産の犬,カラフト犬が登場する予定はありませんか?

Choi Moon Young氏:
 初めて聞く犬種なのですが,どういった犬ですか?

4Gamer:
 日本の南極観測で活躍した犬種です。日本では映画にもなっています。ゲームに出てくると嬉しいですね。

Choi Moon Young氏:
 それをリメイクした映画とオリジナルの映画,両方とも楽しく見たおぼえがあります。検討してみますね。

4Gamer:
 ありがとうございます。では最後になりますが,日本にも,このゲームに興味を持つであろう,犬が大好きな人達がたくさんいます。そうした人を含め,このゲームに期待する人達に向けてメッセージをお願いします。

Choi Moon Young氏:
 早期の完成を目指して頑張ります。韓国でのサービスが成功したら,日本でもぜひサービスしたいと思っております。

4Gamer:
 本日はお忙しいところ,ありがとうございました。

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画像集#012のサムネイル/[G★2007#95]危うく馬ゲームになるところだった? 犬ぞりRPG「Husky Express」プロデューサーインタビュー
 ペットが出てくるMMORPGは珍しくないし,それはときにプレイヤーの冒険を助けてくれる存在だが,あくまでプレイヤーキャラクターの延長ないし付属物であって,本質的には持ち物と変わらない。独自の種や集団として描かれていないわけだ。
 それに対して「Husky Express」における犬は,確かにプレイヤーの持ち物でもあるが,種として,集団としての側面が,ゲーム性と深く結びついている。また,そうした人間と動物との関わりをゲーム設定として用いるに当たって,ときに愛玩動物であり,ときに役畜でもある犬は,絶妙の位置にいるといえよう。

 交易を軸としつつ,ゲーム性をどう深めていけるかが大きな課題のような気がするものの,モチーフの魅力は確かに大きく,広いターゲットが掴めそうな作品だ。犬好きは大勢いても,現実に犬ぞりに乗れる機会など,そうそうあるものではないのだから。
 公開されたスクリーンショットにおけるグラフィックス表現から伝わってくる愛らしい雰囲気からは,日本でも好評を博しそうな気がしてくる。韓国でのつつがない成功,そして日本への進出を祈りたい。
  • 関連タイトル:

    ハスキーエクスプレス

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