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Access Accepted第745回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選
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印刷2022/12/26 17:30

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Access Accepted第745回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選

画像集 No.013のサムネイル画像 / Access Accepted第745回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選

 2022年もいよいよ終わりを迎え,今年は少々休みがちだった当連載の年内最終更新となる。今回は年末恒例の「海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選」をお届けしたい。今年は前評判がそれほどでもない中でスマッシュヒットを飛ばしたインディーズ作品が多かった気がする。筆者のチョイスした“今年を振り返れる”作品群をぜひチェックしてみてほしい。


日本産ゲームが大躍進。一方,インディーズゲームは欧米産に興味深い作品が多かった2022年


 2022年は,2月末から始まったロシアのウクライナ侵攻によって世界情勢が大きく混乱した1年となった。
 イケイケの雰囲気だったNFT,Web3,そしてブロックチェーンやメタバースといった新興関連事業が大きく足踏みしている現状は,まだ3月に開催されたGame Developers Conference 2022の時点では感じられなかったことだ(関連記事)。さらに,年の初めに業界内外を震撼させたMicrosoftによるActivision Blizzardの買収合意はその後,独占禁止法への抵触が審議されるに至り(関連記事),この1年の大きな話題の1つとなっていた。

 そんな今年のゲーム市場だが,国産のゲームが例年以上に大きな成功を収めた。「ELDEN RING」「グランツーリスモ 7」「Ghostwire: Tokyo」といったタイトルのほかに,「スプラトゥーン3」「Pokémon LEGENDS アルセウス」「星のカービィ ディスカバリー」,そして「ゼノブレイド3」など任天堂タイトル群は話題を集めた。先ごろ開催されたThe Game Awards 2022でも「ストリートファイター6」「FINAL FANTASY XVI」「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」など,会場を盛り上げた日本産の作品は多く,この状況がしばらく続きそうなのは喜ばしいことである。

「Horizon: Forbidden West」は,ひとえに筆者が遊び込めていないという理由で選考から除外したが,下記でピックアップした“第9作目”同様に,ストーリー,ゲームプレイ,グラフィックスなど全ての面で良い方向に改良が施された,続編と呼ぶにふさわしい続編だったと思う
画像集 No.001のサムネイル画像 / Access Accepted第745回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選

 来年以降の海外産ゲームは年始の連載で触れたいと思うのでそちらにも注目してほしいが,年末は本年を振り返る方の恒例となる「海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選」を紹介していきたい。“10選”という形にしたのは2013年からで,今年は10年目となるが,選定の基準としているのは,決して誰もが納得するヒット作を“ゲーム大賞”的に選ぶのではなく,「ゲーム市場のトレンドを表す作品」「今後の市場に影響を与えていきそうな作品」,もしくは「あっと言わせるアイデアを盛り込んだ作品」という,筆者の独断と偏見による軸だ。

 当然ながら,今年リリースされたものの遊んでいない作品も多く,遊んだのにいろいろと思うところがあって10選には加えられなかったゲームもいくつかある。今年の筆者は個人的にも移動が多かったこともあって,Steam Deckを活用して小ぶりなインディー系タイトルを多くプレイしていたように感じる。
 それでも,今後何年にもわたってゲーマーコミュニティやゲーム業界の中で語り継がれていくようなチョイスになるはずなので,まだ遊べていない作品があれば,年末年始の時間を使ってプレイしていただくと良いだろう。2023年も,皆さんのゲームライフが素晴らしいものになりますように。


Stray

プラットフォーム:PC / PS5 / PS4
開発元: BlueTwelve Studio
発売元: Annapurna Interactive

 当連載の「第730回:Steamで猫フィーバーを巻き起こした「Stray」。発売直前からバズるまでの過程を紹介」関連記事)で単体のゲーム自体にスポットライトを当てて紹介しているのが,アドベンチャーゲーム「Stray」だ。文明崩壊後も人間のように活動するアンドロイドたちによってかろうじて存続しているサイバーパンク風の地下都市の中を,迷いネコとなって活動していく。ゲーム進行の体裁上,生き別れてしまったネコの家族と再会するという目的はあるものの,なぜ人間がいなくなってしまったのかという環境問題や文明の栄枯盛衰を,1匹の猫を通して見られる景色を通して眺めていくという趣向だ。
 忍び足やダッシュ,ジャンプといったネコならではの身体能力を生かせるものの,ネコならではの行動や表情からはプレイヤーとしての感情表現は乏しいため,一歩距離を置いた俯瞰視点でありながらも,ネコらしさは存分に味わえる秀逸な作品だ。普通のAAAタイトルでは思いつかないストーリーテリングの手法が輝く。

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High on Life

プラットフォーム:PC / Xbox Series X|S / Xbox One
開発元: Squanch Games
発売元: Squanch Games

 つい先日(2022年12月中旬),前ぶれもなく突然現れてヒット作品となったのが,シューティングアドベンチャー「High on Life」だ。宇宙を股に掛けた麻薬カルテルが地球への進出をうかがう中,これまで取り柄のなかった青年が“言葉をしゃべる生きた銃”たちを手に取って,にその名を轟かせるバウンティハンターへと成り上がっていく。TVアニメシリーズ“リック&モーティ”で知られるジャスティン・ロイランド(Justin Roiland)氏率いるSquanch Gamesの第2作目として,大きな記録を打ち立てた(関連記事)。
 毒舌の銃というコミカルな設定と,探索を行うメトロイドヴァニア風のプレイフィールがうまくマッチした「High on Life」だが,筆者が注目したいのは,本作が現在大きな話題になっている“AIアート ジェネレーター”を利用しているという点だ。街の看板や部屋のポスターなどあまりゲーマーが注視はしないであろう,多くのゲーム内アートアセットの製作をAIが担っているという。また,キャラクターのセリフのプロトタイプを製作するのにもAIを活用しているとのことで,今後はゲーム開発コミュティでも物議をかもしそうな新技術の展開を,少ない予算を補うために先取りしていることに注目した。

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SIFU

プラットフォーム: PC / PS5 / PS4 / Switch / Xbox Series X|S / Xbox One(Xbox版は2023年3月に予定)
開発元: Sloclap
発売元: Sloclap

 「SIFU」は,師父が兄弟子たちに惨殺される場面を目撃した主人公が,復讐を果たすため鍛錬に励みながら成長していくというオープニングムービーからチュートリアルやクレジットロールへと続くシーンからも,カンフー映画への多大なリスペクトが感じられるアクションゲームだ。しかも本作で扱われる「白眉拳」と言えば,少林寺五老の一人である白眉禅師により開かれた南派カンフーの1つにして,その裏切りによって少林寺拳法の衰退につながったという伝説を含め,「キル・ビル Vol.2」など映画でも取り上げられることの多い人気拳法である。「SIFU」でも150種を超える「白眉拳」の技で戦うことができる。
 事件に関わった兄弟子たちを追い,戦い続けていくために用意された特徴的なシステムが,20歳で復讐の旅に出た若者が,負けるたびに年を重ねることになる加齢システムを搭載していることだ。年を重ねれば経験とスキルは増えるが,若い頃ほどの体力はなくなる。70歳までに兄弟子たちを葬り去ることを唯の目標としつつ命を賭ける主人公を見ていると,思わず「自分は残りの人生で何を達成できるのか」という考えが頭をよぎる。

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オーバーウォッチ 2

プラットフォーム:PC / PS5 / PS4 / Switch / Xbox Series X|S / Xbox One
開発元: Blizzard Entertainment
発売元: Blizzard Entertainment

 オンラインゲームはことごとく,人気作品の長寿化ばかりが顕著となる状況から,新風を巻き起こすような新作・続編は登場しづらくなっている。そんな中でもBlizzard Entertainmentの「オーバーウォッチ 2」は従来の6対6からタンクのスロットを1つ減らした5対5に修正するという,メタゲームの根幹に関わるゲームデザインにも果敢に挑みつつ,35体にも及ぶヒーローキャラクター,PvEを含めての新しいゲームモード,そしてバトルパスを前面に押し出したFree-to-play化やクロスプラットフォーム化など,やるべきことを全てやってのけた。
 それが成功しているかどうかはゲーマーの視点によって異なってくるだろうが,前作が1500万アカウントを得るのに3か月を要したのに対し,「オーバーウォッチ 2」は1か月で3500万人を記録したというのも,それだけ興味を抱いたゲーマーが多かったということだ。現在のBlizzardは,労働争議や企業買収などゲーム開発以外の問題に晒され続けており,開発チームにもそれなりの影響があるはずだが,次の6年を生き残れるゲームとして進化を続けていけるのかどうかは,巧みなライブサービスで知られる同社の手腕にかかっていると言えるだろう。

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Neon White

プラットフォーム:PC / PS5 / PS4 / Switch
開発元: Angel Matrix
発売元: Annapurna Interactive

 「Neon White」は,白く輝く天国に溢れ出た悪霊たちを撃退するため,地獄から呼び出された罪人グループ“ネオン”のメンバーの1人となり,戦っていくという1人称視点型のアクションゲームだ。主人公のホワイトは,より効率よく悪霊退治を行うことで天国に留まるための切符を手に入れるべく,天使“マイキー”に指示されて戦い抜く。そのゲームデザインは,少しでも短い時間でマップ攻略を行う“スピードラン”にフォーカスされているが,カードとしてゲーム中に出現する武器は相手に攻撃を加えるだけでなく,消費することでスピードにブーストがかかる。取捨選択に瞬間的な思考を必要とする戦略性もある。
 この「Neon White」を手掛けるAngel Matrixを率いるのは,「The Unfinished Swan 」(2012)や「What Remains of Edith Finch」(2017) の開発に参加し,独立以降も「Donut Country」など独特の作風で知られるベン・エスポジート(Ben Esposito)氏だ。最近では日本産のゲームでもあまり見かけない,日本アニメからの影響を隠さないゲーム作りを心がけたという。

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オリオリワールド

プラットフォーム:PC / PS5 / PS4 / Switch / Xbox Series X|S / Xbox One
開発元: Roll7
発売元: Private Division

 スケートボードを扱ったゲームだが,リアルなシミュレーションにこだわりがちな作風が多い中,「OlliOlli World」は横スクロール型プラットフォーマーとしてのシリーズ従来の親しみやすさを踏襲したカジュアルなタイトルだ。スケートの神々がいるファンタジー世界というアイデアを盛り込んだことで,ポップな作風に仕上がっている。スケートボードのテクニックを磨き少しでも高いハイスコアを叩き出そうとリプレイする楽しみもあり,今年前半は最もプレイしていたゲームの1つとなった。
 ゲームは横スクロールながらも3Dグラフィックス化されており,ファンタジー世界を上手く生かした様々な障害物が各所に散りばめられている。操作のタイミングを間違えてジャンプがうまくいかずにミスしても,セーブポイントまで到達していればそこからプレイし直せることができるなど,ストレスなくゲームを続けていくことができる。スケートボードに興味があろうかなかろうが,老若男女を問わずに幅広いゲーマー層が楽しめるような,ハードルの低さが魅力的なゲームだった。

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MARVEL SNAP

プラットフォーム:PC / Android / iOS
開発元: Second Dinner
発売元: Nuverse

 ふだんはモバイルゲームをあまり扱わないしプレイもそれほどしない筆者だが,Second Dinnerの「MARVEL SNAP」は別だ。本作はMarvelコミックスの公式ライセンスを受けたデジタルカードゲーム。開発を行ったSecond Dinnerは「ハースストーン」の元クリエイターとしてゲームコミュニティで絶大な人気を誇る,ベン・ブロード(Ben Brode)氏とハミルトン・チュウ(Hamilton Chu)氏が独立して起こした新規のメーカーであり,彼らの思いやゲームデザインについてのアイデアが詰め込まれている。
 詳しくはデベロッパインタビュー(関連記事)を参照してもらうのも良いだろうが,たった12枚で構成されるミニマムなデッキビルドの中で,戦略性を失なわずに3分前後で1マッチを楽しめるという,プレイにおける無駄を極限まで削ぎ落としたデザインとなっている。その中核にあるのが,プレイヤーが負けた時のストレスを軽減することであり,上記の「Neon White」や「OlliOlli World」にも通じる「やり直すことの負担の低さ」というトレンドを,対戦ゲームにもしっかりと落とし込んでいるのだ。

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GigaBash

プラットフォーム:PC / PS5 / PS4
開発元: Passion Republic Games
発売元: Passion Republic Games

 「パワーストーン」や「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」など,ドタバタ系乱闘アクションゲームをオマージュしたゲームプレイに,特撮映画の怪獣たちがテーマという日本愛がヒシヒシと感じられる「GigaBash」。マレーシアに拠点を置く,Passion Republic Gamesが開発している。最大4人のプレイヤーで,カウチCo-opで友人や家族と大乱闘を楽しむのが愉快なゲームだ。タイタンやその駆逐を目指すロボなど,どれも巨大な10種類ほどのキャラクターで,建物を破壊しながらのデスマッチやチーム戦に興じよう。
 この「GigaBash」を2022年のトップ10の1つに選んだのは,本作によって東南アジアにおけるゲーム開発力の向上とノウハウの蓄積を痛いほど感じられ,今後はこの地域から次々と飛び出してくるであろう,次の時代のゲームを予感させるものだったからだ。シンプルなコントロールやタイタンたちの個性あふれるムーブセット,さらにマップ中に散りばめられたギミックの数々もさることながら,最新DLC「Godzilla 4 Kaiju Pack DLC」では東宝とのライセンス契約にまでこぎ着けている。なお,Passion Republic Gamesは上記「Stray」のネコのリグ(3Dモデルを動かす仕組み)の開発を担当していたりもする。

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プレイグ テイル - レクイエム -

プラットフォーム:PC / PS5 / Switch / Xbox Series X|S
開発元: Asobo Studio
発売元: Focus Entertainment

 Asobo Studioの「プレイグ テイル - レクイエム -」は,「プレイグ テイル -イノセンス-」の続編にあたる作品で,黒死病の蔓延や戦争によって荒廃した故郷から逃れたアミシアヒューゴの2人が,人々を襲い病原菌を運んでくるネズミたちが急増する中,再び逃避行を続けていく。2022年は魅力的なシングルプレイ専用ゲームの続編も多かったが,その中でも本作はストーリーやゲームプレイ,グラフィックスやスケール感などすべての面で,前作を良い方向でアップグレードさせた,続編にふさわしい仕上がりになっていた。
 「プレイグ テイル - レクイエム -」では,クロスボウを利用した戦闘や,タールを利用して光を生み出すといった新しいパズル要素,そしてステルスやクラフティングでもさらに改良が進められている。やはり黒死病を体現したネズミの大群は大きな特徴の1つで,今回は前作の60倍に及ぶ最大30万匹という無数のネズミが画面狭しと表示される。サブキャラクターたちの背景やモチベーションも細かく描かれており,「Microsoft Flight Simulator」でもその名を轟かせるAsobo Studioは,個人的に2022年の“スタジオ・オブ・ザ・イヤー”に選出しても良いと思っているほどだ。

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Vampire Survivors

プラットフォーム:PC / Android / iOS
開発元: Poncle
発売元: Poncle

 筆者にとって2022年は移動の多い年だったこともあり,「Steam Deck」は今年のゲームプレイで最良の相棒となってくれたが,このSteam Deckで最もプレイしたのが「Vampire Survivors」だ。ルカ・ガランテ(Luca Galante)氏がコロナ禍の中,作り切ったローグライクアクションの本作は,異なる攻撃法とボーナスを持つキャラクターから1人を選び,無数のモンスターたちによる波状攻撃に耐えながら,与えられた時間をとにかくサバイバルして生き抜くという単純明快なルール。それゆえ生き延びてもキルされても,全てのアンロックの達成を目指してプレイし続けてしまう。
 ぱっと見は良くあるトップダウン型シューターのバリエーションといったところだが,攻撃を含むキャラクターのアビリティ発動は完全に自動となっているため,プレイヤー側からインプットは,レベルアップの際にどんなスキルのアップデートを選択するかや,キャラクターを移動させていく程度。2021年10月以降に徐々に口コミでファン層を広げていった「Vampire Survivors」だが,無料でモバイル版が公開されたり,正式ローンチ後も4.99ドルという安価に抑えられた商売っ気のなさを見たりするにつけ,“楽しい時間を過ごす”という目的としてのゲームエンターテイメントの費用対効果について,改めて認識させてくれる作品となった。

画像集 No.011のサムネイル画像 / Access Accepted第745回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2022年のタイトル10選

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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