インタビュー
「チョコットランド」転職システムの評判は? 2次職「ホーリーナイト」「ソーサラー」のイラスト&実装時期も明らかになった開発インタビューを掲載
現在実装されているクラスは4種類の「1次職」だが,10月20日には早くも各職業のスキルバランス調整が図られ,2011年11月下旬には「2次職」のうち2種類が登場し,さらに2012年新春には残り2種類が追加される予定だ。2011年春以降,活発な動きを見せるチョコットランドの現在と今後の展開について,NHN Japan ハンゲーム事業本部 チョコットランド事業部 チョコットランド企画チーム 竹内亮太氏と,高橋公輝氏に話を聞いてきた。
「チョコットランド」公式サイト
実装から1週間でレベルキャップ到達者も出現した
「転職」システム
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。チョコットランドでは,転職システムが10月6日に実装されましたが,あらためて企画・開発の意図などを教えてもらえますか?
チョコットランドは,これまで4年半という長い期間サービスしてきました。その中で,もうレベルキャップに達してしまっているというお客様もたくさんいらっしゃいます。そこで,そういった方のために遊び方の幅を広げようと企画されたのが転職システムです。
これまでのように,ただスキルを追加していくよりも,むしろ新しく職業の概念を導入し,クラス別のスキルを大幅に増やしたほうが面白いと考えました。
竹内亮太氏(以下,竹内氏):
以前のインタビューでもお話したのですが,チョコットランドのアップデートはただ強い敵が追加されて,それを同じ戦略で倒すという単調な内容の繰り返しになってしまいがちでした。そこで,それぞれに尖った特徴を持った職業を用意して,役割を明確化することで遊び方を広げようとしたんです。
4Gamer:
転職システム実装から1週間近くが経過しましたが(※10月12日収録),プレイヤーの反響はいかがですか?
高橋氏:
公式サイトの書き込みなどをチェックしているのですが,非常に楽しんでおられる方が多いです。データでいうと,現役プレイヤーの50%以上の方が転職システムを利用されていて,実装された1次職でゲームを遊んでいます。
また実装から数日で,1次職をレベルキャップのレベル80に到達させた方も少なからずいらっしゃいました。そういう状況を目の当たりにすると,まだまだコンテンツが足りないので頑張らなければならないと,思いを新たにしました。
竹内氏:
掲示板を見ると,もう職業ごとのスレッドができていて,この職業なら最初はここでモンスターを狩ってレベルを上げて,次はここに行って……という攻略情報が,早くも書き込まれています。
4Gamer:
それだけ遊ばれているのであれば,概ね好評と受け止めてよさそうですね。
1次職は4種類ありますが,人気の職業はあるのでしょうか?
竹内氏:
ほぼ均等なのですが,人気の高い順からファイター,メイジ,シーフ,プリーストとなっています。
ファイターとメイジの人気が高いのは,職業として分かりやすいからでしょうね。ファイターは直接攻撃,メイジは魔法攻撃に特化すればいいので,戦闘も育成もどうすればいいのかイメージしやすいわけです。
1次職が実装されたばかりですから,まずは自分一人で各職業を試してみたいという方が多く,援護型のプリースト,特殊型のシーフなどといったソロでのレベル上げが難しい職業は,今のところ選ぶ人が少なめになっていると分析しています。そのため,なかなか情報が出揃わず,手を出しにくいという側面があるのではないでしょうか。
とはいえ,これまでの傾向からするとプリーストもシーフもすぐに攻略情報が揃うと思いますから,もう少しすれば4職業での人気の差はなくなっていくと予想しています。
高橋氏:
プリースト用には,味方を補助するスキルや敵を弱体化するスキルを用意したのですが,あえて使うほど強い敵がいないという事情もあります。今後のアップデートや改修で,そういったスキルを活用できるような環境を提供していきます。
熱心なやり込みプレイヤーは早くも
1次職スキルのダメージ計算に着手
4Gamer:
転職に関して,何かこれはと思うような意見や要望などはありましたか?
高橋氏:
企画・開発上では意図しなかった遊び方を,さっそく発見して楽しんでいらっしゃる方もいます。
例えばシーフには「バリゲットン」というスキルがあるのですが,これはモンスターからアイテムを盗むと同時に少しダメージを与える効果があります。企画・開発上では与ダメージはオマケ程度のつもりだったのですが,スキル発動が速いので,反撃を受ける前に敵を倒してしまうことができるんです。そこで,このスキルをメインの攻撃手段として使ってレベル上げをしている人もいらっしゃるんです。
これは素早さを利用して戦うというシーフの特性を活かすような攻略法を,お客様が編み出した一例といえますね。
4Gamer:
まだ実装から日が浅いですが,どれくらい解析されている印象ですか?
高橋氏:
いっても半分くらいでしょうか。まだまだ解明されていない部分はあります。
竹内氏:
それでも,スキルによる与ダメージの計算式を解析して“1コンマ何倍”みたいな数字を出しているのを見るとドキッとしますね。結構,本当の数字に近いものもあって(笑)。
4Gamer:
さすがに完璧な計算式は解析されていないわけですね。
高橋氏:
例えば17コンボするファイターのスキル「ミダランブ」では,1打1打の倍率を全部計算して出していたりするんです。これは画面に表示された数字を全部チェックしているんだなあ,と。
竹内氏:
おそらくコンボの出始めから逐一スクリーンショットを撮影して,そこから計算していると思うのですが,そのくらい研究熱心な方がいらっしゃるというわけです。
高橋氏:
正直,そこまでやっていただけるのは嬉しいですね。
4Gamer:
逆に転職システムについて,不満は出なかったのですか?
高橋氏:
やはり,これまで4年半のサービスを続けてきたタイトルですから,多くの資産を積み上げてきたお客様もいらっしゃいます。今回の転職システムを使うと,ある意味,全員横並びになってしまうから面白くないという意見も見受けられますね。
あとは一部のスキルが強過ぎるというケースがありました。例えばプリーストの攻撃力アップスキルは,計算式の調整ミスで効果が高くなりすぎていたので,実装翌日に修正を入れる結果となってしまいました。ここは申し訳なく思っています。
社内開発の強みを生かしてプレイヤーの
意見・要望を素早くゲーム内に反映
4Gamer:
10月20日には,さっそく1次職の一部スキル調整が行われるとのことですが。
高橋氏:
ハロウィンイベントの開催に合わせたタイミングで行う調整で,スキル調整は全職業とも上方修正です。
今の時点で十分強いファイターとメイジには,それぞれ補助系のスキルを一つずつ強化追加します。プリーストは弱体化スキルを一つ強化します。
シーフは大幅に強化します。実は従来の冒険者の盗賊系スキルには即死スキルがあったのですが,1次職のシーフにはあえて入れなかったんですよ。そのせいなのか,シーフはずいぶん弱いイメージとなってしまいました。そこで,ほとんどのスキルを上方修正します。
4Gamer:
即死スキルに相当するスキルが追加されるわけではないのですか?
高橋氏:
即死スキルは,2次職で登場させる予定なんです。
今回の調整ではシーフの手数を増やしたり,ちょっと変わった攻撃方法を採用したりしています。例えば攻撃を重ねることでダメージを蓄積し,最終的にファイターよりも大きなダメージを与えられるようなイメージのものとか。
竹内氏:
シーフは,使っていて楽しいと感じられるような職業を目指しています。例えばダメージを食らわずに連続攻撃を決めていくと,だんだん威力が上がっていくスキルがあるのですが,それを有効に使うにはヒットアンドアウェーを使ったり,攻撃される前に攻撃したりと,テンポよく操作する必要があります。
4Gamer:
チョコットランドは開発・運営ともにNHN Japan社内で行われているためか,非常にレスポンスのいい調整が行われているようですね。
竹内氏:
そうですね。転職システム自体,2011年の初夏に企画して10月実装ですから。……当初は8月実装予定でしたけれども。
ともあれ,一つの企画はおよそ2〜3か月,小規模の案件なら1か月以内に実装しています。
高橋氏:
東京ゲームショウ2011(以下,TGS 2011)では転職システムを出展したのですが,それから実際に実装されるまでの間にも,スキルの数が2倍くらいになりましたしね。開発スタッフには「あと1個増やしたいんだけど」という無理を,何度もお願いしました。
4Gamer:
それは,TGS 2011で実際に転職システムに触れた人の意見に基づいた企画なんですか?
高橋氏:
そうです。例えばプリーストは,外見は可愛いけれども,ソロで遊んだときにレベルが上がりにくいという意見をいただきました。それを検討した結果,主にソロプレイで使えるスキルを追加したりしています。「ジャステンという単体攻撃系スキルなどが,その代表です。
あとはシーフの遠距離スキルが使いにくいという意見から,修正を加えたりもしています。
竹内氏:
ファイターの直線方向への範囲スキルもそうですね。TGS 2011出展版ではちょっと判定がシビアすぎたので,緩和して,より敵に当たりやすくしています。
4Gamer:
TGSで直接聞いた意見を,すぐに反映するケースというのは,これまであまりなかったかもしれません。
高橋氏:
社内開発ならではですね。会場から戻ってすぐに仕様をまとめて,開発スタッフに修正依頼をしたんです。会場では非常に参考になる意見をいただけましたので,これは実装までに盛り込むべきである,と。
待望の2次職も2011年内登場予定
1次職のスキルを継承するとより強くなる?
4Gamer:
前回のインタビューでは,2次職についての話もありましたが。
竹内氏:
はい。その当時は「サムライ」と「ニンジャ」をご紹介しましたが,新たに「ホーリーナイト」と「ソーサラー」の実装が決まりました。
ホーリーナイト |
ソーサラー |
4Gamer:
女の子のソーサラーが,ずいぶん大胆な格好ですね。
高橋氏:
ソーサラーは男女とももっと露出度が高かったのですが,少しソフトにしてもらいました。男の子は裸マフラーだったんですけど,さすがにそれは……と(笑)。
また2次職全般で,1次職よりも大人っぽいイメージになるよう心がけているんです。
4Gamer:
なるほど,ソーサラーは“大人”の解釈がアダルト方面に偏ったわけですか。
それでは,それぞれの特徴を教えてください。ソーサラーは,メイジの上位版でスキルは攻撃魔法中心で合っていますか?
高橋氏:
はい。そしてホーリーナイトは,プリーストの上位版で防御力重視のパーティ支援職です。一般的にナイトと名が付くとファイター系列という感じですが,チョコットランドの場合はプリーストがパーティの壁役になることも多いので。
4Gamer:
2次職を企画・開発する上で,何かポイントがあったら教えてください。
先ほどお話したTGS 2011出展後に追加した1次職のスキルには,実は2次職を見据えた効果を持つものもあるんです。例えばメイジには,あえて攻撃力に関係するINTを落として,代わりに防御力に関するVITを上げるスキルを追加したのですが,それを「スキル継承」で2次職に持ち越すと,より大きな効果を発揮するんですよ。1次職には,継承すると強い2次職を作れるスキルをそれぞれ用意しています。
4Gamer:
スキル継承では,何種類のスキルを2次職に持ち越せるのですか?
高橋氏:
確定しているのは,ひとまず1種類です。実装までにはもっと増やすことを企画・検討していますし,各職業を育成するメリットを出す仕様の追加も検討しています。
4Gamer:
2次職の実装時期は,いつ頃を予定していますか?
竹内氏:
お話した4種類のうち2つの2次職「サムライ」「ニンジャ」に関しては,2011年11月末を予定しています。残りの「ホーリーナイト」「ソーサラー」は2012年の早いうちに出したいと考えています。
4Gamer:
前回のインタビューでは,2次職はもっと種類が追加されるという話でしたけれども,もう企画・開発は進んでいるのですか?
竹内氏:
チョコットランドの場合,2次職が単純に1次職の上位職というわけではなく,例えばサムライならファイターとシーフのレベルを一定以上に上げると転職できます。そうやって組み合わせを考えると,2次職をもっと追加できる余地はありますね。
ただ当面は,この4種類で行こうと考えています。また2次職の種類を増やしたほうがいいのか,それとも,より高位の3次職を先に出したほうがいいのか。まずは2次職実装後にお客様の反応を見たいという気持ちがあるんです。
サムライ |
ニンジャ |
4Gamer:
では,2次職の具体的な特徴を教えていただけますか?
高橋氏:
そうですね。それでは11月実装予定の「サムライ」と「ニンジャ」について少し。「ホーリーナイト」と「ソーサラー」は,その後のお楽しみとさせてください。
「サムライ」は,機動力を生かした攻撃が得意で,ファイターをより攻撃面に特化させたイメージになります。単体攻撃,範囲攻撃を兼ね備えつつも,サムライらしい特殊なスキルを持つ職業で攻撃力の高さが魅力です。転職条件はファイターLv50とシーフLv30で,能力ボーナスとしてクリティカルヒットのダメージが上昇します。
「ニンジャ」は,シーフに瞬発的な破壊力を持たせたイメージとなります。遊び要素も多いトリッキーなスキルが多いだけでなく,待望の一撃必殺スキルも持っています。転職条件はシーフLv50とメイジLv30で,能力ボーナスは,通常攻撃時に一定確率でトリプルアタックが発動するというものです。この能力ボーナスも含め,ステータス育成やスキル継承など,とても研究しがいのある職業かなと思います。
2011年12月以降も引き続き活発なアップデートを予定
4Gamer:
それでは,2次職以降に実装される新しいコンテンツなどを教えてください。
竹内氏:
装備を強化する「錬成」システムが登場します。チョコットランドは装備の豊富さも大きなウリなのですが,どうしても新しいものほど強くなってしまいます。そこで練成では,性能的にもう使えないけれど,デザインは気に入っているという装備などを,+1,+2……といった形式で強化できます。これは2011年12月中の実装を目指していますが,詳細については追って発表します。
高橋氏:
あとは例年通り,2012年夏ごろには新マップとモンスターを追加したいですね。
また,転職システム実装前まで,長らく冒険者で遊んでいたお客様にメリットが生まれるシステムを企画・検討中です。これから仕様を詰めるので,どんな形になるかはまだ具体的にお話できる段階ではありませんが,要望が多く,我々も必要だと感じていますので,必ず実現したいと思います。
もう一つ,ゲーム内をナビゲートするNPC「プリム」の兄弟をゲーム内に出して,ゲームに広がりを持たせようと考えています。企画や仕様はまさにこれから決めるところです。
高橋氏:
2012年も,2011年と同じくアクティブにアップデートしていきます。氷の国とか砂漠とか,設定だけあって未実装のマップもありますしね。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,チョコットランドは4年半もサービスが続いていますが,プレイヤーの年齢層は変化しているのでしょうか?
竹内氏:
長く遊んでくださるお客様が多いので,全体的には年齢が上がっています。
4Gamer:
そうなると,より遊び応えを求めて複雑な遊びやシステムを求める意見が増える,という可能性はありませんか。
高橋氏:
もともとチョコットランドはオンラインRPG初心者に向けた,簡単で遊びやすい内容を目指していますので,複雑化はあまり考えていないんです。
竹内氏:
ここ1〜2年でチュートリアルや,序盤のオススメのクエストを案内するシステムを実装したりして,初心者への対応も充実させました。
4Gamer:
それでは逆に,レベル80になってコンテンツをやり尽くしているようなプレイヤーは,どんな遊び方をしているのでしょうか?
高橋氏:
ログインして友達とチャットしたり,一緒に遊んだりという方が多いですね。あるいは,一撃でどこまでダメージを与えられるかといったことにチャレンジされている方もいます。カンストしたらゲームを離れる,というプレイヤーがとても少ないのが,チョコットランドの不思議な傾向ですね。
竹内氏:
MOタイプのゲームで,コミュニケーションが密に取れることから,積極的に初心者支援をしている方も多いですね。私自身,初心者時代には手伝っていただいた経験があります。
4Gamer:
なるほど。それはハンゲームという母体が持つコミュニティの性格とも関連がある傾向かもしれませんね。
そのほか,何か今お話してもらえる今後の予定はありますか?
TGS 2011で発表したスマートフォン版「チョコットランドSP」のリリースを準備しています。こちらもそろそろ続報を出していきたいところですので,情報が確定次第,公式サイトなどを通じてアナウンスしていきたいと思います。
4Gamer:
スマートフォン版に続いて,例えばPlayStation Vita版などは考えていませんか? オンライン機能に力を入れた携帯ハードということで,オンラインゲーム企業各社が注目していますよね。
高橋氏:
今のところ,予定にはありません。とはいえ,個人的にはものすごく興味がありますね。PS Vitaだけでなく,ニンテンドー3DSでチョコットランドを展開するのも面白そうです。機会があればぜひチャレンジしたいですね。……あくまで,現時点では私個人の願望ですし,決定事項ではありませんので,誤解のないようにお願いします……。
4Gamer:
なるほど,分かりました。
それでは最後に,チョコットランドの今後に期待する人に向けてメッセージをお願いします。
高橋氏:
転職システムによって遊びが広がりましたので,ずっと遊んでくださっている方はもちろん,新たにお友達を誘って一緒にプレイしてくださると嬉しいです。
竹内氏:
引き続きゲーム内を充実させ,並行して初心者さん向けのアップデートも行っていきます。ぜひよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
前回のインタビューでも触れているのだが,チョコットランドはサービス開始以来,大きくメディアに取り上げられることはなかった──それは同タイトルがオンラインRPG初心者向けだからというハンゲームの方針でもあった──ために,にわかに人気が出たかのように見えるかもしれない。
しかし実際は,シンプルで遊びやすく,かつプレイヤー同士のコミュニケーションを重視した設計と,社内開発による迅速なコンテンツ開発,およびバランス調整によってジワジワと登録会員数を増やし,気がついたらハンゲームの看板といっていい存在となっていたのである。
2011年は,転職システム導入で大変身を遂げたともいえるチョコットランドだが,2012年も引き続きアップデートを重ねていく。長らく同タイトルを遊んできたプレイヤーにとっても,オンラインRPG初心者にとっても,これまで同様,より安心して楽しめるゲームになっていくことだろう。
「チョコットランド」公式サイト
- 関連タイトル:
チョコットランド
- 関連タイトル:
チョコットランドSP
- この記事のURL:
キーワード
(C) NHN PlayArt Corp.
(c) NHN Japan Corp.